「つちのこってさ。案外何でも食うもんだぜ! ほら!」
アリスに焼いて貰ったクッキーを一つ、ペットのつちのこに向かって放ってやる。
すると奴は口を大きく開けて、良く噛みもせずに一呑みして見せた。
「シャー!」
そして蛇の様な声で鳴くと上機嫌に体をくねらせる。
まるでもっともっとと、ねだっているようだ。
卑しい奴めと私が笑うと、そうねと笑ってアリスも応えてくれた。
「でも選り好みはするんだぜ。この様子じゃあアリスのクッキーがいたく気に入ったみたいだな。」
「そう。喜んでくれたのなら良かったわ。」
アリスが笑顔で返してくれるから私は調子に乗って得意気に話を続ける。
「中でも私が焼くキノコを美味そうにして食うんだよな。でも大抵丸呑み。味なんか分かってんのかね?」
「さぁ。どうかしらね。」
適当な相づち。だけど相変わらず顔だけはニコニコと笑みを浮かべているアリス。
そんな、何時もと変わらないアリスに、ほんのちょっと、本当にちょっとだけ私は不安になった。
だって余りにも変わらないから。作り笑いだなんて思ってないけど。
「なぁ……アリス? こんな話、聞いてて楽しいか?」
さっきから私ばっか一方的に話してて、アリスは偶に返事をしてくれるだけ。
それってただ私の我が儘に付き合わせてるだけみたいで……なんか嫌だ。
「え……?」
聞いているのは私の方だって言うのに、何故かアリスは不思議そうに首を傾げた。
「なぁ……アリス? こんな話、聞いてて楽しいか?」
一瞬、何を聞かれたのか私にはよく分からなかった。
だってあんなにも楽しそうに笑ってたのに、突然そんな事言うのだもの。誰だって戸惑うわよ。
それとも私、何か気に障ることしたのかしら?
不安に思い自身の行動を省みても思い当たる節は何も無い。
「……だからっ。私の話ばっかり聞いてたら、アリスだってつまらないだろう?」
どうやら魔理沙は返事の無い私に痺れを切らしたようで。
突き放したような彼女の言い方に、だけどやっぱり私には訳が分からなくて。
理由も分からないままでは謝りようも無い……だから素直に聞いてみる事にした。
「どうしたの? 急に……?」
しかしそれが魔理沙にはお気に召さなかったらしく……。
彼女は目元をきつく吊り上げて、そのうえ頬までも不服そうに膨らませてしまった。
これは本格的に不味いわね……。
立て続けに起こる思わぬ事態を受けて今頃になって焦り始める私。
魔理沙に嫌な顔をされるのは他の誰にされるよりも堪えるのよね……。
仕方ない、ここはひとまず理由は後回し。
即急に魔理沙の機嫌を取り戻す手立てを考える必要が有りそう。
「……じゃあどうしてアリスはこんな下らない話に付き合ってくれるんだ?」
そう言ってじっと魔理沙に瞳を覗かれると、悩み始めていた脳が一気に思考を停止させてしまう。
魔理沙の綺麗な瞳が、鼻が、口が、すぐ目の前にあった。
どうして?
そんなの、こんな綺麗な顔を近くで見ていたいからに決まっているじゃない。
「……貴女が話してくれるからよ、魔理沙。」
気が付けば魔理沙に話しかける私がいた。
それも癇癪を起こした子供を宥めるような猫なで声で。
彼女が帽子を被っていなければ頭だって撫でていたかもしない。
「私が……?」
「貴女の話す事なら何だって聞きたいわ。」
理解できないって顔をする魔理沙に間髪居れず私は言葉を紡ぐ。
だけど本当のところは、そんなこと考えた事もなかった。
ただ何時の間にか魔理沙の近くで、魔理沙の話を聞くようになっていた……それだけのこと。
特に意識してやっていた事では無いから、そこに理由なんてない。
「…………ホント?」
不思議そうに目をパチパチとさせる魔理沙に、「勿論。」と私は頷いて見せた。
きっとこれが私の本音なんだろう……なんの確証もないけど多分そう。
「それに貴女の話を下らないと感じたことなんて一度も無いわ。」
加えて言えば、貴女と居てつまらないと感じた事など一度も無い。
魔理沙ほど私の興味を引く他人もいないと言っていい。
それにこれだけは断言できる。
私は、私が望んだから魔理沙の傍に居る。
「へへへっ……そっか。アリスって、どっか変わってるよな。」
なんか馬鹿にされてるような言い方だけど、魔理沙の機嫌が急速に回復したのは見るからに明らかだ。
理由はどうあれ、笑顔を取り戻してくれた魔理沙に私はほっと安堵する。
だから別に気にしない。だから憎めない。
──ホント、良く分からないわ。
結局、機嫌を損ねた理由も、機嫌を取り戻してくれた理由さえも分からないままだ。
それは魔理沙の言うとおり、私が変わっているから分からないのかしら?
「なぁ! 偶にはアリスの話を聞かせてくれよ!」
まだ考えてた私と違って、魔理沙はもう別の事を思い付いたよう。
この切り替えの早さには時折おいていかれそうになる。
「急にそんなこと言われてもね……。」
話の種なんて何も用意していないから困ってしまった。
何時も聞く側だったし、それに私の話なんて聞いても詰らないと思うのだけど。
「何だって良いんだよ。な!?」
「そうねぇ……。」
だけど強くお願いされると、どうも断れない。
詰まるところ何だって良いのだから。
魔理沙の笑顔が見られるのなら、それで。
これはひょっとして……恋、なのかしら。
そうかもしれないし……違うのかもしれない。
恋人より、妹かな──
私の話を、今か今かと待ちわびる可愛い妹を前に、何となく私はそんな事を思うのだった。
アリスに焼いて貰ったクッキーを一つ、ペットのつちのこに向かって放ってやる。
すると奴は口を大きく開けて、良く噛みもせずに一呑みして見せた。
「シャー!」
そして蛇の様な声で鳴くと上機嫌に体をくねらせる。
まるでもっともっとと、ねだっているようだ。
卑しい奴めと私が笑うと、そうねと笑ってアリスも応えてくれた。
「でも選り好みはするんだぜ。この様子じゃあアリスのクッキーがいたく気に入ったみたいだな。」
「そう。喜んでくれたのなら良かったわ。」
アリスが笑顔で返してくれるから私は調子に乗って得意気に話を続ける。
「中でも私が焼くキノコを美味そうにして食うんだよな。でも大抵丸呑み。味なんか分かってんのかね?」
「さぁ。どうかしらね。」
適当な相づち。だけど相変わらず顔だけはニコニコと笑みを浮かべているアリス。
そんな、何時もと変わらないアリスに、ほんのちょっと、本当にちょっとだけ私は不安になった。
だって余りにも変わらないから。作り笑いだなんて思ってないけど。
「なぁ……アリス? こんな話、聞いてて楽しいか?」
さっきから私ばっか一方的に話してて、アリスは偶に返事をしてくれるだけ。
それってただ私の我が儘に付き合わせてるだけみたいで……なんか嫌だ。
「え……?」
聞いているのは私の方だって言うのに、何故かアリスは不思議そうに首を傾げた。
「なぁ……アリス? こんな話、聞いてて楽しいか?」
一瞬、何を聞かれたのか私にはよく分からなかった。
だってあんなにも楽しそうに笑ってたのに、突然そんな事言うのだもの。誰だって戸惑うわよ。
それとも私、何か気に障ることしたのかしら?
不安に思い自身の行動を省みても思い当たる節は何も無い。
「……だからっ。私の話ばっかり聞いてたら、アリスだってつまらないだろう?」
どうやら魔理沙は返事の無い私に痺れを切らしたようで。
突き放したような彼女の言い方に、だけどやっぱり私には訳が分からなくて。
理由も分からないままでは謝りようも無い……だから素直に聞いてみる事にした。
「どうしたの? 急に……?」
しかしそれが魔理沙にはお気に召さなかったらしく……。
彼女は目元をきつく吊り上げて、そのうえ頬までも不服そうに膨らませてしまった。
これは本格的に不味いわね……。
立て続けに起こる思わぬ事態を受けて今頃になって焦り始める私。
魔理沙に嫌な顔をされるのは他の誰にされるよりも堪えるのよね……。
仕方ない、ここはひとまず理由は後回し。
即急に魔理沙の機嫌を取り戻す手立てを考える必要が有りそう。
「……じゃあどうしてアリスはこんな下らない話に付き合ってくれるんだ?」
そう言ってじっと魔理沙に瞳を覗かれると、悩み始めていた脳が一気に思考を停止させてしまう。
魔理沙の綺麗な瞳が、鼻が、口が、すぐ目の前にあった。
どうして?
そんなの、こんな綺麗な顔を近くで見ていたいからに決まっているじゃない。
「……貴女が話してくれるからよ、魔理沙。」
気が付けば魔理沙に話しかける私がいた。
それも癇癪を起こした子供を宥めるような猫なで声で。
彼女が帽子を被っていなければ頭だって撫でていたかもしない。
「私が……?」
「貴女の話す事なら何だって聞きたいわ。」
理解できないって顔をする魔理沙に間髪居れず私は言葉を紡ぐ。
だけど本当のところは、そんなこと考えた事もなかった。
ただ何時の間にか魔理沙の近くで、魔理沙の話を聞くようになっていた……それだけのこと。
特に意識してやっていた事では無いから、そこに理由なんてない。
「…………ホント?」
不思議そうに目をパチパチとさせる魔理沙に、「勿論。」と私は頷いて見せた。
きっとこれが私の本音なんだろう……なんの確証もないけど多分そう。
「それに貴女の話を下らないと感じたことなんて一度も無いわ。」
加えて言えば、貴女と居てつまらないと感じた事など一度も無い。
魔理沙ほど私の興味を引く他人もいないと言っていい。
それにこれだけは断言できる。
私は、私が望んだから魔理沙の傍に居る。
「へへへっ……そっか。アリスって、どっか変わってるよな。」
なんか馬鹿にされてるような言い方だけど、魔理沙の機嫌が急速に回復したのは見るからに明らかだ。
理由はどうあれ、笑顔を取り戻してくれた魔理沙に私はほっと安堵する。
だから別に気にしない。だから憎めない。
──ホント、良く分からないわ。
結局、機嫌を損ねた理由も、機嫌を取り戻してくれた理由さえも分からないままだ。
それは魔理沙の言うとおり、私が変わっているから分からないのかしら?
「なぁ! 偶にはアリスの話を聞かせてくれよ!」
まだ考えてた私と違って、魔理沙はもう別の事を思い付いたよう。
この切り替えの早さには時折おいていかれそうになる。
「急にそんなこと言われてもね……。」
話の種なんて何も用意していないから困ってしまった。
何時も聞く側だったし、それに私の話なんて聞いても詰らないと思うのだけど。
「何だって良いんだよ。な!?」
「そうねぇ……。」
だけど強くお願いされると、どうも断れない。
詰まるところ何だって良いのだから。
魔理沙の笑顔が見られるのなら、それで。
これはひょっとして……恋、なのかしら。
そうかもしれないし……違うのかもしれない。
恋人より、妹かな──
私の話を、今か今かと待ちわびる可愛い妹を前に、何となく私はそんな事を思うのだった。
いいクーデレであり
良い姉であり
変態であり
幽香の婿です
魔理沙は咲夜の嫁
つまりこのSSの事だー!
神綺に甘えたいけど、もうそんな歳じゃないし……あぁでも……うぅ~!
……な感じのつんでれっ娘。
魔理沙は霖之助の妹。
何かやっているのを温かい目で見てこっそりとフォローしてるといった。
でも「犬と下僕の会」のマリアリのようなドタバタコンビというのも大好きです。
いやしかしツンデレも。とにかくアリスは可愛い!
アリスはちょっと天然入ったお姉さん的な存在だったらいいと思う。
お互いが恋人+姉妹の二つを行ったり来たりするような関係ならもっといいと思う