Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

聖を人里に連れ出そう!(前編)

2010/08/14 22:58:01
最終更新
サイズ
8.69KB
ページ数
1

分類タグ


やぁ、私はナズーリンだ。
ネズミの妖怪であり、毘沙門天代理であるご主人『寅丸星』の部下兼監視役、かつ飛行型変形幽霊船『聖輦船』のメンバーでもあり、そして人里に建つ『命蓮寺』の雑用などもこなしている。

つまり、私はダウザーなのである。
肩書きが多いので鬱陶しいかもしれないが、事実なので勘弁願いたい。

で、寺の業務も終わり、夜。
寺のメンバーが揃って夕飯の最中である。
この時、一番喋るのはムラサ船長とぬえである。
彼女らは、寺のメンバー中でも特に色んな所に足を運んでいる。
私も色んなところを出歩いているわけだが、ダウザーの仕事としての方が多い。
ご主人様と聖は寺の参拝者に対して説法をしたりしなくてはいけないし、一輪もその手伝いをしている。
なので、その日の話題に富んでいるのは必然的に船長とぬえなのである。
2人の話を楽しそうに聞く聖。
・・・。
で、思ったわけである。
参拝客が訪れるということで忙しい命蓮寺とはいえ、流石に暇をとる時間はある。
一輪もよく人里に繰り出すし、ご主人も偶に私が出かけるときに付いて来る。
だが。
よくよく考えると、聖が私用で出かけるところを見た事がない。
布教のために人里に赴くことはある。
だが、外に出かけて買い物をしたり食事をしたりなどと、遊んでいるところを見た事が無い。
ただ、夕飯の時などに皆の話を聞いているだけ。
これは、なんというか、あまり宜しくないような気がする。
ただでさえ、他の二次創s・・・げふんげふん。
ただでさえ、巷で聖のことを『おばあちゃん』扱いする輩がいるのである。
きっと、聖のこういった物腰から、そういう風にイメージをつけるのかもしれない。
確かに聖職者であり、寺の代表の1人でもある聖が頻繁に遊びに行くのは体裁的にもアレかもしれないが、こうあまりにもある意味禁欲的な生活を続けるのは考え物である。
ただでさえ、永い時間封印されていた身なんだ。
偶にくらい、羽を伸ばしてもバチは当たりまい。
だが、「じゃあ、遊んでくれば?」と言った所で、多分行かないし、そもそも一人では何をすればいいのか迷うような気がするし。
・・・。
・・。
よし。
夕飯後、試しに言ってみるか。



夕飯終了。
各自が部屋に戻ったのを見計らって、私は聖の部屋へと向かう。
そして、聖の部屋の前に着いた私は。
「聖。ちょっといいかな?ナズーリンだが、少し話したいことがあってね。」
そう問いかける。
「あら、ナズちゃん。貴方から私の部屋を訪ねるなんて珍しいわね。どうぞ、お入りなさい。」
それでは失礼して。
襖を開け、中へと入る。
聖に促され、目の前に座る。
「どうしたの、こんな夜更けに?何か相談事?」
そう、穏やかに話しかける聖。
「いや、そうじゃないんだ。提案、と言うには少し変かな?」
そう言って、改めて聖と向き合い、こう切り出す。
「聖。明日は寺の業務はないだろう?なら、私と一緒に出掛けないかい?」
それを聞いた聖は、きょとんとした顔になって。
「あらあら。もしかしてナズちゃんが布教の手伝いをしt「いやいや、そうじゃないんだ。」」
ある程度予想していた返答を遮り、改めて話しかける。
「寺の業務とか、そんなんじゃなくてね。えーっと・・・。あ、そうそう。明日、私は久しぶりに人里に買い物に行くことにしたんだ。色々見て回りたくてね。そこでなんだが、よかったら一緒についてきてくれないか?一人で出掛けるっていうのも味気がなくてね。」
いきなり遊びに行こうと言うより、こういう言い回しのほうがいいだろう。
私が一人じゃつまらない。
そういうことにしとけ。
「・・・。」
ん?
聖から反応が無い。
なんかボーっとした感じで焦点の定まってない目で前を見ている。
「おーい、聖?」
私が呼びかけると、はっとしたように意識を取り戻し。
「えぇ!一緒に行きましょう!!」



明日の予定を簡単に話し、聖の部屋を後にする。
ふむ。
思った以上に喜んでくれた。
やはり、聖も船長やぬえの話を聞いていて少しは出掛けてみたいと思っていたんじゃないか?
なら、私の誘いは良かったんではないだろうか。
ともかく、聖を連れ出すことには成功したみたいだ。
とりあえず、聖が明日寺を空けることをご主人様に話しておかなくてはな。


「・・・と、言うわけなんだ、ご主人様。そういうわけで、明日は聖を連れ出そうと・・・?」
私が経緯を話して、了解を得ようとしていたのだが。
なんか、話の途中からご主人様の様子がおかしい。
視線は定まっておらず、口をポカーンと開けて、まさに放心状態だ。
「お、おいご主人様、私の話を聞いt「な、なんでですか!!?」うおっ!?」
いきなり覚醒したご主人様は、何か信じられないといったように叫び始める。
「いつもは・・・、いつもはナズーリンが出掛けるときに一緒についていくのは私じゃありませんでしたか!?な、なんでここにきて聖と一緒に行くなんて言い始めr「いや、だからご主人様、普段の聖がですn」わ、私は貴方の上司ですよ!?如何なるときも共に行動してきたじゃないですk「いや、偶には他のメンバーと出掛けることもあr」なんでですか!なんでナズーリンは私を誘ってくれなかったんですか!?普段から、偶にしか無い私と貴方の休日をどれだけ楽しみにしているのか!貴方だって分かっているh「いや、そんな話初めて聞いたぞ?それに前の休暇の時も私は一輪t」嫌です!私は明日の休日にナズーリンについて行くことをどれだけ楽しみにしていたと思っているんですか!?そんなささやかな幸せを奪われるなんて、私は何のために毘沙門天代理をやっていr「ちょっと落ち着けーーーーー!?」」
ともかく、一旦話を中断する。
いやいや、ご主人?
貴方は私と出掛けるのと毘沙門天代理の仕事、どっちが大切なんだい?
慕われているのは素直に嬉しいが、それとこれとは話が別だ。
少し暴走気味の寅を落ち着かせる。
「あのね、ご主人様?偶には聖を外に出掛けさせて、遊ばしてあげたいとは思わないか?さっき誘った時だって、聖は喜んでいたぞ。つまり、聖だってやっぱしa「よ、喜んでいた!?聖は、貴方とのデートを喜んでいたというのですk」ちょっと待てぇーーー!?」
なにを言っているんだこの寅は?
ただ買い物に連れ出すだけだ。
偶には遊ばしてあげたいだけだ。
別にデートだなんて私も聖も思っちゃいない。
色々とテンパってる寅を再度落ち着かせるために、私は切り出す。
「貴方だってあんなに聖をずっと慕っていたじゃないか。そんな聖がちょっとした娯楽さえ体験してないということを貴方だって快くは思ってないだろ?だから、こうして実行しようとしていr「じゃあ、ナズーリンじゃなくていいじゃないですか!?一輪だって、ムラサだって、ぬえだって聖のことを慕ってるじゃないですか!特にムラサやぬえは普段から色々聖に話しているじゃないですか!だったら、あの2人に任せたほうがいいんじゃないですか!?それで明日は私とナズーリンで一緒に出掛けm「いや!だから!私が思いついた案を他の者に押し付けるわけにはいかんだろう!?ご主人様とは、今度一緒に出掛けようじゃないか。ちゃんと約s・・・。あ、そういや今度の休みは壊れた調理器具を買いに行こうって船長g「うわーーーーん!!聖の次はムラサですかぁ!?ナズーリンは私のことが嫌i「んなこと言ってないだろうが!落ち着けや!?」」
はぁっ・・・、はぁっ・・。
全く、普段のご主人様は仕事もちゃんとしているし、説法の時だって凛々しくしているというのに。なんでこう時々暴走したりするんだ?

確かに、私はご主人様と一番長い時を過ごしてきた。
だが、それは監視対象という意味もあった。
最初は任務に忠実だった私も、ご主人様と過ごすうちに僅かながら罪悪感のようなものが芽生えた。
口には出せないが、正直なところ毘沙門天様よりご主人様の方に情が移ったといってもいいだろう。
それは、聖が復活して、皆とまた過ごすことができるようになってからもそうだ。
皆いいやつだ。
私だって、これから先も皆と過ごしていきたい。
だが。
時々、私だけが皆と違う、といったような疎外感を感じる。
だが、それは仕方ないと思う。
私が長い間そう感じてしまうような生活を送っていたのだ。
自業自得。
私はそう思っている。
だからといって、いつまでも後ろ向きな人生は性に合わない。
今、私が皆と一緒に過ごしているという事実は変わらない。
なら、自己嫌悪に陥るよりも、何か皆のために行動したほうが良いに決まっている。
それが、ただの自己満足だとしても。
だからこそ、ご主人様に、そして命蓮寺の皆のために少しはできることがあるのなら、やったほうがいい。
今回の案は、ただ、そういった気持ちからきたに過ぎない。

だというのに、この寅は。

「じゃ、じゃあ、ナズーリン。私と聖、3人で一緒に出掛けましょう!そうすれば貴方の考え通りにも行きますし、私とも一緒にいられます!2人っきりじゃないというのが残念ですが、ここは割り切っt「少しは自重しろやぁぁぁぁあ!!!」おぶぅっ!?」
ご主人様が言い終わらないうちに、私の背後から寅に向かってハイキックをかます人影。
私がそのほうに向くと・・・。
「・・・一輪?」
「あら、こんばんわナズーリン。騒々しい夜ね。」
そこにいたのは一輪だった。
てか、いつからそこにいた?
「いやはや、騒がしくしてしまったのは申し訳ない。いや、私のせいではない気がするが。また突然現れたね。部屋の外で聞いていたのかい?」
「まぁ、途中からね。まったく、仕事中はしっかりしているというのに・・・。」
そうため息をつきながら崩れ落ちた寅を一瞥して話す一輪。
「それより・・・。」
なんかにこやかに私の顔を覗き込んで喋る一輪。
「何?姐さんとデート?うらやましいわねぇ~。」
このこの、と肘を入れながら話しかける。
「まさか。私がデートの誘いだなんて柄でもないことは分かっているだろ?」
「まぁね。アンタ、結構ドライな性格してるもんね。」
そう言って、部屋を出ようとする一輪。
「明日は楽しんでいらっしゃい。くれぐれも、姐さんを退屈させないことね。まぁ、ちょっと暴走気味のご主人様は私に任せておきなさい。」
じゃあ、おやすみ。
そう言って去っていく一輪。
そうだな。
明日は朝から出掛ける予定にしている。
私も早く部屋に戻って明日に備えるか。
そういって、立ち上がる。
・・・。
・・。
とりあえず、布団には入れておくか。
私は、今だ気を失っているご主人様を布団に押し込み、部屋を出る。
さて、聖と出掛けるのは初めてだな。
一輪の言うとおり、聖を退屈させないように頑張りますか。
そう考えた私は、大きく伸びをした後、部屋に戻った。
ナズーリンが大好きで、カップリングとしてはナズ星が好みなんですが、聖との掛け合いを題材にした投稿が少ないような気がしたので、今回はナズと聖がお出掛けするという話にしました。

ある程度間隔を空けながらゆっくり投稿していこうと思います。
私の作品を見てくださってる方も、どうぞごゆるりと・・・。



※追記
すいません!改めてみてみると、誤字が多いですね。気付いた範囲だけ修正しておきました。
エクシア
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
星は少し落ち着けwwwww
2.名前が無い程度の能力削除
星は少々トチ狂っているくらいがちょうどいい