今私は姉であるレミリアお姉様の部屋に居る。
ここには私のお気に入りの紅色のふかふかソファがあるのだ。紅色はお姉様も私も好きな色だ。
ああ、たまんない、このふかふか具合は。いったいどこまで私をふかふかさせるつもりなんだこのソファは。
ふかふかふかふかふかふか・・・
ただ、ここに居ると1つ難点があった。
「フラーン。そこのカップ取って」
お姉様に、めちゃめちゃ頼まれ事をされるのだ。それもとてもくだらない用事で。
しぶしぶ、カップをベッドで寝そべっているお姉様に渡す。
そうだ、断ればいいじゃん。
敬愛しているお姉様であっても、こんなに頼まれ事をされちゃあ、気にいらない。
「フラーン」
「嫌」
「まだ何も言ってないわよ」
「ろくでもない用事でしょ?」
「そんな事ないわ。大切な用事」
「そうなの?何?」
「そこの文々。新聞とって」
投げつけてやった。
「そんな・・・うちの子が家庭内暴力をするなんて・・・」
「家出しないよりましさ」
家出と暴力、どっちが悪い子かしら。
「家出なんてされたらお姉ちゃん、何するかわからないよ?」
・・・確かに。紅霧異変の比じゃない事をしでかしそうだ。
「フラン・・・お姉ちゃんはねぇ、フランが嫌いだから頼み事をしてるんじゃなくてぇ、フランの将来を思ってこそのぉ、頼み事をしているのよ。わかるぅ?つまりぃ、お姉ちゃんの頼み事をこなす事でぇ、フランのぉ・・・・・・」
「あーもーわかったよ。大人しく言う事聞きますよ」
お姉様の話が長くなってきたので、私は半ば投げやりに答えた。というかその子供を諭すような口調をやめて。
まったく、私が居なくちゃ何も出来ないんだから。
「うん、良い子。じゃあまずね、テーブルの上のスプーンとって」
「はいはい」
渡す。
「テーブルの上のシュガーとって頂戴」
「・・・はいはい」
渡す。
「テーブルの上のミルクとって頂戴」
「・・・・・・・・・はいはい」
渡す。
「テーブルの上のティーポットとって頂戴」
「いっぺんに頼めよ!!!!」
投げつけてやった。
「うん、フラン、そこの布巾とって頂戴。切実に」
「あ、ごめんなさい・・・」
少々やりすぎてしまった。
「なんでそんなに、細かく頼むかな?」
「いや、フランに構って欲しくて」
・・・はあ、怒る気にもなれん。
「それより、フラン。紅茶でびしょびしょだわ。着替えたいから服を取って頂戴」
「はあ、わかったよ・・・」
本当に私が居なくちゃ駄目な人なんだから。
「クローゼットの中からドレスとって頂戴」
「はいはい」
ガラガラガラ。渡す。
「箪笥の中から帽子とって頂戴」
「はいはい」
ガサゴソ。渡す。
「そこに畳んである靴下をとって頂戴」
「はいはい」
ひょいっ。渡す。
「ドロワはないから貴女のを頂戴」
「はいはい」
ぬぎぬぎ。渡・・・
「せるかああああ!!!!」
「ああ!!あとちょっとだったのに!!!」
ゆ、油断も隙もない・・・急いで穿き直す。
「どさくさにまぎれて何言ってんのさ!!!」
「・・・だって、ドロワも濡れて気持ちが悪いし・・・」
本当だろうな・・・それ・・・
「それにしても替え位あるでしょうよ!」
「残念。咲夜が、咲マリだの咲アリだの咲めーだの、他の仕事を優先したおかげで替えがないの。もちろん、貴女のドロワもね」
咲夜ぁ!!!しっかりしてよ!!!!そんなんだから商社だの瀟洒(笑)だの言われちゃうんだよっっ!!!
「あー気持ちが悪い、気持ちが悪い。フランが私に紅茶かけなきゃこんな事にはならなかったのにねえ・・・ああ、フランはドロワをくれないって言うし。今日1日、こんな気分で過ごさなきゃならないと思うと、憂鬱だわ~。はぁ~あ」
うう・・・わかったよ、わかったよ!!
やればいいんだろ!?やれば!?
うう・・・
「わ、わかったから・・・」
お姉様の見てる前でドロワを脱ぐ。お姉様は目を見開いて私を舐めるように観察していた。
「あ、あんまり・・・見ないで・・・・・・」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい・・・・・・
心臓が壊れる・・・耳まで真っ赤だよ・・・絶対・・・
お姉様に手渡す。
「ほう!まだ温い」
何言ってんのさ!!さっさと穿いちゃってよ!!
「では、早速穿きますか」
ようやく、穿いてくれるか・・・
お姉様は私のドロワを頭に穿いた。
「ほう!このかぐわしい芳醇な香り!」
「・・・・・・」
「・・・フラン?」
「うっ・・・うっ・・・」
「や、やばっ。やりすぎた」
「う、うえええーーーんん!」
「ごめん!ごめん!許して!許して!もう巫山戯ないからっ!!」
「うえーーん・・・えーーん!」
□ □ □
「もう!いい加減にしてよ!!」
「はい・・・」
「しかもお姉様のドロワ濡れてないし!!」
「あ、はい。それに至っては弁解の余地もありません」
「私をからかってそんなに楽しい!?」
「結構、かなり楽し・・・」
「なんて言った」
「いや、この通り反省してますんで、どうかお許しを・・・」
「もう!駄目な人なんだからぁ・・・」
「で、でも私の部屋に居るフランも悪いじゃない?目の前に居ると可愛いから、からかいたくなっちゃうもの・・・。い、嫌だったら他の部屋行きなさいよ・・・」
「私はっ!このソファがお気に入りなのっ!」
「ソファ?・・・そうなの?だったらあげましょうか?」
「え」
「好きなんでしょう?だったらいいわよ、あげても」
「いや・・・それは・・・」
「いらないの?」
本当の目的はソファじゃなくてお姉様・・・・・・ソファは口実・・・
「・・・・・・」
「どうしたの?」
うー・・・顔が熱い・・・・・・もし、私が温度計なら只今100℃。
「と、とにかく罰として明日は私の言う事聞いてもらうからね!!」
「えー」
「異論は許さない」
「わかったわよぅ・・・」
しゅん、とうなだれるお姉様。少しは懲りたかしら?
「あ、でも最後に1つお願い事が」
「絶っっっ対やだ!!ろくな事じゃないもん!!」
「抱っこさせて」
「! も、もう・・・しょ、しょうがないなぁ~」
まったく、私が居ないと駄目な人なんだから・・・
駄目な人ほどかまってあげたくなる法則
いいテンポだな。「布巾とって頂戴。切実に」がツボにきたww
咲夜さん咲アリだの咲めーって仕事なのかww
この姉妹大好き!
素直じゃないフランもかわいいなぁ。
>まったく、私が居なくちゃ何も出来ないんだから。
↓
>「う、うえええーーーんん!」
↓
>まったく、私が居ないと駄目な人なんだから・・・
何この最強コンボ…
そう言いつつも、後書きでしっかり甘えてるとか…もうっ。
相思相愛って素敵。
あと、フランとレミリアの「!」が可愛すぎました。
お嬢様限定ツンデレふらんちゃん可愛いね
姉妹愛は行き過ぎなぐらいがちょうどいい