Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

西行師 ~幽冥~

2006/06/27 08:55:34
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 陽光に満ちた、うららかな午後であった。
 白玉楼の縁側に、主人と庭師が並んで座っている。

「いい天気ですね、幽々子様」
 庭師が口を開いた。
「そうね、妖夢」
 主人も口を開いた。



「幽々子様、一つお尋ねしても宜しいでしょうか?」
「ええ、構わないわ」
「では――」
 庭師は居住まいを正し、聞いた。

「何故、幽々子様は幽霊の身でありながら、健啖なのでしょうか――」

 主人は顔に笑みを浮かべ、庭師から視線を外した。

「例えば、妖夢、あそこに松があるでしょう――」

 主人が指し示した先には、一本の立派な松があった。

「あの松は、食事をするかしら? それともしないかしら?」
「――――」

 ついに主人は呆けてしまったか。
 そう思った庭師は、その不遜な考えを慌てて脳内から追い払った。

「しない、と思います。
食事をする植物は、もはや植物ではなく、物の怪でしょう――」

 庭師の答えに、主人はまたも笑みを返した。

「では妖夢、あの松は生きているかしら? 死んでいるかしら?」
「生きています。あの松はまだまだ枯れないでしょうから」

 松の面倒を見るのも、庭師の仕事の一つである。
 ゆえに、庭師はよどみなく答えた。

「ならば妖夢、あの松はどうやって生きているのかしら?」
「水と、光と、土中の養分によって生きています」

 その程度の知識はある、とばかりに庭師は答えた。
 主人は、笑いながら言った。

「ならば妖夢。それらはあの松にとっての食事ではないかしら――」
「――――」

 庭師は、否定出来なかった。
 そして、主人は言葉を続けた。

「私が食事をするのは、幽霊として生きているからなのよ。
あの松が、植物として生きているのと同じように、ね――」
「――――」

 庭師は、言葉を失った。
 そして自ら、思考の迷路へと迷い込んでしまった。



 一分であろうか、一秒であろうか、一時間であろうか。
 悩み続けた庭師は、脇に置いてあったを手に取り、

「ひょうっ」

 ひゅんと振り抜かれた刀は『白楼剣』。
 人間の迷いを断ち切る刀である。

 庭師は刀を鞘に納め、言った。

「幽々子様、私にはよく判りません。
ですが、判らぬままなら判らぬままで良い。そう思いました」

 語る庭師の顔は、先ほどよりも晴れやかであった。
 それを聞く主人の笑みも、先ほどよりも柔らかであった。




「ところで妖夢、そろそろおやつがたっぷり食べたいわ」
「駄目です」

 迷いを断ち切った庭師は、主人の言葉をすぱりと切って捨ててのけた。
 魂魄妖夢、たまらぬ庭師であった――

 
映画だけではなく、小説版陰陽師も読みなさい。それがあなたに出来る善行です。
らくがん屋
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コメント



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1.無評価じょにーず 削除
ゆめまくら! ゆめまくら!
2.無評価らららくらら 削除
妖夢、GJ、よくやった。