これから先いつまでも貴方の近くにいたい。
私はずっと貴方が好き。
貴方の側で笑っていたい。
「アリスさん、また研究ですか?」
「…ええ」
「あまり無理はなさらないでくださいよ?」
「…わかってる」
「……アリスさん」
いつからだろうか。
アリスさんが笑わなくなったのは。
いや、表面上は笑ってみせているけど、本当に笑ってない。
心の底から笑うことをしなくなった。
どうして笑わなくなったのか…、そんなの簡単だ。
――私がアリスさんを拒絶したから。
いつからだったかは思い出した。
結構最近の話だ。
アリスさんと私の部屋でお酒を飲み交わしていた時に、ちょっといい雰囲気になった。
その時はべつに拒む理由もなかったから流れで私はアリスさんのしたいように動いた。
でも、いざ行為が始まる直前にアリスさんの不気味な笑みを見た瞬間に勢いよくアリスさんを突き飛ばした。
アリスさんは私の行動にイラっとしたのか、そのまま行為を続行しようと私を魔法の糸で縛りつけ強引にされた。
その後は、私が少しアリスさんを避ける形になった。
話をしてもすぐに私が黙ってしまう。
アリスさんが私の髪を撫でるとつい思い出してしまって後ずさりしてしまう。
そんな関係が今まで続いているのだ。
「美鈴、ちょっといいかしら?」
「…アリスさん」
私がぼーっとしているとアリスさんが声をかけてきた。
顔を見ると、あれ…?
「アリスさん、あの…」
「ああ、ごめんなさい。なんでもないわ」
泣いていた。
アリスさんは頬に伝うものを一生懸命手で拭いていた。
久しぶりに見たアリスさんの泣いている顔。
笑った顔が見たいと思っていたけど、まさかの泣き顔で面食らった。
「…どうしたんですか?」
「…ごめんなさい」
「へっ?」
いきなり頭を下げられた。
何事だろうかと思っていたらアリスさんが顔をあげて勢いよく飛びついてきた。
「うわっ!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
「あの、アリスさん? いったいどうしたんです?」
すごい勢いで謝られても状況が理解できない。
アリスさんはもうお構いなしに泣いていた。
「…ゆっくりでいいですから。話してみてください」
「…あのね? 私、ずっとあの時のこと謝りたくて…!」
「あの時って…、あの夜のことですか…?」
「…うん。それで、タイミング逃しちゃって、…ごめんなさい!」
アリスさんはあの時のことを酷く後悔していたようだった。
本人が言うには、あそこまでするつもりはなかったらしい。
私の思わぬ拒絶に気が動転してしまったそうだ。
「よかったです」
「なにが?」
「これでまたアリスさんと前のように話せて」
「…ごめん」
「謝らないでくださいよ。もとは拒絶した私が悪いんですから」
「そんなことない! 無理矢理やった私の方が最低なんだから」
どこまでも自分が悪いと言うアリスさん。
これでは埒が明かない。
「じゃあもう二人とも悪いってことで。あの夜の続きでもしませんか?」
「えっ!?」
「続きと言ってもあんな酷いことはしませんよ?」
「あ、当たり前じゃない!」
「あと、私がリードさせていただきます」
「…へ?」
さて、貴方の笑った顔はいつになったら見れるんでしょう?
少なくとも明日の朝までは拝めないかもしれませんね。
こんなにあっさりと誘うのに、何故拒否した・・・。
酷いことされたのに優しい美鈴が書きたかったのは分かるが、もうちょっと納得できる話の流れが欲しかったです。
キャラクターたち(この場合は美鈴とアリス)の関係が読者にはっきりわからない、
感情移入しにくい形のままで、情景だけがすーっと流れていってしまうのが良くないのかなと思います。
なかなか上手く表現できないのですが、例えて言うなら恋愛モノの映画をいきなり途中から見せられて
「ね、これいいでしょ?」と言われているような感じ、とでも言いましょうか。
麦芽豆乳さんが「細けえこたあ良いんだよ、気に入ったキャラがちゅっちゅしてるとこさえ書ければよー」と
仰るならそれはそれでと思いますが、この二人がどのようにしてお互いを気にかける関係になったのか……
を描写した方が、より読みやすく感情移入しやすいものに出来るのではないでしょうか?
次を楽しみに待っています!