Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

カレー味の味噌汁

2010/07/03 23:43:41
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それは朝の命蓮寺で起こった。

「星・・・これは一体何ですか」
「・・・・・・・」

命蓮寺のいつものほのぼのとした雰囲気が凍りつく。
今は朝食の時間。しかし、今日の聖白蓮は様子が違った。
余りの緊張感に無言のままの命蓮寺の面々。(ただし箸は止まらない)


「もう一度質問します。星、この味噌汁は一体なんなのでしょう」
「その味噌汁には・・・カレー粉が隠し味として入っています」

星の衝撃の告白に、目を見開いて絶句する白蓮。

「なんということを・・・ッ!!」
「聖・・・私は貴方の弟子、かつ毘沙門天の弟子である以前に・・・一匹の『虎』なのです」
「だから何を・・・貴方は味噌汁を・・・」
「だからです。味噌汁にカレー粉を混ぜれば貴方は必ず怒ると思っていました」
「・・・何が目的なんですか」

―――星は語った。

「貴方を復活させた時、私は心底喜びました。
 しかし先日、身体能力を強化させる魔法を得意とする貴方が、
 外の世界から入ってきたという『握力計』なるものを粉砕したその時から、
 『闘いたい・・・!』という欲求が私の体内を巡り、武者震いに打ち震えていたのもはっきりと覚えています。
 貴方が味噌汁を愛しているのを知っていた私は、食事係としての全権を活用し、今回の行動に踏み切った、という訳です」

星は語り終えると目を閉じて深く深呼吸をした。どうやら緊張しているようだ。
また、この話の通り、聖は味噌汁が大好きである。
戒律の厳しい僧侶にとって、味噌汁は唯一の楽しみである。
・・・少なくとも、聖白蓮はそうである。

「・・・なるほど、話はわかりました」
「ならば」

星が飛び掛らんばかりの勢いで身を乗り出したのを、白蓮は右手を前に出して制した。
その時既に、いつもの温厚な星や白蓮の表情ではなかった。

「話はわかりましたが・・・私は貴方と闘う気はありません」
「・・・ナズーリン、どう思いますか」

星は、闘う意思がないと言った白蓮を尻目に、ナズーリンに意見を求めた。

「薄目の味付けの味噌汁に、カレー粉のテイスト・・・正直、マズい」
「えっ、そっち!?」

ナズーリンが味噌汁について語った後、突然ムラサが叫ぶ。
この場合の『そっち』とは、『闘う闘わないについての意見を求められたのに、なんで味噌汁についての意見を述べちゃうのかな?』という意味であり、拍子抜けしたようなムラサの表情は大変萌えである。

「いいでしょう、ナズーリン続けて」

星に促されるままに続けるナズーリン。
ムラサは完全にスルーだ。

「ただ、この無茶な味わいが・・・家庭の味を思い起こさせる。『愛』が籠っている・・・」
「ナズーリン、ありがとう」

星とナズーリンは駆け寄って抱き合った。
意味が分からず、いたたまれなくなった一輪は寺から脱走した。

「そういう訳です。聖よ、これから毎日カレー味の味噌汁にします」
「~~~~~~~~~~~ッ!」

白蓮が本気(マジ)になった瞬間であった。











命蓮寺の本殿はとても静かだった。
鳥の囀りすら聞こえてくる。
畳を一面に敷かれたこの場は、闘いの場に相応しいと言えよう。

「いいのですか、星」
「私が望んだことです」

その場には星と白蓮の二人だけがいた。
落ち着いて構える両者。

「ルールは無用ですが、弾幕は止めましょう。ご本尊に当たると大変なので」
「お互い弾幕よりも肉弾戦が得意でしょう。わざわざ弾幕なんて使いませんよ」
「ですね」

お互い薄く笑うと、大きな音を出して踏み込み、振り上げた拳を振り下ろす。
虎のスピードと、大魔法使いの怪力がぶつかり合う。
激しい音を立てて、両者の体が文字通り吹き飛んだ。
しかし、何事もなかったかのように、両者は足から着地して再び間合いを詰める。

「聖、手加減は不必要です」
「どうやら、そのようですね」
「早く掛かってこないと三食カレー味噌汁になりますよ?」
「・・・毎朝カレー味の味噌汁等と、誠に愚かで、勘弁してほしいッ!いざ、南無三―――!」

あの『超カッコいい』と評判の白蓮の決め台詞であったが、星の挑発的な発言により、
『勘弁してほしいッ!』という感情的な本音が出てしまい、妙に締まりのない台詞になってしまって大変遺憾である。

その時だ。畳の下から、畳を押しのけてナズーリンが飛び出したのは。












―――今から1時間程前の、件の朝食を終えたばかりの頃に遡る。

「ちょっと・・・今日の星なんかヤバいよ」

本気で星の心配をしているのは、朝食の席で鮮やかに突っ込んで、軽やかにスルーされたムラサであった。

「確かにヤバい。頭の病院を探さないと」

かなり酷いことを言っているのはぬえである。ニヤついた顔が無駄にいやらしい。

「そういえば一輪がいないな」

色々嫌になって寺から逃げ出した一輪がいないことに気が付いたのは、ナズーリンであった。
どうやらこの三人で二人の決闘を止めようとしているようだ。

「そもそもナズーリンがあんなカレー臭い味噌汁を褒めるからこういうことに・・・」 
「なんだムラサ。ご主人を褒めるのは部下として当然のことだろう?」
「大体ぬえもぬえよ!何よそのニヤついた顔・・・アンタもさ、味噌汁が毎朝カレー風味になってもいいの?」
「そんなことされたら全身カレー臭くなっちゃうよ!」
「でしょ?」

遅々として進まない会議。
『会議は"踊"(ダンス)っちまう。されど進まず』とは、まさにこのことであろう。

「仕方ないから、ナズーリンが畳の下に挟まってよ」
「なぜ!?」
「一番小さいから」
「・・・・・・」

ムラサの鬼畜発言にナズーリンは何も話せなくなった。

「で、ナズーリンが畳の下から這い出して二人をビビらせている間に、私とぬえが二人の背後に回ってバックドロップを決めれば計画は成功よ」
「ごめん、失敗する気しかしない」
「自分で言っといてなんだけど、私もそんな気しかしないわ」

そう言い放ったムラサの笑顔は、どこか儚げだった。
ぬえはその笑顔を見て何も言えなくなった。












―――時は戻る。

「「ナズーリン!?」」

星と白蓮の声が重なる。
畳の下から飛び出してきたナズーリンは、二人の動きを止めるのに十分だった。
しかし、ずっと畳の下に潜んでいたナズーリンは大分弱っていて、出てくるや否やバタンと倒れてしまった。
本殿の外から中の様子を窺っていたムラサは、『成功するかもしれない』と俄かに心を躍らせた。

「ぬえ、行くよ!」
「よ、よし!」

ムラサは白蓮の背後に詰め寄り、ぬえは星の背後に詰め寄る。
必殺のバックドロップの体制だ。しかし・・・

「う、動かない・・・?」
「やばいよムラサ!この二人、化け物だ!」

背後から掴み、後ろに放り投げようとしたが無理であった。
岩のように動かない白蓮と星。
ぬえは無理をしたので腰を悪くして戦線を離脱した。

「止めようとしても無駄です」
「聖、もう止めてください!」

冷たく言い放つ白蓮はいつもの白蓮ではない。
味噌汁ごときが、彼女をここまでも変えてしまうのだった。
もはや一人になってしまったムラサは絶望的であった。
しかし、そこに思わぬ助けが現れた。

「もう大丈夫さ!私が来たからにはね!」

そこにいたのは小傘であった。
いつの間にいたのであろうか。

「小傘!?なぜここに・・・」
「一輪が私を呼んだのさっ」
「フフ・・・遅れたわね」
「一輪も!?」

逃げたはずの一輪が門の所にもたれかかる様にして、腕組みをしながら立っていた。
その表情からは、頼もしさが感じ取れた。

「さあ小傘!思う存分やってあげなさい!」
「おーし!」

気合十分。小傘は自分の愛用の傘を、一番近くにいた星に目掛けてフルスイングした。
結果、折れそうになった。

「わ、わちきの傘がァーッ!!」

その場で膝と両手をつき、体全体で哀しみを表現する小傘。
星には全くダメージがないようであった。

「傘で私を叩こうが、剣で斬ろうが同じことです」
「くっ・・・一輪!?」

ムラサが一輪に助けを求める目線を投げかける。
一輪はさり気無く目線を逸らした。

「此の世に神はいないのかよおおおおおおおお!」

まあいるけど、必要な時に助けてくれる神なんていないのだ。

「雲山!」

その時だ。目線を必死に逸らし続けていた一輪が雲山の名を呼ぶと、大きさ5mはあろうかという程のオヤジ・・・雲山が本殿に侵入してきた。

「遅いわよ」

一輪はニヤりと笑い、雲山に声をかける。
雲山は静かに「すまぬ」と返事をした。
そして星と白蓮を、その鋭い眼光でしっかりと見据える。

「ええい話は聞いたぞ、聖と星殿よ!このワシが明日から三食ともフランス料理にしてくれるわ!」
「は?」

ムラサはきょとんとした顔をした。
このオヤジ入道は何を言っているんだ、と。
それは白蓮も星も同じであった。皆が皆、雲山の問題発言に唖然としていた。
一輪は目線を逸らしていた。

「お寺なのに、おフランス・・・?」

白蓮が怒りを再燃させる。

「聖・・・まずは休戦といきましょうか」

星が闘志を燃え上がらせる。
どうやら共通の敵が見つかったようだ。
その時、命蓮寺の心は一つになった。
※ムラサと一輪は脱走しました
樫桐鉄道
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
貴方の作品は毎回ツッコミ所が多すぎるwwwwww
2.名前が無い程度の能力削除
まずい、突っ込み所が多すぎて突っ込めない…
にしても握力計を握り潰すひじりんの握力って一体…?
3.ぺ・四潤削除
違うッ!一輪さんは星ちゃんとひじりんを協力させるためにあえて悪役を買って出たんだよ!
あとひじりんの「勘弁してほしいッ!」に萌えた。
4.削除
雲山wwwお前時代親父じゃないのかwwwwwwwww
5.名前が無い程度の能力削除
つっこみどころが多くて突っ込めないww