昨日一日中不利続いた霧雨の匂いがまだ空気に残る中、私はのんびり空を飛んでいた。
「今日は良い天気だぜ。」
本当に良い天気だ。嵐の次の日は良く晴れるって言うが、雨の日も例外じゃないらしいな。
そんな日和の中、私はある場所に向かっていた。
「そろそろか……?」
暫くすると、目的の場所が見えてきた。私は一度高く飛び上がり、そこから目的の場所まで急降下する。そして衝突寸前に後方に箒と一緒に飛び退き、新月面宙返りを決めて着地する。
「ふっ、十点満点だぜ。」
そして目的の場所―――――――友人の住居を扉を叩く。
―――――――コン、コン。
「……?」
―――――――コン、コン。
……へんじが ない。 ただの どあ のようだ。
「って違う違う。」
一瞬変な電波を受信しちまったけど、細かい事は気にしちゃダメだ。うん。
「いないのか?」
試しに扉に手を掛けると、鍵はかかっていなかった。
「無用心だな、泥棒に入られても知らないぜ?」
◆◆◆
「お前が言うなぁ!」
「!!?」
「あ、あぁ、ごめんね上海。びっくりした?」
「……シャンハーイ」
◆◆◆
「ん?なんか聞こえた気が……気のせいか?」
まぁいいかと思って、私は家の中へ入った。
***
「……なんだ、いるじゃないか。」
この家の主は中に入ってからすぐに見つかった。こっちに背を向けて何か弄くってる。
私はそいつにそ~っと近づいて、思いっきり驚かせてやった。
「ぅわぁっ!!!」
「ひゅい!!!???」
「HAHAHA、相変わらず変な驚き方だな。」
「う……なんだ魔理沙か。脅かさないでよ……。」
言って、そいつは振り返る。河童のにとりだ。
「まったく……妖怪を驚かせようなんて考えるとは、危険な盟友だね。いつか痛い目を見る前に止めときなよ?」
「この魔理沙様を舐めてもらっちゃ困るぜ……っと。何やってんだ?」
にとりの手元を見ると、何かの道具が握られていた。
「あぁコレ?そこで拾ったんだ。」
「拾い物かよ。ばっちいから捨てる事をお勧めするぜ。」
「これをすてるなんてとんでもない!この曲線部分の加工にしろ、内部の高密度な部品の数々も幻想郷じゃ絶対見られない……、これは外の世界の河童が高度な化学の発展と成長を遂げた末に生み出された凄い道具に違いないよ!」
「じゃあ聞くが、その外の世界の河童が高度な化学の発展と成長を遂げた末に生み出された凄い道具は、どうやって使うんだ?」
「う……そ、それは……分かんないけど。と、とにかく凄いんだよ!」
「やれやれだぜ……。」
そこまで言って、ある事を思い出した。
「そういえば、香霖も似たような道具を一杯持ってたな……。」
そう言った瞬間、にとりの気配が変わった。
「……何だって?」
普段のにとりからは想像も出来ないような低い声で言葉が放たれた。怖い、怖すぎるぜにとり。コイツといいパチュリーといい香霖といい、趣味人っていうのは皆趣味が絡むと豹変するのかそうなのか。
「え……だから香霖が同じような道具を持ってたってぇ……!」
『持って』あたりでにとりがいきなり私を押し倒した。その所為で変な声が出ちゃったじゃないか。
「魔理沙……」
「な、なんだ……よ……?」
にとりは私の目を見つめたまま動かない。気のせいかさっきよりも息が荒い。
今の状況。
1、上ににとり、下は床。
2、にとりの目がヤバイ。尋常じゃないぐらいにマジ。
3、息が荒く、肩で息してる。
4、にとりは私を押し倒してる。
この条件から導き出される結末は?
結論、『にとり:ご馳走様でした☆』
うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!?
ヤバイヤバイヤバイぞ私!?貞操の危機!
「魔理沙……」
「だ、ダメだぜにとり!わ、私の初めては、香霖に……」
「何でもっと早く教えてくれないのさ。」
「だ、だからお前の気持ちには答えられな――――――ゑ?」
「その香霖って奴のいる場所に行こう!」
「………………」
あぁ、忘れてたぜ。
コイツも香霖と同じ種類の奴だった。
***
「……で、彼女は此処に来た訳か。」
「う……悪かったってば。」
で、香霖堂。にとりの奴はさっきから見たことも無い道具に大はしゃぎしている。お前何歳だ、私より年上だろ。
「いや、別に怒ってはいないよ。」
「うん?」
「河童の技術があればあの道具達の使い方も解かるかも知れないからね。会いに行こうにも妖怪の山には入れない。河童と話すなんて夢のまた夢だと思っていたんだが……、君のおかげで実現したよ。ありがとう魔理沙。」
真剣な目で私の目を見てそう言ってくる。そ、そんなに見つめられると照れるぜ……。
「さて、にとり、何か面白いものは見つかったかい?」
「面白いも何も、こんな精密加工技術の結晶の数々!外の世界って凄いね……、バラしたくて仕方ないよ!」
「解体するのは構わないが、ちゃんと元に戻してくれよ?」
「分かってる分かってるって!さーて何処からバラそうか……な!」
な!のとこでにとりは手に持ってる工具を振るった。
そしたら次の瞬間『ぱーそなるこんぴゅーた』とかいう外の世界の道具はバラバラになった。いやおかしいだろ。持ってるのスパナだけじゃんか。何であんな小さいネジとか外せるんだよ。香霖も香霖で「これが河童の技術か……」とか言って納得してるし、何だよこの空間。趣味人か、趣味人同士にしか分からない空気なのか?
「うわぁ……」
にとりはバラした道具を見つめて目をキラキラさせてる。まるで汚い現実を知らない無邪気な少年みたいだ。
「……で、それはどうするんだい?」
「ん~……、本当は持って帰りたいんだけどね……、歩いて来たから持って帰れないしね……。」
なんだ歩いて来たって、私の箒に乗せて来たじゃないか。急げって言うから速度上げたら速すぎる怖いって言って私の服にしがみ付いてきたのは何処のどいつだ。
「そうか、ならそれは此処に置いておくといい。僕が責任を持って管理しよう。」
「ん~でもね……、朝起きてすぐに調べたいし……、
そうだ、此処泊まっていい!?」
「あぁ、問題ない。それに河童とは一度道具について徹底的に討論したいと思っていたんだ。好きなだけ居てくれて構わないよ。」
!?
い、今香霖は何て言った?
好きなだけ居てくれていい?そ、それってもう、泊まるというより……
同棲―――――――――――――
「だ、ダメだぜ!!!」
気がついたら叫んでた。二人とも不思議そうに私を見てる。
「なんで?ただ泊まるだけじゃん。」
「別に泊まるだけだろう?」
ふざけるな、私だって何時も此処に泊まるのにどれだけ勇気出してると思ってるんだ。やっぱりあれか、無自覚か。無意識なのか。その行為がどんな意味なのか知らないのかコイツ等は!?
「う~~~、とにかくダメだ!ダメダメ!!」
「なら魔理沙、逆に聞くよ。なんで駄目なんだい?」
「うっ……」
「そうだね、理由を説明してもらおうか。」
「そ、それは……」
「「それは?」」
「それは……、ほ、ほら!香霖はケダモノだからな!にとりが襲われるかも知れないだろ!?」
完璧な理由だ。咄嗟にしては上出来だろう。この完璧な理由を覆すのは、フランのスターボウブレイク級の難易度だ。覆せるもんなら――――――――――
「一つだけ言っておくよ魔理沙、河童の力は強いよ?発明品の所為で盟友達には貧弱に見られがちだけど。」
「僕は荒事は苦手だって知ってるだろう?それに余程の事が無い限り、自分から疲れる事はしない主義だ。」
…………こいつら、安置使いやがったぜ。
「そんなに心配なら魔理沙も泊まればいいんじゃないかな?」
「なっ!!?」
「僕は別に構わないよ?」
「こ、香霖!?」
う……二人とも真剣な目でこっちみんな!恥ずかしくなるじゃないか……
「も、もう帰るぜ……。」
心の準備も出来てないのに泊まるなんかできるか……
「魔理沙?」
「こ、香霖、にとりに手ぇ出したらこの店焼き払うからな!」
そう言った後、私は店から逃げ出した。
***
「……一体どうしたんだ?」
「気にしなくていいんじゃない?多分……」
「……それもそうか。じゃあ僕は何か作ってくるよ。」
「へぇ、料理出来るの?」
「まぁ、こんな所に住んでいればそれなりに覚えるよ。」
「お~凄いね、霖之助がいたらずっと道具の開発が出来るかもね。」
「そうだね、君と一生一緒に居れば案外楽しいかも知れないな。」
「へっ?」
「ん、どうしたんだい?」
「い、いや、それは……告白と受け取っていいのかな?」
「告白?……あぁ、確かに。僕は今思った事を君に告白したね。」
「いや、そういう事じゃないんだけどなぁ……まぁいいか。」
「???」
***
「はぁ……、あれは卑怯だぜ。」
香霖の所から出てきたのはいいけど……どうするかなぁ。
「霊夢のとこにでも行くかな。暇潰しにはなるか。」
そう思って、霊夢のとこに向かった。
***
「ん……霊夢何してんだ?紫も居るぜ……」
神社に到着して縁側に行くと、霊夢は部屋の中で紫と何かを話していた。
「決行は今夜戌の刻ね。」
「えぇ。霖之助さんは枯れ果てるわね。何も知らないで。」
「まさかこの後スキマ送りにされて私達に色々絞り取られるとは夢にも思わないでしょうね。」
―――――――――――!!?
こ、こいつら何て話を!!?いや、それよりも、色々搾り取るって、つまり―――
「ッ――――――――――――――!!!??」
「「聞いたなこいつ!!?」」
ば、ばれた。でも気にしちゃ駄目だ!
「やい霊夢、紫!香霖は渡さん、絶対に渡さんぞーーー!」
「ちょっと紫、どうするのよ?」
「くっ、作戦変更よ、霊夢!」
「今更何をしても無駄だ……ぜ……?」
格好良く決めようとしたら、私の体はスキマに飲み込まれ、次の瞬間私は紫にお姫様抱っこされていた。
「えっ……?」
「聞いちゃったあなたが悪いのよ?魔理沙。」
「悪い事をしたら、お仕置きしないとね。」
「え、えぇえっ!!?」
「「フフフフフ……」」
「うわーーーーーっ!!?」
香霖…てめぇ…
>にゃんにゃん
ここを向こうで詳しく!
というか私の方はssを計八個を同時進行しているので中々進まないwww
それでは私のseed txtから一つ
咲霖
霖之助が執事になった!!
「なんで僕がこんなことを…」
「ほら霖之助、止まってないで動いて」
こんな感じでいいでしょうか。
>>奇声を発する程度の能力 様
すいません、まだ向こうに行っちゃいけない歳なんですw
>>華彩神護 様
咲霖良いですね、ありがたく使わせて頂きます!
>>3 様
おぉ、コレの元ネタが分かる方がいらっしゃるとは!
あれはカオスの集大成みたいなアニメですよね!
え、違う?気にするな!
読んでくれた全ての方に感謝!