注:前回からの続きです。
________9:00 妖怪の山(山麓)
妖夢 「…………」
妖夢 「……あいたっ!」
妖夢 「うう……」
妖夢 「(またか……さっきから、なんだか散々だなぁ)」
妖夢 「(ただ飛んでるだけなのに、これで木にぶつかるのは四度目……。
別にわたしの平衡感覚がおかしくなったわけでもない、はずなのに……)」
妖夢 「(気をつけて前方に注意を払っていれば、スカートの裾に枝がひっかかるし。
周りを警戒していれば、今度は上から鳥のフンが降ってくるし…………
なんていうか、厄日だなぁ)」
妖夢 「(いや、だけど……ただついてないって言葉で片付けるには、あまりにもおかしい。
おかしくないと言い張るやつがいるとしたら、そいつが一番おかしいはずだ……)」
雛 「……あら、そこの半人半霊さん。どうかしました?」
妖夢 「えっ? ああいえ、ちょっとそこの木に頭をぶつけただけです。お構いなく~」
雛 「そうですか。まあ、よくあることですね。
なんらおかしくはありません。では、わたしはこれで」
妖夢 「…………」
妖夢 「……お前だな、犯人」
雛 「はい? なんのことやら」
妖夢 「しらばっくれますか。まあいいや。斬ってみればわかります」
雛 「ちょ、ちょっと。いきなり真剣なんか持ち出して、あなたなんなのよ。
頭おかしいんじゃないの」
妖夢 「一番おかしいのはあなたの方です。わたしに何かしたでしょう。
おかげでさっきから、いろいろと散々な目にあってるんですよ」
雛 「だからわたしは何もしてないってば。
でもたぶん強いて言えば、この周りの厄のせいだと思うけど」
妖夢 「厄……?
とすると、あなたは厄神様なんですね。
その見るからにゲトゲトした辛気臭い霧みたいなやつがそうですか?」
雛 「厄ってのはそういうものなのよ。わたしは人間達に払われた厄を集めているの。
だからわたしが近くにいると厄が移るわよ。
あなたの言う散々な目っていうのも、たぶんその移った不幸に見舞われたからでしょう」
妖夢 「ふむ……なるほど、理解しました。
てことは、やっぱりあなたが元凶ということですね。斬ります」
雛 「なんでそうなるのよ~!」
妖夢 「不幸を振りまく神様なんて、迷惑千万にもほどがあります。
それにおかげで、さっきおでこをぶつけた時にコブができてしまいましたので。
だから、斬ります」
雛 「ただの腹いせじゃないの」
妖夢 「それはそうと…………その右手から下げた袋は何ですか?」
雛 「これ? これは春菊よ。
今しがた里で人間達からもらったの。いつも厄を引き受けてくれるお礼にって。
今年の春菊は香りが強くていい出来らしいわ。これから帰ってゴマ和えに……」
妖夢 「なんだ~、厄が移ったとか言うから不幸になっちゃったのかと思ったけど、
わたし結構ついてるじゃないですかぁ。
じゃあ、遠慮なく斬らせてもらいますね」
雛 「だからなんで~!」
妖夢 「なら、その春菊を渡してもらえますか?」
雛 「あなた追いはぎなの?」
妖夢 「む……いいでしょう。
追いはぎと思われるのは少々癪なので、正々堂々デュエルで勝っていただくことにします。
では、デュエル!」
雛 「(正々堂々といいつつ、全部勝手に決められちゃってる……)」
雛【イービル・トゥ・セイブ・ワールド】LP8000
VS
妖夢【厄漱ぎし白楼剣】LP8000
妖夢 「(さて……)」
手札:終末の騎士、強制終了、イージー・チューニング、地割れ、エネミー・コントローラー
妖夢 「(……なかなかの配牌。最初から優位に立ち回れそうだな)」
妖夢 「いろいろ無理を聞いてもらったので、先行はお譲りします」
雛 「一応ムチャクチャ言ってる自覚はあったのね。じゃあ、ドロー」
雛 「モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドよ」
妖夢 「我が剣は厄でも斬れるのか……それを試させていただく! ドロー!」
つ 共闘するランドスターの剣士
妖夢 「手札から、終末の騎士を召喚!」
《終末(しゅうまつ)の騎士(きし)/Armageddon Knight》 †
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1200
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
自分のデッキから闇属性モンスター1体を選択して墓地に送る事ができる。
妖夢 「誘発効果でデッキの不死武士を墓地に送ります。終末の騎士で、裏守備に攻撃」
雛 「はい残念、マシュマロンよ」
《マシュマロン/Marshmallon》 †
効果モンスター(制限カード)
星3/光属性/天使族/攻 300/守 500
フィールド上に裏側表示で存在するこのカードを攻撃したモンスターのコントローラーは、
ダメージ計算後に1000ポイントダメージを受ける。
このカードは戦闘では破壊されない。
妖夢 「(むむむ……面倒な。まあいいや、モンス除去ならデッキにもたくさんあるし)
1枚伏せて、ターンエン……」LP8000→7000
雛 「待った。エンドフェイズにトラップを発動するわ」
妖夢 「えっ、このタイミングでですか? どうぞ」
雛 「では遠慮なく。ウィジャ盤よ」
《ウィジャ盤(ばん)/Destiny Board》 †
永続罠
相手ターン終了時毎に「E」「A」「T」「H」の順に
「死のメッセージ」カードを手札またはデッキからフィールド上に出す。
全てのカードが自分のフィールド上に揃った時、勝利が決定する。
途中1枚でもフィールド上から離れると、これらのカードは全て墓地に送られる。
妖夢 「(げげっ!? あれは……)」
雛 「あら、あなたこのカードを知ってるの?」
妖夢 「……西洋版のコックリさんでしょう。
上司と(いやいやだけど)何度かやらされたことがあります」
雛 「当たり。これからこの霊応盤の向こうから、黄泉国の住人があなたの運命を告げてくれるわ。
一文字目は、『D』。そして、二文字目が……」
《死(し)のメッセージ「E(イー)」/Spirit Message "I"》 †
永続魔法
このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。
妖夢 「(『E』……。D・E・A・T・Hの二文字目か……)」
妖夢 「あれ? でも英語だと二文字目は『I』になってますよ?」
雛 「そこは大人の事情というやつらしいから、あなたみたいな子供はあんまり気にしなくていいのよ。
ウィジャ盤は、相手のエンドフェイズにデッキからメッセージカードを
一文字ずつ出していく効果がある。
場にメッセージが五文字揃ったら、無条件でそっちの負けだからね」
妖夢 「(そういう自分もけっこう子供に見えるんだけどなぁ……。
まあ神様に子供もないか)」
妖夢 「(しかしまさかウィジャ盤とは。これは何気にまずいかも……。
わたしのこの不死武士デッキはモンスター除去は多いけど、魔法・罠を破壊するカードは少ない。
このまま何もしないでいたら、あと6ターン後に負けが確定してしまう……)」
妖夢 LP7000:手札4:終末の騎士、伏せ1
雛 LP8000:手札4:マシュ、ウィジャ、E
雛 「わたしのターンねー。ドロー」
雛 「どうしようかなぁ。まあ、このままエンドでいいや」
妖夢 「いいやって、そんな投げやりな……。
あまり慣れてないようですが、あなたはデュエルの経験は少ないのですか?」
雛 「よくわかったわね。つい最近神様の仲間内で始めたばかりよ。ブームに乗っかって」
妖夢 「(神様のくせに遊戯王で遊んでるとか……世も末だな)」
雛 「でもね。人間とか結構いろんな人とやったけど、未だに負けたことが無いの」
妖夢 「負けたことが無い? 初心者なのに?」
雛 「そう。なぜなら、それはこの周りの厄のせい。
わたしの相手をするとみ~んな運が枯れるから、
手札事故で何もできなくて勝手に負けてくのよね~」
妖夢 「(そうか……あの厄の効果はさっき充分過ぎるくらい体験してる。
遊戯王で勝つ要素……その約五割は運。
この人、普通の弾幕じゃどうだか知らないけど、
ことカードゲームに関しては相対的にかなり強いってことに……)」
妖夢 「(いけない。こちらの運が本格的に無くなる前に、なんとかしなきゃ……!)
ドローします!」
手札:イージー・チューニング、共闘するランドスターの剣士、地割れ、エネミー・コントローラー
つ 強欲な瓶
妖夢 「(うう、やっぱり魔法・罠を破壊するカードは引けない……。
もうすでに厄にやられてるのか……)」
妖夢 「……手札から、地割れを発動!」
《地割(じわ)れ/Fissure》 †
通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在する
攻撃力が一番低いモンスター1体を破壊する。
妖夢 「マシュマロンを破壊します」
雛 「チェーンしてモンスター効果を発動するわ~。緑光の宣告者よ」
《緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)/Herald of Green Light》 †
効果モンスター
星2/光属性/天使族/攻 300/守 500
自分の手札からこのカードと天使族モンスター1体を墓地に送って発動する。
相手の魔法カードの発動を無効にし、そのカードを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
雛 「手札の朱光の宣告者を捨てて、地割れを無効にするわよ」
妖夢 「(宣告者入りのパーミウィジャ……!?
やばい、ますます追い詰められる……)」
妖夢 「……なら! エネミー・コントローラーです。
終末の騎士をリリースし、マシュマロンのコントロールを得ます。
そして、共闘するランドスターの剣士を召喚」
《エネミーコントローラー/Enemy Controller》 †
速攻魔法
次の効果から1つを選択して発動する。
●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更する。
●自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。
このターンのエンドフェイズ時まで、相手フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体のコントロールを得る。
《共闘(きょうとう)するランドスターの剣士(けんし)/Comrade Swordsman of Landstar》 †
チューナー(効果モンスター)
星3/地属性/戦士族/攻 500/守1200
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターの攻撃力は
400ポイントアップする。
妖夢 「レベル3のランドスターの剣士に、レベル3のマシュマロンをチューニング。
ゴヨウ・ガーディアンをシンクロ召喚します!」
《ゴヨウ・ガーディアン/Goyo Guardian》 †
シンクロ・効果モンスター(制限カード)
星6/地属性/戦士族/攻2800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
雛 「出たわね、シンクロモンスターが」
妖夢 「あなたの狙いがわかった以上、長丁場にはしません。
速攻で決めさせていただきます。ゴヨウ・ガーディアンでダイレクトアタック!」
雛 「あらあら、慌てても周りの厄は振りほどけないわよ」LP8000→5200
妖夢 「……1枚伏せて、ターンエンドです」
雛 「エンドフェイズにウィジャ盤の効果発動。
デッキから『A』のカードを持ってくるわ。これで三文字目よ~」
《死(し)のメッセージ「A(エー)」/Spirit Message "N"》 †
永続魔法
このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。
妖夢 LP7000:手札1:ゴヨウ、伏せ2
雛 LP5200:手札3:ウィジャ、E、A
妖夢 「(三枚目……魔法・罠破壊カードがこなければ、実質あとわたしのターンは2回……)」
雛 「わたしのターンね。ドロー」
雛 「どうやら、今日はわたしの方はついてるみたいだわ。
マンジュ・ゴッドを召喚。デッキから高等儀式術を手札に加えて、発動よ」
《マンジュ・ゴッド/Manju of the Ten Thousand Hands》 †
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1400/守1000
このカードが召喚・反転召喚された時、自分のデッキから
儀式モンスターカードまたは儀式魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。
《高等儀式術(こうとうぎしきじゅつ)/Advanced Ritual Art》 †
儀式魔法(制限カード)
手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードとレベルの合計が
同じになるように自分のデッキから通常モンスターを選択して墓地に送る。
選択した儀式モンスター1体を特殊召喚する。
妖夢 「(高等儀式術…………儀式召喚?)」
雛 「デッキの神聖なる球体三枚を墓地に送り……来るがいいわ~。神光の宣告者!!」
《神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)》 †
儀式・効果モンスター
星6/光属性/天使族/攻1800/守2800
「宣告者の預言」により降臨。
手札から天使族モンスター1体を墓地へ送って発動する。
相手が発動した効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
妖夢 「(げげげっ! あのモンスターは……)」
雛 「守備表示。こいつが出ちゃった以上、あんたにはほんとに万一の勝ち目も無いと思うわよ。
ターンエンド」
妖夢 LP7000:手札1:ゴヨウ、伏せ2
雛 LP5200:手札2:神光、マンジュ、ウィジャ、E、A
妖夢 「ドローします……」
手札:イージー・チューニング
つ カード・ブレイカー
妖夢 「(どうしよう……神光の宣告者の効果は極めて強力。
手札の天使族があれば、どんな効果でも問答無用で無効にしてしまう。
守備表示だからゴヨウでも倒せないし。
なら、とりあえず……)」
妖夢 「場のリバースカードを使います。強欲な瓶」
《強欲(ごうよく)な瓶(かめ)/Jar of Greed》 †
通常罠
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
妖夢 「ドローしてもいいですか?」
雛 「どうせ1枚でしょ。構わないわよ。神光の宣告者の効果は使わない」
つ 砂塵の大竜巻
妖夢 「(くっ……。一手遅い。
あのモンスターが出てしまった以上、そうそうこのカードが通るとは思えない)」
妖夢 「(……ダメだダメだ。
考えすぎて気持ちまで曇ったら、ツキまでますますかげるだけだ!)」
妖夢 「とりあえずバトルフェイズ。
ゴヨウ・ガーディアンで、マンジュ・ゴッドを攻撃しておきます」
雛 「ほんとにとりあえずみたいな戦略ね。
もうわたしの勝ちでいいじゃん、いいじゃん」LP5200→3400
妖夢 「よくないんですよ。そう、春菊を手に入れるためにはね!」
妖夢 「ゴヨウ・ガーディアンの誘発効果で、マンジュ・ゴッドを捕縛。
守備表示でわたしの場に特殊召喚します。1枚伏せて、ターンエンド!」
雛 「(そんなに春菊が欲しいなら里で買ってくればいいのに……)
ウィジャ盤の効果発動。デッキから『T』のカードを持ってくるわ」
《死(し)のメッセージ「T(ティー)」/Spirit Message "A"》 †
永続魔法
このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。
妖夢 LP7000:手札2:ゴヨウ、マンジュ、伏せ2
雛 LP3400:手札2:神光、ウィジャ、E、A、T
雛 「とうとうDEATHの四文字まできちゃったわねぇ。
あなたの命もあとわずか2ターン。
もちろん、この春菊も無事わたしの胃袋におさまる運命となるわ~」
妖夢 「ちなみに、どう料理して食べるつもりなんですか?」
雛 「んー、凝った料理もめんどいしー。
もうお腹も減ったから、簡単にゴマ和えにでもしようかなーなんて思ってるんだけどー」
妖夢 「なるほど。ならば尚更ですね。
その春菊の一生を、そんなさもしい運命で終わらせるわけにはいきません。
おいしい食材は、おいしい料理となって人生をまっとうするべきです!
だからわたしによこしてください」
雛 「ほんとあなた無茶苦茶言うわね。厄よりも厄介だわ。ドロー」
雛 「うふふ、まーた引いちゃった。
ほんと、今日のわたしはおよそ疫神とは思えない運のよさね。これで三枚目だわ」
妖夢 「三枚目?
……まさか」
雛 「あら、ごめーん。口が滑っちゃった。
そうなの、今手札に三枚目の天使族が来ちゃったのよ。
なんなら見せてあげてもいいわ。はい」
つ 逆転の女神、アルカナフォース0-THE FOOL、朱光の宣告者
妖夢 「(ううっ……!
これで彼女は三回まで、わたしの行動をカウンターできる。
でも、わたしの手札は……)」
手札:カード・ブレイカー、イージー・チューニング
妖夢 「(カード・ブレイカーの効果は召喚ルール効果だからこの場合関係無い。
状況に有効なのはイージー・チューニングと、伏せの砂塵の大竜巻の二枚。
仮に次のターンに有効カードをドローできたとしても、三枚……ということは……
……ん~?)」
妖夢 「(もしかして…………詰んでる?)」
妖夢 「(…………)」
妖夢 「(………………や、やばい)」
雛 「ふふふ、これでターンエンド。
さて、最後のターンね。
あなたがいくら無類の春菊好きだとしても、食欲だけじゃ厄は祓えない。
DEATHの呼び声からは逃げられないわ」
妖夢 LP7000:手札2:ゴヨウ、マンジュ、伏せ2
雛 LP3400:手札2:神光、ウィジャ、E、A、T
妖夢 「(別に春菊好きってわけじゃないのに……。
変な勘違いされてるなぁ)」
雛 「サレンダーもOKよ。
てか、そういや、わたしが勝ったらあなたはどうしてくれるの?」
妖夢 「えっ? 別に、どうもしませんけど……。
どうしましょう?」
雛 「どうしましょうって…………やっぱり何も考えてなかったのね。
あーあ、やる前にちゃんと取り決めしておけばよかったわ~。
厄を集める手伝いとかさせたかったのに~」
妖夢 「うーん、それは嫌ですねぇ。
厄なんて持って帰ったら、幽々子様に爆笑されてしまいます」
雛 「じゃあどうしようかしら。
そうだ、あなたの厄をもらってあげましょうか。その後ろにいる白い……」
妖夢 「そりゃわたしの一部ですっ」
雛 「あっそう。じゃあそいつでいいわ。
わたしが勝ったらその半霊をもらうから」
妖夢 「春菊の代償が自分の半身というのはどうも納得がいきませんが、わかりました。
剣の道に撤退はありません。受けましょう」
雛 「やったぁ。
暗いところでも目立ちそうだから、寝る時枕元に照明代わりに置いとくわ」
妖夢 「(さて……これでもう引き返せないな。
ここを切り抜けないと、わたしの半霊が寝床のライトスタンドにされてしまう……)」
妖夢 「(とはいえ……、この状況。
ここから逆転する手なんてあるのだろうか?)」
妖夢 「(いや、デッキのカードの数だけ、可能性はあるはず。
今一度、よく考えて……)」
妖夢 「(ウィジャ版の効果で、自分に残された猶予はこのターンのみ。
さらに場には、あらゆるカード効果を無効にできる神光の宣告者。
わたしのデッキに守備力2800を超える攻撃力の最上級なんて入ってないし……。
この手札から、あれを破壊し、かつ相手のライフを0にする手なんて……)」
妖夢 「(…………)」
妖夢 「(…………そうか!
あれだ。あのカードさえ引けば……!)」
雛 「(お? 目つきが変わった……?)」
妖夢 「ドローしますっ!」
つ 氷結界の虎将 ライホウ
妖夢 「(……よしっ! この勝負、もらった!)」
妖夢 「場の強制終了を墓地に送り、カード・ブレイカーを特殊召喚です!」
《カード・ブレイカー》 †
効果モンスター
星2/光属性/戦士族/攻 100/守 900
このカードは通常召喚できない。
自分の魔法&罠カードゾーンに存在するカード1枚を
墓地へ送った場合に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
雛 「ん? カード・ブレイカー?」
妖夢 「このモンスターの効果はただの召喚ルール効果であるため、チェーンブロックを作りません。
よって、神光の宣告者で無効にはできない。
わたしはこのカードをリリースし、氷結界の虎将、ライホウをアドバンス召喚!!」
《氷結界(ひょうけっかい)の虎将(こしょう) ライホウ》 †
効果モンスター
星6/水属性/戦士族/攻2100/守2300
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
フィールド上で発動する相手モンスターの効果処理時に、
相手は手札を1枚捨てる事ができる。
捨てなかった場合、その効果モンスターの効果は無効化される。
妖夢 「これで準備は整いました。
リバースカードオープン! 砂塵の大竜巻!」
《砂塵(さじん)の大竜巻(おおたつまき)/Dust Tornado》 †
通常罠
相手フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。
破壊した後、自分の手札から魔法または罠カード1枚をセットする事ができる。
妖夢 「対象は当然、そのコックリ板です。ウィジャ盤を破壊!」
雛 「わたしの厄にさらされながらそんなカードを引いてるなんて!
なるほどたいした宿運だわ。でも惜しいわね。
わたしの天使の前で、そんなものが効くわけがない。
手札の天使族を1枚捨てて、その効果を無効にするわ」
妖夢 「1枚? ふふふ、それじゃ足りませんよ」
雛 「はあ? 足りないって、何言って……」
妖夢 「わたしの場にいる、氷結界の虎将ライホウ。
このモンスターが表でいる限り、あなたの場のモンスターが効果を発動させるには、
さらに1枚手札を捨てる必要があります」
雛 「なっ……さらに手札を捨てろっていうの!」
妖夢 「そうです。捨てなければ、その宣告者は破壊される。
ちなみにライホウの効果分類は永続効果。
これもチェーンブロックに乗らないので、さらに無効にすることはできません」
雛 「う~、仕方ない。
捨てなきゃせっかくここまでメッセージを揃えたウィジャ盤が破壊されるし……。
ここはさらに1枚捨てて……」
雛 「(……!
宣告者の効果を使うのに、二枚カードを捨てなきゃいけないってことは……)」
妖夢 「気づいたみたいですね。
今あなたの手札はわずか1枚。もうこれで宣告者の効果を使うことはできない。
だから、このカードの発動を防ぐことはできない!
イージーチューニングを発動!」
《イージーチューニング/Battle Tuned》 †
速攻魔法
自分の墓地に存在するチューナー1体をゲームから除外して発動する。
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は、
発動時にゲームから除外したチューナーの攻撃力分アップする。
雛 「(ううっ、無効にできない……)」
妖夢 「墓地の共闘するランドスターの剣士を除外し、
ゴヨウ・ガーディアンの攻撃力は3300になります!」
雛 「3300ですって!?」
妖夢 「これで神光の宣告者の守備力を上回った。
マンジュ・ゴッドを攻撃表示に変更。
バトルフェイズです。ゴヨウ・ガーディアンで、神光の宣告者を攻撃!」
雛 「ああっ。わたしの宣告者が……」
妖夢 「どうやら厄はあなたのもとにひっくり返ったみたいですね。
こうなれば、ゴヨウガーディアンの効果を使うまでもない。
マンジュ・ゴッドと氷結界の虎将ライホウでダイレクトアタック!
畜趣剣、無為無策の冥罰!!」
雛 「むぎゅ。や、やられた……」LP3400→2000→0
妖夢 「……またつまらぬ物を斬ってしまった」
雛 「うっそぉ~……あそこから負けるなんて」
妖夢 「相手の運を削れば負けることはない。勝手な思い込みをしていたあなたの負けです。
デュエルモンスターズは、厄とかそんなチャチなもので全てコントロールできるほど
浅くはないってことですね。
あとはまあ、強いていえば動機の差でしょうか」
雛 「ああ、そういや春菊が欲しいんだっけ。
はい、拾えば?」
妖夢 「そんなゴミみたいに地面に置かないでほしいんですが……。
まあいいや、くれるんなら」
妖夢 「……ふむ。これは確かに香ばしい。
なかなかの春菊です。及第点にしてあげましょう」
雛 「なんで上から目線なのよ」
妖夢 「いや、まあ、勝ったのわたしですし」
雛 「あーあ、せっかく集めた厄が散っちゃったわ。
また里に行って集めてこなきゃ。今日のノルマが間に合わないじゃない」
妖夢 「厄にノルマなんてあるんですか」
雛 「今日中にあと三樽分、他の神様の元に届けなきゃならないのよ」
妖夢 「樽……まあ、すみませんがこちらはツッコむ暇すら惜しい身ですので、これで。
最後に、礼を言わせていただきます。
厄を斬るなんていい経験になりました。それでは」
雛 「あーあ、行っちゃった。
今日は厄日だわ~……」
・・・・・・To be continued
ある意味、ウィジャ盤よりか終焉のカウントダウンのが雛様には合ってるかも。どっちにせよ厄いやっちゃ。
>>1
その辺はアニメと似たような事情なので勘弁してやってください^^;
六武もこれからも使っていきますよ~
>>2
ありがとうございます~。
今回はちょっと趣向が違うものでしたが、楽しんでいただけたなら幸いです。
>>3
ありがとうございます。遅れましたが、修正させていただきました。
う~ん、言われてみれば、確かにカウントダウンの方があってるかもしれませんねぇ~。
シングル戦でのカウントダウンは厄いなんてもんじゃないですしw
二作目が始まったと知って、また毎度毎度わくわくさせて貰うことになりそうです。
今回も良い決闘でした!
ライホウか・・・その発想はなかった・・・!
てっきり「ターレット・ウォリアー」かと思ったのですが、それだとライフが0にできないのか・・・orz
ありがとうございます~。ご期待にそえられるよう頑張らせていただきます。
仰るとおり、ターレット・ウォリアーだと宣告者を破壊はできるのですが、そのターンで相手のライフを0にはできません。
それでも、宣告者を破壊した後に砂塵でウィジャ版は破壊できますが……