Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

暴宴

2006/07/10 11:36:07
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 説明!

 宴会の席で 王様ゲームが 大ブームッ!




「みんなーー!? くじは引いたかーー!?」
『イェーーーーーイ!』
「それでは、いくぜー! 王様……」
『だーーーれだっ!?』

「はいっ 私よ」
「ダウトッ!」
「なんで!?」
「お前さっきから続けてコレで三回連続で王様だろうが! 運命操作かそこの従者の仕業か知らないが、ペナルティの実行を要求する!」
「ふんっ……そんな言いがかり、通用するはず無いじゃない。ねぇ咲夜からも言ってやりなさい『そんなこけおどしは通用しません』って!」
「い…いや、そんなことっ、私やお嬢様がするワケが……」
「顔そむけながらしどろもどろになってんじゃねー! なんでそんな白々しいのよこのパーフェクトメイドがぁーー!」


 やっぱりズルはいけません。


『ペーナルティ! ペーナルティ!』
「どうやら、逃げ場は無いようだなレミリア……」
「ひっ……咲夜、助け……!」
「まことに遺憾です、お嬢様」
「おまえ本当にワタシに忠誠感じてるかぁーーーーー!?」
「罰ゲームBOXセット! 何が出るかな何が出るかな……おぉっと、こいつぁ『対象が』『霊夢に』『人間椅子』だぁー!!」
『おぉぉぉぉーーーー!!』
「「「なにーーー!?」」」






「うぅぅ……夜の眷属たるワタシがこんな屈辱を……」
「あぁ、お嬢様……おいたわしや……」
「……座り心地悪いんだけど」


(あぁぁぁー! 霊夢の尻の感触! 霊夢の重み! あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
(お嬢様があんな格好で耐えている姿……ふぉぉぉぉ………!)
(降りたらやっぱダメなのよね……)

「ソコの二名、落ち着いたら血の処理はしとけよ?」





 二名脱落






「気を取り直していくぜー!? 王様……」
『だーーーれだっ!?』

「はいっ、私です!」
「お、オマエか。ソレでどうする?」
「えっとですねー……それじゃぁ『2番が』『5番に』『ビビンバを皿ごとぶっ掛ける』で!」


 随分とはっちゃけてますねぇ射命丸。
 何かあったか?


「あらあら、5番は私だわ」
「ついでに言うと2番はアタシだ。よしそこの真性ニート。自分は関係ないからって無言でビビンバ食ってないでその皿一つ寄越せ。……ふふっ、おあつらえ向きに石焼だぜ? こりゃぁ、大変なことになりそうだなぁ……」


 石は石でも絶対に壊れない石鉢です。


「待て魔理沙! 我が主にそのような狼藉、この私が許さない! 例えこの場が『そういう』席であろうとも、わが身を呈して主人を守ることこそが我が本概! いざ……」


 本当にいいコ。でも空気は読めません。


「待ちなさい妖夢。仕方が無いのよ妖夢、コレは、私に与えられた試練のようなもの……アナタが出ていい幕じゃないの」
「幽々子様っ! くっ、こんなとき……こんなときに、いざ力になれない自分が歯がゆいですっ!」
「大丈夫、あなたの気持ちは分かってるわ。だから、ここは私に任せなさい。大丈夫よ、きっと戻ってくるわ」
「う……ゆゆこさま~~~っ」


 感極まって抱きつく妖夢。受け止める幽々子。
 なんともまぁ、先ほどの二人とはえらい違い。


「………私は完全に悪者扱いかよ………えぇい、ままよ! 食らいやがれーー!!
「幽々子様!」
「…………………っ!」




 パクッ




「なっ……!?」
「あっ!」
(もしゃもしゃもしゃ)


『石皿ごと口で受け取めたーーーー!!?』


 原理不明。何故か幽々子の口は石皿サイズに広がらず、小さな可愛い口をもそもそ動かすのみ。


(もしゃもしゃ……ほふっほふっほ……もふもふもふ……)


 ペッ  カランッ、コロンッ、カラッ



 地面に吐き出されたのは、ご飯つぶ一粒たりとも存在しない石皿。
 一体全体、幽々子の口腔内はどういう構造なのか。
 彼女の食欲とは不可能を可能とするのか。
 会場が戦慄に包まれる中、彼女はこう言い放った。





 「流石に焼いた石は熱かったわ」







「お次だ、いくぜーーー!? 王様……」
『だーーーれだっ!?』

「私だわ」
「メイド長? いつのまに復帰したんだ?」
「ふっ……私は瀟洒で完全な従者。あの程度の楽園に浸り続けるほど落ちぶれてないわ! 時代は常に、新しい刺激を求めているっ!」

 
 要するに「もっと快感を寄越せ」。完全に瀟洒な変態はコレだから困る。
 因みにレミリアは未だ幸せに浸っている。


「よしっ! 命令だ、さぁこい!」
「命令……命令……」


 考えてなかったのだろう。少しだけ間を空ける。
 そして、こう言い放つ。


「『1番が』『3番の』『胸をもぎ取って私に献上する』!!」
『!!?』


 会場全体が咲夜を見つめる。
 それら全ては無言ながらも「その手があったか!!」と訴えているようで、物理的に可能かどうかなんては全く考えていなかった。 


「さぁ………ダレ!?」
「えっとぉ、私です」
「またかって感じだが、私だぜ……」


 おずおずといった感じに挙手をする美鈴と、苦々しい表情で名乗り上げる魔理沙。


「美鈴っ!? キタ、遂に私の時代が来るときが! さぁ、あなたの瑞々しくも恨めしく、羨ましくも禍々しいその脂肪の塊を私に大人しく謙譲されなさい!!」
「や、違うんですよ咲夜さん……」
「は?」
「………中国じゃなくてだな、私が3番で」
「私が1番です」


 呆けた表情の咲夜にお互いくじの番号を見せ付ける。
 ソコには確かに美鈴が「1」 魔理沙に「3」と書かれていた。


「………………………………。」
「………………………………。」
「………………………………。」
「…………………………………………………パス。」
「ちょっと待てこらぁーーー!!」


 思わず声を荒げる魔理沙。パスとは何だパスとは、と。


「いや、確かに私も胸は欲しいけどさぁ、流石に自分より遥かに足りてない人から貰うのは可哀想だなぁって」
「今お前『遥かに』にアクセント置いただろコンチクショウ! 足りてないっていうな、足りてないとか言うんじゃねぇーーー!!」
「あの……私はどうすれば……」
「そもそも美鈴! あなたが巨乳なのがいけないのよこの売女(ペイペロン)!」
「そうだ中国! このおっぱいオバケ!」
「ふゃ!? そんな……売女だなんて酷いですよぉ咲夜さん……。私は、その、始めても……まだ……」
「顔赤らめながらそんなこっぱずかしい告白を始めるなメイドインチャイナ(メイドたちに囲まれた中国)!」
「くそぉぉ、こうなったらどうでもいい! 貴様の胸をいただいてくぜー!?」
「あ、やっちょっと、そんなところ摘まないでイタイタイイタ! 持ってかないでー!? やっ、咲夜さんまで? 目が怖いですよ!? や、掴まないで掴まないで服が脱げちゃうから、や、そんな、触りすぎて、ふや……あ、ふっう、そんな、ダメ……ですよぉ、あうあうあぅぁ~~~~………」


 ネチョー?
 ネチョー








 気を取り直して


「そろそろ大詰めかっ!? いくぜ、気合を入れろっ! 王様……」
『だーーーれだっ!?』

「私だわ」
「アリス……お前、いたのか?」
「いたわよ失礼ね! 呼んだのはあなたでしょ!?」
「いやーすまんなー、影が薄いからすっかり忘れちまってたぜ。っていうか、私以外にお前を呼ぶようなやつもいないしなー」
「っーー! アーティクルサクリファ……」
「甘い! イリュージョンレーザー!」
「なっ!? 投げる前に私の人形を撃ち落とした……!」
「お前のそのスペルにある決定的なタイムラグは、既に見切っている!」
「くぅっ!」


 無駄に高レベル。
 

「まぁ、ソレは置いといて。早く命令を決めろって」
「わ、分かってるわよ。少しくらい考えさせってば……」

 
 熟考する素振りを見せるアリス。しかしその実、彼女の脳内は命令の案なんて微塵も考えてなどいません。


(上海、そこを右……あぁっ違うもうちょっと上に向かって!)


 こんなこともあろうかと、こっそりと宴会の席にあらかじめ配置しておいた偵察人形を、自分と感覚を共有状態にして魔理沙の後ろにつかせています。
 目標はただ一つ、魔理沙が手に持つくじの番号!


(これで魔理沙に「王様に膝枕」とか「王様に肩揉みする」とか。いや、場合によっては、その……キスとか! キャーーッキャーーッ、ばかっ、そんなのいくら王様の命令でも許してくれるはずが!)


 重ねて言うが、アリスは人形と感覚を共有している。


「ん、なんだコレ?」


 そんな状態で心の中をキャーキャー言わせたら、そりゃぁ人形だってきゃーきゃーしますとも……。





『ペーナルティ! ペーナルティ!』
「うぅ~~~……」
「全く、用意周到だなこんなモノ用意するなんて。大方、私にピンポイントで嫌がらせしようと思ってたんだろ」
「バッ! そんなことあるわけ……!」
「ん、どうした?」
「いや……なんでもないわよっ! ふん!」
「?」


 これだからツンデレは厄介です。主に当人が。


「まぁ、とっとと進行させてもらうぜ! いくぞ罰ゲームBOX!!」
『イェーーイッ!』
「何が出るかな何が出るかなっと……なになに?『鬼神「ミッシングパープルパワー」』……………?」
「は?」
「鬼が出るよーーーーーーーーー! イェーーーーーーイッ!!」




 ずごーーーーーーーーんっ




「今日も今日とて、天まで届け我が体ーー! 目標はあ○りよし○おだーー!!」


 流石に惑星と同レベルはどうだろうか。


「とりあえず、いっちゃうよーー?」
『イェーーーイッ!』

 むんず

「え、ちょ、何つかんで……いや、ちょっとぉ!?」
「そぉーーーれっ!」


 萃鬼「天手力男投げ」


「普通に死んでもおかしくないわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………………………」


 哀れアリス。本気デカ萃香に投げられて、遥か地平の彼方までひとっ飛び。
 ついでに勢いで神社が半壊。 


「今日はいつもより大きくなっておりまーーーす!」
「お前酔いすぎだーー! どんだけ飲んだんだーーー!?」
「アハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「ははっ……ははははははは!!」
「アハハハハハーー! 笑えーーー! みんな笑えーーーーーー!」
『はははははははははははははははははは!』
「笑ってられるかーーーーー!」



 その後、巫女と此度の宴会で巨大化最大記録を更新した鬼との激しい熱戦により神社がほぼ全快。
 此度の宴会に出場した全員が巻き込まれたショックで精神的疾患を訴えるか、身体的にダメージを受けたか。

 ある被害者曰く「地平線が……地平線と空しか見えなくて……。まるであのまぁるいお月様まで届くように吹っ飛んで……うふ、あははっ、あははははははは」
 また、ある被害者曰く「こんなゲームを持ち込んだ人間がそもそもの原因として訴えられるべきじゃないかしら?」
 また、ある被害者曰く「賽銭寄越せ」 

 ともあれ、宴の席で王様ゲームをすることは二度となくなったそうな。





「でも罰ゲームBOXは健在だぜ?」
「ソイツも捨てろ!」


 こないだ、僕の店に魔理沙がやってきたことをふと思い出した。
 要件も告げずに座り込み、そこらへんの本を適当に読んではとっかえ読んではとっかえ、最終的にお目当ての内容が載っている本を見つけたらしく、私に「こいつを持ってくぜ?」と、一言だけ告げて空に飛んでいった。代金の話題などする隙間も無い迅速な行動だった。
 話題を一切しないというのは、彼女なりに見つけた新しい踏み倒し方だろう。確かに効果的で、その手の話は全く出来ないという結果が残ったのだから。
 そういえば、結局持っていった本は何だったのだろうか?
 うろ覚えな記憶を手繰り寄せていく。えぇっと、確かアレは「パーティゲーム100せ「オジャマするわよー?」 
 そんなことを考えていたら、ソコに唐突に霊夢が現れた。いつもと同じ巫女服の姿だが、何でかどことなく煤けている感じだ。
 ソレに表情も固く、右手にお払い棒、左手には……アレ? アレは確か、先ほどまで考えていた魔理沙に持っていかれた本じゃ?
 そう思った矢先、霊夢は口を開く。
「この本を魔理沙に渡したのはアナタ?」


 察するべきだった、霊夢の表情から読み取れる殺意を。
 気付けるはずだった、霊夢が僕のことを「アナタ」と呼んでいることに。
 頷くべきではなかった、例え相手が旧知の仲でも。


 ただ、その後のことは何も思い出したくない。
廿四
コメント



1.名無し人妖削除
純粋に面白かった、そして一番の被害者はこーりんかw
2.名前が程度の程度の能力削除
>説明!
>宴会の席で 王様ゲームが 大ブームッ!

一瞬ビシバシチャンプを思い浮かべたが
順番逆

それはおいといて面白かった
3.名無し妖怪削除
帆・