「じゃあ、新しい名前を決めなくてはね」
もう何年も誰も住んでいないような廃屋。たった一本しかない蝋燭の揺れる橙に照らされた、黒髪の姫君は密やかに微笑む。
暗がりの中でもぼんやりと浮かび上がる白い手がそっと伸ばされて、××の長い銀髪に触れる。戦いの後、洗う暇があったわけでもない。こびりついた泥やなにかが、乾いてぱりぱりとこびりついているのにも関わらず、なんのためらいもなく。
××は穢れのない姫君がそれに触れるのを嫌って、びくりと身体を震わせた。
「姫様、触ってはいけません。汚れてしまいますよ」
「あら、平気よ。私はもう地上の存在なのだもの」
「ですが……」
「私のために汚れてしまったんでしょう? ××」
ためらう××にやわらかく微笑みかけながら、姫君は膝立ちになって、××の頭に腕を回す。そっと壊れものを扱うように、丁寧に丁寧に、××を抱いた。
「あなたは私のたからものなんだから」
「姫様」
「ああ、そうだわ」
一度抱く手をほどいて、その場に正座をする。××の頬を両手で挟み込むようにしてふれた姫君はその不思議な深い色の瞳で、××のそれをまっすぐに見つめて、囁いた。
「永遠に美しい私の宝物」
「あなたの名前は、永琳。八意永琳よ」
「夢……?」
ぱちっと目を開いた輝夜は、ぼんやりとした顔で天井を眺める。
もう千年近く見慣れた永遠亭の木の目模様の天井ではなくて、繊細な花をモチーフにした装飾に彩られた天井。もう、ここにきて三日になるというのに未だに慣れない。
まだまだ起きるのは億劫だ。ぼんやりと美しい模様を数えていたいのは山々だけれど。
今しがたまで頭を埋めていた枕も水鳥の羽を詰め込んだふわふわの枕だ。
輝夜が普段使っているのはそば殻の固い枕であって、こんなにも柔らかいとよく寝付けない。だからこそ、懐かしい夢を見たのだろう、とあたりをつけて、身体を起こして、伸びをした。
生来の髪質か、寝癖ひとつつかない黒髪を無造作に手で梳きながら、白襦袢を脱ぎ捨てる。
いつもながら夏には向かない重厚なデザインの十二単を西洋風にアレンジしたような服を身にまとっていく。普段ならば、着替えるのを手伝ってくれる誰かがいるのだけれど、ここではそういうわけにもいかない。いつもの二倍、時間をかけて、着替えをすませていく。
ようやく最後に靴下をはいて、ひと心地ついたところで。こんこん、と控えめなノックの音。
「輝夜ー? 起きてる?」
「ええ」
輝夜が答えれば、がちゃり、と音を立ててドアが開く。そこから顔を出したのは、ふわふわとした金髪の愛らしい人形のような少女、アリス・マーガトロイドだった。
行くあてもなく困っていた輝夜を家に招き入れてくれたアリスは、当然この家の主だ。
「朝食の支度ができたから、呼びに来たわ」
「今日はなあに? アリスの作るご飯は珍しくって好きよ」
「珍しいは褒め言葉なのかしら」
永遠亭は純和食。アリスの作るトーストだの、チーズオムレツだのといった西洋風の朝食は輝夜にとっては珍しくてしかたがない。
毎回毎回、大喜びをする輝夜を見ていれば、アリスとしても気合が入る。今日はちょっと趣を変えて、クロワッサンなんか焼いてみたりして。
二人揃って、客室のドアをくぐって廊下に出れば、焼き立てのパンとバターの香ばしい香りに満ちていた。
「オレンジジュースとミルク、どっちがいい? あ、紅茶もあるわよ」
「そうねえ」
ダイニングへと向かう道すがら、アリスと他愛もない話をする。
そうしているうちに、今朝見た夢のことなんてすっかり忘れて、輝夜は一日の始まりを迎えたのだった。
輝夜は今、家出中だ。
否、家出とは少し違うかもしれない。永琳や鈴仙にもきちんと行先は告げてあるし、仲違いをして飛び出してきたわけでもない。もちろん、用事があれば永遠亭に取りに帰る。原因となった出来事が解決すれば、すぐにでも帰るつもりではある。
今だけは、輝夜は永遠亭にいるわけにはいかないのだ。
今、月からお客様が来ているから。月の使者、綿月豊姫と綿月依姫。
彼女たちは今回はプライベートで地上を訪れたのであるから、危険はない。そうでなくたって、輝夜と永琳を連れ戻そうとしていないということも分かっている。
それに、豊姫、依姫とは月にいた頃、永琳を通じて、何度か顔を合わせたこともある。信頼できる存在だ。
けれど、だからこそ。
輝夜は永遠亭にいるわけにはいかないのだ。
「八意様!」
「またお会いできてうれしいです」
地上について、永琳の姿を見るやいなや、姉妹は感極まった様子で、抱きついた。
普段の冷静さはどこへやら、喜びとその他もろもろの感情を顔いっぱいに表して、瞳の端にきらりと光ったのは涙。
二人の突進を受けた永琳も、最初は驚いて目を白黒させていたけれど。やがて優しく、温かく、微笑んで、そっと二人の頭を抱きしめた。
それはそれは美しい光景だった。しかたないなあ、という笑顔の永琳に、小さな子供のようにすがる綿月姉妹。
輝夜は。それを永琳の斜め後ろから、ただただ、眺めていることしかできなかった。
やや興奮が収まって、落ち着いた姉妹が語ったところによると。
つい先日の八雲紫やレミリア・スカーレットが月に接触した件で、永琳は何百年ぶりかで姉妹に宛てて手紙を書いた。それがきっかけで、二人の『八意様』に会いたい気持ちは膨らみに膨らみ。ついにこうして、手まわしをして永遠亭を訪れるに至ったのだという。
口々に永琳が月を去ってから起こったことを語る綿月姉妹。それはまるで子供が母親に一日の出来事を報告するような、あどけなさを感じさせた。
それを見ていた輝夜はなんとなく、自分がそこにいるべきではないような気がして。
静かにその場を立ち去ったのだった。
蓬莱の薬を飲んだことを後悔したことはない。
地上で得た思い出は大切な宝物。月にいた頃よりもずっと充実した時間を生きている、と思う。最近では、自分を見つめ直すこともできた。
未だやるべきことは見つからないけれど。それでも毎日が大好きで、幸せだ、と輝夜は思う。
けれど、自分はそれでいいとしても。罪悪感はずっといつまでもつきまとって、離れない。迎に来た月の使者たちの命、妹紅の死、それから永琳の未来を奪い、輝夜は生きている。決して忘れてはいけない。どんなに重くてもそれを背負い続けなければならない。
だからこそ、輝夜は罪深い存在なのだけれど。
綿月姉妹からは頼りになる師を奪ってしまった。あの二人がどんなにか永琳のことを好いて、頼りにしていたかはよく知っている。
そんな二人には何も分けてあげないまま、輝夜は永琳を一人占めにし続けている。
件の竹取物語の頃、永琳と引き離された輝夜には、それがどんなにか淋しいことか分かる。きっとあの時、二人は永琳がいなくなってとても辛い思いをしたんだろう、と思う。
穢れのない純粋な月人である姉妹がそのことをいつまでも引きずっていないことはあった時の反応からもすぐ分かった。
だけれど、申し訳なくて。輝夜は自分にできることを考えた。
せめてこの滞在の間だけでも、師弟水いらずの時を過ごせるように。
一時的に永遠亭を離れる、ということだった。輝夜がいれば、永琳は輝夜ばかり気にしてしまうだろうから。
「ずっと前から、幻想郷を見て回りたかったのよ」
「それなら、私が一緒にいるときでいいでしょう」
「いやよ、永琳がいたらのびのびできないじゃない」
「輝夜」
「もう子供じゃないんだもの、たまには一人で、ね?」
そうして、過保護に心配する永琳や鈴仙をあしらって、軽い調子で永遠亭を出てきたのが三日前。妹紅か、神社か、あるいは野宿なんていうのも楽しいかもしれないと考えていたら、偶然出くわしたアリスの家に転がりこむことになったのだった。
「とってもおいしいわ、アリス」
「そう? それなら良かった」
チョコレートクリームを塗ったクロワッサンをひとつ食べ終えて、満面の笑みを浮かべる輝夜。両手を胸の前で合わせるお決まりの仕草で、小首を傾げる。
銀色のスプーンでミルクと砂糖を入れた紅茶をかきまわしていたアリスは、僅かに頬を赤らめて返事を返す。普段、アリスのまわりにはひねくれているというか、人を褒めることのほとんどないような人ばかりが集まっているため、こんな風に素直に褒められるのには慣れなくて、照れてしまう。
「今日は図書館に本を返しに行く予定だけど、輝夜はどうするの?」
「そうねえ」
「なんだったら、一緒に来る?」
本もあるし、レミリアも歓迎してくれると思うけど、と続けて、輝夜の表情を窺う。輝夜は、んー、と悩むような素振りで、人差し指を頬に当てた。けれど、すぐに少し申し訳なさそうな笑顔を見せる。
「紅魔館には一昨日行ったばかりだもの。今日は別のところにするわ」
「そう?」
「できるだけ、いろいろなものを見たいの」
そういってはにかむ輝夜を見ながら、アリスは少しだけ心配そうに微笑む。
アリスの家に滞在するようになってから、輝夜はそれまでほとんど永遠亭から出てこなかったのが嘘のように、幻想郷中を飛び回っていた。近くは魔理沙の家、アリスと共に紅魔館、それから他にも妖怪の山やら命蓮寺やら、あちこちに顔を出している。
普段は永琳が取り仕切っているとはいえ、永遠亭の主は輝夜だ。普段姿を現さない分、その行動はよく目立っていた。昨日、文に会ったというから、今日の新聞のメイントピックスはこの件だろう。
輝夜は、月人で蓬莱人、幻想郷でも有数の実力者の一人である。滅多なことはないと思うけれど、いかんせん世間知らずでふわふわとしたところがある輝夜は、見ていて何となく危なっかしい。だからこそ、永琳も目を離せないんだろうなあ、とアリスは思う。
「アリス?」
「あ、ううん、なんでもないわ」
相手はずっと年上だというのにも関わらず、なんとなく妹や娘を見守るような気持ちになっていたアリスに、訝しげに首を傾げる。慌てて首を横に降ったアリスは、指をくいっとさりげなく動かした。
「上海」
「いつ見てもすごいわねぇ」
そうして飛んでくるのは上海人形と他にも多くの人形たち。すっかり食べ終えた朝食のお皿をキッチンへと運んでいく。そうすれば、輝夜は子供のように手を叩いて、喜んでそれを見送る。
誤魔化せたことに安堵しながら、この単純さがかえって心配になるアリスだった。
「八意様」
机に肘をついて、ぼんやりとため息をついていた永琳は背後からかけられた声で我に返った。ぼーっとしていたことを誤魔化すように、こほん、と一つ咳ばらい。回転椅子をぐるりと動かして、振り返る。
「豊姫? どうかしたかしら?」
「いいえー」
そこに立っていたのは、豊姫だった。後で手を組んで、いつも通りの緩い笑みを浮かべている。そうしているとただのおっとりしたお嬢さんにしか見えないのだけれど。
だが、永琳は豊姫の師だ。見た目に騙されてはいけないことはよく知っている。永琳仕込みの策士であって、輝夜並みにとらえどころのない性格。永琳でさえ、何を考えているか把握できないところがある。
だからこそ、突然部屋に現れた豊姫に、ついつい訝しげな視線を向けてしまう。そういうところも含めて、可愛い弟子なのだけれど。
「依姫は兎達と訓練に励んでいますし、その間に私は八意様とお話したいと思いまして」
「そう。ああ、その椅子使っていいわよ」
「はーい」
普段、患者がやって来た時に使う丸椅子を指し示す。いそいそと永琳の近くへ運んでくる豊姫は、落ち込んでいる永琳とは反対に、歌でも歌いだしそうなほどに楽しそうな様子だった。
「ここが今の八意様の仕事場ですか」
「相変わらずねえ、あなたは」
椅子に腰かけて、どこから連れてきたのか、未だ人型に慣れない子兎を膝の上に乗せた豊姫を見て、永琳は苦笑する。永琳が未だ月にいた時分から、この弟子はマイペースだ。講義の最中に、突然桃が食べたくなりました、なんて真顔で申告してきたことを思い出して、笑ってしまう。
あの時は結局、真面目な依姫まで食べたいなあ、という表情を隠せずにいたために、永琳も一緒になって桃を食べたような覚えがある。
このあたりの強引さ、自然と自分の意見を押し通してしまう力は、どこか輝夜に通じるものがある。
「ウドンゲ、お茶でも……って」
「あの子は今、訓練の最中では?」
「そうだったわね」
鈴仙にお茶を頼もうとして、今は不在であることを思い出す。少し前のストライキ事件の時から思っていたことではあるけれど、彼女がいないと色々と不便だ。
頼りない臆病な弟子だと思っていたけれど、いつの間にか永遠亭に欠かせない存在になっている。それはなんとなく、好ましい。
「それにしても、依姫も相変わらずなのね」
「ふふ、依姫はあの子のことを随分気に入っていましたから」
狂気の瞳という素質を持ち、臆病さゆえか他のどの兎よりも真面目に訓練に取り組んでいた鈴仙を依姫はとても気に入っていた。顔には出さなかったけれど、鈴仙がいなくなってしまった時の落ち込みようは半端なものではなかった、と豊姫は微笑む。
だからこそ、きっと、今頃は生き生きとした表情で、二匹をしごいているだろうと、永琳も笑う。
「……ね、八意様」
それから、鈴仙や依姫の話をいくらか続けた頃。不意に何かを秘めたような笑顔をした依姫が、そっと永琳を呼ぶ。
「先ほど考えていたのは、輝夜様のことですか?」
「……」
「ふふ、なんだかんだで八意様もお変わりありませんね」
「そうかしら?」
意図を探るように、眉をひそめて首を傾げる永琳に、ほんの少し淋しさを滲ませた笑みを浮かべた豊姫はこっくりと頷く。
淡い色をした柔らかな髪を揺らして、もう敵わないなあ、と言わんばかりに微笑んで。
豊姫は静かに、言葉を紡ぎだす。
「相変わらず、輝夜様が大切でしかたないんでしょう?」
先ほどの表情、輝夜様が地上に行ってしまった時の八意様と同じでしたから。あの方がいらっしゃらなくて、心ここにあらず、というか。
淋しくてしかたがないって、顔に書いてありますよ?
あの時、八意様からお手紙をいただいて、私たち、期待したんです。八意様が帰ってきてきてくださるんじゃないかって。今回の訪問だって、そうです。直接会ってお話したら、もしかして、帰ってきてくれるんじゃないか、なんて思っていました。
……本当は帰ってきてくださいと、お願いするつもりでした。
だって、千年ぶりに八意様が手紙をくださったんですもの。私たちのことをちゃんと覚えていてくださったことに、どれだけ胸が熱くなったことか。
でも、実際に来てみて、ああ、無理だなって。
八意様は帰ってこないって分かってしまいました。八意様と輝夜様、それからあの子と、可愛い兎達。どうしようもないくらいに、ここにあることが自然に見えましたから。
ふふ、こう言ってはなんですけど、八意様は前よりも優しくなられましたね。
こうして、私のことを甘やかしてくれるんですもの。
それに、あの子もずいぶん、しっかりしていて、驚きました。
のびのびとしていて、楽しそうで。今のあの子なら、逃げることをしなかったかもしれませんね。
……輝夜様は一晩しかいらっしゃいませんでしたけど、随分慕われているということは、兎達の言いっぷりからよく分かりました。
八意様は、少なくとも今は、月には戻ってきてくださらない。
地上に住む、生きる、死ぬ、それだけで罪となります。けれど、それは八意様にとって、それが一番いいことなのでしょう。
八意様が間違ったことをするはずがないって、私たちは信じていますから。
「とはいえ、帰ってきてくださるなら、大歓迎ですけどね」
そういって、にぱっと笑って、少し冗談めかして、豊姫は言葉を締めくくった。
黙って豊姫の話に耳を傾けていた永琳と二人、目を合わせて笑う。一度会った瞳は、お互いに言葉よりも雄弁に語りあった。
豊姫の指摘の通り、永琳はこの数日、ずっと輝夜のことが気がかりで仕方がない。
もちろん、久しぶりに会う弟子との語らいや、成長を眺めることは、懐かしさと喜びを感じさせた。永琳が地上に発ってからの働き、そしてつい先日の一件。二人を褒め、ねぎらうことが出来て、本当に良かったと思う。
その意味ではらしくもなく空気を読んで、外出してくれた輝夜に対して、感謝している。
けれど、地上に来てからこんなにも長いこと離れて過ごすのは、初めてで。
いつでも目の届くところに置いておきたい。この永遠亭から出ないで、ずっと自分の傍にさえいればいいと思っている。顔を見なければ、安心できない。
そんなことは決してないとは分かっている。頭では分かっているのだけれど。
どうにもとらえどころのない輝夜は、ちゃんと捕まえていなければ、するりと気付かないうちに、永琳の手の届かない所に行ってしまう気がする。
けれど、それとは関係なしに。永琳は輝夜を愛しているから。
「私は帰らないわ」
しばしの沈黙を経て、永琳ははっきりとした声音でそう言った。
「輝夜がそれを望まない限りね」
輝夜のいるところが、永琳の居るべき場所。
輝夜の望みを叶えることが、永琳のするべきこと。
月を離れ、地上で生きることを決めたあの日、再会した輝夜から名前をもらったあの日から、永琳にとって、それが生きる理由となったのだから。
「ふふっ」
清々しい表情で言う永琳に、思わずくすりと豊姫は笑みをこぼす。月にいた頃から、彼女はそうだった。いつでも輝夜しか見えていない。
特に輝夜が蓬莱の薬を飲んで、拘束された頃、地上送りにされた頃は、はたから見ても分かるほどに、ひどい状態だった。
仕事はいつも以上に真剣にこなしていたし、表面上はいつも通り。けれど、纏う空気は、尋常ではなかった。その迫力に誰もがそばに寄るのをためらってしまうほど。
そんな永琳を一番そばで見つめていたのが、豊姫と依姫だった。輝夜ほどではないにせよ、弟子である二人はある程度永琳の私的な側面と触れる機会もあったから。
何かに苦悩する姿も、擦りきれてしまったような笑顔も忘れることはできない。
だからこそ、この地上での当たり前のように笑っている姿を見て、思うのだ。
永琳には輝夜がいなければならないのだ、と。
「八意様は、輝夜様がいないとわりと駄目ですね」
笑顔で冗談めかして告げたその言葉。永琳は一瞬虚を突かれたように目を見開く。珍しくもうろたえたような師の姿に、豊姫はくすくすと笑う。
少しばかりの敗北感と、僅かに感じる寂寥感を覆い隠して、豊姫は言う
「ね、八意様」
「なにかしら?」
いつにもまして優しげな笑みを浮かべる永琳は、大人びた言い方で問い返す。わざとらしいほどの余裕ぶりは、動揺を見せたがらない永琳の癖。
そんなところは変わっていないな、と少し嬉しくなる。そうして、それを見抜けるようになった自分も、少しは永琳に近づけているような気がして。
「また、会いに来てもいいですか?」
「ええ、いつでも」
月に帰ってきてくれなくても、いつでもというわけにはいかないかもしれないけれど。
会おうと思えば、いつでも会える。
今はそれだけで我慢できるような気がした。
「ふう、遅くなっちゃったわね」
夕焼け空の中を輝夜は飛ぶ。最近では随分日が長くなってきたことから考えると、もう大分遅い時間なのではないだろうか。永琳のように時計を持っていない輝夜には正確な時間を知る術はない。
今日も一日、さまざまな場所を見て回った。幻想郷は広く、まだまだすべてを見終えることはできない。けれど決して飽きることはない。むしろすべて終えてしまうのがもったいないと感じるほど。
この数日、これまでになかったほど、たくさんの人や妖怪と触れあった。
妖精に混じってかくれんぼをしてみたり、博麗神社の宴会に参加したり。前々から興味のあった八目鰻の屋台にも行ってみたし、妖怪の山の風祝とは妙に気が合った。うっかり迷い込んだ向日葵畑でスペルカード戦をした。
誰もかれもが一筋縄ではいかない者ばかりだったけれど、素晴らしく楽しい時間を過ごすことができた。
なるほど、この幻想郷ならば、月人であること、蓬莱人であることを気にしなくてもよいのだろう。地上に来た頃していたように、距離をとる必要もない。
頭では分かっていたことであるけれど、実際こうしてそれを肌で感じるのとではまた、違う。
妙に楽しい気分になって、輝夜はふわふわと空を飛ぶ。それが分かっただけで、こうして永遠亭を離れたことにも意義があったと思える。
ここならば、輝夜は。永琳は。
「輝夜!」
不意に、そんな怒鳴り声。この地上において永琳の次に輝夜と付き合いの深い少女の声。
目の前に夕焼けと同じ色の炎の翼を燃えたぎらせて、妹紅は輝夜を睨みつけていた。まあ、いつものことではあるのだけれど。
「あら、妹紅じゃない」
久しぶりね、と輝夜はにっこりと微笑む。両手を胸の前で合わせるお決まりの仕草で、首を傾げる。それを見た妹紅は一瞬表情を綻ばせ、けれどすぐに引き締めて、ぶっきらぼうに言う。
「ここで会ってしまったのなら、仕方ないわね。輝夜、今日こそ決着を……って、輝夜?」
「これって今日の新聞?」
いつものように勇ましく宣戦布告をしようとした妹紅は、輝夜の行動によってそれを阻まれてしまう。ふわりと音もなく妹紅の傍に近づいた輝夜は、右手にしっかりと握られた紙を見て、首を傾げる。
それは文々。新聞。日付は今日の昼、一面を飾るのはピースサインをした輝夜の写真。内容は月の姫君が外遊しているという、ここ数日の輝夜の奇行について取り扱ったものだった。
「これは……その。だから、ここのところお前が永遠亭に行っても竹林に行ってもいないから」
途端、妹紅は先ほどまでの威勢はどこへやら、赤い顔をして声を上ずらせた。輝夜は何も言わず、そんな彼女をじっと見つめている。
「ちび兎が月の使者が来てるとか言ってたし、お前いないし。私が何も言えた義理じゃないけどさ、月に帰られると困る、というか」
その視線から逃れるように、そっぽを向いて、ごにょごにょと呟く。最後の方はもうほとんど、そばにいる輝夜にさえ聞きとれないほどの小さな声になっていった。
口元を袖で押さえて、輝夜が楽しそうに続きを待っているのに気がつかないまま、妹紅は言葉を続ける。
「勝手にいなくならないでよ、輝夜」
一言、零れたその言葉は、存外に柔らかいものだった。
「ありがとう、妹紅。そんな風に思っていてくれたのね」
「なっ、違っ、ただ、お前がいないと退屈だってだけだよ」
くすくすと笑う輝夜に、うろたえる妹紅。前々からそうであったけれど、あの月の一件以来、二人はこれまでよりも穏やかな関係を築きつつあった。
だからこそ、こんな状態でもお互いに突然攻撃しあうこともない。
「なんか興が殺がれた。帰る」
「そう、じゃあ、またね」
やがて、ぽりぽりと頭を掻いた妹紅はそう言って輝夜に背を向ける。もちろん、最後に、命拾いしたな、なんて乱暴な言葉を付け加えて。
浮いているだけよりもエネルギーが必要なのか、背中の羽の火力が増していく。
「ああ、そうだ、輝夜」
「まだ何か?」
飛び立とうとしたその瞬間。ふ、と顔だけで振り返った妹紅は言う。
「なんでこんなことしてるのか知らないけど、さっさと永遠亭に戻ったら?」
「え?」
「お前んとこのちびが、永琳の奴がぐだぐだになってるって言ってたわよ」
思いがけない人物からの言葉に、輝夜はきょとんとしてしまう。そんな輝夜の返事を待つこともなく、さっさと妹紅は飛んで行ってしまった。
いつの間にか紺色に染まっていた空に、妹紅の橙はよく映える。それをぼんやりと眺めながら、輝夜は大きく、ためいきをついた。
「永琳……」
輝夜が今回、永遠亭を離れたこと、そして、一人で行動していることには、綿月姉妹が訪れたということ以外にも理由がある。
それは、永琳を解放すること。
一人でも平気な姿を見せて、永琳が月に帰りたければ帰れるようにすること。
永琳が、輝夜のことをこれでもかというぐらいに愛していることは分かっている。
先ほどの妹紅の言葉のように、本当に輝夜に依存しているのではないかというぐらい、輝夜にいれこんでいる。それこそ、他のことに目がいかなくなるぐらいに。
けれど、それは義務感なのではないか、罪悪感からくる贖罪なのではないか。
実際に口に出してきいたこともある。その時は、そんなわけないでしょう。と言われたけれど。自分が永琳にしてきたことを考えると、それをただ信じるだけなんてできるはずもない。
そもそも、例の一件の時、永琳はひどく月にいれこんでいるように見えた。
口では、「月の都のことを私たちが心配してもしかたがない」だとか、「あの子たちがちゃんと成長しているのか」などと言っていたけれど、本心では戻りたいのではないだろうか。
いかに蓬莱の薬を飲み、穢れた存在になったとはいえ、永琳を必要としている人は山のように存在している。今回やって来た綿月姉妹もまた、永琳を連れて帰りたそうなそぶりを見せていた。
二人と接している永琳も、まんざらではなさそうだった、と輝夜は思う。
実際問題、輝夜とは違って、永琳は帰ろうと思えば帰ることができる。それだけの力がある。
永琳の人生は永琳のものだ。輝夜のことばかり見ていてはいけない。
永琳が輝夜に、やりたいことをやりたいようにやってほしいと願うように、永琳だって永琳のやりたいようにするべきなのだ。
だからこそ、輝夜は一人でも平気なところを見せたかった。
贖罪のためにそばにいることなど、必要ないのだと。輝夜に囚われたままでいる必要などないのだと。いつかそう伝えなければならない、と思い続けていた。けれど、勇気が出ないままここまで来てしまった。
けれど、決意を固めることができたのは、前進である、と思う。
「なんて」
格好をつけたことを言ってみても、本当のところは。
永琳が傍にいないことが、淋しい。輝夜のものでなければ嫌だ。
この数日、少し離れているだけで、こんなにも恋しい気持ちばかりが募っていく。
綿月姉妹が月へと帰り、輝夜が永遠亭を離れる理由がなくなった時。
はたして、きちんと別れを告げることができるのか。
輝夜は、自信を持って是と答えることはできなかった。
「あら?」
「どうしたの?」
不意に不思議そうな声をあげた輝夜に、アリスは首を傾げる。
夕食後のくつろぎタイム、持ってきた鞄の中身を整理していた輝夜は一本の扇子を広げてみせる。
落ち着いた色合いに、華やかな柄。それでいて、上品なそれは輝夜の雰囲気によく似合っている。専門外のアリスから見ても、一級の品であると分かる、そんな扇子だった。
興味をそそられたアリスは、刺繍の手を止めて、問いかける。
「綺麗な扇子ね。見せてもらってもいい?」
「ええ、いいわよ」
ぱちっと小気味の良い音を立てて、扇子を閉じた輝夜は柄の部分を向けて、それを差し出してくる。お香でも焚きこめて会ったのか、ほんのりといい香りがするそれを、アリスは丁寧な手つきで受け取る。
「ふうん」
親骨の部分にも細かな細工がなされているため、開くより前にそちらを検分する。
素直にきれい、と思うのではなく、こうして技術を確かめてしまいたくなるのは人形師の性だろうか。和風にも中華風にも見える不思議な彫り物は美しかった。
「ああ、そうだわ、アリス」
「なに?」
「それ、うかつに振り回すと幻想郷が壊滅するから気をつけて」
「なっ」
「森を一瞬で素粒子レベルで浄化する、だったかしら」
何でもないことを言うような輝夜の言葉に、今まさに開こうとしていたアリスは青い顔をして、手を止める。
先ほどまでよりもずっと丁寧な、というよりは危険物を取り扱うおっかなびっくりの手つきで、輝夜へと手渡してくる。
あやうく、いい香りね、なんて扇いでみるところだったではないか。
「なんでそんな物騒なもの持ってるのよ」
「なんでと言われても」
その扇子を鞄にしまった経緯を思い起こす。
ちょうど輝夜が荷造りをするタイミングと、豊姫依姫が荷ほどきをするタイミングが一緒だったことを思い出す。
今のアリスと同じように、美しい扇子に興味をもった輝夜が豊姫に見せてくれるようにとねだり。予想以上に物騒なものだったため、持たせたままにしておくのもどうかと思い、しばらく預かっておくことにした。
本当ならば、すぐにでも、永琳に届けようと思っていたのだけれど、バタバタしていたせいで、うっかり自分の鞄にしまってしまったらしい。
「どうしようかしら、これ」
「さっさと返してきなさいよって、振り回さないで!」
閉じたままの状態でぴたぴたと自らの頬を叩いている輝夜を、アリスは慌ててたしなめる。兵器を扱っているとは思えない適当っぷり。
輝夜らしいといえば、そのとおりなのだけれど、見ている側としては気が気ではない。
「でも……」
「それでついでに永琳にも会ってくればいいじゃない」
「永琳? どうして?」
はぁ、とアリスは疲れ混じりの深いため息をつく。そうして、永琳の名前を聞いて、一瞬戸惑いの表情を見せた輝夜を見て、呆れたように微笑んだ。
「会いたくて仕方がないって顔に書いてあるわよ」
「……」
「私もいろいろ聞いたから、簡単に言うつもりはないけど」
ちょっと澄まして大人ぶった、しかし、それでいて、少女らしくいたずらめいた表情でアリスは微笑む。
この滞在の最中、輝夜の話は聞いてある。けれど、普段の永琳の様子を見ている限りでは、それはすべて輝夜の杞憂のような気がしてならない。
それよりも、日に日に淋しげな表情の増えていく輝夜のことが気がかりで。
アリス自身もどちらかと言えば考えすぎてしまう方だから、気持ちは分からない。だから、こういう時に言ってほしい言葉は分かる。
「会いたいなら、会いに行けばいいじゃない」
そう言って、アリスは輝夜の背中を押した。
そうして、翌日。未だ心を決めることが出来ず、逡巡したままではあったけれど、輝夜は永遠亭へと帰ってきた。
ちょうどいい具合に、豊姫や他の面々が扇子を探しているところだった。
久しぶりに見た永琳や鈴仙、てゐはやはりいつも通りで、それが嬉しかったのだけれど、なぜだか少し照れくさくて。輝夜はあえてとぼけた顔をして、室内へと入っていった。
「あらあら、みんなしてどうしたの?」
この後に控えていることを考えると、永琳と目を合わせることは出来ず、鈴仙と豊姫の方を見て微笑む。開かないようにしっかりと押さえながら、無造作に扇子を振ってみせれば、鈴仙が慌てた声をあげる。
やめてくださいー、とすがってくる鈴仙の頭を撫でる。こういうところが可愛いのだ、このペットは。
「はい」
「ありがとうございます、輝夜様」
「こんな危ないもの持ち歩いちゃだめよ」
ふふ、と笑って、豊姫の手の上に扇子をのせる。お互いに微笑みあいながら、けれど牽制を忘れずに。
豊姫個人のことは嫌いではない、気が合いそうだとも思う。けれど、月人らしい地上を滅ぼすことに抵抗のないところは、どうしても好きになれない。
そんな二人の微妙な空気にも気がつかず、鈴仙はむきーっとして言う。
「どの口が言うんですか、姫様!」
「それで、話ってなにかしら?」
相変わらず落ちついた笑顔を浮かべた永琳は、少しだけ心配そうに輝夜に問いかけた。
豊姫と依姫が荷物を片づけたり、うさぎ達と戯れている最中。輝夜は永琳を自分の部屋へと呼びだした。
まだ、あと三日は滞在すると思っていたのに、姉妹が夜には帰ってしまうというから。
輝夜自身の中でも未だ意思は固まっていないのだけれど、この機会を逃してはならない。
随分と久しぶりに、嫌な感じに高鳴る鼓動と緊張に震える指先。薬師であり、輝夜のことを誰よりもよく見ている永琳には、すべてお見通しなのだろう、と思う。
けれど、それでも。
すっかり乾いてしまった唇を舐めて湿らせて、ごくりと唾を飲み込んで。
そうして輝夜は口を開く。
「月に帰って、永琳」
もう私の傍にいなくていいわ。私なら大丈夫だから。
鈴仙も、妹紅もいるもの。
この幻想郷ならば永遠だって平気だから。
「だから、もう私に囚われないで」
いつもおっとりとした喋り方をする輝夜らしくもなく、やや早口でそう告げる。
胸の前で組みあわせた手の指先は震えるほどに力が入っている。精一杯に微笑んだその表情はぎりぎりの笑顔。
誰が見ても、無理をしていることが分かるそんな有様だったのだけれど。
「輝夜……?」
最初の言葉にショックを受けた永琳も、明らかに不自然な様子の輝夜に訝しげな視線を向ける。そっと手を伸ばして、数日ぶりにさらさらとした黒髪に触れる。
その優しい手つきに、僅かに輝夜の笑顔が崩れかけた。
「永琳?」
「私は、輝夜の傍にいたら、だめかしら?」
そんな輝夜を落ち着かせるように、永琳はその華奢な両肩に手をのせる。
長身をかがめて、同じ高さのところに視線が来るようにして、耳元で囁く。
「だめじゃないわ、ダメじゃないけど、でも……」
それは単なる罪悪感ではないのか。本当は月に帰りたいのではないのか。
輝夜がいないほうが、永琳にとってはよいのではないか。
輝夜はこれまで不安に感じていたことを問いかける。ここまで言ってしまえば、もう昂ぶった心を制御することはできなくて、ただただ頭に浮かんだことをとりとめもなく口にする。
それを、永琳は、どんな時よりも真剣な表情で聞いていた。口を挟むことも、否定をすることもなく、輝夜を見つめ続けた。
「永琳、もう、いいのよ」
最後に疲れたように輝夜はそう呟いて、言葉を切った。
言いたいことを言いきって、そして、今度は永琳がどんな返事を返してくるのか。
貼り付けたままの笑顔、不安に揺れた瞳は永琳を見つめている。
自分から言い出したくせに、永琳がいなくなってしまうのが、怖くてしかたがないなんて、と輝夜は内心で自嘲する。
やがて、しばしの時を経て、永琳は静かに口を開いた。
いつも通りの冷静な表情、いつも通りの優しい声音。
「輝夜」
こつん、と。永琳は自らの額と輝夜の額をつき合わせる。熱を計るようなその動作は、ただ、近くで輝夜を感じたいがための行動だった。
そうして、そのまま、永琳は腕の中に輝夜を閉じ込める。輝夜の顔は永琳の暖かな胸に押しつけられるような格好になり、もう互いの表情を窺い知ることはできなくなった。
「永琳?」
「この名前は……、輝夜、あなたがくれたものよ」
穏やかな、それは穏やかな声で永琳は言葉を落とす。
とても大切な思い出を語るまろやかな声。
「永琳?」
「琳の漢字は、輝夜。林に王が寄り添っているでしょう?」
「え? ええ」
突然始まった漢字の講釈に輝夜は戸惑ったような声をあげる。
僅かに身じろぎをした輝夜が腕から逃げてしまわないように、永琳は抱きしめる手に力をこめて、話を続けた。
「この王は輝夜、あなたなの。姫、私の宝物」
「……」
「輝夜がいなくなると、私は悲しくてしかたがないわ。涙を零すことになるでしょうね」
琳から、王が離れると、林になる。
林が涙に濡れたならば、さんずいが代わりに寄り添うことになる。
「輝夜が寄り添っていてくれないなら、私は永遠に淋しい思いをすることになる」
「あなたが傍にいてくれれば、私は永遠に宝物でいられるの」
いつしか緩んでいた腕の中から、輝夜は、永琳の顔を見あげる。
ふと目が合うと、お互いに自然とくすくすと笑いだしてしまう。輝夜は自らの悲観がなんだかおかしくなって。永琳は、らしくもないたとえ話が気恥ずかしくて。
「永琳、それは流石に無理があるんじゃないかしら?」
「そう? 輝夜の傍にいることが私の幸せっていうことだもの」
顔を赤くした永琳をからかうように輝夜は微笑む。先ほどまでの張りつめたようなそれではなくて、普段と変わらぬ月の光のような笑顔。
結局のところ、永琳には輝夜が必要で、輝夜には永琳が必要、それだけの話。
「この数日だって、ずっと淋しかったのよ?」
「私だって」
「せめて、夜にでも顔を出してくれればよかったのに」
「あら、豊姫と依姫と一緒に寝ていたんじゃないの?」
「それとこれとは話が別よ」
数日の空白を埋めるかの様に二人は、互いのぬくもりを感じあう。
「永琳」
「なあに?」
「ずっとそばにいてくれる?」
「……輝夜がそれを望むなら」
綿月姉妹の出発を告げに、鈴仙がやってくるその時まで。永琳と輝夜はふたりの時を堪能したのだった。
輝夜と永琳の思いがすれ違いそうで結局すれ違わなかったり、鈴仙が子供っぽくて微笑ましかったり、妹紅がツンデレだったり。
最後の輝夜と永琳が、なんだか穏やかな老後を送る夫婦のようでした。
すごい面白かったです。琳と淋のたとえ話のあたりとか
永琳の誤字指摘された時の言い訳ができたw
百点入れたいぐらいです!!
いじらしくて画面の前で悶えてしまった
そして輝夜とアリスの仲の良さに思わずにやにや
もどかしくて部屋中暴れまわりたくなる二人でした。
ラストにかけての展開がえらく素敵でした。
なるほどこういう訳だったのか・・・!姫マジけなげ
あなたのssはキャラとその関係性に愛が溢れてて本当に良いなあ・・・
Pekoさんの描く輝夜と、他の幻想郷の面々との交流も見てみたいなと思いました。