Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

天狗さんとメイドさん

2010/08/11 21:43:22
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私、射命丸文は紅魔館へ向かっていた。
言っておこう、取材ではない、ある人に会いに行くのだ
山から飛ぶことおおよそ一時間、湖畔に佇む紅い館が見えてきた所で速度を落とした、館側の規定速度以上で飛ぶと例外無しに撃墜されてしまうからだ

「こんちわ、美鈴さん」

私は珍しく起きている門番に挨拶をした

「あら射命丸さん、こんにちは」

「どうも、今日は起きてるんですね」

「いつも起きてますよ人聞きの悪い、それで今日の来館目的は何ですか?」

「…取材を、メイド長に」

「メイド長に?」

「えぇ文々。新聞のコラムで」

「分かりました、この書類に氏名と所属、目的を書いて提出して下さい」

差し出された書類に必要事項を記したが、一つ腑に落ちないことがあった

「退館予定時刻は書かなくて良いんですか?」

「…時刻通りに帰れないでしょ?知ってますよ、取材じゃないでしょ」

目の前の門番妖怪が笑いながら問いかけてきた

「…あの、このことは」

「分かってますよ、言いませんよ、頑張って下さい」

門番に応援され私は館へと進んだ
館の中を進むこと数分して、私は目的の部屋に着いた

「……………」

ドアの前でとまどうこと数秒、私は意を決してノックした

「…どうぞ」

内部からの声を聞き、私はドアを開いた

「こんにちは、咲夜さん」

「良く来てくれました、文さん」

紅魔館のメイド長、十六夜咲夜さんが笑顔で私を迎えてくれた
私たちは花がどうとかであれだった異変が終わった後こうして良く会う間柄となった
会うだけでなく手紙のやりとりをしたりする、正直咲夜さんからの手紙のお陰で頑張っていられる
仕事の話、部下の話、日常のほんの些細な出来事を二人で話す一時、私の寿命を考えればほんの一瞬にも満たないこの時間がとても愛おしく思える

「…それで先週の雨の日に美鈴が猫を拾ってきてね『飼って良いですか?』なんて聞いてくるものだから」

美鈴さんが拾ってきた仔猫の話に夢中な咲夜さんの顔を見て私は小さな異変に気付いた

「咲夜さん」

「はい?」

「クリーム、ついてますよ」

咲夜さんの口元にお茶請けのケーキのクリームがついていたのだ

「えっ、どこ」

「端っこです」

これはチャンスです、咲夜さんの口についているクリームを私の指で優しく掬って私の口へ運び咲夜さんの赤くなった顔を拝み…

「って時間止めないで下さいよ咲夜さん」

咲夜さんお得意の時止め、こういう時って本当に落ち込みますよね

「…だってあなたの前でそんな姿してたなんて、恥ずかしくて」

口元を手で隠して赤面する咲夜さん、可愛い

「…しょうがないですね、全く」

私はそう呟いて紅茶を一口啜った
その後は何もなかったように談話を再開する
それから何時間経ったろう、もう外は暗くなっていた

「もうこんな時間ですか、咲夜さんお邪魔しました」

退室しようとすると咲夜さんに引き留められた

「あの、今日泊まれませんか?」

それが彼女が聞いてきた内容だった、泊まりたかった、出来ることならば
しかし山を出るとき取材だと言ってしまっているので泊まることは出来ない

「ごめんなさい、咲夜さん、山に帰らなければならないので」

「じ、じゃあ文さん、最後に咲夜って、さんを付けずに私の名前を呼んでくれますか?」

「分かりました、また来ます、咲夜」

咲夜さんの笑顔を網膜に焼き付け、私は紅き魔が住まう館を後にした
彼女が館を去った後、私は窓を開け夜空を見上げた
『分かりました、また来ます、咲夜』
去り際の、要求したとはいえ彼女が私の名前をさん付けせず呼んでくれたのだ、今は幸せな気分で一杯だ
私は星が瞬く空を見上げ一人微笑むのだった

夜空の冷涼な空気を浴び私は飛んでいた、気付けば顔がやけに熱い
…でも前からしたかったことが実現できて良かった
『じ、じゃあ文さん、最後に咲夜って、さんを付けずに私の名前を呼んでくれますか?』
去り際の彼女の願い、その言葉をどれほど待ったろうか、いつも彼女をさん付けせず呼びたかったか
私はこの美しい星空を背にして飛び、一人幸せな気分にひたるのだった

やっちまったよぉ、やっちまったよぉ
誰かこの俺に馬鹿野郎と言ってくれ!
気付いたら、気付いたら文咲を書いてしまった俺を、殴ってくれッッッ
前回の『烏天狗と覗き天狗』の後書きをさらに暴走させたらこうなった、どうしてこうなったッッッッッ
投げ槍
コメント



1.削除
>どうしてこうなったッッッッッ
俺の神通力が通じたようだな投げ槍さんッッッッッ
2.華彩神護.K削除
良くやった馬鹿野郎!!www
裏の裏の大暴走、大好きだ!!
3.奇声を発する程度の能力削除
良くやってくれました!
4.拡散ポンプ削除
良かったです。
さあ、みんなでもっと馬鹿になりましょう。