「暑いわねえ…」
呟き、氷の溶けかけた麦茶を口に運ぶ。
「そうですね」
「咲夜は暑くないの?」
「はい」
「そう…羨ましいわ」
チルノが溶けてしまいそうなくらい暑い日。
夏の日差しと熱から逃れるために日陰のベランダに私はいた。
隣にはいつもと変わらない格好の咲夜がいる。
この暑い日にもかかわらず汗一つ顔に浮かんでいなかった。
「少し薄着にしたら?見てるこっちが暑いわ」
「見た目は同じですが夏用です」
「見た目が同じなら私は暑いままなんだけど」
「そうですね。では、水着でも着ましょうか」
「やめろ」
すました顔で冗談か本気かわからないことを言う。
もう暑さに脳がやられているのではないだろうか。
「それにしてもねえ…」
「…?」
じっと咲夜の顔を見る。
何を言っても何をしても殆ど無表情のまま。
このすまし顔を崩してみたい。
今日の暇つぶしはそれにしようか。
「いやー。今日は暑いですね」
どうしようかと考えていると爽やかな笑顔の美鈴がやってきた。
こちらもいつも通りのチャイナ服だが、髪型が違った。
「ポニーにしたの?」
「はい、気分転換に。どうですか?」
「なかなか似合ってるわよ。ね、咲夜」
「はい。可愛いですね」
褒められ照れたように頬を掻く美鈴。
それを見る咲夜の表情が僅かに緩んでいるのを私は見逃さなかった。
「ああ、そうだ。髪型といえば」
それを見て私はあることを思い出す。
まだ咲夜が子供だった時のこと。美鈴のことを『お姉ちゃん』と呼んでいたとき。
「咲夜は髪型変えないの?」
「はい。私はこれが気に入ってます」
どこか誇らしげに答える咲夜。
「大好きな『お姉ちゃん』に褒められたから?」
からかうようなその言葉に一瞬動きが止まる。
が、すぐに何事もなかったように美鈴の分の麦茶を淹れる。
「そういうわけじゃありません」
「へえ。じゃあ、その三つ編みは?」
「…偶然です」
苦しい言い訳だと言うことは自覚しているのだろう。
先程までかいていなかった汗が頬を流れていた。
「咲夜さんが私とお揃いにしたいって、昔言ってませんでしたっけ?」
美鈴の追撃によって咲夜の汗が更に増える。
表情に変化は見られないが、焦っているように思えた。
「…憶えてないわ」
「えー、憶えてないんですか?『美鈴お姉ちゃんみたいにしたい』って可愛いかったのに」
「美鈴!」
「あら。面白そうね。続けなさい」
「いいですよー。『お姉ちゃんみたいな綺麗な女性になりたい』ってそれはもう可愛くて」
「美鈴。そこまでよ」
焦った様子で美鈴に詰め寄る咲夜。
いつものすまし顔は羞恥に紅く染まっていた。
「まだ色々あるんですよ」
「いいからやめなさい」
「どうしましょう」
「私の言うことが聞けないの」
「昔は一緒の布団で寝てたのに」
「美鈴ッ!」
いつもの余裕は何処へやら。
真っ赤な顔で詰め寄る咲夜と楽しそうに喋り続ける美鈴。
「『寒くない?』って訊いたら、『お姉ちゃんと一緒だから寒くないよ』って―」
「忘れろ!」
「ひゃあ!?ナイフはやめて下さい!」
「うるさい!」
騒がしくなってきた二人を横目に麦茶を口に運ぶ。
氷はすっかり溶けてぬるくなってしまった。
「熱いわねえ…」
じゃれ合う二人を眺めながら私は気怠く呟いた。
呟き、氷の溶けかけた麦茶を口に運ぶ。
「そうですね」
「咲夜は暑くないの?」
「はい」
「そう…羨ましいわ」
チルノが溶けてしまいそうなくらい暑い日。
夏の日差しと熱から逃れるために日陰のベランダに私はいた。
隣にはいつもと変わらない格好の咲夜がいる。
この暑い日にもかかわらず汗一つ顔に浮かんでいなかった。
「少し薄着にしたら?見てるこっちが暑いわ」
「見た目は同じですが夏用です」
「見た目が同じなら私は暑いままなんだけど」
「そうですね。では、水着でも着ましょうか」
「やめろ」
すました顔で冗談か本気かわからないことを言う。
もう暑さに脳がやられているのではないだろうか。
「それにしてもねえ…」
「…?」
じっと咲夜の顔を見る。
何を言っても何をしても殆ど無表情のまま。
このすまし顔を崩してみたい。
今日の暇つぶしはそれにしようか。
「いやー。今日は暑いですね」
どうしようかと考えていると爽やかな笑顔の美鈴がやってきた。
こちらもいつも通りのチャイナ服だが、髪型が違った。
「ポニーにしたの?」
「はい、気分転換に。どうですか?」
「なかなか似合ってるわよ。ね、咲夜」
「はい。可愛いですね」
褒められ照れたように頬を掻く美鈴。
それを見る咲夜の表情が僅かに緩んでいるのを私は見逃さなかった。
「ああ、そうだ。髪型といえば」
それを見て私はあることを思い出す。
まだ咲夜が子供だった時のこと。美鈴のことを『お姉ちゃん』と呼んでいたとき。
「咲夜は髪型変えないの?」
「はい。私はこれが気に入ってます」
どこか誇らしげに答える咲夜。
「大好きな『お姉ちゃん』に褒められたから?」
からかうようなその言葉に一瞬動きが止まる。
が、すぐに何事もなかったように美鈴の分の麦茶を淹れる。
「そういうわけじゃありません」
「へえ。じゃあ、その三つ編みは?」
「…偶然です」
苦しい言い訳だと言うことは自覚しているのだろう。
先程までかいていなかった汗が頬を流れていた。
「咲夜さんが私とお揃いにしたいって、昔言ってませんでしたっけ?」
美鈴の追撃によって咲夜の汗が更に増える。
表情に変化は見られないが、焦っているように思えた。
「…憶えてないわ」
「えー、憶えてないんですか?『美鈴お姉ちゃんみたいにしたい』って可愛いかったのに」
「美鈴!」
「あら。面白そうね。続けなさい」
「いいですよー。『お姉ちゃんみたいな綺麗な女性になりたい』ってそれはもう可愛くて」
「美鈴。そこまでよ」
焦った様子で美鈴に詰め寄る咲夜。
いつものすまし顔は羞恥に紅く染まっていた。
「まだ色々あるんですよ」
「いいからやめなさい」
「どうしましょう」
「私の言うことが聞けないの」
「昔は一緒の布団で寝てたのに」
「美鈴ッ!」
いつもの余裕は何処へやら。
真っ赤な顔で詰め寄る咲夜と楽しそうに喋り続ける美鈴。
「『寒くない?』って訊いたら、『お姉ちゃんと一緒だから寒くないよ』って―」
「忘れろ!」
「ひゃあ!?ナイフはやめて下さい!」
「うるさい!」
騒がしくなってきた二人を横目に麦茶を口に運ぶ。
氷はすっかり溶けてぬるくなってしまった。
「熱いわねえ…」
じゃれ合う二人を眺めながら私は気怠く呟いた。
にしても美鈴可愛い
ポニテ美鈴も良いなぁ