一応、前々作と前々々作の『さとり先生、~~~』と『レミリア先生、~~~』を読んで頂ければ理解度が増し増しになります。
前回から数ヶ月たった後、ようやくレミリア主催のお茶会が実現する事となった。
主催者レミリア。その妹フランドール。
地底の主さとり。その妹こいし。
客間に集った4人の少女達。無論、座席は4つ。
さて、ここで問題である。少女達は今、全員が座っているとする。椅子は4つ。しかしそのうち、2つは空席となっている。
何故であろうか。
答えは至極簡単。各々の妹達がそれぞれの姉の膝の上に座っているからである。
「フラン、そこに座られると紅茶が飲めないのだけれど・・・」
「こいし、そこに座られると紅茶が飲めません・・・」
真っ当な言い分である。しかし、妹達は。
「・・・・・・」
「お姉ちゃんは私と一番、仲いいの。だから、フランドールのお姉さんに見せつけて、お姉ちゃんを諦めさせないといけないの」
フランドールは黙して語らず。ただ、自分の姉を友人の姉に取られまいと必死にしがみつく。
こいしは自身の姉に説く。言ったとおり、見せつけるようにして、さとりに抱きつく。
奇しくも、妹達の性格の差がありありと表れた形になった。
これに対し、姉達は。
「(まぁ、お尻の感触が気持ち良いからいいか・・・)」
「(まぁ、お尻の感触が気持ち良いからいいか・・・)」
・・・姉達の性格は似ているところがあった。
そもそも、どうしてこういう形になったのか。それは以前の騒動を経て、フランドールはさとりを、こいしはレミリアを、自身の最愛の姉についての恋敵と見なしているのだ。
実際は、姉達は親友同士。それ以上の関係ではないが、どうやら妹達には伝わっていないようだ。因みに、妹達は恋敵が親友の姉であった事は、今日この場で知った。
フランドールは心中、穏やかではなかった。
一週間、ずっとあのさとり妖怪は、お姉様とくっついて行動を共にしていた。それは、親友だからか?はたまた、恋人だからか?どの道、姉がさとり妖怪にお茶会へ誘う手紙を出したと聞いた時は、不安でしょうがなかった。
フランドールは、丸餅と角餅を一緒に焼く事で、姉の気を引いてみたが、いまいちはっきりとわからない。
愛してくれているんだな、という事は姉の暖かい抱擁によってわかった。しかし、同じようにして、あのさとり妖怪を愛しているのでは、という気持ちは拭えなかったのである。
だから、私が今できる事はこうして気を引いて、さとり妖怪(友達のこいしのお姉さんだとは知らなかった)に気が行かないようにするしかない。
フランドールはその気持ちで一杯だった。
こいしは心中、穏やかではなかった。
一週間、ずっとあの吸血鬼は、お姉ちゃんとくっついて過ごしていた。さらにお姉ちゃんがあの吸血鬼に抱きついているところを目撃してしまった。
追い討ちをかけるように、姉宛の手紙を勝手に開き中を改めると、あの吸血鬼からお茶会の誘い。
本当は、この場で破り捨てようと思ったが、考え直す。
私はこんな不安な気持ちで、このままずっと過ごさなければならないのか?こんなモヤモヤした気持ちでお姉ちゃんに心から甘えられるのか?
そんな考えが頭を巡り、姉に手紙を渡す事を決心したのである。
私が一番お姉ちゃんに相応しい。私が今できる事はこうしてベタベタとくっついて、甘えて、吸血鬼(友達のフランドールのお姉ちゃんだとは知らなかった)に諦めさせる事くらいしかない。
こいしはその気持ちで一杯だった。
こいしはこれでもかっ、というくらい姉に抱きついた。しかし、
・・・いや、まてよ、抱きつくくらいならあの時、フランドールのお姉ちゃんもしていたじゃないか。
という考えが浮かんだ。
これじゃ、まだ駄目だ!
「お姉ちゃん」
「はい?」
「紅茶、飲みたいって言ったよね?」
「はぁ・・・まあ、まだ一口も飲めてませんからね」
「飲みたいね?」
「なんですか、その訊きかた・・・。はい、飲みたいですけど・・・」
「ちょっと待って」
そういうと、姉のティーカップに入っている紅茶を全て口に含んだ。
「んんん」
「な、なにをするつもりですか?」
「んんんんん?」
「ま、まさか・・・!」
んちゅう。
情熱的なキスだった。
レミリアとフランドールが見ている前で堂々と口移しをする。
「んんー!!んんー!!」
恥ずかしさで混乱しながらさとりは、必死に妹を剥がそうとするも、瞬間接着剤のように唇が離れない。
こいしが紅茶を全て移し終え、唇が離れる。
(全部、飲んでしまった・・・親友の見ている前で・・・)
さとりは脳内が恥ずかしさで沸騰しながらも、姉の威厳を見せるためこいしを叱る。
「こここいし!何をするのですか!?ひひひ人前でこんな事をしてはいけません!!」
怒るポイントを少し間違えているが、さとりは気づかない。一方こいしは、したり顔でレミリアを見つめていた。
レミリアはこいしの視線に気づく。
なるほどね、そういう事ね。つまり、さとりは妹といちゃいちゃして、私に見せつけようとしているのね。いい度胸だわ。幻想郷で一番仲の良い姉妹は誰だか、今教えてあげようじゃないの。
レミリアは完全に誤解していた。さとりの声も耳に入っていなかったようだ。
「フラン。紅茶が飲みたいわ」
「え、あ、うん」
今の出来事はもちろん、フランドールも見ていた。鋭いフランドールは今の出来事だけで、こいしとさとりは相思相愛である事を見抜いてしまった。
さとりが自分の恋敵でないとわかった一方、私はこいしみたいにあんなの出来ないなぁ・・・とも考えていた。元来照れ屋であるフランドールらしい考えである。
そこで、レミリアの紅茶飲みたい発言。
先も言ったがフランドールは鋭い。
イヤ~な予感がして、姉の膝の上から離れようとする。
寸前のところで羽を掴まれた。無理やり、もとの態勢に戻される。
「フラン。紅茶が飲みたいわ」
「うう・・・」
「でもそこに貴女が座っていると紅茶が飲めないの」
「・・・今、どくから・・・」
羽を掴まれた。無理やり、もとの態勢に戻される。
「もう、おやすみのキスしてあげないわよ・・・?」
小声でそう、囁かれたフランドール。
フランドールはレミリアの調教の成果で、キスをしてもらえないと眠れない身体となっていた。もし、そうなったら睡眠不足は必至である。
ここにきて、ようやく観念したフランドール。
だが、2人きりの時と違って、今は友達のこいしとそのお姉さんが目の前に居る。
・・・どんな羞恥プレイよ・・・うう・・・
遠目から見ても顔が真っ赤に染まっているのがわかる。
フランドールは姉のティーカップに入っている紅茶を一口、口に含んだ。
「さあ、早く頂戴?」
「んん・・・」
「何をためらっているの?さあ」
ちゅう。
こいしとは対極的に、優しいキス。
「んっ・・・」
レミリアは喜びながら目を細め、フランドールを抱きしめる。
妹の口から渡される紅茶の味を楽しむようにして、ふと、気づく。
・・・果たして、これで勝ったと言えるのかしら?
確かに、姉妹で口移しをするのはなかなか居ないであろう。しかし、それだけでは幻想郷で一位とは呼べない。現に目の前の姉妹も口移しをしていたのだから。
「んんんっ!?!?」
だから、舌を入れた。レミリアにとってはこれが手っ取り早く、姉妹の仲の良さを示せる方法だったのだ。
しかし、何も言われていないフランドールにとってはたまったものではない。友達の目の前で、口移しを強要された挙げ句、今度はディープキスである。
声をあげて抗議したが、やめるどころか姉は舌をどんどん侵入させてくる。
ここで、フランドールは極度の緊張と、恥ずかしさにより気を失った。
しばらく、されるがままになり、やがて、レミリアは満足した。
唇を離すと、妹がくたーっともたれかかってくる。
「・・・もう、いつまでたっても甘えん坊なんだから」
実際は気絶しているだけだとは露知れず。
さて、この様子をこいしは見ていた。
・・・フランドールのお姉ちゃんの好きな人は私のお姉ちゃんではなかったのか。
さすがに、目の前でこんな事をされては気づくもの。好きでもない奴にディープキスなどしないだろう。
するとどうだろう、こいしは思う。
・・・なにか、悔しい。
人目を憚らずこんな深いキスをする2人はどう考えても、自分たちより仲が良い。それが、どうしてか気に喰わないのだ。
「んんんっ!?!?」
だから、同じように真似してみた。最愛の姉に再び口づけをし、舌をねじ込ませる。
さとりは突然の事に固まり、抵抗を忘れてしまったようだ。されるがまま、妹の舌が歯列をなぞっていく。
これを見たレミリア、再び対抗心がメラメラと燃え上がってきた。
ようやく気絶から回復したばかりのフランドールに再び、情愛のキスを交わす。
・・・ここは・・・どこだ
実はお茶会が始まったときから部屋の隅に待機していた十六夜咲夜は思う。
最初は和やかなムードで始まったお茶会が、今や深夜の公園と化しているのである。
・・・これは、お止めしたほうがいいのだろうか?
しかし、指の隙間から見えるフランドールとさとりには不快の色は見えない。
・・・見ていたら、こっちまで熱くなってしまったじゃありませんか。
瀟洒なメイドは何も言わず部屋を後にする。どこかへ向ったようだ。
しばらく時間が流れた。
フランドールとさとりの意識は朦朧とし始め、両者とも床の上に倒れた。
レミリアとこいしが見つめ合う。
一触即発かと思われたが、お互いに手を結ぶ。
・・・ドS同士、何か通じるものがあったのかもしれない。
「あなた、気が合うわね」
「そういう、フランドールのお姉ちゃんこそ」
「その呼び名はさすがに長いわ、レミリアでいいわ」
「じゃあ、レミリアさん」
「私はこいしちゃん、と呼ばさせてもらうわね」
「それより、聞いて!こいしちゃん!フランと一緒にお風呂に入ってる時の照れ方はハンパじゃないのよ!もじもじしながら『あんまり・・・見ないで・・・』よ!?思いっきり水かけて身体に巻いてるタオルを透け透けにするのが趣味なの」
「わかる!わかる!お姉ちゃんも私より年上なクセに恥ずかしがり屋で、お風呂に入る時タオルで身体隠してるんだけど、そのタオルを油断したときに引っぺがすと『ひゃあっ!!』って声あげるんだよ!?やばいでしょ!?」
一方。夢うつつの中にいる被害者2人。
「ひどいよ・・・お姉様・・・こんな人前で・・・。・・・・・・でも、悪くなかった・・・かな?」
「ああっ!いけません!こいし!こんなところでそんな!あっ!やめっ!」
随分大きな寝言であった。
このお茶会をきっかけに姉陣、妹陣だけでなく、どS陣、どM陣同士の仲が良くなった。
かくして、紅魔館と地霊殿は家族ぐるみの付き合いをしていくのであった。
めでたし、めでたし。
人前でこれなら二人きりの時はもっとすごいんでしょうね
甘々なお話ごちそうさまでした
フランをMに目覚めさせたお姉様すげぇw
それより咲夜さんが紅魔館を発ったか
きっと俺のところにくるのだろう
もてなしの準備をしなければ
もうあなたの作品無しでは眠れないカラダに調教されてしまいました。
おかわり
妹をきちんと躾けるのは姉の義務ですものね。お嬢様流石です。
どM陣の意識があるときに、どS陣の暴露トークをして欲しい。
うぅぅ、悶えてしまった。
夜中なのに。
フランもさとりも人前で結構なことされているけれど、ちょっと嬉しそうとか…
フランとさとりの愛にやられた
あと、会話に4人それぞれの性格が反映されていて面白いですね
フランvsさとりの場合だったらどうなるんだろうw