空は憎々しいほどに澄み渡り、頭上には我が物顔でどでんと居座る太陽。
夏、である。
どうしようもないほどに。
「毎年の事とは言え、辛いぜ…」
ぶちぶち文句を垂れながら空を駆けるは白黒の魔女。
色々と破天荒な彼女ではあるが、弾幕ごっこでもないのにコールドインフェルノをぶちかますのは気が引ける、という程度の分別くらいは持ち合わせている。
「まったく… せめて私が出かける時くらいは曇ってて欲しいもんだが」
せめてもの気休めにと、少しスピードを上げる。
乾いた空気が肌に痛い。
髪もそれなりに痛んでいるだろう。
乙女には由々しき季節、夏。
目的地が見えてきた。
麓の神社こと博麗神社。
取り囲む森が爽やかな風を送ってくれるはずだ。
ささやかな期待をささやかな胸に秘め、彼女は社務所の前に降り立つ。
が。
あいにくと風はあまり吹いていない。
遥か上空からは強烈な陽射し。
これ以上外にいるのはたまらんと、戸を開けた───。
「…なんだ、これ?」
目の前の光景を信じる事ができなかった。
そう。
信じられなかった。
ありえない。
この状況を理解できる知識など今の自分には、ない。
これはあまりに非常識だろう。
彼女は思う。
そうだ。
ここは幻想郷。
いつだったか、スキマ妖怪がこう言っていた。
「幻想郷は全てを受け入れます。 それはそれは残酷な事ですわ」と。
しかし。
「何… してんだ、お前ら…?」
やっとの思いで声を絞り出す。
喉はカラカラ。
吸い込む息が、痛い。
この炎天下に決して近くはない距離を飛んできた。
そしてやっと涼めるという期待を持って、入った。
そこに“これ”だ。
目の前には、自らの常識を微塵も残らないほどに打ち砕くものがあった。
夏。
夏。
夏。
そうだ。
夏、のはず、だ。
だって外はこんなに暑いじゃないか。
太陽が自らを称えるかのように光をふりまいているのに。
おかしいじゃないか。
体が震えているのはきっと“未知”による恐怖。
そうだ。
そう思いこまなければ、自分はきっと耐えられなく───なる。
「何のつもりだ───お前ら」
「あら、見つかっちゃった」
「ねーねー、れいむぅ、早くぅ♪」
目の前の異様な光景。
頭がぐるぐるする。
「なんで…」
感情が、爆発する。
「なんで炬燵ん中でアイス喰ってんだぁああああ!」
霊夢とチルノの表情は、とてもとても涼しげで───。
「せっかくだからあんたも食べる?」
「うん」
どっとはらい。
夏、である。
どうしようもないほどに。
「毎年の事とは言え、辛いぜ…」
ぶちぶち文句を垂れながら空を駆けるは白黒の魔女。
色々と破天荒な彼女ではあるが、弾幕ごっこでもないのにコールドインフェルノをぶちかますのは気が引ける、という程度の分別くらいは持ち合わせている。
「まったく… せめて私が出かける時くらいは曇ってて欲しいもんだが」
せめてもの気休めにと、少しスピードを上げる。
乾いた空気が肌に痛い。
髪もそれなりに痛んでいるだろう。
乙女には由々しき季節、夏。
目的地が見えてきた。
麓の神社こと博麗神社。
取り囲む森が爽やかな風を送ってくれるはずだ。
ささやかな期待をささやかな胸に秘め、彼女は社務所の前に降り立つ。
が。
あいにくと風はあまり吹いていない。
遥か上空からは強烈な陽射し。
これ以上外にいるのはたまらんと、戸を開けた───。
「…なんだ、これ?」
目の前の光景を信じる事ができなかった。
そう。
信じられなかった。
ありえない。
この状況を理解できる知識など今の自分には、ない。
これはあまりに非常識だろう。
彼女は思う。
そうだ。
ここは幻想郷。
いつだったか、スキマ妖怪がこう言っていた。
「幻想郷は全てを受け入れます。 それはそれは残酷な事ですわ」と。
しかし。
「何… してんだ、お前ら…?」
やっとの思いで声を絞り出す。
喉はカラカラ。
吸い込む息が、痛い。
この炎天下に決して近くはない距離を飛んできた。
そしてやっと涼めるという期待を持って、入った。
そこに“これ”だ。
目の前には、自らの常識を微塵も残らないほどに打ち砕くものがあった。
夏。
夏。
夏。
そうだ。
夏、のはず、だ。
だって外はこんなに暑いじゃないか。
太陽が自らを称えるかのように光をふりまいているのに。
おかしいじゃないか。
体が震えているのはきっと“未知”による恐怖。
そうだ。
そう思いこまなければ、自分はきっと耐えられなく───なる。
「何のつもりだ───お前ら」
「あら、見つかっちゃった」
「ねーねー、れいむぅ、早くぅ♪」
目の前の異様な光景。
頭がぐるぐるする。
「なんで…」
感情が、爆発する。
「なんで炬燵ん中でアイス喰ってんだぁああああ!」
霊夢とチルノの表情は、とてもとても涼しげで───。
「せっかくだからあんたも食べる?」
「うん」
どっとはらい。