フランは時々、「きゅっとしてドカーン!」と嬉しそうにいう時がある。
フランの能力で、そのものの核たる場所をきゅっとする事でドカーンと爆発するらしい。
だから、きゅっとしてドカーン。
とある日の事、魔理沙は紅魔館に足を運んだ。
真っ赤なカーペットの上を堂々と歩く魔理沙。
すると、曲がり角の方に、宝石のような羽が見えた。
魔理沙はすかさず声をかける。
「おいフラン!」
「へ?」
羽が消えたと思えば、次に顔が曲がり角からひょこっと出てくる。
まず、フランのさらさらの金髪をサイドで結んだ、サイドテールの髪が覗かせる。
その後、真っ赤な瞳が出てきたかと思えば、すぐさまその瞳は魔理沙を捕えた。
「あ、魔理沙!」
フランが小走りで魔理沙に寄ってくる。
そのサイドテールの髪がぽんぽんと揺れる。
その顔に、にっこりと無邪気な笑みを浮かべながら。
「ずいぶんとご機嫌だな。何かいい事があったのか?」
「ん? なんでもないよ?」
フランと初めて出会ったあの夜。
まだ人とまともに接した事の無いフランは、魔理沙に本気でかかってきた。
それを魔理沙は苦戦を強いられながらも勝利した。
それからというもの、レミリアの許可も出て、紅魔館の中では自由に動く事ができるようになった。
なので、紅魔館に訪れる人達とも接する事が多くなり、今では魔理沙だけでなく、いろんな人達と仲良くやっている。
「なんでもないのに笑うなんて不気味だな」
「不気味じゃないもん」
ぶーっと頬を膨らませるフランに対し、魔理沙はにやっと笑っている。
「そういえば、今日はフランにちょっとしたプレゼントがあるんだ」
「なぁに?」
真っ赤な瞳に光が増す。
そんなフランの表情を読み取り、魔理沙は笑うと、小さな小瓶を取り出した。
「フランも女の子だし、おしゃれも必要だろう。香水ってやつだ、使ってみるといい」
フランは魔理沙から小瓶をもらう。
香水を手の甲に擦りつけて、鼻の方にもっていく。
フランの中に、強すぎない、爽やかで優しい、甘い香りが満ちた。
「気に入ったか?」
「うん! ありがと!! じゃあ今度は私がプレゼントする!」
「ん? 何かくれるのか?」
首をかしげる魔理沙に対して、フランの表情はにっこにこ。
すると、フランは不意に魔理沙を抱きしめた。
「ぎゅー」
「おいおい、ドカーンはやめてくれよ?」
冗談半分で魔理沙は笑う。
フランはそんな魔理沙からすっと離れると、魔理沙の目をじっとみる。
魔理沙は一瞬首をかしげたが、そんな魔理沙に対してフランは、
「ドカーン!!」
「んんっ!?」
一瞬の出来事だった。
フランが突然、魔理沙の唇にキスをしたのだ。
突然の出来事に、ただただ魔理沙は驚くばかり。
フランは唇をそっと離す。
「えへへ~」
恥ずかしそうにしながらも、にっこりと笑うフラン。
魔理沙は、時が止まったかのように突っ立っている。
「……あれ? どうしたの魔理沙」
「あーっ、可愛いなぁ、もう!」
魔理沙はフランをぎゅっと抱き返した。
「わっ、魔理沙?」
「嬉しいお礼だったぜ。ありがとな、フラン」
「ん、どういたしまして!」
魔理沙の笑顔に、フランも笑顔で答える。
「それじゃあ私は図書館に行ってくるから。それじゃ、またな」
「うん、バイバイ」
二人は大きく手を振って別れた。
金色の髪が、それぞれの目的の為に、別れていった。
フランかわいいですね。
俺博士じゃないけど許してあげよう。
うん、理想のフラマリだった、最高。
もう結婚しちまえよぉ!