Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

日和

2010/07/18 03:28:57
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「ありすううううう!!!!!!!!」
「…」

麗かな昼下がり。暖かな陽気に優しい木漏れ日。間違いなく日和と判断した私は自宅のテラスでお茶を飲んでいた。
ああ、平和そのもの。聞こえるのは小鳥のさえずる声だけ。こういうのを贅沢と言わず何と言おうか。ああ

「…こんなひがずっとつづけばいいのにー」
「聞こえてんでしょありすううううううう!!」

なにかしら。今日の小鳥たちは妖怪なのかしら。人語を喋るなんて。しかも

「あらやだ。まるでどこぞのみこにたいななきごえねー」
「そおおい!!!」

ずどん、と猛烈な勢いで庭に着地する鳥ならぬ巫女。博麗霊夢。

「あー、そんなに乱暴にしないでよ。育ててるハーブたちが痛むでしょう。それに見なさい。小鳥たちが怖がって逃げてしまったわ」
「どうでもいいわそんなの」

どうやら私に安寧の日々は来ないらしい。
…思えば今までこういうお茶飲んでるときに限って魔理沙なり咲夜なり早苗なり乱入してきたような…。あれか。これから私は雨の日に家に篭ってお茶を飲めばいいのか。

「はぁ、もういいわよ。言っても聞かないし」
「さすがアリス。解っていらっしゃる」
「で?何の用よ」
「それよ!!」
「ふぇ!?」

いきなり形相を変えて迫ってくる霊夢。こんな悪鬼のような顔初めて見たかも知れない。その辺の妖精なら泡吹かせられそうだ。
なんだか悪いことをした気分になってきた。

「わ、私が何かしたかしら」
「…来れなかったのよ」
「…へ?」

と思ったら今度は泣きそうな顔になっている彼女。よくもまあ一瞬で表情を180度変えれるものだ。目には涙を溜めて、私の袖口をきゅっと握りっている。さらに私のほうが背が高いからか少し上目遣いになっている。…正直くらっときた。

「な、何が来れなかったのかしら?」
「…の日よ」
「え?何の日って?」
「今日は何月何日かしら」
「えーっと、7月18日?」
「そうよ。…ねえアリス、二日前といえば?」
「16日でしょ。一体どうしたって言うの霊夢」

7月16日がどうしたというのだろうか。…何かの記念日だろうか。それともその日彼女と何か約束でもしていたのだろうか。…は、まさか実は一昨日の食事が魔界から送られてきた食材だったことになにか問題が…!?

ここ幻想郷と我が故郷魔界。隣接点は割りと近いのに入り口の交点が薄いためなかなか物質的な行き来ができないのだ。
そのため私は母と話すときはもっぱら魔法を使っていたのだが、一昨日前の16日だけは何故か物質が送られてきた。
中身は鯛。しかも金目鯛。海の存在しない幻想郷では滅多にお目にかかれない代物だ。恐らく夢子姉さんに無理行って釣ってきてもらったのだろう。その鯛には『今日はトクベツな日だからプレゼント!夢子ちゃんにもお礼言っといてね』と書かれた名刺が。
私にとっては魚などあまり特別なものではなかったために気にせず、二人に感謝しつつおいしく頂いたが…。思えば金目鯛など魔界でも高値がつくもの。ましてやこちらではまず幻の一品なのだ。霊夢はそのことをどこかで知ってその日に食事に来れなかったと怒っているのではなかろうか。

「…地味に失礼な考えしてない?」
「いえ別に」
「とにかくよ!16日は特別な日だったわけ」
「私には普通の日だと思えるけど」
「認識が甘い!!」

何だというのだ。7月16日?外で言う海の日はもう少し先だったと思うが…。

「ああもう!あんたの二つ名は何よ!?」
「…?七色の人形遣い?」
「そうよ!七色よナナイロ!!」

一体七色が何だと言うのか。七色。ナナイロ。なな…い、ろ…。
…あー。なるほど。

「716でなな・い・ろってこと?」
「そうよ七色の日よ!貴方の日なのよ!!」

なんという語呂合わせ。日本語って難しい。
でも、7月16日が私の日だとして、なんで霊夢が怒ったり泣きそうになったりするんだろうか。

「決まってんじゃないの!「貴方の日」という特別な日を理由にすれば、私も羞恥心に打ち勝ってあんたをナデナデしたりギューってしたり一杯ちゅーしたりできたじゃないの!!!」
「…」
「何よじろじろと…」

ああーなるほどー。そういうこと。

「…ん?ってうああああああああああああ!!!???なに言ってんだ自分!?!?」
「ああなるほど。つまり恥ずかくて自分からはできないけど”記念日”ということを理由にすれば何とかできると」
「…ぐう!あ、ああそうよそうよ!!何の理由も無しにあんたといちゃいちゃするなんて恥ずかしすぎてできないから記念日を言い訳に使おうとしたわよ!?ついでに言うと16日が楽しみすぎてなかなか寝付けなくて起きたら日が暮れてましたよ悪い!?」

可愛い。可愛すぎる。不味いな。真っ赤に染まった彼女の顔を見てたら自分までつられて赤くなってきた。これは彼女につられただけで決して嬉しすぎてなった訳ではない。断じて違う。しかし。

「な、なによ。今からでもいい、じゃないの?そんな、の気にするなんて貴方らしくない。好きに、なさいよ?」
「ば、ばかねあんた。雰囲気って大事よあんたこれっだから都会派、はだめね」

…似ているってやっぱり厄介。何時も思う。何故彼女は異変のときなどはガンガン行くくせにこんなときだけ消極的なのか。…あ、あの顔。
多分向こうも同じようなこと考えてるんだろう。「人形のこと語りだすと止まらないくせにこんなときだけ…」とか?
ああ、仕方ない。これじゃ日が暮れる。全く、せっかくの日和なんだから。

「ほ、ほら。じゃあこうすればいいじゃない」
「え」

ぺらぺら

「…」
「はい。これで今日マーガトロイド邸は16日よ」
「…ばかじゃないの」
「あんたには言われたくないわね」
「…」
「な、なんなのよせっかく」
「…ええそうね。今日は7月16日。貴方の日だわ」
「…ええそうよ。だ、だから、さっき言ってたこと、ちゃんとしてよね」
「!…ええ。そうね。な、七色の…日なんだから」
「そ、そうよ。七色の日なんだから…ね」


多分今日の…いや16日の我が家は、七色日和だったんだろう。







おまけ
「ねえ小悪魔」
「はい。なんでしょう」
「16日って七色の日だったんでしょ」
「そうですね」
「私行ったのよ。アリスの家の前に。そして物陰に隠れてずっと見てたけど誰も来なかったわ」
「えっと…パチュリー様?さっきですね…」
「私のとき…6月9日も誰も来なかったわ。私たち良いコンビになると思わない?」
「いいえ」
「なんですって…!?」
「私が居たじゃないですか。パチュリー様のコンビ…パートナーは私だけですっ!」
「…ありがとう。小悪魔」
「うふふ、どういたしまして」
ふふふ、日めくりカレンダーを二枚元に戻せばあら不思議!なんと七色の日になっちゃった!!

…はい。正直ごめんなさい。七色の日普通に買い物行ってました。
と、言うわけで2日遅れの七色の日記念SSです。
作業時間40分のまるで束ねられた薪のように不ぞろいな文章ですが楽しんでいただけたでしょうか。
魔界については近いけどただでは行けない。というような感じです。
なるるが
http://sevenprismaticcolors.blog58.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する(ry in レイアリLOVE!削除
一箇所だけ子悪魔になってました

待ってました!貴方ならやってくれると信じてた!
二日遅れでも大丈夫!アリスの日万歳!
2.けやっきー削除
アリスの日万歳!
いいですねぇ、アリスの日が過ぎてもこんなSSを見れるなんて…!

レイアリもいいなぁ…
3.なるるが削除
誤字修正しました。
そういえば前々からコメ返ししてなかったですね…。
というわけで。

>>奇声を発する(ry in レイアリLOVE!さま
ご指摘ありがとうございます。
なんと、待っていてくださったとは…ご期待に添えたなら嬉しい限りです。
これからもレイアリを精力的に押してまいります!

>>けやっきーさま
レイアリはいいものです。
アリスはかわいいです!
私には勿体無きお言葉、ありがとうございます。
4.Yuya削除
可愛いレイアリをありがとうございます