Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

るろうに天子ちゃん

2010/07/14 18:00:54
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今から約1時間とちょっと前くらい

宝船来航から始まった「BA☆KU☆MA☆TSU」の動乱期 渦中であった幻想郷に

「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」と呼ばれる剣士が居た

修羅さながらに人を斬り その血刀を以って新時代「ME☆I☆ZI」を切り拓いたその男と間違えるくらいに絶壁の女は

動乱の終結と共に 人々の前から姿を消し去り

時の流れと共に 「あたいったら最強ね」という伝説と化していった


そして 浪漫譚の始まりは

ME☆I☆ZI うん年 人里から ――







夜、猫が活発になる時間。

あたりは暗く、家から漏れる小さな明かりだけが、足元を照らしていた。

うっすらと人影が地面にうつる。

注意しなければ気がつかないであろうその人影に、声をかける一人の女性がいた。


「人斬り抜刀斎、じゃなくて総領娘様!!」


その声に影が振り向いた。

左頬に十字の傷……はなく、かわりに奇麗な紅葉マークを持っている。

どうみても叩かれた後なのだが。深追いはしないでおこう。

その影の腰にはひと振りの剣。

どうやら剣士らしい。

その剣士に、女性が勇みよく声を張り上げた。


「とうとう見つけましたよ。二ヶ月に及ぶ家出も今夜でお終いですよ、覚悟しなさい!」


手についたドリルを、剣士に向かって構えるひらひら服の女性。

地味に怖い。むしろすごく怖い。

だってドリル回転してるもの。

しかし剣士はそのドリルが目に入ってないのか、すっとんきょうな声をあげた。


「おろ?」

「とぼけても無駄ですよ。こんな夜中に剣を勝手に持ち出して持ち歩くなんて、他にいませんわ!!」


女性はいきなり剣士に駆け寄り、ドリルを突き出した。


「とっっ!!」


ドリルの前動作に合わせて女性に向けてにダッシュ。

ドリルはぴったりとくっ付いていたら当たらないのである。

もし剣士が後ろに飛びのいていたら、堀にでも頭をぶつけて目を回すところだった。危い危い。

しかし、剣士は誤算していた。

密着すればドリルは当たらないが……御胸様はぴったりとふにょんと当たります。


「!! び、びっくめろぉんぶはぁぁ! ……ガクリ」

「……あっけないですわ……総領娘様?」


女性は愛しむような目で、鼻血を噴いて目を回した剣士を支える。


「流浪人(るろうに)」


剣士は、鼻を押さえながら言った。


「私は流浪人、あてのない旅の剣客よ。今さっき天界から降りあわわわ、この町に着いたばかりなのに、辻斬りと言われても何のことやら分からないわ」


「ん~……では、その腰の剣はどう説明なさるのですか? どうみてもそれは緋想の剣ですよ?」

女性は剣士の腰に手を這わせ、みょうに色っぽい手つきで剣を奪い取った。

そして驚いたような、顔で言った。


「こ、これは……だんご剣…?」

※だんご剣とは、刃部分におおきな団子が3つくらい刺さっている剣のことである。なんか妙に香ばしい香りもする。


「この剣が緋想の剣に見える? というかこれで、すんなり人を斬れると思う?」

「できません……ね。喉を詰まらせることはできそうですけれど……少なくとも総領娘ともあろう方が、大切な緋想の剣をこのように扱うはずはありませんわ。ということは貴女、本当にただの……」

「そ、流浪人ってやつよ!」

「でも、何でわざわざこんな使えない剣に……」


その時、辺りに一陣の風が通り抜けた。

ふと上を見上げるとドロワーズが飛んでいる。

もうちょっと上をみると、白黒の魔法使いと、巫女が飛んでいる。


「あれは、異変解決のスペシャリスト! ということは……今度こそ!」


女性はだんご剣を一口ですべて頬張ると、ちょっと口の端をやけどしながら、巫女の後を追いかけた。


「おろ……」

慌ててだんご剣を受ける剣士。

ジュー

「あっつ!」


刃部分をもって手に大火傷をおい、涙を流しながら言った。


「……どうやら、私の知らない所で、事が生じてる様ね……だからあついって!」


なら早く放しなさいと、猫が言いたそうに、剣士を見ていた。






「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


飛び散る弾幕、星や符や座薬。

服がボロボロの魔法使いと巫女がそこにいた。

前に立ちはだかっているのは、うさのみみをつけた小柄な女性、ウドンゲだ。


「弱い!!弱い弱い弱い弱い!!うぬら、弱すぎるわぁ!!」


目を真っ赤にしているところを見ると、スーパーハイテンションっぽい。

そういえば今日は満月だった。


「しまっ!」


ウドンゲは巫女の足を軽々と持ち上げると、人差し指を、ぷす♪

ドロワーズごしに、バックザホールに差し込んだ。


「いや、いや……お願いそれだけはぁぁぁぁぁぁ!!」


巫女の願いもむなしく、次々と座薬を巫女のバックザホールに打ち込むウドンゲ。

秒間10発を絶え間なく打ち込まれ、無敵を誇っていた巫女は、ついに……堕ちた。

その様子を上空から魔法使いは見ていた。

足が震え、今にもほうきから落ちてしまいそうだ。


「つ…強すぎる、この強さはまさに…話に聞く、あの抜刀斎!!」



いやいや、剣もってないじゃん。

なんて突っ込んでくれる人は、残念ながらいない。

だが、その魔法使いを横を華麗に通り抜けて叫ぶ女性は居た。


「そこまでです総領娘……さま?」


先ほどのドリル娘だ。

なにか思いっきり勘違いしていたらしい。

せっかく格好良く出てきたのに、残念。


「すいません間違えました人違いです」

「はっはっは! 人違い? 関係ない! 目の前にいるものはただうち貫くのみ!」


ウドンゲがそういうと、一瞬で姿を消した。

次の瞬間、ドリル娘の後ろに立っていた。

波長をずらしての攻撃、乙女ガードも、間に合わない!

ウドンゲがニヤリと笑みを見せると、人差し指を突き上げる。

が、一瞬早く、ドリル娘を抱いて逃げる人影の姿。

そう、流浪人だ!


「貴方は!?」

「まったく、無茶するわね衣玖?」

「やっぱり総領娘様ではないですか」

「ギク、だから私はただの、きゃぁぁ着地失敗したぁぁ!」


ドリル娘こと衣玖に気を取られ、着地した場所は桶の中。

なぜかたまたま転がっていた、桶に両足を突っ込んだ結果、こけました。

くまさんパンツげっと。


「総領娘様!? あれほど昔から……くまさんじゃなくて、竜宮の使い柄にと言ってましたのに!」


衣玖、怒る。怒るところが違うけど、とにかく怒る。

そんな二人をよそに、ウドンゲは魔法使いを落としていた。

魔法使いの出番……以上!!

異変解決のスペシャリスト二人を落としていい気になったのか、

ウドンゲは大きな声で名乗りをあげた。


「我は抜刀斎!”神谷活心流”緋村抜刀斎!!人呼んで『人斬り抜刀斎』!!!」

「刀もってないのに抜刀斎とはこれいかに」


……ひゅ~。


衣玖が、空気を読んだ。

ついでに木枯らしも呼んだ。

ぷるぷると震えだしたウドンゲ。

口からこぼれた言葉は、


「私だってカッコいいセリフ言ってみたかったんですよー!!」

「そんな理由で人を襲っていたのですか……許せませんね」


衣玖の眼力が、ウドンゲに突き刺さる。

一度士気が落ちてしまったウドンゲは、その力をそらすことができずにまともに受けてしまった。

さらに追い打ちとばかりに、電撃ボールをぽいっとなげる。

はっとしたウドンゲが波長をずらそうと、紅い目でボールを捕らえる。

そのボールがゆっくりと、ほんとうにゆっくりと……ウドンゲのSAN値が0になった。


「え、え、え、あわわわ、いや、いやーーーー!!」


脱兎の如くとはまさにこの通り。

ウドンゲはスカートをひるがえしながら逃げて行った。

残されたのは、衣玖と流浪人の二人。


「ねぇ衣玖、何をしたの?」

「電撃ボールの形を、"ゆっくりうどん"にしました」

「あ~……」


ゲラゲラゲラゲラ!


全ては終わった。

被害者が二名、きっと後遺症が残るけど幸い二人いるから大丈夫だろう。

何が大丈夫かって、ナニがだいじょう「そこまでよ!」……だ。

流浪人がすっと立ち上がる。


「んじゃ私はこのへんで」

「まちんしゃい」

「!?」


衣玖の謎の言動につい振り返ってしまった流浪人。

振り返った先には、満面の笑みを受けべている衣玖の姿があった。


「総領娘様、覚悟はよろしいですね?」

「だから私は流浪人。総領娘じゃないわ」

「……どうしてそこまで、流浪人にこだわるのですか? そんなに帰りたくないのですか?」

「それは……」


流浪人の脳裏に昔のことがよみがえる。

毎日頬ずりしてくる総領(パパ)。

毎日お風呂に一緒に入ろうとしてくる総領(おやじ)。

毎日布団に侵入してきて抱きついてくる総領(エロおっさん)。


「やっぱり帰りたくない(きっぱり)」


「総領娘様……」

「衣玖、総領に伝えて」

「はい、朝ごはんまでには帰る、ですね?」

「ちっがうーーーー!!」


うがー! と本性をついに発揮した流浪人こと天子ちゃん。

なぜだろう、すごく頭をなでなでしたい。

たまごアイスを頬張らせたい。

それは置いておいて。


「半径1M以内にはもう近付かないでって伝えて!」

「それは無理ですね~」

「なんで!?」

「だって、もう総領娘様の後ろに居られますから」

「うそ!?」

「うそです」


ばっと振り返る天子。

もちろん誰もいないし、影もない。


「クスクス。総領娘様かわいい♪」

「……」


天子ちゃん、何も言わずに流浪人モードへ変更。

振り返った頭はそのまま、体を頭に追従させる。

自然と衣玖に背をむけ、そのまま去ろうとする。


「あら、総領娘様どこ行かれるのですか?」

「私は流浪人。気の向くままに」

「そうですか……分かりました」

「ごめんね、衣玖には苦労をかけるわ」

「いえいえ、私は引き続き総領娘様を探すだけですから」


それ以上の言葉はいらなかった。

流浪人は早くこの場から去りたかったし、衣玖も空気を読む程度の能力をフルに発揮していたし。

結果、流浪人は、そのまままた影となり、闇の中へと消えていった。







次の日の朝

太陽がおはようと元気に声をかけている。

流浪人である天子ちゃんも、太陽の声によって眼ざめ……


「ウェイクアップフィーーーーバーーーーー!!!」


「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」

「おはようございます天子様」


ぷすぷすと煙を上げながら、二度寝することになった天子ちゃん。

しかし大ナマズ様パジャマの雷属性のおかげか、なんとか一命はとりとめたようだ。

ありがとう大ナマズ様。


「げほっげほっ……衣玖いきなり何をするのよ!」

「おはようございます天子様。今日もいい朝ですよ?」


何事もなかったかのように、衣玖がそこにいた。

それもいつもの笑みで。


「最悪の朝よ……って、え? 衣玖いまなんて言った?」

「今日もいい朝ですよ?」

「その前!」

「おはようございます」

「……の後!!」

「天子様?」

「それよそれそれ! なんで急に総領娘様から天子様!?」

「天子ちゃんの方がよろしかったでしょうか……」

「そういう事じゃなーい!!」


朝からハイテンションな天子ちゃん。

でも肩から息をするくらいには、体力を消耗しているようだ。


「天子様のおっしゃりたいことが分からないのですが……」

「だって今までそう「あっそういうことですか!」……やっと分かってくれた?」


天子ちゃんの言葉をさえぎるように、両手のひらをぽんっと合わせて、ひらめいたポーズをとる衣玖さん。

いちいち動作が様になっていてかっこいい。

でも数拍ののち、ちょっと顔を赤らめつつ、ぼそっと呟いた。


「天子」

「……は?」

「ふつつか者ですが、よろしくお願いしますね天子♪」


いきなりの呼び捨ておーけーべいべー。

しかもみょんに熱っぽい。けどたどたどしい。

まるで、そう、新婚夫婦みたいな。


「こ、こちらこそよろしくってちーがーうー! ちーがーいーまーすー!」

「え? え?」

「なんで、なんでなんで総領娘じゃないの!?」

「?」


本当に分からないといった風に、首をかしげる衣玖を横目に、ちょっと恥ずかしそうにする天子ちゃん。

呼び捨てにされたことなんて無いからだろうか。

でもどことなく嬉しそうではあった。

そんな天子に向けて、衣玖はぽえっとした声で言った。


「だって、天子は流浪人ですよね?」

「……あぁそっか。そういうことね。うんうん。分かった。衣玖の言いたいことは分かった。だから帰れ」

「成田離婚!?」

「結婚もしてないから!」


衣玖の中で、名前で呼び合う=夫婦らしい。

既成事実より簡単にできそうでお手軽だね!

そんな衣玖さんは、天子ちゃんが恥ずかしがっているだけと脳内で華麗に変換。

むしろすでに夜枷まで脳内ストーリーは進んでいた。


「ところで天子。朝ごはんはお味噌汁でいいですか?」

「人の話聞いてないし……本気で私と一緒に旅をする気? それともただの監視かしら?」

「両方です。総領娘様を探す旅と、天子のパンツがちゃんと竜宮の使い柄になっているかの監視で」

「監視の意味がちっがーーーう!! あとね、あとね! ずっと気になってたんだけどさ!!」


朝のうちに体力を使い切りそうな猛烈な勢いで、天子は言い放った。


「私の名前は"てんし"!! "てんこ"じゃないから!!」



「知ってますよ?」

「不思議そうな顔でしれっと言う!? じゃぁなんで"てんこ"なの!? はぁはぁ……」


息切れアカギレネタ切れ。

天子ちゃんは頭がふらふらしてきたようだ。

あと一回どなったら、きっと倒れてしまうだろう。

あえて言おう。倒れる。


「くまさんパンツを穿いているようでは、まだまだ子供ですわ?」

「分かったわよ、脱げばいいんでしょ脱げば! ほらこれでい……あ」


パンツから片足を抜いたところで、貧血で倒れそうになった。

そこをすかさず支える衣玖。

御胸様の中に顔をうずめさせられながら、天子は感謝の言葉を呟いた。


「あ、ありがとう、衣玖……」

「いつものことではありませんか」

「そうね、いつも私ったら貧血で倒れて……」


ふと、天子は思い出した。

毎回貧血で倒れる理由を。

朝はやっぱりサンダーラブ、とばかりに衣玖の歌で目が覚める。ダダッダッダダ!! スーッ

朝ごはんは桃の味噌汁に桃の煮物。桃汁ご飯に焼き桃。

衣玖の桃の下敷きになる。鼻血でる。

衣玖のメロンに突撃する。鼻血でる。

衣玖と一緒にお風呂に入る。鼻血でる。

そこのパパも入ってくる。パパの鼻の骨を折る。


「なんだかとっても死にたい気分」

「貴方は死なないわ。だって私が守るもの」

「や、やだ。かっこいい……じゃ、なーーーーーーーーーーあぁぁふらふら~」


天子ちゃんは、また貧血で倒れそうになった。

そこをすかさず支える衣玖。

御胸様の中に顔をうずめさせられながら、天子は感謝の言葉を呟いた。


「あ、ありがとう、衣玖……」

「いつものことではありませんか」

「そうね、いつも私ったら貧血で倒れて……」


やだループって怖い。









― 浪漫譚の始まりは ME☆I☆ZI うん年 人里から        
           流浪人 天子と衣玖の 旅立ちから ―
           
           
           
るろうにが実写版になるですってよ奥さん。
……おかしいな。第一話をそのままあてはめるつもりだったのに。
キャラが悪かったのか……やっぱり辻斬りはみょんにして
でもそうすると本当にバッサリだし、みょーーーん。
こじろー
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
何このカオスwwww
2.名前が無い程度の能力削除
面白ぇww
3.こじろー削除
>奇声様
仮面ライダー電王の中の人が、KENSHINを演じるときいていてもたってもいられなくなった今日この頃。
カオスがないと生きなれない今日この頃。
カオース

>2様
面白いと言ってもらえたこじろーは、まさか最終回を書くことになるとは、この時は考えもしなかったでござるよ?
いや書かないけど……書かないよ?