※注意!
グダグダ。
許容出来る方はスクロールしてやって下さい。
◆◆◆
『貴女、そこで何してるの?』
『別に。……あっち行きなよ、嫌われるよ?』
『どうして?』
『死んでも死なない人間なんて、気味悪いと思うのが普通さ』
『そう』
『あぁ』
『じゃあ私は普通じゃないわ』
『……勝手にしな』
◆◆◆
肝試しの夜。
己の従者と共に進んで行くとそこに居たのは白髪の少女。
倒しても倒してもすぐに蘇生し、全身に炎を纏う……不死鳥と鳳凰にも似た、その少女。
その少女に私は昔――会っていた気がした。
***
満月の夜。
何時もの様に何をする訳でもなく竹林を歩いていると、そこに居たのは二本の刀を携えた白髪の少女、そして桃色の髪をした和服の少女。
生者の命を無条件で奪う力を持つ、和服の少女。
その少女に私は昔――会っていた気がした。
◆◆◆
『ねぇ』
『何?』
『死ぬってどんな気分?』
『……良く分かんない』
『分かんない?』
『……最初はあれが何かなんて知らなかった。死んでから初めて、あぁ、自分はもう死ねないんだ……って思った』
◆◆◆
「何故貴方は死なないの?」
「死ねないからさ」
そんな事は分かっている。私の力が通じない事からも、それは分かりきっている。
ならば何故問うたのか、と考え不意に笑みが零れた。仕方が無い。
あんなにも悲しそうな顔をしているのだから。
「何故貴方は生きてるの?」
「死ねないからさ」
問いは違えど同じ答えが返ってくる。
言葉は同じでも、その言霊の力は全く違う。
あんなにも悲しそうな顔をしているのだから。
「何故貴方はここに居るの?」
「………………」
答えは返っては来ない。
ただ俯き、何処か沈んだ声で、言葉にならない言葉を紡いでいた。
「ねぇ、何故?」
「……復讐だよ。つまらない、馬鹿みたいなね」
「もし死ねるなら……死にたい?」
「ああ、そうだな」
「何故?」
「会いたい人がいるからな」
「家族?」
「いや、……初恋の人。ちょうど貴方みたいな髪の色をした……昔の恩人」
「そうなの」
「あぁ」
***
「何故貴方は死なないの?」
「死ねないからさ」
当たり前の事だ。蓬莱の薬を服用したこの身が息絶える事は、無い。
そう思うと、少し悲しくなった。必ず皆に置いて逝かれるのだ。
あの時の様に。
「何故貴方は生きてるの?」
「死ねないからさ」
違う問い。同じ答え。
だが意味は違う。でも自分でどう違うのかは分からない。だが何となく違うというのは分かる。
あの時の様に。
「何故貴方はここに居るの?」
「………………」
死ねないから。答えはその筈だ。
だが私の口からその言葉は出なかった。無意識にこれが答えではない、と何処かで感じていたのだ。
「ねぇ、何故?」
「……復讐だよ。つまらない、馬鹿みたいなね」
「もし死ねるなら……死にたい?」
「ああ、そうだな」
「何故?」
「会いたい人がいるからな」
「家族?」
「いや、……初恋の人。ちょうど貴方みたいな髪の色をした……昔の恩人」
「そうなの」
「あぁ」
◆◆◆
『ねぇ』
『何?』
『もし、死ねるなら死にたい?』
『死ねるよ。甦るだけさ』
『じゃあ、もし甦れないなら、甦りたくない?』
『当然』
『何故?』
『どれだけ人と係わっても、自分一人が生き残る。なくしたものを埋める為に人と接し、置いて逝かれる。気の遠くなる様な年月、その繰り返しさ』
『悲しいの?』
『悲しいんじゃない、虚しいんだ』
『虚しい?』
『人と接さずに生きて行ければどれだけ楽だったか。でも、自分を知る者が居なくなっても自分は其処にあり続ける。そう考えたら、何だか虚しいんだ』
『……だから、死にたいの?』
『違う、甦りたくないんだ』
『そう』
『あぁ』
◆◆◆
……何故だろう。この少女には会ったことがある気がする。でも、それだけじゃない。
死ねないからさ。
彼女がそう答える度、彼女が悲しそうな顔をする度、胸が痛む。何故だろうか。
「……何でそんなに、悲しそうなの?」
「死ねないからさ」
違う。死ねないから悲しいんじゃない。彼女の顔はそうは言っていない。
「……何故、そんなにも虚しそうなの?」
何故、そう問うたのかは分からない。気が付くと口から出ていた。
「……甦り続けるからさ」
返ってきた言葉は、やはり哀愁を帯びていた。
「何故、甦るの?」
「死ねないからさ」
「死んでも死にきれないからでしょう?」
「……そうかも、な」
その声は、ほんの少しだけ嬉しさを帯びていたような気がした。
***
……何故だろう。この少女には会ったことがある気がする。でも、それだけじゃない。
死ねないからさ。
こう答える度、胸が痛む。何故だろうか。
「……何でそんなに、悲しそうなの?」
「死ねないからさ」
それもある。が、それは一番の理由じゃない。
「……何故、そんなにも虚しそうなの?」
そう問われ、何故そう答えたのかは分からない。気が付くと口から出ていた。
「……甦り続けるからさ」
自然と、この少女にはこう答えるのが一番だと思ってしまった。
「何故、甦るの?」
「死ねないからさ」
「死んでも死にきれないからでしょう?」
「……そうかも、な」
死んでも死にきれない、だから甦る。そう言われた気がして、何故か少しだけ気が楽になった。
◆◆◆
『なぁ』
『あら、何?』
『生き続けられるなら、生き続けたいか?』
『ふふっ、何故?』
『あんたは私に色々言ってくれた。もう此処を発つから、それまでにあんたに聞いておきたかった』
『そう……』
『……で、どうだ?』
『生き続けたくなんかないわ。普通に生きて、普通に恋して、普通に結婚して、普通に死ぬ。それだけよ』
『……それは私が普通じゃないって、遠まわしに馬鹿にしてるのか?いくらあんたでも怒るぞ?』
『あら御免なさい。そういう意味じゃないのよ』
『じゃあどういう意味だよ?』
『そうねぇ……貴女、葬式には出た事ある?』
『……何百年か前、父親のなら』
『その時、泣いた?』
『当たり前。だってお父さんだよ?』
『それと一緒よ』
『え?』
『葬式で泣くって事は、それだけその人との思い出……過ごした時間がかけがえの無いものだったって事でしょ?その出会いを楽しみに私は生きていると言ってもいいかしらね』
『……何が言いたい?』
『いつか貴女が言った様に、人との出会いを避け続ければ永遠の生でも悲しくはならない。でも他人と何も無い生活なんて虚しいだけ。だから人は人と係わりを持とうとする。そうやって人は生き、やがて死んでゆく……』
『………………』
『だから、出会いがあって、別れがある。当たり前だけど、凄く重要。儚い命なら尚の事、よ』
『………………』
『私は出会いは好きだけど、別れは嫌いだから、貴女とはずっと一緒に居たかったんだけど……って、これじゃあ求婚みたいね』
『おいおい、私は女だよ?』
『失礼ね、分かってるわよそれくらい』
『……まぁ、私は気味悪がられる存在だからな。どの道一箇所には何時までも留まれない』
『それもそうね』
『まぁ、仕方が無いさ。薬を飲んだ私に責があるからな』
『そう……』
『あぁ……っと、そうそう』
『?』
『さっきの話だけど、やっぱり私にはよく分かんない』
『…………そう』
『でも、分かんないけど分かったよ』
『!……フフッ』
『ハハハ……さて、もう行く。じゃあね』
『えぇ。また何処かで会えると良いわね、妹紅』
『あぁ、じゃあな。幽々子。……と、最後に』
『フフ、……何?』
『好きだったよ、あんたの事。叶わぬ恋と分かっていても、好きだった』
『あらあら、私は女よ?』
『失礼な、それくらい分かってるよ』
『フフフ……』
『ハハハ……』
『フフ……有難う、私も好きだったわ。叶わないと分かってても』
『!……ハハッ』
『フフッ……』
◆◆◆
「……なぁ、生き続けられるなら、生き続けたいか?」
「愚問ね。いいえよ」
「……そうか」
「……まぁ、私もう死んじゃってるし、ね……」
「……ハハッ」
「フフッ……」
「……いいえ、か」
「えぇ」
「分かんないけど、分かったよ」
「そう、良かったわ。……さて、妖夢~帰るわよ~」
「えぇっ!?でもまだ……」
「肝試しなんてどうでもいいじゃない。それよりお腹空いたわ~」
「ゆ、幽々子様!待って下さ~い!」
「………………」
…………
………
……
…
「また会えた様な気もするし、蓬莱人も気味悪くは無いかも知れないわ~」
この出来と終わり方なら続けるのもありかも?
自分で言っておいて勝手ですいません…。
幽々子かっけえ
久しぶりに見ました、この組み合わせ。
良かったです!
続くんですか!?考えてなかった……
>>brownkan 様
たまにはこんな問答ばっかりの作品があってもいいと思ったんです。
>>奇声を発する程度の能力 様
ゆゆもこ!ゆゆもこ!
>>けやっきー 様
ゆゆもこ!
良かったですか!
>>5 様
ゆゆもこ!ゆゆもこ!