Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

さびしがり

2006/06/26 11:36:06
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あらすじ

 エアロスミス






 あるところに

 いっぴきの さびしがりがいました


 そこはひとがわすれてしまったものが

 いきいきとすごす ふしぎのくに

 
 そこは うしなわれてしまったものが

 たどりつく なつかしいばしょ


 さびしがりは そのばしょをたびします

 どこかにむかって


 どこへゆけばいいのか

 さびしがりにもわかりません


 けれどもどこかへゆかねばならず

 さびしがりはたびをつづけました


 さびしがりは だれかといっしょがよくて

 でも だれもがさびしがりをこわがり

 さびしがりはきらわれ ひとりでした


 むかし さびしがりがこのばしょにくるまえに

 おなじことがあったきがしました

 そのときもおなじように

 さびしがりはきらわれもので

 ずっとひとりでした


 さびしがりは なきそうでした

 けれども こころのどこかで

 ないてはいけないと つよくおもいました


 さびしがりはたびをします

 ずぅっとひとりで

 なきたいのをがまんしながら



 きがつけば さびしがりはそこにいました
 
 どこまでも どこまでもつづく 

 ひまわりばたけのまんなかに


 きいろいはなびらが

 まるでたいようのよう

 そのすがたは

 さびしがりに どこかにていました


 さびしがりはおもいだします

 むかし さびしがりがこのばしょにくるまえ

 さびしがりをこわがらないでいてくれた

 ちいさなともだちのことを


 ひまわりはおおきくて

 ともだちには あまりにていませんでした

 それでも ひまわりは

 さびしがりに ともだちをおもいださせます


 うつむいたさびしがりのめから

 なみだがこぼれそうになったとき

 
「――あら、お客様かしら?」


 おんなのひとのこえがしました

 かおをあげれば ひがさをさして

 すてきなチェックのようふくをきた

 ふしぎなおんなのひとがいました


  ――あなたは ぼくが こわくないのですか?


 そうたずねるさびしがりに

 おんなのひとは ほほえみます


「泣き虫な子なんか怖くないわ」


 からかわれたさびしがりは

 また うつむいて 


 さびしがりから なきむしになりました


 なきむしは なくのをがまんしませんでした

 いま ながしているなみだは

 とてもあたたかくて

 そのなみだは ながしていいものだと

 ともだちがおしえてくれたから


 なきむしが さびしがりにもどるころ

 おんなのひとは さびしがりにたずねます


「どうしてうつむいていたの?」


 さびしがりはこたえました

 ひとりでたびをしていたこと

 ひまわりをみつけて

 そのひまわりが ともだちにそっくりで

 ともだちがこいしくて

 なきそうになったことを


 ともだちのはなしをききたがる

 ふしぎなおんなのひとに

 さびしがりは ともだちのはなしをしました


 つりばしをわたったところで であった

 さびしがりのともだちのはなしを


 はなしをききおえたおんなのひとは

 とても とても 

 やさしいかおで ほほえんで



「―――そう」



 といって 



 さびしがりが もうなかないように

 さびしがりが もうさびしくないように

 かのじょだけがつかえる

 とくべつなおまじないをかけました




 さびしがりは たびのはて

 おおきなかわに たどりつきました

 そのかわのむこうがわに 

 ゆかねばならないことをおもいだして


 おおきなかわのほとりで

 ももいろのかみの おんなのひとが

 さびしがりに おかねをだすよう いいました

 おかねがなければ おおきなかわはわたれません


 さびしがりは いつのまにかくわえていた

 ぴかぴかのきんいろのこはくを わたします

 おんなのひとは とてもまぶしそうに

 きんいろのこはくをみつめて 

 だいじに だいじに しまいます


 

 さびしがりは 

 つりばしのかわりに

 ふねにのって 

 たにのかわりに 

 かわをこえます




 かわのむこうがわには

 りっぱなかんむりをかぶった 

 ひとりのおんなのこ
 
 そのおんなのこに であい

 さびしがりのたびはおわりです


 どんなあくじでもみぬく

 そのおんなのこは

 さびしがりのあたまをそっとなで


「―――あなたに、罪はありません」


 と つげて 

 いちどだけ さびしがりをだきしめました


 
 さびしがりがすごす

 つぎのいのちに

 たくさんのしあわせが

 あふれるようにと 

 いのりをこめて



 おんなのこは たびのおわりに

 さびしがりにたずねました



「――生まれ変わるのなら、どんな姿を望みますか?」



 ひまわりのような りっぱなたてがみに

 しっかりと ちいさなともだちをくくりつけた

 おおきな やさしい さびしがりは

 しずかに ひとこと こたえました




 
 あるところに

 いっぴきの さびしがりがいました

 いまはもう どこにもいません


 さびしがりが むかし いたばしょ

 あついかぜのふく サバンナのちかくのたにぞこに


 いまは いちめんの 

 タンポポのはなが さいていました
ダンデライオンをききながら
じょにーず
コメント



1.印度削除
不思議な事に、この話を読んでいるまさに今BUMP OF CHIKENを聞いてます。
思えばダンデライオンのFlashこそがBUMPとの出会いであり、惚れ込んだ原因でもありました。
あの時の感動を思い出させて下さったこの小説にとじょにーず様に心より感謝を。
2.ぐい井戸・御簾田削除
いいなぁこれ。
3.無銘削除
おまえ、おれがこわくないのか
にげないでーいてくれるのかー
4.変身D削除
ゆうかりんもやまださまもやさしいよ!
5.木製削除
ダンデライオンを聞きながら読んだら曲と話が丁度一緒に終わって身震いが
しんみりしてるのにあらすじでまた吹きました。
6.草月削除
ダンデライオン聞き終わったあと、この話読んだら泣きそうになった。こういうクロスもいいなぁ……
7.ぼこちょ削除
やばい…凄く好きな曲なので、読んでて泣きそうになりました。
タンポポになるまでにこんなストーリーがあったんですね。・゜・(ノД`)・゜・。
8.削除
あらすじと本文の落差で泣き笑い。
いいあじだぁ…
9.名無し妖怪削除
どこまでも優しいお話、いいなぁ…。
こういうクロスなら大歓迎。
10.名無し妖怪削除
ダンデライオンはブランキーのイメージが先行してしまう俺
11.K-999削除
元ネタが解らないのが悔しいぜ。
12.名梨削除
めちゃくちゃ好きなBUMP OF CHIKENの曲でこのようなクロスを見れるとは思っていませんでした。
一言、「ありがとう」といいたい。
ありがとう……
13.名無し妖怪削除
まさかじょにーずさんの文章でダンデライオンが見れるとは

なおるよ←何がΣ(´Д`lll)
14.名無し妖怪削除
どうコメントしていいのかわかりませんがものすごく何かが沸きあがってきました。
一言で伝えるなら、うん
ありがとうと。
15.名無し妖怪削除
ダンデライオンを聞きながら読んだら
泣きました。
もう、本当にただ一言
ありがとう
16.TNK.DS削除
元ネタは分からないけど・・・涙が止まらない。
素晴らしい話をありがとうございます。
17.削除
太陽になりたい。
いやぁ…優しさに涙です。
18.卯月由羽削除
そうきたかああぁぁ
これはもう、脱帽しました。
19.名前がない程度の能力削除
むぅ。
歳を取ると涙腺が緩くなるから困る。
大好きな歌だからなおさらだ。
お見事!