『さとり先生、~』と『4人でお茶会』の間のお話です。後者は読まなくても大丈夫ですが、前者を読んでおくと、理解度が増します。
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○7月12日
フランが気持ちを打ち明けてくれた。これも、さとりのおかげかしらね。
そして、初めてフランから、『ありがとう』と言われる。
生きていて良かったとは、こういう時、使うものなのだな。自分のした事は、間違いではなかった。
改めて、フランを大切にしたい、という気持ちが強くなった。
○7月12日
お姉様に気持ちを打ち明けた。一緒に謝罪をした。
初めて「ありがとう」って言えた。初めて「ごめんなさい」って言えた。
お姉様は、私のためなら『人生の一つや二つ、軽いものよ』って笑ってたね。
本当にバカなんだから…。
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○7月16日
しばらくフランと過ごして、わかった事がある。フランは、ああ見えて、気が小さい。
私に会いたくても、私の部屋を訪ねる事が出来ないようだ。
非常に可愛らしいのだが、同時にもどかしい。
…私無しでは、生きられない身体にしようか。私色に染められないか…。(えっちな意味ではない)
ちょっと邪念が湧いた。
○7月16日
一人で地下室に居ると寂しい。こんな経験、今までにない。
不安に絡め捕られそうだ。
そんな時は決まって、お姉様を求める。だけど、いつもお姉様の部屋の前に立つと、怖じ気づいてしまう。
今まで、お姉様に恩を仇で返してきた私。こんな事でお姉様に迷惑はかけられない。
大丈夫。孤独で死ぬ事はないだろう。
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○7月17日
フランを私無しでは生きられない身体(えっちな意味ではない)にする、ね。
①一日一回、抱き締められないと、手が震える
②一日一回、私の膝でお昼寝しないと、頭痛がする
③お休みのキスをしないと眠れない
④お早うのキスをしないと起きれない
とりあえず、こんなものかしら。今回は試験的にだし、項目は徐々に増やしていけばいいわね。
では、実際に行動を起こしましょう。
○7月17日
今日のお姉様は変だった。
何が変って…とにかく変だった。
朝目覚めると、お姉様が耳元で『キスをしないと起きれない、眠れない。キスをしないと起きれない、眠れない』と繰り返し、囁いていた。目の下の隈を見ると、一晩中やっていたらしい。
さらに、お姉様は私が起きたのを認識すると、突如、お早うのキスをして、抱き締めてきた。
嬉しい。嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい…。
お昼の13時には、眠くもないのに、お姉様の膝の上でお昼寝をさせられた。
嬉しい。嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい…。
夜には、お休みのキスをされる。
嬉しい。嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい…。
今日のお姉様は、なんだっただろうか…?訳が分からない。
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○7月18日
…眠い。非常に眠い。かなり眠い。
睡眠催眠術って、肉体勝負なのね。
何にしても、これは続けなければ。日々の繰り返しが重要なのだ。
毎日、繰り返し同じ作業をすれば、いつかフランの身体は、馴染む。適応し、変化する。
それが、狙いだ。
生き物が、生き残る要因は、『強さ』や『賢さ』ではない。『変化』し、周りの環境に対応する力だ。
と、ダーウィンの進化論に載っているし。
変化する事は、生き物の本能。フランだって例外じゃないはずよ。
つまり、フランの身体を私専用に『変える』という事。(えっちな意味ではない)
そのため、フランには私にキスされる、抱き締められる、膝枕されるという環境に適応してもらう。
それは繰り返し行う事で適応するはずよ。
睡眠催眠術は保険。
…そんな事より、眠い。
○7月18日
今朝もお姉様は、『抱っこされないと、痙攣。膝枕しないと、頭痛。抱っこされないと、痙攣。膝枕しないと、頭痛』と枕元でぶつぶつ呟いていた。
…怖いよ。隈も昨日より濃くなってるし。大丈夫かしら。
そして、昨日とまったく同じ事をされた。
キス、抱っこ、膝枕…。
さすがに、二回目となると少しは……駄目だ、恥ずかしい…。
でも、抵抗が出来ない。やっぱり、嬉しいもの。
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○8月2日
あれから、二週間…あれ?…三週間だっけ…?
というか、今日…何日…?
あれ?………?
?…考えが、まとまらない?
眠い眠い眠い。
いや、寝ては駄目よ。フランを私色に…フランを私専用に…………………?(えっちな意味ではない…?)
……………。。。
寝ては駄目寝ては駄目寝ては駄目。
あれ?今は朝?夜?真っ暗じゃない?
??前が見えない??
…ああ、瞼を閉じていたのね。
○8月2日
やばい。お姉様がやばい。今にも倒れそうだ。見るに耐えない程、やつれてる。憔悴してる。
毎日、私の枕元で何かやってて、寝てないからではないだろうか。
それでも、もう日課になってしまった、キスや抱っこ、お昼寝は欠かさず行う辺り平気なのか?
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○8月3日
zzz…
○8月3日
どういう訳か今日は起きたら、昼前だった。こんな寝坊、生まれて初めて。
それでも、いつものお昼寝の時間、13時に眠たくなってしまう。
…あんなに、眠ったのに。何かおかしい…。
しかも、頭痛がする。
やばい、頭がパンクしそうだ。とりあえず、昼寝すれば、治るだろうか。
そう思い、ベッドに横になる。
………………………
………………
………
…寝れない!
どういう訳か、全く眠れない!
なにこの、眠いのに、眠れない感覚。
いつもと違う枕を使っているみたいな激しい違和感。
私は、穿つように痛む頭を抱えながら、必死に思索する。
…もしかして、お昼寝はいつもお姉様の膝の上でしていたからか?
私はそんな馬鹿な、と考えながら、勝手に足がお姉様の部屋に向かっているのに気づいた。
お姉様の部屋の前に着いた。
ノックをしようと、右手を出す。が、そこで違和感を感じる。
…尋常ではないくらい震えていた。
痙攣と言っていいくらい、カタカタと震えている。左手もだ。
…私はどうしてしまったのだろうか?
私は怖くなって、ノックもせずにドアを突き破り中に入る。
お姉様はベッドで死んだように眠っていた。
「お姉様!起きて!」と叫んでもまったく起きる気配がない。耳や翼を引っ張ってもまるで駄目。
私も寝よう。そうしよう。今日はお昼寝してないから調子が悪いんだ。寝れば治るさ。起きた時には、全部元通り。きっとそう。
そうやって自分を騙して、お姉様のベッドに潜り込み、無理やり、お姉様の腕の中に収まる。
すると、どうだろう。何故か腕の震えが止まった。次いで、強い眠気が襲ってきた。
眠気に身を委ねると、頭痛も流れるように消えていく。
そのまま、私は眠りにつく。
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○8月6日
どうやら、私は丸三日、気を失っていたらしい。
「せっかく、ここまで頑張って、フランを調教(えっちな意味ではない)していたのに、全てが無駄になった!」と嘆いていたら、何故か壊れているドアを踏みつけ、フランが入室してきた。
フラフラと、震える手で、頭を抱え、私にもたれかかる。
そのまま寝てしまった。
私は訳が分からないまま、腕の中のフランを撫でる。
これは、これはもしや成功では!?
私は安らかに眠るフランを見て、歓喜する。心の中は小躍り。
しかし、確かに目的の①、②は達したと言えよう。しかし、③、④はまだわからない。
本当に喜ぶのはそれからだ。フランで遊……フランを可愛がるのもそれからだ。
夜。フランは既に寝ているはずの時間帯。
私を足音を立てないように、地下室の階段を降りていく。
しかし、途中でフランと出くわした。
ななな、なんでこんな所にいるのかしら?夜這いとか変に勘違いされないといいけど。
私は「どこに行くの?」と口を開く。すると、フランは「の、喉が渇いたから、水を…」と答える。
フランは「お姉様は私に用?」と口を開く。そして、私は「お休みのキスをしに」と答える。
フランは「あ、そう」と呟くと、小走りで階段を上って行った。
私は、その時のフランの赤らめた顔を見逃さなかった。
今日は、いい収穫があった。
私は自然と笑みがこぼれる。
本格的にフランで遊……フランを愛でるのは明日にしよう。
私は自室に戻る。
○8月6日
今日も寝坊だった。
私こんなにお寝坊さんだったっけ?
その内、いつもの頭痛と痙攣が襲ってきた。
もう三日目になると、慣れてくる。それに症状も軽くなっている気がする。
…もう、お姉様に頼らなくても平気なのでは?
しかし、私の足は勝手に歩き出す。
この三日間で、頭痛と痙攣はお姉様に抱っこされる、一緒にお昼寝すると治まるという事がわかった。…原因は不明だが。
あ、今日のお姉様は、目覚めてる。よかった。ずっと眠ったままだったから心配してたんだよ。
最近はお姉様の姿を見るだけで、症状が軽くなる。今もこのとおり。頭痛も痙攣もあまり気にならない。
…いや、でも、もしかして~とかあるじゃん?
昨日、一昨日みたいに抱っこされながら、お昼寝しないと、またぶり返した~とかあったら怖いじゃん?
そう、だから仕方なく、お姉様に抱っこしてもらう。仕方なく。
ついでに、仕方なく、お姉様とお昼寝する。仕方なく。仕方なくだよ?
仕方なく仕方なくがしつこい?…いや、誤解されたくないから…。
ホントはお姉様に迷惑かけたくないし、抱っことかお昼寝は、甘えん坊の子供みたいで嫌なんだよ?
だから、仕方なく。
……お姉様いい匂いだなぁ。
夜。やはり、眠れない。
お姉様にお休みのキスをしないと眠れないのも、この三日間でわかっていた。
今までは、死人のように寝ているお姉様にこっそりキスをして、地下室までダッシュで戻ってから眠りについていた。
しかし、今日のお姉様は覚醒していた。そのため、私はお姉様が寝静まる時間まで待っていたのである。
地下室の階段を上っていると、お姉様に出くわした。
とっさに嘘をついた。
顔赤いのばれてないよね?
一度、態勢を立て直してから、お姉様の部屋に侵入する。
お姉様は部屋で唯一純白のベッドに寝ている。
私はお姉様を起こさないように、またがる。
いけない、心臓の音が大きくなっている。早く済まそう。
お姉様の唇に、自分のを重ねる。…すごく、いけない事をしている気がする。
妙な背徳感に、苛まれながら唇を離す。
…?今、お姉様、笑ってたような…。
気のせいだね。きっと。急いで戻ろう。
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○8月7日
私は朝早く、フランの部屋に向かった。
フランはベッドで、すやすやと可愛らしく眠っている。
とりあえず、口を唇で塞いだ。
ああ、柔らかで可愛らしい唇。
もうちょっと味わっていたかったけど、フランが目を覚ます。
「ば、馬鹿っ」と悪態をつかれた。耳まで真っ赤に染まっていたため、可愛らしさしか感じ取れなかったけど。
④番確認完了。
キスで目を覚ますなんてまるでお姫様ね。
しばらくぶりに、フランとお茶を飲んでゆっくりと時を過ごした。
昼過ぎになると、フランはそわそわし始めた。
なるほど、今は13時。お昼寝の時間だからな。
だが、私のほうからは何も言わない。
フランのほうから寄ってくるように調教したのだから。きっと、おねだりしてくるはずだ。
しばらくして、フランは私の予想通りにおねだりしてきた。やけに説明口調だったというか、言い訳みたいな感じだったけど。
少し、気になる点があった。
まぁ、合格、合格。可愛い、可愛い。
私の膝の上で、満足げに眠るフラン。
ただ、手が痙攣するとか言っていたけど、そんな様子には見えなかった。気になる点と言ったのはそこだ。
もしかして、この三日間で効果が薄れたのでは?
…私に甘えたくて嘘をついている?
確かにフランは照れ屋だ。理由なしで私に甘える事ができないのかもしれない。プライドも高い。
だとすると、私の加虐心をくすぐる。
夜はイジワルしちゃおうかしら。
○8月7日
お姉様にキスをされて目覚める。
朝っぱらから何するの…もう。
恥ずかしいじゃない…。
あれ?でもこんな朝早く起きれたのは、久しぶりかも。
しばらくぶりに、お姉様とお茶を飲んでゆっくりと時を過ごした。
昼過ぎになると、頭痛や痙攣が起きた。ただ、どちらも気にならない程度。
なんという事だ。
これでは、お姉様に抱っこしてもらうための口実が…ゴニョゴニョ。
いや、今のは違う。決して、お姉様に抱っこして欲しいとか願望の表れではないよ?
ただ、口がすべっt……それも違う。
仕方なく。そう、仕方なくなのさ。
仕方なく、お姉様に伝える。
「お、お姉様。あ、頭が凄い痛くて、手が震えるの。で、でね?お姉様に抱っこされたり、膝枕してもらったら治るような気がするというか……。そう!ま、前に本で読んだの。こういう症状の時は、だ、誰かに人肌で暖めてもらうとよくなるんだって!」と。
お姉様はクスクス笑って(なに笑ってるのさ)私を手招く。
ああ、暖かい。甘い匂い。
ずっとこうしていたい。
でも、条件反射みたいに眠たくなる。
もう駄目だ。お休みなさい。
そして現在。同日、夜。
私は、今日も眠れずにいた。
寝ているお姉様にお休みのキスする事は、私にとっての睡眠薬になってしまっていた。
どうにもならない気持ちが動き出す。気づいたら、また、お姉様の部屋の中。
…よし、よく眠ってるね。
毎晩キスをしてる事がバレたら、怒られるかもしれない。それ以上に恥ずかしい。
確実に起きないという事を確認したら、いよいよ本番だ。
背徳感と、この先の喜びへの期待を背に、唇を近づける。
…わぁ、睫毛長い。
お姉様の寝顔に見とれながら、唇と唇が軽く触れる。
私はもう、これで満足。今日もよく眠れそう。
唇を離そうとすると、お姉様と目があった。
………え?
ええええぇぇえぇぇええぇ!?
「フラン~今、何してたの~?」
お姉様はニヤニヤしながら、私の顔を両手で固定する。
この人絶対、寝た振りしてたよ!
タイミング良すぎだもん!
「ほら、言ってごらん」
お姉様は催促する。
顔が近くて目が逸らせない…。
「いや…あの…」
私は何とかごまかしを図る。
わかってるくせに。イジワルだ…。
やがて、私は観念して、話す事にした。
「キ…キ…キスを…」
「聞こえないわ。もう一回お願い」
絶対聞こえてたよね?
何かが音を立てて倒れる。
ああ、今、私、辱められてる。
こんな状況で、私は今、お姉様に屈服させられている。
…悔しい。
何が悔しいって、少し、気分が高揚してしまっている事だ。
…うう、私はこんな変態さんだったのか。
お姉様にまたがっている私。端から見れば私が優勢に思うだろう。
しかし、実際はお姉様に全ての主導権を握られていた。
「お、お姉様にお休みのキ、キスをして欲しくて来ました!」
私は、半ばやけに言う。
お姉様は「よくできました」と、言わんばかりに私にキスをする。
まだ、ちょっと恥ずかしい。でも、気持ちいい。
次に、お姉様の発言を聞いて私は驚いてしまった。
「フランは私にお休みのキスをされないと眠れないのよね~」
「ちょっ、ちょっと!何で知ってるの!」
私は慌てて応えても、お姉様は悪びれる様子はない。
「ふふふ。それは、私の策略が成功したからよ!貴女の身体は私専用になったのよ!!」
「な、止めてよ!元に戻してよ!」
口ではそう言ったが、心は真逆の事を考えていた。
…つまり、毎日、お姉様にお休みのキスをしてもらえるんだよね?やばい、なにそれ、考えただけで心臓が早鐘に変わる。
「戻して欲しかったら、私の言う事を聞きなさい」
「ぐぅ…」
なんという事だ。私はお姉様専属の奴隷になってしまったのか。
ちょっぴり興奮してしまった…くそう。
「まず、これを飲みなさい」
「不味い…」
「躊躇なく飲むのね…」
最悪だ…。なんか、不味い液体を飲まされた。最悪だ。
…だったら、抵抗すればいいじゃん。と、心のどこかでツッコまれた。
…む?身体が熱い。
そして、気づいたら上下が反転していた。
お姉様は私にまたがり、いつもの加虐的な笑みをして、口を開く。
「今のは媚薬。悪いけど、お休みのキスはお預け。貴女は私専用の身体になったのよ!!」
「う、うわああああ!」
さいこう…いや…最悪だ…!
そんな…私…無理やりなんて…。
「たーべちゃーうぞー♪」
「やーん♡」
最高です
って言い聞かせてたのに結局それかよ
いいと思います
フラン、おめでとう。
最高です
イヤイヤ言っててもほら、身体はこんなに正直……(規制されました)
あなたの作者名がもう卑猥に見えてしょうがないww