Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

メリーさんの蓮子(逆も可)

2006/06/22 21:44:51
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[注意]
・雨が降ってました。





 音が響く。
 カコーン、とプラスチックを硬質の床に落とした音だ。
 程よく湿気を含んだ蒸し暑い空気の中でその音は良い感じで響いた。
 メリーは常々思う。
 銭湯と言う物は風情があって素晴らしい。
 ここでプラスチックの風呂桶が回りながら次第に音の間隔を小さくしていってやがて止まるのは実に良い、と。
 例えば硬貨などでも似たような事はあるが、アレは音が妙に高くていけない。
 ちょっと耳障りだ。

 ちなみにこんな思考は大して意味を持っていなかったりする。
 とにかく気を紛らわしたかったのだ。
 実はメリーさん、思わず使い慣れない関西弁で『あんた調子乗らんとってや!』とか言いたくなるくらい今は機嫌がよろしくない。
 この場に水場でも大丈夫な上質な紙で作られたハリセンがあったなら間違いなく隣にある綺麗な黒髪をした頭をぶち抜きたくなるであろうくらい機嫌がよろしくない。
 だが、そんなメリーの心を知ってか知らずか、つーかぜってぇ知らねぇなこの女と叫びたくなるくらい笑顔なのだが。
 蓮子は機嫌が良かった。
 そりゃもう良かった。
 何でってかなり良い感触だったから。

「ねぇ、メリー?」
「なぁに、蓮子」
「も一度触らせて?」
「ダメ」
「ぷぅ」
「頬を膨らませてもダメ」
「いいじゃない、減るもんじゃなしに。触らせてよ」
「ダメったらダメ」

 湯に仰向けに浮かびながら蓮子はしつこくメリーに迫る。
 というか湯からほどよい大きさの丸いのが浮かんでいる。
 メリーはここが女湯とは言え蓮子はもうちょっと他人の目を気にしなさい、と叱りたい気分になった。
 叱りたくはなったのだが、どうせ無駄なので叱らない。

「ねぇ、お願い。今度喫茶店の代金は全部私持ちでいいからっ」
「それでもダメ。というか何でそんなに触りたいのよ?」
「えー、なんでってそりゃあ」

 蓮子は仰向けから通常姿勢へ。
 バチャン、と派手な音を立てて湯を盛大に浴槽から溢れさせながらメリーへと近づく。
 その溢れようと言ったら、ここに風呂に拘る大工のおやっさんとか居たら絶対に怒鳴っていたに違いないくらいだ。
 女湯なのでそんなのは居ないが。
 そして蓮子はメリーの右肩を掴みながら、全く恥ずかしがる様子もなく女湯全体に響く、けれど大き過ぎない程よい声で言う。

「メリーのお尻、すっごく触り心地良かったんだもの!」




 メリーことマエリベリー・ハーンは後に語る。

 ――あの時ほどマジで秘封倶楽部やめようかと思った事はないわ――

 と。


  *


 闇がある。
 光を散りばめた闇。
 思わず溜め息が出てしまうほどの星が輝いている、夜の空だ。
 雨が降っていた名残である雨雲こそ端々に残っているものの、予報は見事に外れたと言ってもいいだろう。
 まるで光の絨毯を敷いたかのようにも思えるその空を見ながら、メリーと蓮子は歩いていた。
 端々に残った雲は例えるならば絨毯に出来たシミと言ったところか。
 けれど一点の曇りのない空よりは、いくらか味があるようにも思える。
 新しい絨毯よりはいくらか使い込んだ絨毯の方が気持ちよく昼寝が出来るだろう。
 これぐらいの方がなんだか、いい気分になれるというものだ。 

 強く吹く風は過ぎ去った低気圧の名残か。
 まだ明かりの灯った家の多い住宅街の道を吹き抜ける風を受けて揺れる、2人の濡れた髪は妙に艶っぽい。
 メリーは蓮子を見ながら思う。綺麗な黒の髪が羨ましい、と。
 蓮子はメリーを見ながら思う。綺麗な金の髪が羨ましい、と。

 そして互いに相手の髪を羨ましがっている事など知りもせず、2人は他愛もない会話をしていた。

「それにしても、蓮子の調査不足には困ったものね」
「もう、だからそれは何度も謝ってるじゃないの」
「何度謝られても言いたくなるほど困ってるのよ」
「むー」
「第一、写真の色の違う部分が色褪せてるのか、別の世界が写って色が違ってるのかくらい、普通分かると思うんだけど」
「あの写真の色褪せ方は見事だったと思うわ」
「……見事とかそういうものじゃないと思うけどね」

 そう言いながらメリーは先ほど買った缶ジュースのプルタブを引いて蓋を開け、一口呷った。
 そして「ほぅ……」と何故だかやたらに艶っぽい息を吐いた後で、言う。

「お風呂上りの炭酸は最高ね……」
「いっその事ビールとか飲めばいいと私は思うんだけどなぁ」
「明日は早くから講義だから、そうも行かないのよ」
「……メリーってビール1本で二日酔いになるようなタマでもないでしょ?」
「……まぁ、そうだけど。一応ね」

 一方、蓮子はというとビールを呷り始めていた。
 「ぷはぁ」とメリーとは違い大きな息を吐く。
 メリーはそれを見、可愛い顔が台無しだなぁ、なんて思いながら笑って、またジュースを呷った。
 そんな、結界探し失敗後に銭湯に寄った帰りの、本当に何でもない出来事が楽しくて2人は笑っている。

「あ、そうだ。メリー、今日泊まってもいい?」
「別に構わないけど、何で?」
「んっとね、何ていうか私はまだ諦めてないわよ?」
「……何を」
「メリーのお尻」

 うんうん、とか頷きながら蓮子は頬を赤く染めていた。
 ――勘弁してよ。
 勿論そんなメリーの心の声は蓮子に届くはずもなく、またメリーとて届ける気はない。
 無駄とわかっている事をわざわざするのは精神的に不利な状況を作り出しかねないからだ。
 今ここで精神的に萎える事はメリーにとって非常によろしくない。
 そう、メリーは蓮子に何としても諦めさせなければならないのだ。
 そして守らなければならなかった。自らの尻を。

「ねぇー、いいでしょー、メリィ」
「…………」

 酔っている、とまでは行かなくても多少気分が良くなっているのだろうか。
 いきなりメリーの腕を組んできてねだる様にしてきた。

「ダメ、やっぱりダメ。まずはその頭の中からセクハラという選択肢を取り去って蓮子。そしたら考えてあげる」
「えー? それじゃあ今日メリーの家に泊まる理由がなくなるじゃない」
「……蓮子。あなたは一体何がしたいの」
「メリーのお尻をもっと触りたい」

 いけしゃあしゃあと……マエリベリー・ハーンも舐められたもんだねぇ。
 ですねー。

「……そうね、蓮子。あなたが触らせてくれたのなら、考えてあげてもいいかしら」
「え」
「ほーら、嫌でしょー? 嫌でしょー? うりうりー」

 蓮子の肩を右手で掴みながら左手の人差し指と中指で頬をツンツン。
 そう、受けに回っているからダメなのだ。
 攻めろ攻めろと言わんばかりに蓮子の頬をツンツンし続けるメリー。

「あ、うん、あまり良くは無いけど……その、メリーならいいかな」
「そうー? じゃあ遠慮な」

 メリーが、「触る」と言いかけて固まった。

「待ちなさい蓮子考えなさいお尻を触られるのよ嫌でしょ嫌だろむしろ嫌って言え本当お願いしますから」

 途中命令形になったり最後頼み込んだり微妙に混乱するメリー。
 ぷいっ、と蓮子が顔を背け、表情を窺い知る事が出来なくなる。

「れ、蓮子……あなた」
「でもね、メリー。……私にも食べさせてよ?」
「落ち着け宇佐見蓮子宇佐見蓮子落ち着け」

 れんこの あやしいささやき! メリーは こんらんした!

「いい、蓮子? 触るのよ? 触るんだぞこら! 触れ触れ触れ割れ佐賀我サッカー!!!」

 メリーは わけも わからず じぶんを こうげきした!

「嘘ようそー。そう簡単に触らせないって。恥ずかしい」
「あなたはその恥ずかしい事を人にさせようとしてるんでしょうが!」

 メリーの こんらんが とけた!
 メリーの メガトンパンチ!


 ……いい音が響いて空気を震わす。
 ゲンコツイッパツハゲアタマ。禿げんけど。

「いたー。めりーひどいわー。ばいしょうをせいきゅうするー。ぐたいてきにはけつたっちー」
「せめてお尻って言いなさいよ!」
「えー、メリーが嫌そうだったからあえて卑猥そうな響きの方を避けて下品な方にしたのに」
「むきゃー!!」
「くけー!!」

 2人して顔を赤くし、息を荒げる。
 折角銭湯に寄って嫌な汗を流して来たと言うのに、これでは意味が無い。

「あぁもういい私帰る! 帰るったら帰る! 蓮子また明日! プッチンプリンの黒い部分で会いましょう!」
「メリー落ち着いて落ち着いてメリー。何が言いたいのかサッパリよ」
「サッパリなのはあなたの脳構造の方よ!」
「メリーのお尻を触りたいというのは人類である以上極自然な欲望でありましてですね!」
「もういい! お尻にこだわらないでお尻!」
「じゃあいいよ、妥協する! メリーの胸触る!」

 取り乱すメリーに合わせるかのように強い口調になる蓮子。

「何が妥協!? どこが妥協なの!? ターゲット変えただけじゃない!」

 しかし、頭は非常に冷静なのだ。

「安心してメリー! 胸を狙ったフリしてしっかり一番の狙いはお尻だから!」

 そう、だからちゃんとメリーのお尻を狙ってりゅ。
 でも言ったら意味無いやーん。
 むぎゅり。さわさわ。ふにゅん。

「ひゃ! 蓮子、やめ!?」
「う……やっぱり最高の触り心地ね。これを触れる事になる旦那さんは幸せ者だわ」
「知らない! 知らないわよそんなの! あ、でも、未来の旦那さんに触って貰うから蓮子はやめっ」
「私が未来の旦那さんになるー」
「あんまり飲んで無いのにたっぷり酔えるあなたにグングニル撃ちたい!」

 さわさわさわさわ、しとしと。ぴた。

「不夜城メリーのおしりー!」
「ホントやめてー!!!!」



蓮子のほっぺとおっぱいツンツンしたい。
途中からテンション上がりまくってます。なんででしょう。
とりあえず蓮子のほっぺをツンツンするメリーと、メリーのお尻を触る蓮子が書きたかった。
そんな感じ。

ありがとうございましたというかむしろおめでとうございました。


あと雨降ってましたっつーか「バレンタインの夜に」の続きのつもりで書き始めたんですけどもうなんか関係ない感じですね!
翔菜
[email protected]
http://www.little-wing.org
コメント



1.名無し妖怪削除
まことごちそうさまでした
2.名無し妖怪削除
つんつんつーん((((´ω`))))
3.変身D削除
なんて欲望が全開な秘封SSなんだ(←誉めてますw
4.名無し妖怪削除
マスターボールはッ!?マスターボールは何処だ!!
5.てきさすまっく参拾弐型削除
すばらしい。すばらしい。