★もこみすです。
★私の拙作「従者三人が仲よく酒を飲んでなごんでいるだけの話だったんです。」の設定を流用しています。
★だいぶ百合百合してます。
★俺設定が大量にあります。
★作者は酔っ払ってます。
★もこみすです。
それでも大丈夫な方、以下本文です。
わいわい、がやがや。
ここは博霊神社の境内。
ほぼいつものように賑やかなここが更ににぎわっている。
今日は夏祭りの日なのだ。
人も妖怪も亡霊も幽霊も集まって、夏の始まりを感じていた。
そんな、賑やかな楽しげな雰囲気の境内の片隅。
一軒の屋台が立っていた。
「おかみさーん!串焼き5つ!」
「はいよー!」
いつもは森の入り口近くに立っている、夜雀のおかみさんの屋台である。
「今日は八目鰻だけじゃないよ~!普通の鰻からお好み焼きから竹の子の網焼き串なんていう一風変わったのもあるよ~!」
宵闇の妖怪の陽気な声が響く。
―縁日と言えば屋台でしょう、と馴染みの博霊の巫女に誘われて来てみれば。
「お好み焼き串4つとお酒4人前ー!!」
「竹の子3つー!」
いつもの数倍の忙しさのおかみさん。
里の人にも受けるように八目鰻以外のメニューもいくつか出してみたところこれが大好評。
あまりの忙しさに、友達の氷精や大妖精や宵闇の妖怪まで手伝いに駆りださせている。
余談だが、蟲の王は太陽の畑のUSCに捕まっていた。
なぜこんなに繁盛しているのか。
もちろんおかみさんの腕前もさることながら、だいたいの原因は
「あぁ…おかみさん…かわえぇ…」
「あぁ…まったくだな…」
「あのうなじがたまらんな…」
「いや…くるぶしだろ…」
「いやいやおでこだろ」
「んだとやんのかこら」
「上等だこらてんめぇにおかみさんのうなじとその後れ毛のよさを叩き込んでやるよ!」
彼らのような美人に弱い男共だった。
なんかの見解の不一致でぎゃーぎゃーと騒ぎ出す。周りもそれをやんやと囃し立てる。
酒と祭りとくれば、血の気の多い若い衆がけんかを始めるのはどこの世界でも一緒らしい。
そんな様子をくすくす笑いながら眺めているおかみさん。
その後、けんかを巫女が止めたり鬼が何故か参戦してきたりと色々あったがそれは割愛。
お祭りもややひと段落しみなござなんかをしいて思い思いに語らっていた。
と、そこへ。
「や、ミスティア。私にも酒をくれ」
「やぁ、おかみさん。繁盛しているようで」
馴染みの竹炭屋さんと里の半獣の先生さんがひょっこり顔を出した。
「あら、こんばんは。―お二方、いつもので?」
「あぁ、頼むよ。ひゃーしかし、今日は蒸すねぇ」
竹炭屋さんの方は男物の甚平に下駄と、女の子らしくない、それでも何故か着こなしている、そんなかっこでうちわをあおぐ。
「こら、屋台に寄りかかるんじゃない。失礼だぞ」
半獣の先生さんは藍色の浴衣を着ていた。うーん涼しげ。
そんな二人に、ことり、とでっかい湯飲みとお酒を出す。
「今日はお祭りですし。ぐいっとやっちゃってくださいな」
「ありがたいありがたい。やっぱぐーっとやってじゃきーんと騒がなきゃ損だよね!」
「…おい、あまり羽目をはずしすぎるなよ?…いただきます」
くーっと一息に飲み干す二人。
「うーんいい飲みっぷりで。はい、これ」
そういって竹の子の網焼き串を渡し、湯飲みに有無を言わせずお代わりを注ぐおかみさん。
「あっはは、そんなに飲ませて何をしようって言うんだいおかみさん?」
そんな早くも酔いが回ってきた竹炭屋の何気ない一言にぽふっと顔を赤くしてしまう。
そんな様子を見た半獣の先生が
「ちょっと私は人里の長たちや稗田の者たちに挨拶してくる。ここで待っててくれ」
「…うー?うん、わかった。飲んでるよ」
「飲みすぎるなよ?と言いたいが…」
そこでおかみさんの方を向きにやっと笑い意味深にウインクをして
「今日は飲みすぎても良いぞ?…雀のお宿を貸してもらうといい」
そう言うや否や人ごみに消えていく半獣の先生。
「なんだー?けーねのやつ…いつもは『お前はすぐ眠るから外ではあまり飲むな』ってうるさいのに…」
そう言ってふとおかみさんの方を見やる、と。
「―――――」
顔を真っ赤に染めたまま固まっている夜雀の貴重な錯乱シーンがあった。
「ミスティア?」
「…はっ!!!な、なんでしょう!!お風呂ですかご飯ですかそれとも私ですかって何を言ってんですか私は!!!?」
「知らないよ!!なんでそんなに顔赤くしてんの!!?」
「なんでって…!!!」
いや、落ち着け。鈴仙になれ。間違えた。冷静になれ。
決してあれは遠まわしに私のうちへの外泊の許可出したとかそう話なんぞではない!!!
「んー…とりあえず、お代わりちょうだい」
ん、と湯飲みを差し出す。
「そ、そんなに飲むと、本当に帰れなくなっちまいますよ?」
「いいよ、今日は雀のお宿に泊まるから」
どがっしゃん
一升瓶とお皿と予備の網と使った串のその他もろもろが落ちる。
「なななな!?」
にやり、と。してやったり、と言った感じで笑う竹炭屋。
「ふっふっふ…。けーねから外泊の許可も出たことだし…。今日のめいんでっしゅは私の熱でやいた夜雀と洒落込もうかね…!」
あたふたと。それはも、あたふたと何かしら言葉を紡ごうとするがすべてこんがらがりうーだのあーだのと言った意味のなさない言葉だけが口からこぼれる。
そんな様子を見かねたのか。竹炭屋がぐいっとあごに手をやり、顔を引き寄せ、唇を―
「―今ここで奪っちゃったら後のお楽しみが無いよねぇ」
奪わずそれでも至近距離で淡々と話す竹炭屋。
「あああああああの!酔っ払ってらっしゃる!!!!?」
「あぁ、酔ってるさ…みすてぃあのかわいさにな…」
「あぁだめだ完全無欠に酔いつぶれてる!!助けてー!!先生ぇー!!巫女さーん!!!」
呼ばれた当人たちはと言うと。
先生は親指を立ててすっごいいい笑顔を返してくるし。
巫女はそんな桃色空間に対して殺気立った顔を返してくるし。
他の取り巻きも『仲のいいこって』といった感じの微笑を返してくる。
約一名、目視できるほどの妬ましさを発している方がいたが酔っ払った一本角の鬼に抱きつかれて境内裏に連れて行かれた。愛故にである。邪魔してはいけない。
「…正直、調子に乗りすぎた」
祭りが終わり、しんとしている境内。
一人屋台を片付けているおかみさんと、そのそばでうな垂れている竹炭屋。
「…反省しているのならいいんです。でも、なんであんなこと…」
と、不意に。後ろから抱きしめられたおかみさん。
「も、妹紅さん?」
耳の裏辺りに、酒が入っているからかやや熱い吐息がかかる。
「すっごく恥ずかしいけど」
「…なんでしょう?」
おそらくその顔は真っ赤なのだろう。
「…………ミスティアが他の男連中に褒められてるのが、なんか気に食わなかった…」
「……!」
「……ミスティアは私の、だもん…って、主張したかったの、かも…」
そう言って、首元に顔を埋める。
「ちょっ…!」
「…いやか?」
「……そうじゃなくて…!」
いったん離れ。向き直り、目を合わせて。
「大丈夫。私は、どこにもいきませんよ」
「…!!」
ふわ、と今度はおかみさんが、前から抱きしめる。
蓬莱の人の形も、今は。
好きな人といるときは、一人の女の子になっていい。
「…どうしよう。ミスティアのことが好き過ぎて辛くて幸せ」
「そりゃ…ふふ、どっちなんですかい。でも…私もとっても幸せですよ」
しばらく、二人は抱き合ったままだった。
時には頬をすり合わせたり、時には…軽く、口付けしたり。
「さて…もう夜も更けたし…。帰りましょう?妹紅さん」
抱きしめあったまま、耳元で囁く、おかみさん。
「うん…そうだね」
最後に、少し長めの口付けを。
そして、名残惜しそうに離れる二人の体。
「しかし、ミスティアの家に行くの初めてだから緊張するなー」
「え?」
―――夜はまだ、全然明けないっ…。
はっぴいえんど?
さあ、すずめのおやどでの続きを書くんだ!
おかみさんの可愛いところは、キュッと締められた帯によってようやく認識できるその上の僅かな膨らみと、うなぎを扇ぐ団扇に合わせて一緒にぱたぱたする羽だろうが!
あとおかみさんのうなじ食べたいです。
「顔を真っ赤に染めたまま固まっている夜雀の貴重な錯乱シーンがあった。」夜雀の貴重な産卵シーンって読んだww