決して結ばれない。
だってあの子は幻想郷の中心なのだから。
「あら、アリス、いらっしゃい。今日も来てくれたのね」
「人里へ買い出しに行ったついでよ」
買い出しという言葉に霊夢はすぐさま食い付き、目を輝かせた。
お土産を期待しているに違いない。
まぁ、一応買ってきたし渡すしかないんだけど。
「夏だし、暑いでしょ?だから冷たいものを買ってきたの」
「気が利くわね、ではさっそく…」
頂きます、そう言うと霊夢は大きな口を開けてアイスを頬張る。
なんとも幸せそうな顔だろう。それを見ているだけでこっちまで幸せになれる。
「で…、アリスはいつ返事をくれるのかしら」
ほろほろと幸せそうな顔をしていた霊夢がいきなり真面目な顔で聞いてきたので少し驚いた。
三日ほど前の事、私は霊夢に好きだと言われた。付き合ってほしい、と。
私も霊夢が好きなのは確かだ。
けど、霊夢と私は違う。
あの子は博麗の巫女で幻想郷の中心であり、私はただの魔法使い。
なにより、人間と妖怪なのだ。
「もう少し、待ってくれないかしら」
私の焦らすような返事に霊夢の顔が少し歪む。
当たり前だ。返事を引き延ばして、それでも霊夢のところに来ているのだから。
期待するなと言われてもしてしまうだろう。
それでも霊夢は毎度、まぁ気長に待つわ、と言ってくれる。
私の答えは決まっている。もちろん「はい」だ。
でも…、返事をしてしまえばここは、この幻想郷は今まで通りというわけにはいかない。
この先の事を考えるなら、
――――断った方がいいのかもしれない。
「霊夢…、その…返事なんだけど」
「アリス、あなたが何を言いたいのかは分かってるわ」
返事をする前に、霊夢が口を開いた。
そしてそのまま続ける。
「幻想郷の事が心配なんでしょう?私は博麗の巫女であなたは妖怪。寿命差だってあるわ」
霊夢は私が思っている事を全て言ってきた。
今まで考えてきた事が全て見透かされているようで私は俯く事しか出来なかった。
それでも、霊夢は話を続ける。
「寿命差はどうにも出来ない。それに私は人間を辞めるつもりはないわ」
申し訳なさそうにする霊夢に、そう…。となるべく笑顔で返す。
それに、私自身、霊夢が妖怪になるだなんて望んでいない。
でも…もしかしたら、泣きそうな顔をしていたかもしれない。
どの道、泣くのは私なのだ。
それなら、向き合うより逃げてしまって、ひっそりと暮らす方がいいだろう。
――――だから選択肢は一つ。
「ごめんなさい、霊夢。あなたとは付き合えない」
今まで待ってもらっていたのに出た結果がこれだ。罪悪感が溢れ出す。
霊夢は怒りや悲しみの感情が混ざり合って泣きそうな顔になっていた。
「私はアリスが好きよ。あなたといれば心強いもの。だから……アリスがいてくれれば私はッ…!」
感情的になった霊夢を抱きしめて言葉を遮る。
私も好きだという気持ちを必死に抑えてあくまで冷静に、そして、優しく霊夢を抱きしめる。
急な出来事にびっくりした霊夢だが、安心したのか冷静を取り戻したようだ。
「私は…幻想郷の全てが好きなの…。霊夢の事も好きよ。でも…」
その後の言葉は言えなかった。
好きならなんで、と聞かれたがそれも答える事が出来なかった。
私は逃げたのだ。期待している部分もあった。でも霊夢の口から出る次の言葉が怖かった。
自分勝手だが、互いのことを考えるとこんな方法しかなかった。
幻想郷に罅が入ってしまうのなら、今の関係のままでいい。
――――――――――――
アリスが帰った後、霊夢は泣きながら後悔した。
もう少し、言葉が足りていれば、と。
アリスがいてくれれば私は、
――――どんな困難でも幻想郷を守ってみせるから。
だってあの子は幻想郷の中心なのだから。
「あら、アリス、いらっしゃい。今日も来てくれたのね」
「人里へ買い出しに行ったついでよ」
買い出しという言葉に霊夢はすぐさま食い付き、目を輝かせた。
お土産を期待しているに違いない。
まぁ、一応買ってきたし渡すしかないんだけど。
「夏だし、暑いでしょ?だから冷たいものを買ってきたの」
「気が利くわね、ではさっそく…」
頂きます、そう言うと霊夢は大きな口を開けてアイスを頬張る。
なんとも幸せそうな顔だろう。それを見ているだけでこっちまで幸せになれる。
「で…、アリスはいつ返事をくれるのかしら」
ほろほろと幸せそうな顔をしていた霊夢がいきなり真面目な顔で聞いてきたので少し驚いた。
三日ほど前の事、私は霊夢に好きだと言われた。付き合ってほしい、と。
私も霊夢が好きなのは確かだ。
けど、霊夢と私は違う。
あの子は博麗の巫女で幻想郷の中心であり、私はただの魔法使い。
なにより、人間と妖怪なのだ。
「もう少し、待ってくれないかしら」
私の焦らすような返事に霊夢の顔が少し歪む。
当たり前だ。返事を引き延ばして、それでも霊夢のところに来ているのだから。
期待するなと言われてもしてしまうだろう。
それでも霊夢は毎度、まぁ気長に待つわ、と言ってくれる。
私の答えは決まっている。もちろん「はい」だ。
でも…、返事をしてしまえばここは、この幻想郷は今まで通りというわけにはいかない。
この先の事を考えるなら、
――――断った方がいいのかもしれない。
「霊夢…、その…返事なんだけど」
「アリス、あなたが何を言いたいのかは分かってるわ」
返事をする前に、霊夢が口を開いた。
そしてそのまま続ける。
「幻想郷の事が心配なんでしょう?私は博麗の巫女であなたは妖怪。寿命差だってあるわ」
霊夢は私が思っている事を全て言ってきた。
今まで考えてきた事が全て見透かされているようで私は俯く事しか出来なかった。
それでも、霊夢は話を続ける。
「寿命差はどうにも出来ない。それに私は人間を辞めるつもりはないわ」
申し訳なさそうにする霊夢に、そう…。となるべく笑顔で返す。
それに、私自身、霊夢が妖怪になるだなんて望んでいない。
でも…もしかしたら、泣きそうな顔をしていたかもしれない。
どの道、泣くのは私なのだ。
それなら、向き合うより逃げてしまって、ひっそりと暮らす方がいいだろう。
――――だから選択肢は一つ。
「ごめんなさい、霊夢。あなたとは付き合えない」
今まで待ってもらっていたのに出た結果がこれだ。罪悪感が溢れ出す。
霊夢は怒りや悲しみの感情が混ざり合って泣きそうな顔になっていた。
「私はアリスが好きよ。あなたといれば心強いもの。だから……アリスがいてくれれば私はッ…!」
感情的になった霊夢を抱きしめて言葉を遮る。
私も好きだという気持ちを必死に抑えてあくまで冷静に、そして、優しく霊夢を抱きしめる。
急な出来事にびっくりした霊夢だが、安心したのか冷静を取り戻したようだ。
「私は…幻想郷の全てが好きなの…。霊夢の事も好きよ。でも…」
その後の言葉は言えなかった。
好きならなんで、と聞かれたがそれも答える事が出来なかった。
私は逃げたのだ。期待している部分もあった。でも霊夢の口から出る次の言葉が怖かった。
自分勝手だが、互いのことを考えるとこんな方法しかなかった。
幻想郷に罅が入ってしまうのなら、今の関係のままでいい。
――――――――――――
アリスが帰った後、霊夢は泣きながら後悔した。
もう少し、言葉が足りていれば、と。
アリスがいてくれれば私は、
――――どんな困難でも幻想郷を守ってみせるから。
だがここで踏み込んでいく霊夢さん素敵ッス!
狂おしいほどにハッピーだったりバッドだったりするレイアリがみたひ