「餃子?」
「餃子です」
いきなり何を言い出すんだこの従者は。
「つまり……どういうことなの?」
「月が欠けたのは餃子が足りないからです」
あぁ、教えてパチェ、私はどこでこの従者の育て方を間違えたのかしら。
異常に気づいたのは数分前。
今日の月齢は満月のはずである、しかし空に浮かぶは待宵月。
自分は吸血鬼。妖怪の中でもとりわけその力が月に影響される。
最悪この異常が命にかかわることすら考えられるので従者に相談したらこの答えが返ってきた。
日ごろ完全に仕事をこなすこの銀の従者は時々抜けた発言をする。
だがしかしこの異常な事態にまでこの返答はいかがなものだろうか。
「で、餃子がこの異変にどう関係するのかしら?」
「世界的に餃子が足りていないので月齢の進行が遅れたのです。これは由々しき事態と考えられますので今すぐ餃子成分の補給をおすすめします」
「補給とは具体的に何をするのかしら? 食べるの? それとも作るの?」
「まずは手始めとしてスペルカードを餃子にします」
予想以上だった。
「まずはカードの材質を小麦粉にし、上位のスペルカード、具体的には緋想天ルールで4コスト以上のものにはひき肉を練りこむことを義務化します」
まてそれは既に餃子じゃない。
「名前も餃子っぽいものにします。手始めにお嬢様のスペルカードも餃子風にしましょう」
「おいやめなさい馬鹿従者」
「そうですね……天罰「餃子オブダビデ」、冥符「紅色の餃子」、呪詛「ブラド・ツェペシュの餃子」、紅符「スカーレット餃子」、「餃子マジック」。これで東方紅魔郷は東方餃子郷になり餃子度が3割増しになりますわ。どうでしょうお嬢様この御奉仕具合」
「ダビデの餃子とかヴラド卿の餃子とかもはや意味が分からないわよ! とりあえず餃子ってつければ良いわけじゃないのよ! そもそもヴラド卿の餃子ってなんなのよ! 食べたの!? 作ったの!?」
「神槍「ギョウ・ザ・グングニル」」
「上手い事言ったつもり!?」
もはやツッコミが追いつかない。少々息切れすらしてきた。
「お嬢様落ち着いてください。落ち着かなければ事態は好転しませんよ?」
原因であるお前が言うか。もはや殺意すら沸いてくる。
あぁそうか、この従者は私を怒らせようとしているのか、そうかそうなのだきっとそうだ、ならばその誘いに乗ってやろう。
右手に魔力を集め形成するのは真紅の槍。それは必中を約束された魔槍。狙うは我が愛する従者。この従者なら投げても避けるだろうが気にしない。万一当たっても気にしない。
「お嬢様、最期に一言言わせいただきたいのですが?」
「許可する。せいぜい後世に語り継がれるような一言を残しなさい」
「餃子食え」
投げた。全力で投げた。これ以上無いくらいの速度でブン投げた。
高密度の魔力で形成された槍は秒速3000mを超えた速度で飛翔し、空を裂き衝撃波を発生させる。
レミリアを中心に半径15mが吹き飛んだ。紅茶やポット、机に椅子が宙を舞う。妖精メイドが何人か壁に叩きつけられたが気にしない。
その槍は従者目掛けて一直線に飛び――
「幻世「ギョウ・ザ・ワールド」」
このやろう案の定時止めて避けやがった。
この日、紅魔館の壁をぶち抜いた魔槍は湖を越え人里を越え竹林を越え、首謀者である月の主従を見事撃ち貫き、その異変を解決したが本人たちがそれに気づくことは無かった。
「お嬢様、今日のおゆはんは餃子ですわ」
異変解決から2週間、外壁の修理も終わり落ち着いた矢先に従者がまた喧嘩を売ってきた。
「咲夜、またあの事態を引き起こしたいというのなら止めはしないけど次は運命操作使うから絶対当たるわよ」
「いえいえお嬢様、今回は含むところなどございません。存分に腕を振るわせていただいたのでお召し上がりください」
含むところが無いなら何故餃子を作ったのか小一時間ほど問いただしたいが、まぁいい。食べてやろうではないか。
咲夜が指を鳴らすと妖精メイドにより餃子が運ばれてくる。
食卓に乗せられた餃子は香ばしい匂いを存分に漂わせており、その皮はパリっとしていてかつ中はモチモチしているのが見ただけでわかる。
まさに黄金比。この従者がたまに発揮する変な方向に突き抜けた才能が非常に妬ましくなる。
「ふむ…見たところ特におかしいところはないわね…いただきます」
餃子を口に含む。
「なっ……!」
驚愕した。
なんだこれは。口に入れただけでその香りが鼻腔を付きぬける。
皮に歯を立てればそれは快音を立てて破け中から濃厚な肉汁があふれ出す。
ひき肉は熱々の状態を保っており口の中で暴れまわるがその熱さすら心地よい。
熱々の肉汁を飲み込めばそれは即座に全身にいきわたり体中に活力があふれる。
これは……これはなんという食べ物なのだろう。私はこれほどまでに素晴らしい食べ物に遭遇したことが無い。
あぁ……私はまさに真理を見ている!!
「ところでお嬢様。ひとつ言い忘れていたことがありましたわ」
「許すわ」
即答する。この素晴らしき恍惚を前にひとつふたつの問題なぞ存在しないに等しい。
「餃子って……大蒜入っているんですよね」
「え?」
レミリアは爆発した。
「餃子です」
いきなり何を言い出すんだこの従者は。
「つまり……どういうことなの?」
「月が欠けたのは餃子が足りないからです」
あぁ、教えてパチェ、私はどこでこの従者の育て方を間違えたのかしら。
異常に気づいたのは数分前。
今日の月齢は満月のはずである、しかし空に浮かぶは待宵月。
自分は吸血鬼。妖怪の中でもとりわけその力が月に影響される。
最悪この異常が命にかかわることすら考えられるので従者に相談したらこの答えが返ってきた。
日ごろ完全に仕事をこなすこの銀の従者は時々抜けた発言をする。
だがしかしこの異常な事態にまでこの返答はいかがなものだろうか。
「で、餃子がこの異変にどう関係するのかしら?」
「世界的に餃子が足りていないので月齢の進行が遅れたのです。これは由々しき事態と考えられますので今すぐ餃子成分の補給をおすすめします」
「補給とは具体的に何をするのかしら? 食べるの? それとも作るの?」
「まずは手始めとしてスペルカードを餃子にします」
予想以上だった。
「まずはカードの材質を小麦粉にし、上位のスペルカード、具体的には緋想天ルールで4コスト以上のものにはひき肉を練りこむことを義務化します」
まてそれは既に餃子じゃない。
「名前も餃子っぽいものにします。手始めにお嬢様のスペルカードも餃子風にしましょう」
「おいやめなさい馬鹿従者」
「そうですね……天罰「餃子オブダビデ」、冥符「紅色の餃子」、呪詛「ブラド・ツェペシュの餃子」、紅符「スカーレット餃子」、「餃子マジック」。これで東方紅魔郷は東方餃子郷になり餃子度が3割増しになりますわ。どうでしょうお嬢様この御奉仕具合」
「ダビデの餃子とかヴラド卿の餃子とかもはや意味が分からないわよ! とりあえず餃子ってつければ良いわけじゃないのよ! そもそもヴラド卿の餃子ってなんなのよ! 食べたの!? 作ったの!?」
「神槍「ギョウ・ザ・グングニル」」
「上手い事言ったつもり!?」
もはやツッコミが追いつかない。少々息切れすらしてきた。
「お嬢様落ち着いてください。落ち着かなければ事態は好転しませんよ?」
原因であるお前が言うか。もはや殺意すら沸いてくる。
あぁそうか、この従者は私を怒らせようとしているのか、そうかそうなのだきっとそうだ、ならばその誘いに乗ってやろう。
右手に魔力を集め形成するのは真紅の槍。それは必中を約束された魔槍。狙うは我が愛する従者。この従者なら投げても避けるだろうが気にしない。万一当たっても気にしない。
「お嬢様、最期に一言言わせいただきたいのですが?」
「許可する。せいぜい後世に語り継がれるような一言を残しなさい」
「餃子食え」
投げた。全力で投げた。これ以上無いくらいの速度でブン投げた。
高密度の魔力で形成された槍は秒速3000mを超えた速度で飛翔し、空を裂き衝撃波を発生させる。
レミリアを中心に半径15mが吹き飛んだ。紅茶やポット、机に椅子が宙を舞う。妖精メイドが何人か壁に叩きつけられたが気にしない。
その槍は従者目掛けて一直線に飛び――
「幻世「ギョウ・ザ・ワールド」」
このやろう案の定時止めて避けやがった。
この日、紅魔館の壁をぶち抜いた魔槍は湖を越え人里を越え竹林を越え、首謀者である月の主従を見事撃ち貫き、その異変を解決したが本人たちがそれに気づくことは無かった。
「お嬢様、今日のおゆはんは餃子ですわ」
異変解決から2週間、外壁の修理も終わり落ち着いた矢先に従者がまた喧嘩を売ってきた。
「咲夜、またあの事態を引き起こしたいというのなら止めはしないけど次は運命操作使うから絶対当たるわよ」
「いえいえお嬢様、今回は含むところなどございません。存分に腕を振るわせていただいたのでお召し上がりください」
含むところが無いなら何故餃子を作ったのか小一時間ほど問いただしたいが、まぁいい。食べてやろうではないか。
咲夜が指を鳴らすと妖精メイドにより餃子が運ばれてくる。
食卓に乗せられた餃子は香ばしい匂いを存分に漂わせており、その皮はパリっとしていてかつ中はモチモチしているのが見ただけでわかる。
まさに黄金比。この従者がたまに発揮する変な方向に突き抜けた才能が非常に妬ましくなる。
「ふむ…見たところ特におかしいところはないわね…いただきます」
餃子を口に含む。
「なっ……!」
驚愕した。
なんだこれは。口に入れただけでその香りが鼻腔を付きぬける。
皮に歯を立てればそれは快音を立てて破け中から濃厚な肉汁があふれ出す。
ひき肉は熱々の状態を保っており口の中で暴れまわるがその熱さすら心地よい。
熱々の肉汁を飲み込めばそれは即座に全身にいきわたり体中に活力があふれる。
これは……これはなんという食べ物なのだろう。私はこれほどまでに素晴らしい食べ物に遭遇したことが無い。
あぁ……私はまさに真理を見ている!!
「ところでお嬢様。ひとつ言い忘れていたことがありましたわ」
「許すわ」
即答する。この素晴らしき恍惚を前にひとつふたつの問題なぞ存在しないに等しい。
「餃子って……大蒜入っているんですよね」
「え?」
レミリアは爆発した。
BさんとCさんは普通のお題なのに貴方だけ餃子ってwwwww
貴方はAさんをどうしたかったんだwwwww
30文字で説明してくれwwwwww
どうすればそんな発想が出てくるんだ