Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

記事がない

2010/08/09 06:22:54
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「………また来た。」

毎度どーも、と営業スマイルを貼り付けてやってきたのは射命丸文。幻想郷で新聞を作っている烏天狗とか言うやつだ。

どうせこいつのことだから新聞に載せるネタ探しにこんな天界くんだりまでやってきたのだろうけど、生憎今日も昨日も、ずーっと天界は平和極まりないですよーだ

「あやややや。今日もなんだかご機嫌ななめですねぇ」

なんて他人事に言ってるけど、私が不機嫌なのは文、アンタのせいだって分かってるのかしら。



そもそもこいつは、天界まで態々取材に来て、私や衣玖の弾幕を写真に収めたりまでしてるにも拘らず、天界の話をほとんど記事に載せない。
載ったと思ったら、衣玖の話だったことが2回。こんな記事を載せるくらいだったら、恥ずかしいけどこの前私(たち)がしでかした事の方が面白いと思ってしまったことなど50回を超える。こいつは、もうネタのあるなしではなく、明らかに意図的に天界の話題を避けている。



なので今日も私は全力で拗ねる。

「ここ最近私が行くと必ず不機嫌なのは、私何かしでかしましたか?」

なんて平気でのたまってる。白々しい。
「…自分で心当たりがあるでしょうに。」

そう言うと、あやー?、なんて言って考えるしぐさをしている。こいつ、分かってるだろ、絶対。

「…思いつきません。私何か、不快にさせるような癖とかしてました?」

嘘つけ。





私も、堪忍袋の緒が切れ掛かっていた。


「…新聞」
「え?」


「何でアレだけ取材してるのに、天界の記事が殆ど無いわけ?」

「そりゃもちろん、その時他所でもっと面白いことが起こったからで…」
「嘘おっしゃい。明らかに避けてるじゃない、貴方。どんなに天界で記事になるようなことを私が起こしてしまっても、なぜか記事になるのは巫女のお茶がどうの、白黒がまた盗みをどうのみたいな記事ばっかり。酷かったときなんか、人里のおばあちゃんが高齢出産に挑んだ話で2週間近く引っ張っていたじゃない。その時私は紫に弄ばれてあまっさえ膝枕されてるところをアンタにパパラッチまでされてるってのにさ。アンタ絶対意図的に私を避けてるでしょ?なんでよ?何が原因なのか理由を教えなさいよ!ねぇ!」
言ってるうちに自分の恥ずかしい記憶をもう一度掘り起こすことになった。全部文の所為だ。

さあ、これだけ言ってやれば、言い逃れはできないぞ。
なんとか言いなさい、このバカ文!
「……………………それは、ですね。」


「企業秘密です★」

はぁ?

「どういう基準で記事を選んでいるかとか、教えられるわけないじゃないですか。私だって一応あれこれ考えてあの新聞を毎日作ってるんですよ?」

全く説明になってない。何を言ってるんだこの天狗。

「…意味わかんないんだけど」

「それで結構。いつの日か記事にされることをお楽しみに。」

「…ふざけんなっ!」
もう怒った。懐からスペルカードを出して、カメラを構えた文の方を向い……カメラ?

パシャッ

「半泣きでスペカを構える可愛らしい天子さんの写真ゲット~♪」
「な、え、ちょっと、何撮ってんのよ!!」

「もうさっきから貴方の表情、撮りたくて撮りたくてしょうがなかったです。普通にカメラ構えたら怒るでしょうからしませんでしたけど。」
「今やったじゃない!」
「隙あり、という感じですね。それでは失礼します!」

「待ちなさい!コラー!!」

結局はぐらかされてしまった。どういうつもりだろう。本当に。あのバカ文。

今度あったらどんな目に………いや、
たまにはこちらから襲撃をかけてやろう。アイツがどんな反応を見せるか楽しみだ。

一度アイツが驚いてあたふたするところを見てやりたい。
絶対可愛いに違いな………アレ?
目的がすりかわって………あれ?
「……ふぅ。」
なんとか天子さんから逃げおおせて、妖怪の山の自宅兼作業場に帰ってきました。
扉を閉めて、まずはさっき撮った天子さんの写真を現像します。

今回も綺麗に撮れていました。
そうして写真を乾かした後は、明りをつけて1冊の分厚いアルバムを手に取り、そこに今の写真を収めます。

アルバムの中には天子さんのさまざまな写真。私が彼女に会ってから取材などのいろんな折に撮ってきた写真です。

「記事に………書けないんですよねぇ」

天子はかなりやんちゃな人です。
そもそも全てのきっかけはあの人が幻想郷のいろんな方の気質を操ったり、博麗神社を倒壊させたりという、誰の目から見ても明らかな悪事によるもので、私も異変が起こったとあればその後にはそのことを記事にするつもりでいたのです。

しかし、ここで気づいてしまったのです。
彼女を悪人にしたくないという私の感情に。
どうしてそんな感情が芽生えたか、もはや私の記憶には在りません。しかしその存在だけは、確かでした。
有体に言えば、わたしは天子さんに一目ぼれをした、ということになります。

とはいえ異変は起こったのですから、そのときの話はどうにかこうにか記事にしました。
正直、辛かったです。
とはいえ、私もこの道数百年のベテラン。完成した記事に私情は微塵も差し挟まずに書き上げました。
私の心が痛まないようにうまい事言い回しを変えながら書いたのですが。

それ以降も、天子さんは、かなりの頻度でネタになることをしでかしてくれるのですが、どれもこれも滑稽なネタばかり。
それで天子さんが喜んでくれるかどうか……

せめて、何かもっとほのぼのした、私の書きやすい何かを、
してくれたら………でも、その何かが自分でも分かりません。

「天子さん、あんなに私の新聞に載せられたかったんですね……」

そうこうしているうちに、今日の話です。
正直、参りました。

それでも、明日の新聞は書かなければいけません。
私はどうしたらいいのでしょうか。


  ■  ■  ■  

まさかのてんあや。喇叭吹きは休日です。
いやね。この前あやれいむの日ってありましたでしょ。
そのネタをひいこら言いながら搾り出していたらば、こっちのネタの方が先に沸いて出て、あやれいむ祭りと天霖ブームの中こんなネタどうしたらええねんってなってたんです。

まぁ書いてしまえばこっちのもんですけど(ぉぃ

というわけであやれいむでも天霖でもなくてごめんなさい
らぶらぶもむぎうもしてなくてごめんなさい
喇叭吹きは休日でした。

P.S.確認画面見て初めて気がついたけど、あとがき部分の分量が思ってた以上にあって吹いた件。
喇叭吹きは休日
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
てんあやとは新しい…
ブームの中真っ向から反逆してくれた作者のお陰で、新たな道が拓けました

ってかどうやって出産話で二週間も引っ張り続けたんだwww
2.拡散ポンプ削除
いいてんあやでした

天子の写真を胸に抱いて悶々とする文、を勝手に妄想
3.名前が無い程度の能力削除
後書きの文が大変可愛い、どうしてくれる
4.tukai削除
あやてんという発想はあまりなかった。
所で「紫に弄ばれてあまっさえ膝枕されてるところ」をくわs(ry
5.奇声を発する程度の能力削除
てんあや…だと!?良い!!