あらすじ
シベリア超特急
ぽつ ぽつ ぽつ ぽつ
ざあ ざあ ざあ ざあ
くもり空からぽつぽつざぶん。
大きな雨つぶ落ちてきた。
幻想郷のにわか雨。
梅雨の昼時、雨もよう。
「やまないな」
「やまないね」
雨、やまないね。
小さなスギの木の下で。
式のふたりが雨やどり。
ふさふさしっぽの八雲藍。
ふたまたしっぽの式の橙。
今日はいっしょにおべんきょう。
おでかけしてたら雨ふられ。
見上げる空はまっくろけ。
かみなりゴロゴロなっていた。
「藍さま藍さま、かみなりです」
「大丈夫。落ちてはこないよ」
「ほんとうに?」
ゴロゴロぴかぴか。
いなびかり。
こわがる橙を抱き寄せて。
そっと頭を撫でてやる。
「今いるスギは背が低い」
「低いとかみなり、落ちないですか?」
「そうだとも」
「けれども藍さま、濡れちゃいます」
「そうだね。それが問題だ」
高いスギにはかみなり落ちて。
低いスギにはかみなり落ちない。
ゴロゴロぴかぴか。
ゴロぴかドーン。
かみなりだってこわくない。
でもでも小さいスギの木は。
葉のある枝ぶり少なくて。
雨がしとしと落ちてくる。
まだまだ幼い式の橙。
水には弱い式の橙。
雨に濡れると元気な顔も。
たちまちしょんぼりくもり空。
「困ったな」
小さな肩を抱いたまま。
空を見上げて思い出す。
むかしむかしの雨もよう。
式が式を作る前。
ひとりで雨に降られてた。
自慢のしっぽもびしょ濡れで。
ご主人さまはマヨヒガで。
そのころ式はおさなくて。
水にとっても弱かった。
『困ったな』
つめたい雨にずぶ濡れで。
帰るに帰れず立ち往生。
途方にくれて、さびしくて。
涙をこらえて呟いた。
そして聞こえたあの声は。
今でもずっと、覚えてる。
つめたい雨とさびしさも。
たちまち消える、あの言葉。
「お困りかしら?」
『お困りかしら?』
「紫様!」「紫さま!」
『紫さま!』
ぱっかり開いたスキマから。
ひょっこり出てくるご主人様。
雨にぬれたつ式ふたり。
静かに見下ろし笑ってた。
重なる思い出。
こぼれる笑顔。
今の景色に溶けてゆく。
むかしむかしの雨もよう。
「お目覚めでしたか、紫様」
「雨の気配でついさっき」
「お久しぶりです、紫さま」
「元気にしてた? 二人とも」
「もちろんです」「もちろんです」
すこしの間、雨わすれ。
笑顔で挨拶交わしてる。
ふたりの主人の紫さま。
一度眠ると夢の中。
ながいながーい夢の中。
式のふたりで勝手に気まま。
くらしていくのも楽しいけれど。
やっぱりみんな、いっしょがいいから。
会えたときには、すごくうれしい。
「今日は雨ね」
「やまないです」
「お困りかしら?」
「はい、とても」
くすくす笑って紫さま。
スキマを大きく広げてく。
スキマの向こうに見えるマヨヒガ。
我が家の前までひとっとび。
今もむかしも変わらない。
静かな優しい笑顔を浮かべ。
大きくなった式神と。
まだまだ小さい式神に。
「お入りなさい」
同じ言葉をなげかけた。
今でもずっと覚えてる。
今日からずっと忘れない。
それは八雲の式たちの。
大事な大事な雨もよう。
シベリア超特急
ぽつ ぽつ ぽつ ぽつ
ざあ ざあ ざあ ざあ
くもり空からぽつぽつざぶん。
大きな雨つぶ落ちてきた。
幻想郷のにわか雨。
梅雨の昼時、雨もよう。
「やまないな」
「やまないね」
雨、やまないね。
小さなスギの木の下で。
式のふたりが雨やどり。
ふさふさしっぽの八雲藍。
ふたまたしっぽの式の橙。
今日はいっしょにおべんきょう。
おでかけしてたら雨ふられ。
見上げる空はまっくろけ。
かみなりゴロゴロなっていた。
「藍さま藍さま、かみなりです」
「大丈夫。落ちてはこないよ」
「ほんとうに?」
ゴロゴロぴかぴか。
いなびかり。
こわがる橙を抱き寄せて。
そっと頭を撫でてやる。
「今いるスギは背が低い」
「低いとかみなり、落ちないですか?」
「そうだとも」
「けれども藍さま、濡れちゃいます」
「そうだね。それが問題だ」
高いスギにはかみなり落ちて。
低いスギにはかみなり落ちない。
ゴロゴロぴかぴか。
ゴロぴかドーン。
かみなりだってこわくない。
でもでも小さいスギの木は。
葉のある枝ぶり少なくて。
雨がしとしと落ちてくる。
まだまだ幼い式の橙。
水には弱い式の橙。
雨に濡れると元気な顔も。
たちまちしょんぼりくもり空。
「困ったな」
小さな肩を抱いたまま。
空を見上げて思い出す。
むかしむかしの雨もよう。
式が式を作る前。
ひとりで雨に降られてた。
自慢のしっぽもびしょ濡れで。
ご主人さまはマヨヒガで。
そのころ式はおさなくて。
水にとっても弱かった。
『困ったな』
つめたい雨にずぶ濡れで。
帰るに帰れず立ち往生。
途方にくれて、さびしくて。
涙をこらえて呟いた。
そして聞こえたあの声は。
今でもずっと、覚えてる。
つめたい雨とさびしさも。
たちまち消える、あの言葉。
「お困りかしら?」
『お困りかしら?』
「紫様!」「紫さま!」
『紫さま!』
ぱっかり開いたスキマから。
ひょっこり出てくるご主人様。
雨にぬれたつ式ふたり。
静かに見下ろし笑ってた。
重なる思い出。
こぼれる笑顔。
今の景色に溶けてゆく。
むかしむかしの雨もよう。
「お目覚めでしたか、紫様」
「雨の気配でついさっき」
「お久しぶりです、紫さま」
「元気にしてた? 二人とも」
「もちろんです」「もちろんです」
すこしの間、雨わすれ。
笑顔で挨拶交わしてる。
ふたりの主人の紫さま。
一度眠ると夢の中。
ながいながーい夢の中。
式のふたりで勝手に気まま。
くらしていくのも楽しいけれど。
やっぱりみんな、いっしょがいいから。
会えたときには、すごくうれしい。
「今日は雨ね」
「やまないです」
「お困りかしら?」
「はい、とても」
くすくす笑って紫さま。
スキマを大きく広げてく。
スキマの向こうに見えるマヨヒガ。
我が家の前までひとっとび。
今もむかしも変わらない。
静かな優しい笑顔を浮かべ。
大きくなった式神と。
まだまだ小さい式神に。
「お入りなさい」
同じ言葉をなげかけた。
今でもずっと覚えてる。
今日からずっと忘れない。
それは八雲の式たちの。
大事な大事な雨もよう。
凄く…癒されました…(´∇`*)
だがしかしエレニアックの魔女っ子乙(笑
へっちゃらだよ!
自分の傘に「お入りなさい」でも良かったですね。
優しい気分になれました。
そして2行目で吹いた
こんな家族っていいなぁ