「なぁ・・・・」と魔理沙は一心に人形を作り続けるアリスに声をかける。
「今、話しかけないで」とアリスはぴしゃりと言って、何事かを呟きながら熱心に手を進める。彼女の背後に座る魔理沙には、アリスの手元は見えない。
深夜でもなく夕暮れ時でもない、中途半端な時間。
食後の後のありふれた一時。
魔理沙はカップのそこに少しばかり残った紅茶をコクンと飲み干した。
―温いな― と魔理沙は思う。
今日の気温のようだ。
肌に纏わりつく湿気、と微妙な気温。暑くも無く寒くも無い。居心地の悪い気温だと魔理沙はなんともなしに思った。
「アリス・・・?」
「なによ、手元が狂うから話しかけないでって」
「何作ってるんだ?」
「・・・・・秘密よ」とアリスが振り返りもしないで答える。
なんだよ、少しくらい相手してくれても良いじゃないか。と魔理沙は頬を膨らませた。
時として、魔理沙はアリスが分からなくなる時がある。
良き魔法使いの友人として、長く彼女とは接してきた。
けれども、魔理沙には彼女を見失ってしまう時があった。
手を伸ばせば届く距離にある背中も。
手を伸ばすことを躊躇ってしまうほどに、まるでそれが幻覚か何かのように、魔理沙には思えてしまう時があった。
それは魔理沙の小さな孤独。
「できた・・・」とアリスは小さく呟いた。
「・・・・何が出来たんだ?」と魔理沙は問う。
「・・・ふふっ」とアリスは小さく微笑んだようだった。
クルリと振り返ったアリスは、さっきまでの態度が嘘のように朗らかに微笑んでいた。
「あ・・・っ」魔理沙は小さく声を上げた。彼女の手には小さな魔理沙の人形が握られていた。小さな人形は、フェルトで出来たその顔に、柔らかな笑顔を浮かべて、アリスの掌の上で幸せそうに微笑んでいた。
「手元が狂っていたら、あなたの顔からは綿が飛び出していたわよ?そんな怖い人形、イヤでしょ?」とアリスは事も無げに言う。
アリスには分かっている。魔理沙が誰よりも一人を恐れていることを。
だから、アリスは彼女を時に突き放す。時に見失って行き先をなくしたその手を引いてあげる。
長い間、アリスはそうしてきた。そして、いつか、魔理沙が小さな孤独に怯えない日がくるまでそうするのだろう。
「なぁ、アリス」と魔理沙は少しはにかんで微笑む。
「熱い紅茶が飲みたいと思わないか?」
「そうね、温いのはもうたくさん」アリスは微笑んでカップに少し残った温い紅茶を飲み干した。
「今、話しかけないで」とアリスはぴしゃりと言って、何事かを呟きながら熱心に手を進める。彼女の背後に座る魔理沙には、アリスの手元は見えない。
深夜でもなく夕暮れ時でもない、中途半端な時間。
食後の後のありふれた一時。
魔理沙はカップのそこに少しばかり残った紅茶をコクンと飲み干した。
―温いな― と魔理沙は思う。
今日の気温のようだ。
肌に纏わりつく湿気、と微妙な気温。暑くも無く寒くも無い。居心地の悪い気温だと魔理沙はなんともなしに思った。
「アリス・・・?」
「なによ、手元が狂うから話しかけないでって」
「何作ってるんだ?」
「・・・・・秘密よ」とアリスが振り返りもしないで答える。
なんだよ、少しくらい相手してくれても良いじゃないか。と魔理沙は頬を膨らませた。
時として、魔理沙はアリスが分からなくなる時がある。
良き魔法使いの友人として、長く彼女とは接してきた。
けれども、魔理沙には彼女を見失ってしまう時があった。
手を伸ばせば届く距離にある背中も。
手を伸ばすことを躊躇ってしまうほどに、まるでそれが幻覚か何かのように、魔理沙には思えてしまう時があった。
それは魔理沙の小さな孤独。
「できた・・・」とアリスは小さく呟いた。
「・・・・何が出来たんだ?」と魔理沙は問う。
「・・・ふふっ」とアリスは小さく微笑んだようだった。
クルリと振り返ったアリスは、さっきまでの態度が嘘のように朗らかに微笑んでいた。
「あ・・・っ」魔理沙は小さく声を上げた。彼女の手には小さな魔理沙の人形が握られていた。小さな人形は、フェルトで出来たその顔に、柔らかな笑顔を浮かべて、アリスの掌の上で幸せそうに微笑んでいた。
「手元が狂っていたら、あなたの顔からは綿が飛び出していたわよ?そんな怖い人形、イヤでしょ?」とアリスは事も無げに言う。
アリスには分かっている。魔理沙が誰よりも一人を恐れていることを。
だから、アリスは彼女を時に突き放す。時に見失って行き先をなくしたその手を引いてあげる。
長い間、アリスはそうしてきた。そして、いつか、魔理沙が小さな孤独に怯えない日がくるまでそうするのだろう。
「なぁ、アリス」と魔理沙は少しはにかんで微笑む。
「熱い紅茶が飲みたいと思わないか?」
「そうね、温いのはもうたくさん」アリスは微笑んでカップに少し残った温い紅茶を飲み干した。
でもその暑さが好きだったり。
この雰囲気がすごい好みでした。