Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

鴉と覗きと

2010/07/22 00:42:56
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 目が合った。
 





 それはもう、ばっちりと、と付け加えて問題無いほどに、ばっちりと目が合った。
 それについて、文はさすがにこの状況なら悲鳴の一つも上がっておかしくないですよね、と暑さで茹だった頭でぼんやりと考えた。





 文の耳には先ほどまで煩いまでに主張していた滝の音も絶叫する蝉の声もは既に聞こえておらず、聞こえるのはただ心臓の早鐘だけだった。




 どれだけそうしていたのだろうか、ふ、と岩に胡座をかいた相手の視線がそれた。

 否、視線が下へと下りていっているのだ、と気がついた瞬間、



 「相変わらず、やなキレね」




 ひょぃ、と首を傾げた霊夢の脇を駆け抜け、両手で体を隠した余波で生まれた鎌鼬は滝の傍の梢をぱすん、という音と共に切り落としていた。
 が、今の文の耳には霊夢のぼやきは届いてはいなかった。



 「な、なななな、なんで、どうして、どうして、霊夢さんが」



 いまだ無表情に視線を寄越す霊夢から、両手で体を守るように、じりじりと滝壺の方へと下がり、水面に体を沈めながら問う文に対し、



 「んー。早苗風にいえば、アカデミックな興味があって、かしら? こないだの萃香の反応が可愛かったから、他のヤツだったらどうなるのかしら、ってね」


 「へぇ」



 あっけらかんとした口ぶりで話す霊夢に、文は滲むような口調で返事をする。が、霊夢はにやにやとした表情のまま、



 「天子のやつは予想通りだったわね。妖夢も同じね。逆に、妹紅とか輝夜があんな反応するとは思わなかったわ。他にも色々とね、」



 嬉々として続けようとする霊夢の言葉を遮り、



 「それはそれは、結構な調査でしたね」



 怒気を孕んだ声が滝壺に響く。そして文は、霊夢に見せつけるようにして集めた妖気を高々と掲げた右手の一振りで風として岩へと叩き付けようとし、





 「でも、一番は、あんたかしら? 凄いいいものが見れたわ」





 その一言に、一切が霧消した。狙っての一言かと睨む文だったが、しかしその目には相変わらずのにやにや顔の霊夢しか写すことが出来なかった。

 二の句が継げずに生じた睨み合いも、沈黙に耐えきれず、





 「こっちは最悪です」





 呻く文に対し、





 「あら、私、文の肉付き好きよ」





 そう言って巫女は、知識欲も満足したと、それ以上は何も告げずにふわふわと山裾の方へと飛んでいった。

 後には、真っ赤に茹で上がった文ヒトリ。
 後どれだけ滝に打たれればこの火照りがとれるのだろうかと、巫女が飛んでいった方を見上げていたのだった。





――文屋行水中――
とある方の夢を叶えた結果。

短い作品ですが、忌憚のないご意見を頂戴出来れば、と思います。
ではでは。
天井桟敷
コメント



1.ケトゥアン削除
あやれいむかと思ったら違った。
いや、むしろあやれいむなのか?
とりあえず一言。霊夢さんなにやってんすかwww
2.名前が無い程度の能力削除
天子の反応を詳しく
3.brownkan削除
文可愛いよ文あああっ!
4.奇声を発する程度の能力削除
文可愛いよ!
5.名前が無い程度の能力削除
さて霊夢殿、ここにカメラがあるんだが………これで私の知識欲もひとつ…なに、私は謙虚なのでな、烏天狗だけで結構だ。
6.オオガイ削除
これは可愛い……!