Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ゆかりの挑戦状 中編

2006/06/10 09:32:53
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 ひとりぼっちになった藍が不憫だ。よし、最強パスワードで藍を強くしよう。


 みこみこみこみこみこみこみこみこみこみこ
 みこみこみこみこみこみこみこもこみこみこ


 ぱすわーどがちがいます

 
 


 藍は地図に記された文字の意味を考える。


 「当然宝のありかを示す暗号だろう」  

 『ひとつのさくら ふたつのけん みっつのおと』 とはそれぞれ、
 白玉楼の西行妖、楼観剣と白楼剣、プリズムリバー三姉妹を指すと思われる。
 『よっつのはね』はわからない。いずれにしろ、冥界に手がかりがあると見て良いようだ。

 「まず、幽々子嬢のところへ行くか」

 と思って飛ぼうとしたが、身体が浮かばない、紫に力を取り上げられたのだ。

 「駄目か、いいや、飛び方はまだある」

 藍はそう言うと、しっぽに力をいれ、思い切り回し始めた。

 「むんっ」

 9本のしっぽのうち4本を高速回転させ、さらに4本を反対方向に回転させることで反作用を打ち消し、ヘリコプターの要領で宙に浮いた。残りの一本で舵を取る。

 「ふふふ、意思あるところ、必ず突破口あり、だ」

 高度を上げ、上空にある冥界と顕界を分かつ結界を目指す。しかし、途中でしっぽの筋肉がつり、バランスを崩して墜落してしまう。

 「むきゅ~」 


 ゆかりの挑戦状


 目を覚ますとそこは花畑だった。身体の痛みは消えている。遠くを見渡すと川と渡し舟が見えた。

 「三途の川か、何百年も生きてきた割には、あっけない最期だったな」

 まるでそれが自然であると言うように、藍は運命を受け入れ、川岸に向かって歩く。
 船頭がこちらに気づき、手を振った。

 「よく来たね、これからあんたを向こう岸に連れて行く、渡し賃を出しな」

 川岸で藍を待っていた船頭は、和洋折衷のような服を着た少女だった。

 「ああ、あったあった、これで連れて行ってくれ」

 渡し賃を手渡し、船は岸を離れる。

 つまらない意地を張ってこんなことになってしまった。でももう彼岸へ行かなければならない。
 紫様、ごめんなさい。橙、紫様の言うことをよく聞いて、かつ紫様をうまく抑えて立派な妖怪になるんだぞ。

 「やだ、穴があいてる」

 船頭がふいに声をあげた、見ると船底に小さな穴があった。
 その穴が見る見るうちに広がり、船が沈んでいくではないか。

 「なんなのよこれ、あんたも見てないで水出すの手伝って!」

 船頭と藍は必死で水をかき出すが、たちまち二人分の体重を支えきれなくなり―


 てろか、じこか。わたしぶねはなぞのちんぼつをとげた。
 

 藍は何とかこちら側の岸に泳ぎ着き、息を吹き返した。船頭はどうなったか分からない。
 上司にお説教されるかも。

 (ふふっ、まだ死んではならないわ、そうですとも、これしきの苦しみで死なせてなるもんですか)

 (紫様こわーい) 


 ゆかりの挑戦状


 途中邪魔してきた氷精や宵闇や蛍を素手で殴り倒し、財布を奪いながらようやく白玉楼に着いた。
 ちなみに3000幻想郷円ほど貯めた。

 「で、ようやく私たちのところへ来れたと?」 客間で、突然の来客に戸惑いながらもお茶を淹れる妖夢。

 「そうだ、けっこう苦労したんだぞ」 ずずず~っとお茶をすすりながら藍。

 「藍どの、それで宝の在りかの手がかりを探しにきたのですね」

 「ああ、ところでお茶菓子おかわり」 藍は腹が減りまくっていた。

 「ああ、また幽々子さまったら私にだまって変な催しを・・・」

 妖夢、うつむいてため息をつく。でもお菓子を出すのは忘れない。

 「ありがと、その様子だとなにも知らんのか」

 「ええ、お役に立てなくてごめんなさい」

 「いや、いいんだ、ところで・・・」

 「ぱんぱかぱーん! 八雲藍、白玉楼到達おめでとう」 

 幽々子がふすまを開けてクラッカーを鳴らし、プリズムリバー3姉妹がファンファーレをならす。

 その音でびっくりした妖夢がお茶をこぼし、半霊にかかる。
 
 「あつっ、幽々子様、いい加減にしてくださいよ」

 「藍、これを見るのよ」

 そう言って幽々子は二人を庭に誘う。

 白玉楼の幽霊たちが集まり、人文字ならぬ幽霊文字を作っていく。このように読めた。
 

   ファンタズマゴリアン  キッド     ~幻想の黄金~


 「これは?」

 「退屈さに耐えて、ここまで読んだ方だけが知ることのできる、このSSの真のタイトルよ、ここまでたどり着けた人はかなりの実力をもってるわ」

 幽々子がわけのわからないことを言う。きょとんとしている藍を無視して続けて言う。

 「貴女がここにきたのはそう、運命。見えないチカラがあなたをここで呼び寄せた。あなたは何かを探している。そうでしょう。」

 「そのとおり、でも・・・」

 「ここであなたは否応なく、プリズムリバーたちにたて笛を習う定めなのよ」

 「ハア?」

 芝居がかった口調で、さらにわけのわからないことを連発する幽々子。

 「ほんとうは三味線なんだけど、猫の式神と暮らしているあなたには酷だから」

 ルナサが説明するが、意味が良く分からない。ほんとうは、とは何だ?
 「それじゃあ 練習始めるよー、これ持って」

 メルランが強引に縦笛を藍に持たせた。

 「はいはい~、受講料は3000幻想郷円だよ~」

 言われるままに雑魚妖怪から分捕ったお金をリリカに渡す。

 「ありがとうございました」 3姉妹がそろってお辞儀。

 「これでこのイベントは終了ね」

 「幽々子嬢、これは何なんですか、それにまだ何も習ってない」

 何だかだまされた気分がする。

 「ああ、これはゲームだからいいのよ」

 「ばかっ、ルナ姉」

 メルランとリリカが長女をたたく。

 「ゲームだって?」 

 「言ったとおり、ここにはこれ以上のイベントはないわ、さあ、お行きなさい。運命を切り開くのよ。藍」

 「ちょっ、待て、うわぁ」

 急に藍の足元にぽっかりと穴があき、顕界へまっさかさま。

 「ああ、いけない、私とした事が」

 幽々子が穴に顔を突っ込み、落下していく藍へ向けて叫んだ」

 「ヒント言い忘れちゃった~、赤い館で『よっつのはね』に会うのよ~」 教訓 悪銭身につかず。

 
 ゆかりの挑戦状


 「赤い館・・・か。」

 その赤い館、というのは紅魔館のことだろう、そこで「よっつのはね」を探すわけだ。
 慣れてきたしっぽコプターを回し、空中へ舞い上がる。
 しかし・・・。

 どかーん

 飛んでいた夜雀と正面衝突。バランスを崩して湖面に落ちる。

 「またあんたね、どこ見て飛んでんのよ」 水にぬれながらミスティアが抗議する。

 ミスティアをなだめ、今度は泳いで紅魔館を目指す。
 やっと岸に手を伸ばしたその時。

 どごーん

 岸に手を触れた瞬間、なにかの罠が作動し、爆発で吹き飛ばされる。

 「なんで~」

 やはり空からかと再びしっぽコプターで挑戦。なぜかミスティアそっくりの夜雀が三羽飛んでくる。
 藍は先手必勝とばかりに気弾を撃ち、三羽とも撃墜する。

 「気をつければ大したことはない・・・。ん、何だあれ」

 紅魔館外界でUFOなどと呼ばれている、空飛ぶ円盤が浮遊している。
 そいつはただふわふわと飛んでいるだけだが、藍と同じ高度に達すると弾丸を放ってくる。
 弾丸を浴び、またしても叩き落される藍。

 ぼーん

 「あ~れ~」

 「くっそー、もう一度だ」

 ちゅごーん

 しかし、疲労と相次ぐ失敗の苛立ちが重なり、あろうことか、またみすちーと衝突。

 「もう何なのよー」

 「き、今日はもう休もうか」

 その晩、もげたみすちーの手羽先を狐火で焼き(ちなみに、翼は再生した)、夕食を摂る。
 すきま空間からこっそり見守る紫。仕返しも兼ねて藍に与えた試練のうち、この空を飛ぶ部分については「抜け道を作ってあげるんだった」と紫は後に語っている。

 次の日、もう一度トライ。

 「今日は夜雀もUFOも切り抜けた、もうすぐ着くはずだ」

 そこへ門番の紅美鈴が迫ってくる。

 「そこのあなた、止まりなさい」

 「迎撃機は美鈴ね、美鈴は弄られキャラとか、名前がないとか言われているけど、狐より弱いってことはないでしょうね。どうするかしら、藍」

 門番と相対する、そろそろしっぽコプターのしっぽヂカラが尽きかけている。ここで時間をとられるわけにはいかない。ちなみにしっぽヂカラとは、文字通りしっぽを動かしている妖力のことである。

 「あなたは何者ですか」 凛とした声で藍に問い掛ける。

 「私は、八雲紫の式神だった、八雲藍というものだ、ここにいる、「よっつのはね」を持った方に会いたいのだが」

 手の平をポンと叩いて美鈴はうなずいた。何かを思い出した、という風な感じ。

 「ああ、あの藍さんですね、どうぞお通りください、「よっつのはね」といったらあの子ですよ」

 「私を侵入者扱いしないのか」

 「館に入っても居ない状態で、問答無用で侵入者扱いしませんよ。もっとも、お嬢様が仕入れてきた防衛システムを破ったのには驚きましたけど」

 あれはその防衛システムとやらだったらしい。連続みすちーもその一部だったのだろうか。


 ゆかりの挑戦状


 「よっつのはね」とは読者の方々のご想像のとおり、背中と耳に羽の生えた小悪魔だった。小悪魔はいたずら好きな種族で知られている。応接間に通された藍は、間近に見る紅魔館の威容に圧倒されていた。それでも気を振り絞って子悪魔に事情を話す。

 「君が宝の在り処のヒントを知っていると聞かされたんだが」

 「う~ん、パチュリー様からもそう言った話は聞いてないですよ、宝を埋めたなんて。」

 「本当に何も知らないのか」

 「ちょっとまって、その幽霊さんは実際になんて言ったんですか」

 「それは『よっつのはね』に会えとしか」

 「つまり、私が宝のありかを知っている、とは言ってないわけですよね」

 「そうかもしれない、いや、君そのものに宝のヒントが隠されているのかも」

 藍は決意の表情で立ち上がり、小悪魔に迫る。

 「な、何をするんですか」

 藍は小悪魔の背中や頭の羽をいじる。

 「きゃはは、くすぐったいですよぅ、やめてください」 

 「こら、うちの司書にいたずらしない」

 パチュリーが応接室に入ってきた。藍は今までの暴走からは考えられないほど、意外なほど素直に、小悪魔とパチュリーに非礼をわびた。今の力で弾幕ごっことなったら勝ち目がない、ということも勿論ある。
 状況を説明すること数分。

 「そうだったの。でも宝捜しなんて私たちは聞いてないわ。それより、あのレミィが仕入れた防衛システムを破るとはかなりの力量ね。おなかも空いたでしょうし、ここまでたどり着いた貴女の勇気に敬意を表して、何かご馳走するわ、小悪魔、咲夜に頼んできて」

 テレパシーで会話する二人。

 (パチュリー様、いいんですか)

 (いいの、それで献立はこの前みんなでやったゲームと同じにして)

 (あはっ、それは名案ですね)

 (あなたの敵討ちと、八雲紫に頼まれたシナリオにちょっと不確定要素を加えてやるのよ)
 
 やがてメイド長がおむすびを運んでくる、洋風の館で、メイドが持ってくる食事としては不釣合いな感じがしたが、ろくなものを食べていなかった藍にとってはどうでも良かった。青海苔やご飯、梅干やおかかの食感がなつかしい。

 (昔、家事が下手だったころ、紫様がこうやっておむすびを作ってくれたっけ)

 紫と橙の顔が思い浮かぶ、彼女の瞳にうっすらと涙が浮かぶ。

 「もしかして、まずかったですか(かかったな、一個だけ超激辛明太子入りですよ)」 小悪魔が聞く。

 「いや、とんでもない、懐かしい味だったもんだから」

 「そうですか(あーあ、はずれみたい)」

 パチュリーが応接室に入ってきて、紫との式神契約を解いてから何度目かの奇妙なメッセージを受け取った。

 「そのおむすびだけど、全部食べないほうが良いわよ」 と。

 藍は小悪魔に礼をいい、本を取り戻すべく、再びしっぽコプターを起動させる。食べ残したおむすびは懐にしまう。慣れたふうな感じで飛んでいった。

 「ああ、パチュリー様、、仕返しするんじゃなかったんですか?」

 「いや、ことによるとこっちのほうが面白いから」

 「なるほど・・・。そうですね」 二人していたずらっぽい笑顔。

 
 ゆかりの挑戦状


 神社にたどり着いた。霊夢を呼ぶが、返事がない。でも気配がする。かってにあがらせてもらう。
 社務所のなかで、霊夢が倒れていた。彼女に駆け寄って抱き起こす。

 「おい霊夢! しっかりしろ」

 「う~腹減った」 

 空腹だっただけか。やっぱり、「みこにめし」か? おむすびを差し出すと、猛烈な勢いで喰らい尽くし・・・。

 「ありがと、これおいしいわ」

 「よろこんでいただいて光栄だ」

 「ん、なんか舌がひりひりしてきた」

 「ん、どした?」



 「・・・・・・からーーーーーーーーーーーーーーーいっ」

 お茶をのどに流し込んでもまだ辛さが消えないらしく。井戸に飛んでいって水をがぶがぶ飲む。
 ようやく落ち着くと、彼女は懐から針と札を出し。

 「わたしに何を盛った?」 並の人間なら殺せそうな目つき。

 「まて、勘違いするな」

 「ゆるさーーーーーーーーーーーーーーーん」

 針と札が藍に襲い掛かる。しっぽコプターを応用して、高速回転するしっぽで針や札を叩き落す。
 しかし勝ち目が無い。逃げるに如かず。しっぽコプターの風圧を霊夢に向ける。相手は少しひるむ。
 その隙に全力で上昇、加速する。

 「博麗を毒殺なんていい度胸じゃない。待ちやがれ」

 「年頃の女の子がそんな言葉づかいでいいのか」

 「魔理沙に言え」

 巫女も宙をとんで追いかけてくる。妖怪が人間に追われるなんてあべこべじゃないか。

 高度を下げ、魔法の森に入る、洋風の家を見つけた。藍は降り立ってドアを叩き、追われている、助けてくれと叫ぶ。

 ぎい、と音がしてドアが開いた。

 
 続きます
 
 後編で終わりです。結構オリジナルな部分も加えてみました。
とらねこ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
紫は飛翔する力も取ったのかww
鬼畜だww