夏。うだるような夏。日本は夏の暑さに包まれていた。
幻想郷も例外なく暑い夏が来ていた。
山では河童と天狗が川で水浴びをし、紅魔館では湖の妖精を臨時で雇ったりそれぞれで夏の暑さ対策をしていた。
場所は変わって博麗神社、近くに水源はあるが温泉であり暑さや紫外線から身を守る結界などという便利なものもない。
『あ~あついんだぜ。』
と語るは黒白の魔法使い’霧雨魔理沙’ 黒色が太陽光を吸収しやすいことは皆さん理科の実験などでご存知だろう。
『わざわざご報告ありがとう、あんたが言わなくても私は知ってるわよ。』
と自分だけの湯呑みを持ってきたのは博麗の巫女’博麗霊夢’である。
『おい霊夢、私の湯呑みがないぞ、まさかあまりの不器用で湯呑みをこれ以外割ったのか?』
『半分あたりよ、あんたに出すための湯呑みだけを全部割っておいたの。』
『まじかよ…私がこのまま「ちにゃ~」って効果音を伴いながら溶けていく姿をおまえは見てみたいか?私は少なくとも見たくない。』
『アリスやパチュリーに渡したら受けよさそうね、液体魔理沙。』
『うあーっ、言い返してやりたいが暑さでやる気が起きん。というか霊夢、飲み物をくれ、さっきおまえが飲んでいたろう。』
『あら、魔理沙はこの暑い空気の中80℃の熱湯を飲む気なの。』
『お湯しかないのかよ、この神社は。というよりそれを飲んでいるおまえはどうなんだ、おまえは?』
『別に。』
『あーっ、もうヤダヤダ。霊夢、弾幕勝負するぞ。』
『鏡なら小さいけどあそこにあるわよ、どうぞご自由に。』
その言葉を聴いた瞬間、魔理沙は縁側に仰向けに倒れこんだ。
もう、それは美しく、あの永遠亭にいる絶世の美女である姫ですら「う、美しい…ハッ」となるほど美しかった。
そして魔女(種族人間)は気付く。博麗神社の壁、それも上のほう、縦と横の比が1:3くらいの白い丸みがある直方体の物体。
(にとりのとこで見たことがある、あれは あの物体は……)
『エアコンだぁーー!!』
『五月蝿い』
『あべしっ!』
『なあ霊夢、あれエアコンだよな!そうだよな!』
『ええそうよ、まさかあなたエアコンをつけようっていうの!?』
『当たり前じゃないか、こんな暑い日だっていうのにつけないほうがどうかしてるぜ。』
『やめなさい!魔理沙、あんた何をしようとしているか分かってるの?』
『もちろん!涼しくしようとしているのさ、チルノなしでな!!』
ピッ ウウン ゴー ガアァァァー
『ぎゃあぁあぁあぁあぁ』
『どうしたんだ霊夢!そんなにおびえて…』
『どうもこうもないわ!魔理沙!!あなたはエアコンの恐ろしさを知らないのよ。』
『エアコンのどこが恐ろしいんだ、それどころか快適じゃないか。』
『違うわ、問題はその後よ。魔理沙、あなた夜暑苦しくなったことはあるでしょう、そのときエアコンをつけるわよね。』
『まあ、そうだな。とりあえずポチッとな。』
『私はそのとき知ったのよ、エアコンは夜の間つけっぱなしにすると恐ろしいということが!!次の日、何もする気が起きなかったよ。』
『そんなのいつものことじゃないか。』
『違うわ、そんなんじゃないのよ、もっと、こう立ち上がるのさえつらい感じよ。』
『な、なん…だと…』
『わかったら魔理沙、早く電源を消しなさい。早く!!』
『お、おう!』
20XX年こうして幻想郷は地球温暖化を免れた