Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

片思い

2010/07/21 19:27:34
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「よう、霊夢。相変わらずだらけてるな」
「暑いのよ。あんたら見てると余計に暑い」
「そりゃあ、仲がよろしいからな」

胸を張って笑う魔理沙に、やる気のない返事で会話を終わらせる。
終わらせたのはいいが、隣でいちゃついている二人を見ると、やはりいい気分ではなかった。
魔理沙は三日ほど前、アリスに告白した。
そして、今日久々に会った親友の様子を見る限り、上手くいったのだろう。
嬉しい気持ちもあるが、それでも素直に喜べない自分がいる。










私もアリスが好きだった。もちろん今でも好きだ。

私が初めて恋をしたのは、まだアリスが幼かった頃。
最初は何かの間違いだとか、こんな感情すぐ忘れるだとか、そんな事を自分に言い聞かせながら今まで過ごしてきた。

でも、アリスに対する思いは募るばかりで――――

だから、春雪異変の時に彼女と再会した時は正直、運命かもしれない、なんてバカな事も思った。

昔と違う今の彼女は、小さかった頃の幼さなど全く感じさせず本当に綺麗で。
他人にはまるで興味がない、でもその中にはちゃんと優しさがあるような、そんな印象をしていた。

きっとそういうところに惹かれたんだ。


しかし今では、魔理沙の特別な人になってしまった。
魔理沙とアリスが恋人になった以上、その中に入る隙などない。

だから、私は想う。

――私が魔理沙の立場なら…
――私がアリスの恋人なら…

もし、アリスが私の特別な人なら、どれだけ幸せだろう。
アリスと手を繋いで、キスをして、共に笑い合って。
毎日が楽しすぎて、もしかしたら幸せ太りしてしまうかもしれない。



けれど、やっぱりそれは妄想であって現実とは違う。
アリスの隣にいるのは、私ではなく魔理沙で。
見たことのない笑顔を作り出しているのも恋人である魔理沙だった。









私は目を逸らした。
逃げた訳じゃない、ただ見てると暑くなってくるから。
だから、私は二人に背を向けた。


「霊夢、どうしたの?」
「何でもない、少しだるいだけ」
「ちょっと、大丈夫?」

私を心配してアリスが近寄ってくる。
こういうお節介なところも好きになった一つだったりする。
でも、今は止めてほしい。
優しくしないでほしい。
あんたは魔理沙の恋人なんだから魔理沙と仲良くしてればいい。
心臓が痛い。よくわからないけどきゅぅって締め付けられて涙が出そうになる。
少しでも気を抜いたらすぐにでも涙が出て来そうだった。

アリスの手が私に触れる。
額に手を当て、熱があるか確かめる。
魔理沙が見てるのに、あいつはすぐ妬くからきっと今も…。

「……だ、…から…」
「え?」
「大丈夫だから…」
「でも、少し熱が――」
「こんなの寝ればすぐ治るわ。…だから今日はもう帰って」

それでも、心配してくるアリスを無視して魔理沙へと視線を送る。
魔理沙も心配していた様だったが、私と目が合うなり帽子を被り直し、アリスを連れて帰って行った。
帰り際、アリスと目が合い、何か言おうとしていたが、背を向けて私はそれを拒んだ。



二人が帰った瞬間、孤独感に襲われて立ち眩みがした。
ずっと一人でも大丈夫だと思っていたのに、そうではなかった。
私はこんなに弱い人間だったのか。
何事にも捕らわれない私が、たった一人の少女に恋をしてしまったせいで、今はこんなにも情けない姿をしている。
そこら辺にいる妖怪達が見れば、容赦なく私に襲い掛かって来るだろう。


寝室に向かおうと歩くものの、思った以上に体が重く近くの壁にもたれ掛かり、呼吸を整える。

さっきまでアリスが触れていた場所に自分の手を重ねる。
指の感触と温かさがまだ残っていた。

なんでアリスの手は冷たいのに温かいんだろう。

なんであんなに優しい手をしているんだろう。






――――なんで…、私のものじゃないんだろう




いつの間にか泣いていた。
声にならない程の音で。
こんなの私じゃない、そう思ったけど溢れ出てくる涙は止まってくれない。
私の特別じゃなくて、親友である魔理沙の特別。
もう、手に入れる事のできない幸せだった。
もう少し早く自分の気持ちに素直になっていればと後悔したが既に遅い。
アリスを魔理沙から奪うなんてできない。
もう、友情を選ぶしか選択肢はなかった。
このまま、一人の友人として二人を見守るしか。




いくら後悔しても結末は変わらない。
霊夢は一人その場で佇み、声が枯れてもなお泣き続けた。
片思いは楽しいって人もいますが、やっぱり辛いですよね。
私も金髪で赤いカチューシャを付けている子に片思いしているんですが、
未だに私の思いには気づいてくれません。辛いです…
でも、その子が幸せならいいんです!
すけ
https://twitter.com/wchibi
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
うーむ、切なかったです…

奇遇ですね、私も金髪で赤いカチューシャを付けた女性に片思いしてるんです。
私もその女性が幸せなら何も言いません…
2.名前が無い程度の能力削除
こうなったら三人で!なんていかないのが辛いところ。
これからも思いを隠し続けたら壊れてしまいそうです…。ああでもでも(以下ループ

私も(ry
3.名前が無い程度の能力削除
切ない…
けど実際本当無情ですよね、片思いは…。
4.Yuya削除
凄く好みな話でした