Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ひとのころ

2010/08/25 16:32:21
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遠い昔のお話です。

お山の中に人間の村がありました。

その村にはたくさんの人が住んでいました。

でも、村の人はみんなおなかを空かせていました。

そして毎日のように、おなかを空かせて死んでしまう人がいました。

そんな村の中に、一人の女の子と、その女の子の母親がいました。

女の子は言いました。

おかあ、おなかすいたよ。

ですが、女の子がいくらおなかを空かせても、食べる物はありませんでした。

しかたがないので、母親は女の子の好きなおとぎ話をしてあげました。

小鳥がお月さまと恋人同士になるお話でした。

女の子はおなかが空いていましたが、母親がお話をしてくれるので我慢することにしました。

それでも、やっぱりおなかが空いているので、女の子は自分の指をしゃぶっていました。

そんな女の子が可哀想だと思った母親は、その日あることを思いつきました。



次の日、女の子はとても元気でした。

久しぶりに、おなかがいっぱいになったからです。

そんな女の子を見て、母親は嬉しそうでした。

でもその日から、母親は女の子とお花摘みができなくなりました。



また次の日も、女の子は元気でした。

今日も、おなかがいっぱいだったからです。

そんな女の子を見て、母親はとても嬉しそうでした。

でもその日から、母親は女の子とお散歩に行くことができなくなりました。



そのまた次の日も、女の子は元気でした。

今日もまた、おなかがいっぱいだったからです。

そんな女の子を見て、やっぱり母親は嬉しそうでした。

でもその日から、母親は女の子とけんけんをして遊んであげられなくなりました。



次の日になると、女の子はいつも以上にご機嫌でした。

今日は自分でご飯の用意をして、母親にいっぱい褒められたからです。

しかも、女の子の頭には紅いリボンが付けられていました。

それは、母親がもしもの時のため大事にしまっていた、魔除けのお札でした。

ご飯の前に母親が、これは怖い人から守ってくれるお守りだよといってくれたものでした。

楽しそうに笑う女の子を見て、母親はとてもとても嬉しそうでした。

でもその日から、母親は女の子を抱きしめてあげられなくなりました。



次の日も、女の子はおなかがいっぱいでした。

でも、いつもみたいな元気はありませんでした。

もう二度と、母親がおとぎ話を話してくれなくなったからです。



次の日になると、女の子は元気になっていました。

相変わらず、おなかはいっぱいでした。

女の子は、自分が元気でいると、母親が喜んでくれたことを思い出したのです。

なので、女の子はこれからずっと元気でいるよと、お空にいる母親に誓いました。



次の日も、そのまた次の日も、女の子はおなかがいっぱいでした。



それから永い時間が経ちましたが、女の子は相変わらずおなかがいっぱいでした。

そして今日もまた、女の子は食べ物を探して、夜のお空を元気に飛んでいます。

両手を広げて十字架みたいに見えるその姿は、遠くへいってしまった母親にお祈りをしているかのようでした。
 
 
 
あの妖怪に該当する既存の妖怪がわからなかったため、人間から妖怪に変じたオリジナルだと思いました。
なう
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
おお、成る程…これは凄い
2.けやっきー削除
四肢が一箇所ずつ消えていく様子…
怖かったです…。
3.名前が無い程度の能力削除
恐いというよりは切ない、悲しい話だ
4.名前が無い程度の能力削除
新しい……惹かれるな…‥