「お燐、私の部屋から取って来てもらいたいものがあるんだけど……」
「はいはい、何でしょう?」
あたいはさとり様の注文を聞き終えると、頭の中でその注文を繰り返し繰り返し唱えた。
頼まれたのは本を数冊、それと筆記具。
本のタイトルはきちんと覚えられたけど、ちゃんと見つけられるか心配だった。
あたいにはまだ読めない漢字が多々ある、題名がわかっててもそれが読めるかどうかまではわからない。
「それなら心配は要りません。昨日机の上に置いてそのままだから、見ればすぐにわかるはず」
「わっかりましたー」
あたいは地霊殿の、仄かに明かりの灯る長い廊下を行く。
すれ違う猫たちがあたいを見て「ふにゃあ」と挨拶をしてくれる。
あたいの可愛い妹分。いつか人型になれる日が来たら一緒に盃を交わしたいものだね。
そんなことを考えている間にさとり様の部屋の前まで辿り着いた。
つい癖でノックをしてしまったけど、さとり様は居間にいるから別にノックしなくても平気だったかな。
ノブに手をかけて扉を開ける。
そして開けた瞬間――
「うひゃあ!」
思わず驚いて声を上げてしまった。
中に誰もいないと思って入ったら、何やら人影が部屋を陣取っていたのだった。
だけどよくよく見れば、見慣れた姿。
「……って、おくうじゃない! びっくりさせないでよね」
おくうはさとり様の机の上に仁王立ちしていた。
あたいはさとり様から頼まれた机の上、つまりはおくうの足元にある本を探すことにした。首尾良く本も見つけて、さとり様からの頼まれたものは全部揃った。これを持ってさとり様の元に……
「行かないったら! おくう、いつまで机の上に載ったままでいるのよ!? お行儀悪いでしょー!」
そりゃあ地霊殿のペットはいっぱいいて、色んな粗相をしたりすることはある。だけど人型への変化ができ、人語を話せるようになった私たちは、礼節を弁えて行動するよう常々注意を受けている。
ペットたちを世話するリーダーの立場であるところのおくうが、こうして机の上に立っている姿をほかのペットに見られたら、どれほど悪影響を与えるかわかったもんじゃない。
「さ、早く机から降りて」
ほかのペットに見られない内に、そう急かすけれどもおくうは一向に降りようとしない。それどころか口を閉ざしたままで何も答えようとしない。
「机に載って何がしたいって言うの? 言いたいことがあるならはっきり言いなよ」
あたいがそう言うと、おくうはようやく口を開いた。
「別に言ってもいいけど……」
ぽつりぽつりと呟くように、おくうは言葉を紡ぐ。
「私の言うことなんて当てにならないよ」
「そんなことないって、おくう。おくうとあたいの仲じゃない。事情があるって言うなら、あたいもちゃんと聞くよ!」
おくうとあたいはいつだって、ここ地霊殿で一緒に過ごしてきた。あたいたちの間に隠しごとがなかったわけではない。
だけど、このまえの八咫烏の力を手に入れて暴走した一件からは、さとり様とペット、そしてペット同士の間の隠しごとはしないようにしようということになった。
おくうが訳を話すというなら、あたいはその話し相手として真摯に向き合うべきだ。
「いや、事情とかそういう問題じゃなくてね」
「ん、どういうこと? ますますわからないよ」
理由もないのに机の上に立ってる? おくうは一体何がしたいの?
「だって――」
おくうは、ひとしきり溜めて言った。
「だって、今私が何を言っても、机上の空論になるもの」
「はいはい、何でしょう?」
あたいはさとり様の注文を聞き終えると、頭の中でその注文を繰り返し繰り返し唱えた。
頼まれたのは本を数冊、それと筆記具。
本のタイトルはきちんと覚えられたけど、ちゃんと見つけられるか心配だった。
あたいにはまだ読めない漢字が多々ある、題名がわかっててもそれが読めるかどうかまではわからない。
「それなら心配は要りません。昨日机の上に置いてそのままだから、見ればすぐにわかるはず」
「わっかりましたー」
あたいは地霊殿の、仄かに明かりの灯る長い廊下を行く。
すれ違う猫たちがあたいを見て「ふにゃあ」と挨拶をしてくれる。
あたいの可愛い妹分。いつか人型になれる日が来たら一緒に盃を交わしたいものだね。
そんなことを考えている間にさとり様の部屋の前まで辿り着いた。
つい癖でノックをしてしまったけど、さとり様は居間にいるから別にノックしなくても平気だったかな。
ノブに手をかけて扉を開ける。
そして開けた瞬間――
「うひゃあ!」
思わず驚いて声を上げてしまった。
中に誰もいないと思って入ったら、何やら人影が部屋を陣取っていたのだった。
だけどよくよく見れば、見慣れた姿。
「……って、おくうじゃない! びっくりさせないでよね」
おくうはさとり様の机の上に仁王立ちしていた。
あたいはさとり様から頼まれた机の上、つまりはおくうの足元にある本を探すことにした。首尾良く本も見つけて、さとり様からの頼まれたものは全部揃った。これを持ってさとり様の元に……
「行かないったら! おくう、いつまで机の上に載ったままでいるのよ!? お行儀悪いでしょー!」
そりゃあ地霊殿のペットはいっぱいいて、色んな粗相をしたりすることはある。だけど人型への変化ができ、人語を話せるようになった私たちは、礼節を弁えて行動するよう常々注意を受けている。
ペットたちを世話するリーダーの立場であるところのおくうが、こうして机の上に立っている姿をほかのペットに見られたら、どれほど悪影響を与えるかわかったもんじゃない。
「さ、早く机から降りて」
ほかのペットに見られない内に、そう急かすけれどもおくうは一向に降りようとしない。それどころか口を閉ざしたままで何も答えようとしない。
「机に載って何がしたいって言うの? 言いたいことがあるならはっきり言いなよ」
あたいがそう言うと、おくうはようやく口を開いた。
「別に言ってもいいけど……」
ぽつりぽつりと呟くように、おくうは言葉を紡ぐ。
「私の言うことなんて当てにならないよ」
「そんなことないって、おくう。おくうとあたいの仲じゃない。事情があるって言うなら、あたいもちゃんと聞くよ!」
おくうとあたいはいつだって、ここ地霊殿で一緒に過ごしてきた。あたいたちの間に隠しごとがなかったわけではない。
だけど、このまえの八咫烏の力を手に入れて暴走した一件からは、さとり様とペット、そしてペット同士の間の隠しごとはしないようにしようということになった。
おくうが訳を話すというなら、あたいはその話し相手として真摯に向き合うべきだ。
「いや、事情とかそういう問題じゃなくてね」
「ん、どういうこと? ますますわからないよ」
理由もないのに机の上に立ってる? おくうは一体何がしたいの?
「だって――」
おくうは、ひとしきり溜めて言った。
「だって、今私が何を言っても、机上の空論になるもの」
別人だこれー!
オチがくだらな過ぎて噴いたww
さらにAAで二度噴いたwww
しかも別人だったしwww
そして、どやじゃねーよwwww