注:前回からの続きです。
________16:30 地底(旧地獄・地霊殿前)
妖夢 「(……はぁ~、結局旧地獄にまで来てしまった。幽々子様に無断で大丈夫かなぁ)」
魔理沙「何ため息なんかついてんだよ。ようやっと目的地まで辿り着いたってのに」
妖夢 「その目的地ってのが、この大きなお屋敷ですか?
なかなか立派ですね、見た感じ」
魔理沙「ああ。だがそこらへんの動物を拾って屋敷に放し飼いしてるから、
中はけっこう臭かったりする」
妖夢 「……住人はかなり変わっている人なんですね。
ペットの躾はきちんとしておかないと、ご近所の迷惑になりますが」
魔理沙「まあ、すでに以前、ここのカラスが一騒動おこしてしまったけどな。
だが主人は悪い奴じゃないから、ちゃんと話せばわかってくれるだろう。
どうせそいつにはデュエルじゃ勝ち目は無いしな。
じゃあ、さっそくお邪魔しようぜ。入り口はどこだったかな……」
妖夢 「(えっ? デュエルじゃ勝ち目が無い……?
どういう……)」
魔理沙「ああ、見つけた。あそこだな、玄関は。
……ん?」
妖夢 「……お? どうかしたんですか?」
魔理沙「猫がいる。扉の前に」
猫 「ニャ~」
妖夢 「あっ、ほんとだぁ」
猫 「ニャ~」
妖夢 「かわいい~」
猫 「ニャ~」
妖夢 「…………」
猫 「ニャ~」
妖夢 「……かわいいのはわかったから、そこをどきなさい」
猫 「…………なんだい、つまらん奴。もうちょっと構ってくれてもいいのにねぇ」
妖夢 「っ!?
……猫がしゃべった!」
魔理沙「よく見ろよ。そいつ、尾が二本あるだろ」
妖夢 「あっ、ほんとだ。ということは化け猫ですか?」
燐 「……じゃじゃーんっと。あたいに対して化け猫とは失礼な。
火車と呼んでほしいね、火車と」
妖夢 「おおっ、人になった」
魔理沙「やっぱりお前だったか。前から気になってたんだが、その頭の耳はつけ耳か?」
燐 「ちゃうわい。地耳よ」
魔理沙「じゃあ、なんで人間の耳もついてるんだ?」
燐 「………………細かいことは置いといて、と。
あんたら、何の用だい。さとり様は今お休み中だよ。帰った帰った」
妖夢 「お休み中? まだ夕方の四時ぐらいだと思いますが」
燐 「ついこの前から風邪で寝込んでるの。この前、土蜘蛛を家に入れた日から」
魔理沙「思いっきりうつされてるじゃないか」
妖夢 「ペットだらけの屋敷なんて、なんだか感染症が蔓延してそうですね」
燐 「あいにくさとり様はただの風邪よ。今はぐっすり寝てるだろうね。
あんたらの手は借りなくてもいいのさ」
魔理沙「叩き起こせ。客が来てやったんだ」
燐 「お前を叩き出してやろうか」
妖夢 「ちょ、ちょっと待ってください。
ほら、あなたも、話せばわかるって言ってたじゃないですか。穏便にいきましょうよ」
魔理沙「わたしが言ったのは主人の方なんだがな。ペットの方はどうも頭が悪いから」
燐 「お空と一緒にしないでほしいね。
まあいいや、用件ぐらいは聞いてやるよ。
わざわざ地上から何しに来たんだい?」
妖夢 「鍋の材料を求めて来ました。
なんでも、ここの畑で採れる野菜は絶品と聞いたもので」
燐 「ああ、野菜。そうね、なんせ真下に太陽があるから。光合成も自由自在よ」
妖夢 「おお。では差し出がましいようですが、それらを分けていただけますか?
少しで構いませんので」
燐 「そうだなぁ。たくさん生えてるから分けてやりたいのはやまやまなんだけど……。
やっぱりさとり様の許しがないとねぇ。勝手にプレゼントはできないよ」
魔理沙「だったら決まりだな。叩き起こせ」
燐 「ったく~、相も変わらず乱暴なお姉さん。
あたい、そういうのは嫌いじゃないんだけど、今日ばかりはちょっとねぇ。
主人の安眠を妨げる輩は、ペットとして排除しないといけないのさ。
ああ大丈夫、死体になったら運んでやるよ。そっちの半分死体さんもね」
妖夢 「半分死体はやめてくださいっ」
魔理沙「売られたケンカは倍以上の値段で買うのが主義だ。わたしが相手になってやるぜ。
お前も、死体は半分よりまるごと一体運ぶ方が楽しいだろう」
燐 「半分の方が軽くて楽なんだけどねぇ。
まあしかし、あたいに運ばれたいなんて、面白い人間もいるもんだ。
でも、ここが旧地獄だってこと忘れちゃいまいね?
心焦がれて肉焦がれ、魂焦がれて命尽き果つ。
暇つぶしに、魔理沙。あんたの死体も運んでやるよ!」
魔理沙【奇形ドラゴン1kill】LP8000
VS
燐【クロネコ死体宅急便】LP8000
魔理沙「死体を運ぶ前に死体にすることだな。
ま、今からやるのは戦闘じゃなくてデュエルだが」
燐 「あ、そうなの? まあいいかぁ、暇だったし」
妖夢 「とっとと勝って終わらせちゃってくださいね。時間がおしてるので」
魔理沙「そう思って、今回は新しいデッキを試させてもらうぜ」
妖夢 「ん? まあいいですけど、なるだけ早くお願いしますよ」
魔理沙「善処してやろう。さて、表か裏どっちだ?」
燐 「じゃ裏にするよ」
妖夢 「ではわたしがコイントスを………………表ですね。
先攻後攻どちらにします?」
魔理沙「当然、先攻をいただくぜ。ドロー!」
魔理沙「さっそく封印の黄金櫃だ。デッキから名推理を選択して除外。
続いてトレード・インを発動するぜ」
《封印(ふういん)の黄金櫃(おうごんひつ)/Gold Sarcophagus》 †
通常魔法(準制限カード)
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。
《トレード・イン/Trade In》 †
通常魔法
手札からレベル8のモンスターカードを1枚捨てる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
魔理沙「手札のモンタージュ・ドラゴンを捨てて2枚ドローする。ターン終了かな」
妖夢 「……って、初手動かずですか! あれだけ急げと言っているのに」
魔理沙「まあ焦るなって。何事にも準備ってものがあるだろ」
燐 「そうそう。人生焦っちゃロクなことがない。
のんびりあたいと暇つぶししていってね。ドロー」
燐 「ふっふ~。カードを3枚伏せるよ。ターンエンド」
魔理沙 LP8000:手札5:無し
燐 LP8000:手札3:伏せ3
魔理沙「(……攻撃してこない?
ゴーズを警戒してくれたのなら思惑通りなんだが……いや、伏せ3枚ってことは違うな。
単に召喚できるモンスターがいなかったのか……)」
魔理沙「(だがなんにしろ、攻撃されないってんなら好都合。
コンボパーツをそろうまで時間が稼げるぜ)
んじゃ、わたしのターンだな。ドロ……」
燐 「おおっと。このタイミングでトラップだよ」
魔理沙「ぬ?」
燐 「強烈なはたき落とし。ドローしたカードを捨ててもらおうかな」
《強烈(きょうれつ)なはたき落(お)とし/Drastic Drop Off》 †
カウンター罠
相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動する事ができる。
相手は手札に加えたカード1枚をそのまま墓地に捨てる。
魔理沙「(ぐおお、未来融合が……キーカードだったのに)」
魔理沙「ちぇっ、セコいカードを使ってくれるぜ。このままターンエンドだ」
魔理沙 LP8000:手札5:無し
燐 LP8000:手札3:伏せ2
燐 「その顔、よっぽど欲しいカードだったのかな?
いい反応ありがとさん。ドローするよ~」
魔理沙「ふむ、わたしはそんな顔してたのか?」
妖夢 「ええ。こう、例によって口が平行四辺形になってました」
燐 「2ターンも何もしてこないところを見ると、どうやらそちらもコンボ狙いのデッキみたいだけど……
どうやら手札に揃ったのはわたしの方が早かったね。仕掛けさせてもらうよ」
燐 「あたいは手札から、アスワンの亡霊を召喚!」
《アスワンの亡霊(ぼうれい)/Aswan Apparition》 †
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻 500/守 500
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた場合、
自分の墓地の罠カード1枚をデッキの一番上に戻す事ができる。
魔理沙「(アスワンの亡霊だと? てことは……)」
燐 「あたいは火車、亡骸を運ぶ怨霊使いさ。
アスワンの亡霊で、魔理沙にダイレクトアタック!」
魔理沙「(くっ、ダメージはかすり傷程度だが……)」LP8000→7500
燐 「戦闘ダメージを与えたことで、アスワンの誘発効果発動。
墓地の罠カードをデッキの一番上に戻すことができる。
そしてメインフェイズ2で、永続魔法を発動するよ。デーモンの宣告」
《デーモンの宣告(せんこく)/Archfiend's Oath》 †
永続魔法
1ターンに1度だけ、500ライフポイントを払い
カード名を宣言する事ができる。
その場合、自分のデッキの一番上のカードをめくり、
宣言したカードだった場合手札に加える。
違った場合はめくったカードを墓地へ送る。
燐 「ライフを払って、デッキの一番上のカードを言い当てるよ。
あたいは強烈なはたき落としを宣言。当然当たりだから、それを手札に加えるわね」LP8000→7500
妖夢 「こ、これってまさか……俗にいうアスワンロックというやつでは……?」
燐 「正解正解。そっちの半分死体のお譲ちゃんはわかってるみたいだね。
わたしは1枚伏せてターンエンド。
このコンボが決まった以上、魔理沙、あんたはもう手札を増やすことはできない。
あとはじわじわ、じっくりとライフを削っていってあげるよ」
魔理沙 LP7500:手札5:無し
燐 LP7500:手札2:アスワン、デーモンの宣告、伏せ2
妖夢 「(そんな……ドローすらできないなんて。
開始早々、もう勝負は決まったも同然じゃ……)」
魔理沙「わたしのターン、ドロー……」
燐 「わかってると思うけど、もうドローはさせないよ。強烈なはたき落としを発動」
魔理沙「(破壊竜ガンドラが逝ったか……。
うむ、これは確かにマズい。
こうしてあいつが毎ターンアスワンの効果ではたき落としを使いまわせば、
わたしはドローできずに終わってしまう。
とりあえず、なんとかしてアスワンの攻撃を防がなければ……)」
魔理沙「スタンバイフェイズで、除外していた名推理を手札に加える。
アームズ・ホールを使うぜ」
《アームズ・ホール/Hidden Armory》 †
通常魔法
自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送って発動する。
自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。
このカードを発動するターン、自分は通常召喚する事はできない。
魔理沙「デッキの手札断殺を墓地に送り、巨大化を手札に加える。
カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
燐 「はっはっは~、馬鹿だね~。
そんなに急にリバースカードなんて伏せても、ブラフだってまるわかりじゃない」
燐 「ドロー。安心して攻撃させてもらうよ。魂を削る死霊を召喚!」
《魂(たましい)を削(けず)る死霊(しりょう)/Spirit Reaper》 †
効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時、
このカードを破壊する。
このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
相手の手札をランダムに1枚捨てる。
魔理沙「(ぎゃああああ……死霊かよ)」
燐 「アスワンの亡霊と魂を削る死霊でダイレクトアタックよ。
当然通るよね。2体の誘発効果発動。
魂を削る死霊がダイレクトアタックに成功したから、手札をランダムに1枚捨ててもらう。
じゃあ、左端」
魔理沙「ほ、ホルスの黒炎竜LV6だぜ……」LP7500→7200→6700
燐 「おやおや、そんな危険なモンスターを持ってたとは。危ない危ない。
デーモンの宣告の効果で、アスワンで戻したはたき落としを手札に加えるよ。
3枚伏せて、ターン終了」LP7500→7000
魔理沙 LP6700:手札4:伏せ1
燐 LP7000:手札0:アスワン、死霊、デーモンの宣告、伏せ4
妖夢 「(ドロー拒否のうえにハンデスまで……これじゃ本当に、何もできずに終わってしまう)」
妖夢 「ちょっと、何やってるんですか!
せめて下級モンスターをセットして壁ぐらい……」
魔理沙「いやぁ、そうなんだが……このデッキ下級がほとんどいないんだよ」
妖夢 「ほ、ほとんどって……何枚ぐらい?」
魔理沙「1枚、かな」
妖夢 「はあぁ!? 何でそんな糞構築……」
魔理沙「そ、そういうデッキなんだから仕方ないだろ」
燐 「あーらら。仲間割れなんて、もう見てらんないねぇ。
早くドローしなよ。こいつで叩き落してやるからさぁ」
魔理沙「くっ、ドローする」
燐 「ほい、はたき落とし。強烈だねぇ。今度落ちたのは何かな?」
魔理沙「マジカル・エクスプロージョンだ」
燐 「(…………マジエク? なんでそんなカードが……)」
燐 「(ま、いいかぁ。わたしの伏せは奈落に幽閉、そして大嵐用のカウンタートラップ。
いまさらこっちの圧倒的有利を覆せるはずないね)」
魔理沙「(……これ以上手札を削られるわけにはいかない。
だが現状では仕掛けようにもパーツが足りないし……
あと1枚、あれがくればなんだが、ドローすらできない今の状況では……)」
魔理沙「(……いや、まてよ…………そうか!
自分でドローできないなら……)」
魔理沙「リバースカードを発動するぜ。大嵐!」
《大嵐(おおあらし)/Heavy Storm》 †
通常魔法(制限カード)
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。
燐 「ふん、持ってたのか。でも意味無いよ。カウンタートラップ、魔宮の賄賂」
《魔宮(まきゅう)の賄賂(わいろ)/Dark Bribe》 †
カウンター罠
相手の魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
相手はデッキからカードを1枚ドローする。
燐 「ふふん、残念だね。魔宮の賄賂の効果でその魔法効果は無効。
その後相手にドローさせ……」
燐 「(……ドロー? しまった!?)」
魔理沙「ふふふん、簡単な理屈だな。
わたしが自分でドローできないなら、相手にドローさせてもらえばいい。
賄賂が伏せてあることはわかってたぜ。
お前のコンボはデーモンの宣告によってライフを消費する。
そのデッキに神の宣告はちょっと入れにくいよな。
賄賂も相性はよくないが、大嵐などからカードを守るためには入れざるを得ないってわけだ。
じゃあドローしていいらしいから、遠慮なくさせてもらうぜ。ドロー!」
魔理沙「……来たな。手札から、名推理を発動!」
《名推理(めいすいり)/Reasoning》 †
通常魔法(制限カード)
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚が可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地に送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、残りのカードを墓地へ送る。
魔理沙「レベルを宣言してもらうぜ」
燐 「う……うーん。8、かな?」
魔理沙「8だな。じゃあデッキをめくっていこう」
ハリケーン
打ち出の小槌
モンスターゲート
ホルスの黒炎竜 LV8
燐 「やった! 当たったから、名推理は失敗だね」
魔理沙「何言ってんだ。これで終わるわけがないだろ」
燐 「だって、そのモンスターはレベル8じゃ……」
魔理沙「テキストをよく見るんだな。
名推理で指定されているのは〝通常召喚が可能なモンスター〟だ。
よって通常召喚できないモンスターだった場合は、そのまま処理が続行される。
続けるぜ」
封印の黄金櫃
モンタージュ・ドラゴン
トレード・イン
D・D・R
閃光の双剣-トライス
ホルスの黒炎竜 LV8
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン
アームズ・ホール
スケープ・ゴート
死者転生
魔法石の採掘
龍の鏡
モンタージュ・ドラゴン
マジカル・エクスプロージョン
デビルズ・サンクチュアリ
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン
閃光の双剣-トライス
ミンゲイドラゴン
《ミンゲイドラゴン/Totem Dragon》 †
効果モンスター
星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
魔理沙「ミンゲイドラゴンを特殊召喚する。そして死者転生を発動!」
《死者転生(ししゃてんせい)/Monster Reincarnation》 †
通常魔法
手札を1枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。
魔理沙「手札のトレード・インを墓地に捨て、墓地のこのカードを加えるぜ。
ミンゲイドラゴンをリリースし、破壊竜ガンドラをアドバンス召喚だ!」
《破壊竜(はかいりゅう)ガンドラ/Gandora the Dragon of Destruction 》 †
効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
このカードは特殊召喚できない。
自分のライフポイントを半分払う事で、
このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊しゲームから除外する。
この効果で破壊したカード1枚につき、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
このカードは召喚・反転召喚されたターンのエンドフェイズ時に墓地へ送られる。
燐 「こ……ここでガンドラだってぇ~!?」
魔理沙「優先権を行使して、起動効果発動だ。
ライフを半分払い、フィールドのカードを全て破壊する!」LP6700→3350
燐 「(ううっ、攻撃力0じゃ奈落の落とし穴は発動できない……)」
魔理沙「ガンドラの攻撃力は破壊したカード1枚につき300上昇。よって1200だ。
そしてフィールドががら空きになった今、本命を出させてもらうぜ。
魔法カード、龍の鏡を発動!」
《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)/Dragon's Mirror》 †
通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)
魔理沙「墓地のモンタージュ・ドラゴン2体、ホルスの黒炎竜2体、
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴンを除外する!
融合召喚、ファイブ・ゴッド・ドラゴン!!」
《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)/Five-Headed Dragon》 †
融合・効果モンスター
星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。
このカードは地・水・炎・風・闇属性のモンスターとの戦闘によっては破壊されない。
(ダメージ計算は適用する)
燐 「げっ……出ちゃった」
妖夢 「(おお、F・G・D……! これを狙ってたのか!)」
魔理沙「トドメに巨大化だ! これでファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃力は倍になる!」
《巨大化(きょだいか)/Megamorph》 †
装備魔法(制限カード)
自分のライフポイントが相手より下の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
F・G・D 攻撃力10000
妖夢 「(し、しかしこれはやりすぎ……)」
魔理沙「やっぱドラゴンはこうでなくちゃな!
教えてやるぜ。F・G・Dとは、粉砕・玉砕・大喝采を意味する!」
魔理沙「バトルフェイズだ。ファイブ・ゴッド・ドラゴンで、猫又にダイレクトアタック!
久しぶりの、ファイブ・ゴッド・スパーーク!!」
燐 「うにゃ~……」LP7000→0
*
魔理沙「いや~、またつまらぬものを……なんとやらだぜ」
妖夢 「言うならちゃんと言えってんですよ。はぁ~、まあ勝ってよかったけど。
なんですかそのムチャクチャなデッキは」
魔理沙「デッキ削って、ガンドラでボーンして、ファイブゴッドでドーンするデッキだ。
どうだ、わかりやすいだろう」
妖夢 「まんまじゃないですか。しょうもない」
魔理沙「一応別の勝ち筋としてマジエクなんかもいれてるが……
まあ、確かに毎回これでうまく回るとは限らんな。没ってことで」
妖夢 「没って……というか、試運転とかしてなかったんですか? 一度も?」
魔理沙「そうだよ。霊夢相手にワンキル使っても文句言われるだけだし」
妖夢 「(なんて一発勝負な人だ……うらやましい限りじゃないか)」
燐 「うにゃ~。負けたにゃ~」
魔理沙「お前の負け、それはすなわちわたしの勝ちだ。中に入れてもらうぜ」
燐 「わかったにゃ~。
でも一応今先にさとり様に許可をもらってくるから、ちょっと待っててほしいにゃ~」
魔理沙「把握だぜ」
妖夢 「(なんで口調が猫になってるんだ……)」
魔理沙「さて、いよいよ辿り着いたな。ようやくさとりとご対面なわけだが……。
お前はどうするつもりなんだ?」
妖夢 「え? どうするって、今までと同じですが……」
魔理沙「デュエルを挑んで無理やり奪い取るわけだな。やっぱり」
妖夢 「無理やりじゃないですよ、人を追いはぎみたいに言わないでください。
ちゃんと勝者として正当な報酬をいただくんです」
魔理沙「まあ、だとしてもだ。
そういう真似は、今回ばかりはやめた方がいいだろうな」
妖夢 「? なぜですか?
あなた、そういえばさっきも言ってましたよね。
デュエルじゃ勝てないとかなんとか」
魔理沙「まあな。会ってみればわかるさ」
妖夢 「(……??
仮にもあの自信家で、前回の大会の覇者がここまで弱気な事言うなんて……どういうこと?)」
魔理沙「ついでに言うと、疚しいことは考えないことだ。
これは忠告っていうより助言、アドバイスだな」
妖夢 「助言ならもっとわかりやすく言ってほしいんですが。いちいち抽象的ですよ」
燐 「おまたせしたにゃ~。
さとり様は来賓の間でお待ちしてるにゃ。ついて来るといいにゃ~」
魔理沙「お、叩き起こしてきたか。じゃあ行くとしようか。
ま、わたしは忠告したからな。穏便に頼むぜ。
あれ? 忠告じゃなくて助言だったかな?」
妖夢 「いやどっちでもいいですよ、別に」
妖夢 「(…………古明地さとりさん、か。いったいどういう人なんだろう)」
妖夢 「(でも……どれだけ強敵だろうが、わたしは自分の剣を信じるのみ。
この剣と幽々子様の忠義(鍋)に懸けて、わたしはどんな相手にも臆しはしない!)」
・・・・・・To be continued
________16:30 地底(旧地獄・地霊殿前)
妖夢 「(……はぁ~、結局旧地獄にまで来てしまった。幽々子様に無断で大丈夫かなぁ)」
魔理沙「何ため息なんかついてんだよ。ようやっと目的地まで辿り着いたってのに」
妖夢 「その目的地ってのが、この大きなお屋敷ですか?
なかなか立派ですね、見た感じ」
魔理沙「ああ。だがそこらへんの動物を拾って屋敷に放し飼いしてるから、
中はけっこう臭かったりする」
妖夢 「……住人はかなり変わっている人なんですね。
ペットの躾はきちんとしておかないと、ご近所の迷惑になりますが」
魔理沙「まあ、すでに以前、ここのカラスが一騒動おこしてしまったけどな。
だが主人は悪い奴じゃないから、ちゃんと話せばわかってくれるだろう。
どうせそいつにはデュエルじゃ勝ち目は無いしな。
じゃあ、さっそくお邪魔しようぜ。入り口はどこだったかな……」
妖夢 「(えっ? デュエルじゃ勝ち目が無い……?
どういう……)」
魔理沙「ああ、見つけた。あそこだな、玄関は。
……ん?」
妖夢 「……お? どうかしたんですか?」
魔理沙「猫がいる。扉の前に」
猫 「ニャ~」
妖夢 「あっ、ほんとだぁ」
猫 「ニャ~」
妖夢 「かわいい~」
猫 「ニャ~」
妖夢 「…………」
猫 「ニャ~」
妖夢 「……かわいいのはわかったから、そこをどきなさい」
猫 「…………なんだい、つまらん奴。もうちょっと構ってくれてもいいのにねぇ」
妖夢 「っ!?
……猫がしゃべった!」
魔理沙「よく見ろよ。そいつ、尾が二本あるだろ」
妖夢 「あっ、ほんとだ。ということは化け猫ですか?」
燐 「……じゃじゃーんっと。あたいに対して化け猫とは失礼な。
火車と呼んでほしいね、火車と」
妖夢 「おおっ、人になった」
魔理沙「やっぱりお前だったか。前から気になってたんだが、その頭の耳はつけ耳か?」
燐 「ちゃうわい。地耳よ」
魔理沙「じゃあ、なんで人間の耳もついてるんだ?」
燐 「………………細かいことは置いといて、と。
あんたら、何の用だい。さとり様は今お休み中だよ。帰った帰った」
妖夢 「お休み中? まだ夕方の四時ぐらいだと思いますが」
燐 「ついこの前から風邪で寝込んでるの。この前、土蜘蛛を家に入れた日から」
魔理沙「思いっきりうつされてるじゃないか」
妖夢 「ペットだらけの屋敷なんて、なんだか感染症が蔓延してそうですね」
燐 「あいにくさとり様はただの風邪よ。今はぐっすり寝てるだろうね。
あんたらの手は借りなくてもいいのさ」
魔理沙「叩き起こせ。客が来てやったんだ」
燐 「お前を叩き出してやろうか」
妖夢 「ちょ、ちょっと待ってください。
ほら、あなたも、話せばわかるって言ってたじゃないですか。穏便にいきましょうよ」
魔理沙「わたしが言ったのは主人の方なんだがな。ペットの方はどうも頭が悪いから」
燐 「お空と一緒にしないでほしいね。
まあいいや、用件ぐらいは聞いてやるよ。
わざわざ地上から何しに来たんだい?」
妖夢 「鍋の材料を求めて来ました。
なんでも、ここの畑で採れる野菜は絶品と聞いたもので」
燐 「ああ、野菜。そうね、なんせ真下に太陽があるから。光合成も自由自在よ」
妖夢 「おお。では差し出がましいようですが、それらを分けていただけますか?
少しで構いませんので」
燐 「そうだなぁ。たくさん生えてるから分けてやりたいのはやまやまなんだけど……。
やっぱりさとり様の許しがないとねぇ。勝手にプレゼントはできないよ」
魔理沙「だったら決まりだな。叩き起こせ」
燐 「ったく~、相も変わらず乱暴なお姉さん。
あたい、そういうのは嫌いじゃないんだけど、今日ばかりはちょっとねぇ。
主人の安眠を妨げる輩は、ペットとして排除しないといけないのさ。
ああ大丈夫、死体になったら運んでやるよ。そっちの半分死体さんもね」
妖夢 「半分死体はやめてくださいっ」
魔理沙「売られたケンカは倍以上の値段で買うのが主義だ。わたしが相手になってやるぜ。
お前も、死体は半分よりまるごと一体運ぶ方が楽しいだろう」
燐 「半分の方が軽くて楽なんだけどねぇ。
まあしかし、あたいに運ばれたいなんて、面白い人間もいるもんだ。
でも、ここが旧地獄だってこと忘れちゃいまいね?
心焦がれて肉焦がれ、魂焦がれて命尽き果つ。
暇つぶしに、魔理沙。あんたの死体も運んでやるよ!」
魔理沙【奇形ドラゴン1kill】LP8000
VS
燐【クロネコ死体宅急便】LP8000
魔理沙「死体を運ぶ前に死体にすることだな。
ま、今からやるのは戦闘じゃなくてデュエルだが」
燐 「あ、そうなの? まあいいかぁ、暇だったし」
妖夢 「とっとと勝って終わらせちゃってくださいね。時間がおしてるので」
魔理沙「そう思って、今回は新しいデッキを試させてもらうぜ」
妖夢 「ん? まあいいですけど、なるだけ早くお願いしますよ」
魔理沙「善処してやろう。さて、表か裏どっちだ?」
燐 「じゃ裏にするよ」
妖夢 「ではわたしがコイントスを………………表ですね。
先攻後攻どちらにします?」
魔理沙「当然、先攻をいただくぜ。ドロー!」
魔理沙「さっそく封印の黄金櫃だ。デッキから名推理を選択して除外。
続いてトレード・インを発動するぜ」
《封印(ふういん)の黄金櫃(おうごんひつ)/Gold Sarcophagus》 †
通常魔法(準制限カード)
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。
《トレード・イン/Trade In》 †
通常魔法
手札からレベル8のモンスターカードを1枚捨てる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
魔理沙「手札のモンタージュ・ドラゴンを捨てて2枚ドローする。ターン終了かな」
妖夢 「……って、初手動かずですか! あれだけ急げと言っているのに」
魔理沙「まあ焦るなって。何事にも準備ってものがあるだろ」
燐 「そうそう。人生焦っちゃロクなことがない。
のんびりあたいと暇つぶししていってね。ドロー」
燐 「ふっふ~。カードを3枚伏せるよ。ターンエンド」
魔理沙 LP8000:手札5:無し
燐 LP8000:手札3:伏せ3
魔理沙「(……攻撃してこない?
ゴーズを警戒してくれたのなら思惑通りなんだが……いや、伏せ3枚ってことは違うな。
単に召喚できるモンスターがいなかったのか……)」
魔理沙「(だがなんにしろ、攻撃されないってんなら好都合。
コンボパーツをそろうまで時間が稼げるぜ)
んじゃ、わたしのターンだな。ドロ……」
燐 「おおっと。このタイミングでトラップだよ」
魔理沙「ぬ?」
燐 「強烈なはたき落とし。ドローしたカードを捨ててもらおうかな」
《強烈(きょうれつ)なはたき落(お)とし/Drastic Drop Off》 †
カウンター罠
相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動する事ができる。
相手は手札に加えたカード1枚をそのまま墓地に捨てる。
魔理沙「(ぐおお、未来融合が……キーカードだったのに)」
魔理沙「ちぇっ、セコいカードを使ってくれるぜ。このままターンエンドだ」
魔理沙 LP8000:手札5:無し
燐 LP8000:手札3:伏せ2
燐 「その顔、よっぽど欲しいカードだったのかな?
いい反応ありがとさん。ドローするよ~」
魔理沙「ふむ、わたしはそんな顔してたのか?」
妖夢 「ええ。こう、例によって口が平行四辺形になってました」
燐 「2ターンも何もしてこないところを見ると、どうやらそちらもコンボ狙いのデッキみたいだけど……
どうやら手札に揃ったのはわたしの方が早かったね。仕掛けさせてもらうよ」
燐 「あたいは手札から、アスワンの亡霊を召喚!」
《アスワンの亡霊(ぼうれい)/Aswan Apparition》 †
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻 500/守 500
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた場合、
自分の墓地の罠カード1枚をデッキの一番上に戻す事ができる。
魔理沙「(アスワンの亡霊だと? てことは……)」
燐 「あたいは火車、亡骸を運ぶ怨霊使いさ。
アスワンの亡霊で、魔理沙にダイレクトアタック!」
魔理沙「(くっ、ダメージはかすり傷程度だが……)」LP8000→7500
燐 「戦闘ダメージを与えたことで、アスワンの誘発効果発動。
墓地の罠カードをデッキの一番上に戻すことができる。
そしてメインフェイズ2で、永続魔法を発動するよ。デーモンの宣告」
《デーモンの宣告(せんこく)/Archfiend's Oath》 †
永続魔法
1ターンに1度だけ、500ライフポイントを払い
カード名を宣言する事ができる。
その場合、自分のデッキの一番上のカードをめくり、
宣言したカードだった場合手札に加える。
違った場合はめくったカードを墓地へ送る。
燐 「ライフを払って、デッキの一番上のカードを言い当てるよ。
あたいは強烈なはたき落としを宣言。当然当たりだから、それを手札に加えるわね」LP8000→7500
妖夢 「こ、これってまさか……俗にいうアスワンロックというやつでは……?」
燐 「正解正解。そっちの半分死体のお譲ちゃんはわかってるみたいだね。
わたしは1枚伏せてターンエンド。
このコンボが決まった以上、魔理沙、あんたはもう手札を増やすことはできない。
あとはじわじわ、じっくりとライフを削っていってあげるよ」
魔理沙 LP7500:手札5:無し
燐 LP7500:手札2:アスワン、デーモンの宣告、伏せ2
妖夢 「(そんな……ドローすらできないなんて。
開始早々、もう勝負は決まったも同然じゃ……)」
魔理沙「わたしのターン、ドロー……」
燐 「わかってると思うけど、もうドローはさせないよ。強烈なはたき落としを発動」
魔理沙「(破壊竜ガンドラが逝ったか……。
うむ、これは確かにマズい。
こうしてあいつが毎ターンアスワンの効果ではたき落としを使いまわせば、
わたしはドローできずに終わってしまう。
とりあえず、なんとかしてアスワンの攻撃を防がなければ……)」
魔理沙「スタンバイフェイズで、除外していた名推理を手札に加える。
アームズ・ホールを使うぜ」
《アームズ・ホール/Hidden Armory》 †
通常魔法
自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送って発動する。
自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。
このカードを発動するターン、自分は通常召喚する事はできない。
魔理沙「デッキの手札断殺を墓地に送り、巨大化を手札に加える。
カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
燐 「はっはっは~、馬鹿だね~。
そんなに急にリバースカードなんて伏せても、ブラフだってまるわかりじゃない」
燐 「ドロー。安心して攻撃させてもらうよ。魂を削る死霊を召喚!」
《魂(たましい)を削(けず)る死霊(しりょう)/Spirit Reaper》 †
効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時、
このカードを破壊する。
このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
相手の手札をランダムに1枚捨てる。
魔理沙「(ぎゃああああ……死霊かよ)」
燐 「アスワンの亡霊と魂を削る死霊でダイレクトアタックよ。
当然通るよね。2体の誘発効果発動。
魂を削る死霊がダイレクトアタックに成功したから、手札をランダムに1枚捨ててもらう。
じゃあ、左端」
魔理沙「ほ、ホルスの黒炎竜LV6だぜ……」LP7500→7200→6700
燐 「おやおや、そんな危険なモンスターを持ってたとは。危ない危ない。
デーモンの宣告の効果で、アスワンで戻したはたき落としを手札に加えるよ。
3枚伏せて、ターン終了」LP7500→7000
魔理沙 LP6700:手札4:伏せ1
燐 LP7000:手札0:アスワン、死霊、デーモンの宣告、伏せ4
妖夢 「(ドロー拒否のうえにハンデスまで……これじゃ本当に、何もできずに終わってしまう)」
妖夢 「ちょっと、何やってるんですか!
せめて下級モンスターをセットして壁ぐらい……」
魔理沙「いやぁ、そうなんだが……このデッキ下級がほとんどいないんだよ」
妖夢 「ほ、ほとんどって……何枚ぐらい?」
魔理沙「1枚、かな」
妖夢 「はあぁ!? 何でそんな糞構築……」
魔理沙「そ、そういうデッキなんだから仕方ないだろ」
燐 「あーらら。仲間割れなんて、もう見てらんないねぇ。
早くドローしなよ。こいつで叩き落してやるからさぁ」
魔理沙「くっ、ドローする」
燐 「ほい、はたき落とし。強烈だねぇ。今度落ちたのは何かな?」
魔理沙「マジカル・エクスプロージョンだ」
燐 「(…………マジエク? なんでそんなカードが……)」
燐 「(ま、いいかぁ。わたしの伏せは奈落に幽閉、そして大嵐用のカウンタートラップ。
いまさらこっちの圧倒的有利を覆せるはずないね)」
魔理沙「(……これ以上手札を削られるわけにはいかない。
だが現状では仕掛けようにもパーツが足りないし……
あと1枚、あれがくればなんだが、ドローすらできない今の状況では……)」
魔理沙「(……いや、まてよ…………そうか!
自分でドローできないなら……)」
魔理沙「リバースカードを発動するぜ。大嵐!」
《大嵐(おおあらし)/Heavy Storm》 †
通常魔法(制限カード)
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。
燐 「ふん、持ってたのか。でも意味無いよ。カウンタートラップ、魔宮の賄賂」
《魔宮(まきゅう)の賄賂(わいろ)/Dark Bribe》 †
カウンター罠
相手の魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
相手はデッキからカードを1枚ドローする。
燐 「ふふん、残念だね。魔宮の賄賂の効果でその魔法効果は無効。
その後相手にドローさせ……」
燐 「(……ドロー? しまった!?)」
魔理沙「ふふふん、簡単な理屈だな。
わたしが自分でドローできないなら、相手にドローさせてもらえばいい。
賄賂が伏せてあることはわかってたぜ。
お前のコンボはデーモンの宣告によってライフを消費する。
そのデッキに神の宣告はちょっと入れにくいよな。
賄賂も相性はよくないが、大嵐などからカードを守るためには入れざるを得ないってわけだ。
じゃあドローしていいらしいから、遠慮なくさせてもらうぜ。ドロー!」
魔理沙「……来たな。手札から、名推理を発動!」
《名推理(めいすいり)/Reasoning》 †
通常魔法(制限カード)
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚が可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地に送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、残りのカードを墓地へ送る。
魔理沙「レベルを宣言してもらうぜ」
燐 「う……うーん。8、かな?」
魔理沙「8だな。じゃあデッキをめくっていこう」
ハリケーン
打ち出の小槌
モンスターゲート
ホルスの黒炎竜 LV8
燐 「やった! 当たったから、名推理は失敗だね」
魔理沙「何言ってんだ。これで終わるわけがないだろ」
燐 「だって、そのモンスターはレベル8じゃ……」
魔理沙「テキストをよく見るんだな。
名推理で指定されているのは〝通常召喚が可能なモンスター〟だ。
よって通常召喚できないモンスターだった場合は、そのまま処理が続行される。
続けるぜ」
封印の黄金櫃
モンタージュ・ドラゴン
トレード・イン
D・D・R
閃光の双剣-トライス
ホルスの黒炎竜 LV8
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン
アームズ・ホール
スケープ・ゴート
死者転生
魔法石の採掘
龍の鏡
モンタージュ・ドラゴン
マジカル・エクスプロージョン
デビルズ・サンクチュアリ
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン
閃光の双剣-トライス
ミンゲイドラゴン
《ミンゲイドラゴン/Totem Dragon》 †
効果モンスター
星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
魔理沙「ミンゲイドラゴンを特殊召喚する。そして死者転生を発動!」
《死者転生(ししゃてんせい)/Monster Reincarnation》 †
通常魔法
手札を1枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。
魔理沙「手札のトレード・インを墓地に捨て、墓地のこのカードを加えるぜ。
ミンゲイドラゴンをリリースし、破壊竜ガンドラをアドバンス召喚だ!」
《破壊竜(はかいりゅう)ガンドラ/Gandora the Dragon of Destruction 》 †
効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
このカードは特殊召喚できない。
自分のライフポイントを半分払う事で、
このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊しゲームから除外する。
この効果で破壊したカード1枚につき、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
このカードは召喚・反転召喚されたターンのエンドフェイズ時に墓地へ送られる。
燐 「こ……ここでガンドラだってぇ~!?」
魔理沙「優先権を行使して、起動効果発動だ。
ライフを半分払い、フィールドのカードを全て破壊する!」LP6700→3350
燐 「(ううっ、攻撃力0じゃ奈落の落とし穴は発動できない……)」
魔理沙「ガンドラの攻撃力は破壊したカード1枚につき300上昇。よって1200だ。
そしてフィールドががら空きになった今、本命を出させてもらうぜ。
魔法カード、龍の鏡を発動!」
《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)/Dragon's Mirror》 †
通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)
魔理沙「墓地のモンタージュ・ドラゴン2体、ホルスの黒炎竜2体、
ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴンを除外する!
融合召喚、ファイブ・ゴッド・ドラゴン!!」
《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)/Five-Headed Dragon》 †
融合・効果モンスター
星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。
このカードは地・水・炎・風・闇属性のモンスターとの戦闘によっては破壊されない。
(ダメージ計算は適用する)
燐 「げっ……出ちゃった」
妖夢 「(おお、F・G・D……! これを狙ってたのか!)」
魔理沙「トドメに巨大化だ! これでファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃力は倍になる!」
《巨大化(きょだいか)/Megamorph》 †
装備魔法(制限カード)
自分のライフポイントが相手より下の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
F・G・D 攻撃力10000
妖夢 「(し、しかしこれはやりすぎ……)」
魔理沙「やっぱドラゴンはこうでなくちゃな!
教えてやるぜ。F・G・Dとは、粉砕・玉砕・大喝采を意味する!」
魔理沙「バトルフェイズだ。ファイブ・ゴッド・ドラゴンで、猫又にダイレクトアタック!
久しぶりの、ファイブ・ゴッド・スパーーク!!」
燐 「うにゃ~……」LP7000→0
*
魔理沙「いや~、またつまらぬものを……なんとやらだぜ」
妖夢 「言うならちゃんと言えってんですよ。はぁ~、まあ勝ってよかったけど。
なんですかそのムチャクチャなデッキは」
魔理沙「デッキ削って、ガンドラでボーンして、ファイブゴッドでドーンするデッキだ。
どうだ、わかりやすいだろう」
妖夢 「まんまじゃないですか。しょうもない」
魔理沙「一応別の勝ち筋としてマジエクなんかもいれてるが……
まあ、確かに毎回これでうまく回るとは限らんな。没ってことで」
妖夢 「没って……というか、試運転とかしてなかったんですか? 一度も?」
魔理沙「そうだよ。霊夢相手にワンキル使っても文句言われるだけだし」
妖夢 「(なんて一発勝負な人だ……うらやましい限りじゃないか)」
燐 「うにゃ~。負けたにゃ~」
魔理沙「お前の負け、それはすなわちわたしの勝ちだ。中に入れてもらうぜ」
燐 「わかったにゃ~。
でも一応今先にさとり様に許可をもらってくるから、ちょっと待っててほしいにゃ~」
魔理沙「把握だぜ」
妖夢 「(なんで口調が猫になってるんだ……)」
魔理沙「さて、いよいよ辿り着いたな。ようやくさとりとご対面なわけだが……。
お前はどうするつもりなんだ?」
妖夢 「え? どうするって、今までと同じですが……」
魔理沙「デュエルを挑んで無理やり奪い取るわけだな。やっぱり」
妖夢 「無理やりじゃないですよ、人を追いはぎみたいに言わないでください。
ちゃんと勝者として正当な報酬をいただくんです」
魔理沙「まあ、だとしてもだ。
そういう真似は、今回ばかりはやめた方がいいだろうな」
妖夢 「? なぜですか?
あなた、そういえばさっきも言ってましたよね。
デュエルじゃ勝てないとかなんとか」
魔理沙「まあな。会ってみればわかるさ」
妖夢 「(……??
仮にもあの自信家で、前回の大会の覇者がここまで弱気な事言うなんて……どういうこと?)」
魔理沙「ついでに言うと、疚しいことは考えないことだ。
これは忠告っていうより助言、アドバイスだな」
妖夢 「助言ならもっとわかりやすく言ってほしいんですが。いちいち抽象的ですよ」
燐 「おまたせしたにゃ~。
さとり様は来賓の間でお待ちしてるにゃ。ついて来るといいにゃ~」
魔理沙「お、叩き起こしてきたか。じゃあ行くとしようか。
ま、わたしは忠告したからな。穏便に頼むぜ。
あれ? 忠告じゃなくて助言だったかな?」
妖夢 「いやどっちでもいいですよ、別に」
妖夢 「(…………古明地さとりさん、か。いったいどういう人なんだろう)」
妖夢 「(でも……どれだけ強敵だろうが、わたしは自分の剣を信じるのみ。
この剣と幽々子様の忠義(鍋)に懸けて、わたしはどんな相手にも臆しはしない!)」
・・・・・・To be continued
早速さとり戦を投稿しましたので、よろしければご覧くださいです。