Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

雨降る中の 一つの紅

2006/06/28 08:36:46
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梅雨の時期だと分かっていても、外に出たいときもある。

雲の行方が不穏な時でも、何故だかどこかに行きたくなる。

今日は偶々、幾百年も生きた中でそんな気紛れを起こした日。




















「ぶっちゃけ止めておけば良かったわ……」

紅の悪魔、レミリア・スカーレットは少しばかりの後悔をする

理由は、ほんのちょっとした気紛れ

ただ何となく、この危うい天気の下を散歩してみたくなったのだ

厚い雲に覆われて、陽の見えない空の下

雨傘日傘どちらも持たず、自由気ままに飛んでいく

魔法の森を迂回して

人里近くを通り越し

向日葵畑を吹き飛ばし

怒った妖怪振り切って

竹やぶの中を突き進み

兎と少々戯れて

三途の川を折り返し

何時の間にやら出たとこは

名前も知らない草原地

そこで水がポタリと落ちて

そのまま豪雨に成り代わる

雨に打たれりゃ身動きできぬ

紅の悪魔は地に伏せる

腕は横へと投げ放ち

足を僅かに広げさせ

顔は分厚い天に向け

落ちる雨に身を任せ

ジッと晴れない空を見る

晴れれば晴れたで困ったものだ

降れば降ったで困ったものだ

自然の定めは操れない

雨は強さを増していく

紅の悪魔は動けない

雨に体を蝕まれ

紅の悪魔は動けない

ポツポツ体に雨水当たり

ひやりと体を冷やしてく

元々体に温もり無いが

それでも体を冷やしてく

頬を一筋雨水流れ

ポチャリと地面に落ちていく

「こういう感じも悪くない」

一人で雲に話をかける

雲は何も話はしない

変わりに雨水鳴っている

服がビチャリと体に触れる

体と一つに合わさって

それでも不快な気分にならず

雨水体に受けていく

「今日は何だか気分が良い」

紅の悪魔は微かに笑う

雨の降る中微かに笑う

少しの後悔ハラリと忘れ

不思議と気分が昂って

思わず一声雲へと叫ぶ

雲はそれにも答えない

変わりに水の音が鳴る

帰ると従者は怒るだろうか

それとも呆れてしまうのか

それを考え微かに笑う

紅の悪魔は微かに笑う















「帰ったわよ、咲夜」
「……レミリアお嬢様、お話が御座います」
「今日は気分が良い、後にし「お話が御座います」…はい」
「そこに正座してください」
「正座って苦手な「正座してください」…はい」
「いいですかレミリアお嬢様。お嬢様はこの紅魔館の当主なのですよ?
 我侭を言うのは構いません、我々従者達はそれを叶える為に居るのですから
 ですが、お嬢様の今日の行動はなんですか?私にすら黙ってこんな危うい天気の中をお出かけなさって
 紅魔館の従者達がどれだけ心配したかお分かりですか?そもそもお嬢様は………」


その後タップリ3時間お説教をされましたとさ。
アティラリ
コメント



1.古音無削除
ふぅ~っといった感じの晴れ晴れとしたレミリア様の笑みを感じつつ。
2.じょにーず削除
さくやさんはしんぱいしょうだなぁ