Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

薔薇の香り

2010/06/18 22:31:29
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 目が覚めると布団の中に妹が潜り込んでいた。こういうことはままある
から驚くことではないのだろうが。今の状況、妹の気持ちが分らない事
でもない……あぁいえ、違うか。妹に対して使うべき言葉ではなかった。

 私の憶測でしかないが、彼女は温もりが欲しいのではないか。それで
私のベッドに。その肌の温もりが、同じ血を分けた姉妹として嬉しい。と
同時に、この温もりが常に側に無いのが少し寂しい。



 妹はちょくちょく旅に出る。それは旅とはいえないほど近くをうろつき
まわってるだけの時もあるし、幻想郷を数周するほど歩きまわってる時
もある。どちらにしろ戻ってくるときには妹のベッドは冷え切ってしまって
いる。だから温もりを求めて私の横に。きっとそういうことなのだろう。
そういうことにしておきたい。

 ときめく心のまま、妹の華奢な体を抱きしめる。ほんのりと高い体温。
寝息のたびにかすかに身体が振れる感覚。その髪から、薔薇の香りが
した。あぁ、この子はまたあそこへ立ち寄ったのか。



 地底の薔薇園。妹がお気に入りの、それともただ無意識が導いている
のか、ともあれそこに妹はよく足を運ぶ。旅に出るときも、旅から帰るとき
もほぼ必ずそこに。気が向けば花の世話をして、そうでなくともその華の
香を楽しむため、妹はそこに。

 華を慈しむ妹の笑みには、いつものうすっぺらいそれより深みというか、
色があるように思える。正直、薔薇に嫉妬したことさえあった……一度
それでパルスィに大笑いされたが。まぁ、今ではそれもまた愛すべき妹を
構成するひとつとして好きなのだが。そう思いつつその香りを、もっと
感じたいと細い身体を抱き寄せる。会えなかった時間を取り戻すように、
妹の香りを、もっと。

「ん……。ふぁ?」
「あ」

 つい抱きしめる腕に力が入ってしまったのだろう。妹が目覚めてしまった
ようだ。寝に入ってすぐだったなら悪いことをした。とりあえず。

「おはようございます、こいし」
「んに……あれ、さとりお姉ちゃん? あ、ええと、おはよう」

 目をしばたたかせながら挨拶を返す妹。その様に私は微笑を返す。

「あぁ……またお姉ちゃんのお布団で寝てたんだ、私」
「ええ。でも、構いません」

 やはり妹は無意識にここに潜り込んだのだ。でももしかすると、それは
私の儚い願望でしかないが、妹も私が好きだから私の横を選んでくれる
のだろうか。だとすると、本当に、嬉しい。妹のふわりとした髪を撫でつつ
話しかける。

「また、薔薇園に寄ったんですね」
「え、あ、うん。分かるんだ」
「あなたの心が読めるからです……ふふ、嘘ですよ。あなたから薔薇の
香りがしましたから」

 一瞬本気にしてきょとんとした顔もまたかわいらしい。冗談と分かって、
得心して頷く顔もまた。

「あぁ、そっか。薔薇を摘んできたんだけど、どこに置いたっけかな……」

 こうして妹は時々自分のした事を覚えていないことがある。お空のような
忘れっぽさでなく、無意識な行動をしてしまうからだろう。そこがちょっと
危なっかしい。姉として、こんな力ない姉だけれど、守ってあげなければ
ならない。その思いが伝わればいいのだけれど。

 見ると私の視線のすぐ前にある妹の指に少しばかりの切り傷。きっと
茨で傷つけてしまったのだろう。白魚など比べようもないくらい美しい、
透き通った指にあるそれらが、どうしようもなく痛々しい。

「こいし」
「なに? お姉ちゃ……ひゃ!?」

 私は思わずその手をとり、そのかわいそうな指に優しく舌を這わす。
ちゃんと消毒してあげないと。

「ちょ、お姉ちゃん?」
「あむっ」
「ふえっ?!」

 傷ついた一本一本の指先を咥え、丁寧に私の唾液をしみこませていく。
こんなことでしかあなたを守れないけど、せめてこれくらいはさせて。その
思いも一緒にしみこませていく。

 しばし、むずかるような妹の声を聞きつつ、しっかりと消毒し終えて私は
言う。

「はい、これできっと傷の治りも良くなりますよ……少し、薔薇の味が
しました」
「お姉ちゃん……。もう、びっくりさせないでよ」

 ほんのり頬を赤く染めた妹が、ちょっぴり抗議の意を込めた視線を投げ
かけてくる。その視線から逃げるように、妹を抱き寄せその薄い胸に顔を
預ける。鼓動が少しばかり早いのが分った。

「わ?!」
「ふふ……。ねぇ、こいし」
「な、なに?」
「心が読めないというのも、たまにはいいですね」
「……よくわかんない」

 だってそうでしょう? あなたを驚かすことが出来るのだから。



 妹を抱きしめれば、その柔らかな体温と、やさしい薔薇の香りが私を
包む。もう今日は仕事なんてしないでおこう。このまま妹に包まれて、
眠ってしまおう。それがいい。

「こいし……おやすみなさい……」
「え、ちょ、お、お姉ちゃー……ん。あぁ、寝ちゃったよ。……まぁ、いいや。
私も二度寝しよ」



 おやすみなさい、愛しい妹よ。
 


























 ちなみに本文はフィルターのかかった文章です。

フィルターを通さずにこいしがさとりの心を読んだとしたら、
「起きた! 妹キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!! 寝顔かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ体温あったけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、子ども体温! 子ども体温ですねいやっほおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうッッッ!! ちゅっちゅ! ちゅっちゅしたい!! でも起きちゃうからくんかくんか! くんかくんかうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい! 薔薇の香りと乳臭さの絶妙なコンビネーションこれはまさに古明地こいしの宝石箱やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! やめられないとまらないくんかくんか! くんかくん……きゃあぁぁぁ妹起きちゃったけど寝起きのこいしかわいいよおぉぉぉうわぁぁぁ髪の毛もふもふ! もふもふもふもふいやったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! わ、私が妹を守るんだ! そして妹のナイトとなった私は永遠の幸せに包まれっていやぁぁぁぁぁぁぁぁ!? やだぁぁぁぁぁぁぁ! やぁらろぉぉぉぉぉぉ!? 妹の指に傷ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!? ありえない! ありえないありえない! こここ、こんな傷ちゅっちゅ! ちゅっちゅで消すのおおお! ちゅっちゅ! ちゅっちゅちゅっちゅぺろぺろちゅぱちゅぱ! ちゅっちゅぱちゅっぱんはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん妹の指おいちいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉっおぅっぉぉぅゎぁぁぁぁッッッ!! あ、妹ちょっと怒ったけどその顔もかわいいぃぃぃっていうか妹全部かわいいよぉぉぉぉぉぉぉぉうわぁぁぁぁぁぁ、えーいどさくさにまぎれてお胸にダーイブ☆ やったぁ育ってない! 育ってないよぉぉぉちっぱい大好き、妹のちっぱい大ちゅきなんらもん! らもんらもんもん! あぁああぁもうらめえぇぇぇお仕事とかもう知らぬえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 映姫タンもちゅきらけどこればっかりはらめぇへぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 今日は妹と一緒にいるもん絶対離さないもん一生一緒にいてくれやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぅっぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっおっぉっぉっぁぁぁぁぁん」
とかになるので、ほんと、第三の目閉じて正解。白でした。

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コメント



1.sakurada削除
…………あとがきが本文なわけですね、わかります
2.奇声を発する程度の能力削除
本当に正解でしたねwww
3.名前が無い程度の能力削除
目を閉じた原因お姉ちゃんじゃね?
4.即奏削除
先生……、こいし視点の話も読みたいです……!
5.名前が無い程度の能力削除
こいしちゃんを愛してるから、仕方がないよ
いつか受け止めてくれるよ
6.名前が無い程度の能力削除
なん…だと…
7.名前が無い程度の能力削除
これは。。。
8.名前が無い程度の能力削除
これはもうだめかもわからんね
9.高純 透削除
駄目だこのさとりん。早く何とかしないと(←褒め言葉)
10.名前が無い程度の能力削除
こうね、右半分の空欄にはこいし側の心情とか、薔薇は何かの暗喩だったとか、
実は恐ろしい話が潜んでいるんじゃあないかって思ってたんだよ。

予想の斜め上をイカれたよ……
11.名前が無い程度の能力削除
本編(もはや前書きにすら見えて来ますが)は割と普通のさとこいなのに…後書きがww自重して下さいwwww
脈絡ありませんがこいしには青いバラが似合う気がする。何となく。
12.名前が無い程度の能力削除
逆にこの心境で平静を装えるさとりさんの鉄火面っぷりマジリスペクト。
13.名前が無い程度の能力削除
これ一種の病気だろwww
14.かたる削除
>映姫タンもちゅきらけど
なん…だと…

こめいじには指ちゅぱが合うと思うのです。
二人が互いの温もりで優しく眠れますように。
15.名前が無い程度の能力削除
どうフィルタリング処理すれば後書き→本文になるんだよwww
地霊殿の情報技術マジスゲェ
16.名前が無い程度の能力削除
あんた白というより黒だよw
ああ、でもイイ黒さだ
17.名前が無い程度の能力削除
素晴らしいオチでした。
18.夢中飛行士削除
一気に落とされた。
19.名前が無い程度の能力削除
へ、変態だー
ルイズコピペにしか見えねぇww
20.名前が無い程度の能力削除
ふつうにあとがきが憎いw
21.名前が無い程度の能力削除
閉じてて良かった第三の瞳。
再び瞳を開いたときが怖いw
なるほど。これは綺麗なさとこいと汚いさとこいを同時に味わえるというわけですね。