窓の外では太陽がさんさんと輝き、積もった雪で光が弾けて辺りを眩しく照らしていた。
子どもっぽいな、と思ったけど心が踊った。
毛布をガバリとはねのける。ちょっと寒い。
急いで身支度をして階段を駆け下りる。
こんな日に家の中で閉じこもっているなんて私には無理だ。
大きな音を立てて扉を開ける。
外に出た私ははっと息を呑んだ。
1年中住んでいても滅多にこんな景色は見られない。
地面を強く蹴り、飛び出す。
「今日は研究をやめて外で魔法の練習をするのもいいかもしれないなー」
そんなことをつぶやいてもう一度ぐるりと周りを見渡す。
空から見た景色は一層輝いているようで心が踊る。
見渡すかぎり真っ白い世界にはなにも生き物の気配は感じられないように思えた。
だけど、半分ほど身体を捻ったところで目の端で何かが動いているのをとらえた。
獣にしては大きい。人のようだ。
でも、こんな雪しかないようなところに人?
私だって神綺様に管理を頼まれなければこんなところ来なかったというのに。
気になって少しだけ近づいてみると背中に羽が生えているのが見えた。
天使のようなその風貌に思わず見とれてしまった。
「……あなたがユキ?」
「えっ、わっ、はい!!」
「……?」
いきなり声をかけられて。思わずドキッとしてしまった。
いつの間に目の前にいたのだろう。なんで私の名前知っているんだろう。
色々と気になることはあるがとりあえず私に用があるらしいことは確かだ。
「えっと、私になんか用?」
「これ、神綺様からあなたに……」
「神綺様から手紙?」
神綺様がよこしたのならば私の名前を知っていて当然だろう。
でも、神綺様が手紙を出してくるのは珍しい。
しかも見ず知らずの子に託すとなるとますます理由がわからない。
神綺様は時々突拍子も無いこと言い出すから、少しだけ嫌な予感がした。
まあともかく読んでみないとわからないだろう。
そう思って手紙を読み始める。
それは可愛らしい丸文字で書かれた5行程度の短い文章だった。
――ユキちゃんへ
突然ですが貴方の相方さんつくっちゃいました。マイちゃんって言います。
仲良くしてあげてね。 神綺
P.S マイちゃん作るのに力使いすぎちゃって家までは作れませんでした。
しばらくは一緒に暮らしてあげてね☆
「……これからよろしくね」
私の相方になるらしい子――マイというらしい――は微笑みながら言った。
「えっ、えっ、えええええええ!?」
驚きのあまり声が出てしまった。
何を考えているのだろう神綺様は。
一度精密検査したほうがいいんじゃないだろうか、頭の。
1人でいるのは退屈だったから相方が出来るのは構わないのだけど、突然過ぎて驚きが隠せない。
相方を創るなら創るでもっと早く伝えるべきじゃないのだろうか……。
色々と思うことはあったが、身体を動かしていないせいで冷えてきた。一度家に戻りたい。
「えっと、とりあえずうちにくる?寒いし」
「……(こく)」
小さく頷いて近づいてきた。小動物のようで可愛い。なんだか妹ができたみたいでドキドキする。
扉を開けると暖かい部屋の空気が心地良く私たちを包んでくれた。
「そこのソファにでも座ってー。今飲み物持ってくるから。ミルクでいいかな?」
「……構わないわ」
彼女が頷き、座るのを確認すると私はキッチンへと向かった。
ミルクを温め、カップに入れる。客人用のカップなんて滅多に使うことがなかったからなんだか新鮮だ。
両手にカップを持ち、部屋に戻ると、マイは物珍しそうに部屋を眺めていた。
「そんなに珍しいかな?確かに首都には無いようなものもあるけど……」
カップを手渡しながら尋ねてみる。
「……神殿から出たことなかったから。」
「神綺様に作られてすぐここに来たの?どこにも行かずに?」
「神綺様がそうしろって……」
一番最初に創られた人たち以外は、殆ど例外なく神殿の外について学んでから外に出ると聞いていたのだけど。
本当に神綺様は何を考えているのだろう。
何か深い考えがあるのかもしれないけれど、『教えるの面倒だしユキちゃんに任せちゃいましょ~』という感じかもしれない。
後者の方が可能性高そうだ、悲しいことに。
経緯について考えてみると少し憂鬱な気分になった。
「私ね……私少し不安だったの」
創造主の性格に頭を痛ませていると不意にマイが口を開いた。
私は俯き加減だった顔を上げてマイを見る。
「何が、不安だったの?」
「……私、神殿から出たことないし、神綺様以外と話したことなかったから受け入れてもらえるか心配だったの」
「でもユキは私に優しくしてくれたでしょ?だから私はここにいていいんだなあ、って」
ああもう可愛いな、この子!思わず飛びついて抱きしめたくなった心を抑えて返事をする。
「当たり前じゃない!私とマイは相方だし、それに友達なんだから」
「友達……?」
「そう、友達。」
「……嬉しいな、ありがとうユキ」
マイはそう言って微笑んだ。天使のような純粋な笑顔がなにかこそばゆい。
その笑顔を見ていると、
この子と過ごす生活はきっと素晴らしいものになるだろうな、という予感がした。
今度はマイを遊びに誘ってみるのもいいかもしれない。
気づけば私の頭の中はマイとの生活の事で一杯になっていた。
ただ、短いからもうちょっと読みたいなぁ。
安心していい。それは俺も通った道だ。
さぁ早く続きを書く作業に戻るんだ。
設定がほとんどないから作者任せだけどこれはいいss
マイが純真無垢なのが違和感あるけど続編で改良すればいいんだよ
続くのはもちろん前提(キリッ
だが良し