それは、悲劇だった。
「お姉ちゃん?」
今日、家に帰るとお姉ちゃんが死んでた。いや、死んでたかもしれない。
だって私に脈をとれって言われたってわかんないよ。そういうのはプロに頼もう。お燐とか。
いやまぁともかくお姉ちゃんが死んでた。
うん。きっとそう。
だってこんなにトマトが飛び散ってるんだもの。
お姉ちゃんはトマトに埋もれてとても嬉しそう。
そう言えば、お姉ちゃん言ってたっけ。
トマトに埋もれるのが夢だったって。そして、それが叶ったら死んでもいいって。
だから、こんな……。
こんな無謀なことをしたんだ。
私がちょっと(三日くらい)目を離した隙に、頭からトマトを被るだなんて行為に出てしまったんだ。
だから台所でフラダンスを踊るなって何度も言ったのに、お姉ちゃんは全然聞き入れてくれなかった。
きっと、トマトが大量に入荷したから浮かれて、ついやっちゃったんだね。
うん。わかる。
私も蜜柑で同じことしたもの。
すっごい柑橘系の匂いに悩まされたけれど、私は幸せだった。
ねぇ、お姉ちゃんも、幸せを噛み締めてるのかな。
トマトの匂いがぷんぷんするよ。
お空とか気絶しちゃうよ。トマト嫌いだし。
私もちょっと気分悪い。
お姉ちゃん。
ホントに死んじゃったの?
そんな、頭にトマトぶつけて死ぬだなんて……
豆腐の角に頭ぶつけて死ぬより恥ずかしいよ。
お姉ちゃん、知ってる?
今、足の小指、すっごい腫れてるよ?
たぶん、ぶつけたんだね、冷蔵庫に。
恥ずかしいよ。
ぴくぴく動いてるのは気にしない。
だってハズイから。
姉がこんなことするなんて、私は恥ずかしい。
だから、私は姉のスカートをめくることにした。
手をかけたところで、姉が呻いた。
ありゃ? 目覚めそう?
でも私の手は止まらない。
心臓の音が邪魔をする。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、上がっていくスカート。
私はその様子をじっと見ていた。
そして、見えた!
と、思った瞬間だった。
お姉ちゃんの手が閃いたのだ。
私の手に、トマトでぐちゅぐちゅの手が添えられる。
なにこれ? 想像以上に気持ち悪い。いや、トマトが。
わぁお。まるでホラーだね。
頭から真っ赤なトマトを零しながら立ち上がる、お姉ちゃん。
片手で握った私の手から、トマトの汁が滴り落ちる。
まるで血みたい。
「おはよ、お姉ちゃん」
「……おはよう。で? なにしてるのですか?」
「スカートめくり」
「殴ってもよろしいですか?」
「……私、悪いことしてないもん!」
ぷん、とそっぽを向くと、お姉ちゃんは身体中からトマトの匂いを発しながら、私の頬を抓った。
「スカートをめくるのが悪いことだと知ってますか?」
「はふみみでふ(初耳です)」
「だったら、私がめくってもかまわないわよね?」
「ひゃめて!(やめて!)」
そんなトマト臭い手はいやなのに!
あ、や、待って待って!
「待ちません!」
がばぁ! っと私のスカートに手をかけるお姉ちゃん。
でも私言わなくちゃならないの!
「私、今日履いてないの!」
お姉ちゃんはトマトを撒き散らした。
[おわり]
「お姉ちゃん?」
今日、家に帰るとお姉ちゃんが死んでた。いや、死んでたかもしれない。
だって私に脈をとれって言われたってわかんないよ。そういうのはプロに頼もう。お燐とか。
いやまぁともかくお姉ちゃんが死んでた。
うん。きっとそう。
だってこんなにトマトが飛び散ってるんだもの。
お姉ちゃんはトマトに埋もれてとても嬉しそう。
そう言えば、お姉ちゃん言ってたっけ。
トマトに埋もれるのが夢だったって。そして、それが叶ったら死んでもいいって。
だから、こんな……。
こんな無謀なことをしたんだ。
私がちょっと(三日くらい)目を離した隙に、頭からトマトを被るだなんて行為に出てしまったんだ。
だから台所でフラダンスを踊るなって何度も言ったのに、お姉ちゃんは全然聞き入れてくれなかった。
きっと、トマトが大量に入荷したから浮かれて、ついやっちゃったんだね。
うん。わかる。
私も蜜柑で同じことしたもの。
すっごい柑橘系の匂いに悩まされたけれど、私は幸せだった。
ねぇ、お姉ちゃんも、幸せを噛み締めてるのかな。
トマトの匂いがぷんぷんするよ。
お空とか気絶しちゃうよ。トマト嫌いだし。
私もちょっと気分悪い。
お姉ちゃん。
ホントに死んじゃったの?
そんな、頭にトマトぶつけて死ぬだなんて……
豆腐の角に頭ぶつけて死ぬより恥ずかしいよ。
お姉ちゃん、知ってる?
今、足の小指、すっごい腫れてるよ?
たぶん、ぶつけたんだね、冷蔵庫に。
恥ずかしいよ。
ぴくぴく動いてるのは気にしない。
だってハズイから。
姉がこんなことするなんて、私は恥ずかしい。
だから、私は姉のスカートをめくることにした。
手をかけたところで、姉が呻いた。
ありゃ? 目覚めそう?
でも私の手は止まらない。
心臓の音が邪魔をする。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、上がっていくスカート。
私はその様子をじっと見ていた。
そして、見えた!
と、思った瞬間だった。
お姉ちゃんの手が閃いたのだ。
私の手に、トマトでぐちゅぐちゅの手が添えられる。
なにこれ? 想像以上に気持ち悪い。いや、トマトが。
わぁお。まるでホラーだね。
頭から真っ赤なトマトを零しながら立ち上がる、お姉ちゃん。
片手で握った私の手から、トマトの汁が滴り落ちる。
まるで血みたい。
「おはよ、お姉ちゃん」
「……おはよう。で? なにしてるのですか?」
「スカートめくり」
「殴ってもよろしいですか?」
「……私、悪いことしてないもん!」
ぷん、とそっぽを向くと、お姉ちゃんは身体中からトマトの匂いを発しながら、私の頬を抓った。
「スカートをめくるのが悪いことだと知ってますか?」
「はふみみでふ(初耳です)」
「だったら、私がめくってもかまわないわよね?」
「ひゃめて!(やめて!)」
そんなトマト臭い手はいやなのに!
あ、や、待って待って!
「待ちません!」
がばぁ! っと私のスカートに手をかけるお姉ちゃん。
でも私言わなくちゃならないの!
「私、今日履いてないの!」
お姉ちゃんはトマトを撒き散らした。
[おわり]
最後の落っこちっぷりが半端なくて笑えましたw
なんというか……笑っちゃいました。私の負けです。
フラダンスだいね
トマト!