Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ねじれた心

2010/06/17 21:26:19
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私は、かつては「紅美鈴」と名乗っていた。

「門番」をしていた。

「中国」という渾名で呼ばれてもいた。





今は、ただの野良妖怪である。





門番をやめた。

自分には敵わないものが多すぎるから。

門の内側との差も大きいから。

あまりにも平和すぎるから。

守る意味など、すでになくなっていたから。





名前も捨てた。

どうせだれも呼ばないから。

「紅」が、出ていくのに邪魔だったから。

「美鈴」も、捨てたほうが軽いから。










辞表を出し、紅魔館から出て行った。










この後の生活は、今までよりもはるかに楽だった。

人間さえ襲わなければいいから。

少食だから、あまり食べる気もない。

蛇などを適当に狩って食えば十分満たされる。

それ以外は寝てても、誰も文句は言わない。

不眠で門番という無理難題なんて、しなくてもいい。

ナイフに刺されることもない。

不得手の勝負をしなくてもいい。

身を削る意味もないから。

誰にも会わなくても、大した問題にならない。

「気を遣う」必要もない。





そんなある日。

十六夜咲夜が私の寝床に来た。

戻ってきてほしいと。

私は、はっきり断った。





もう、門番の時の力なんて失っていたから。





鍛錬は、継続して効果がつく。

一度途切れば、取り戻すのにより一層しなければならない。

あの日から、一度もしなくなり、戦うことすらしなくなった。





だから、戻ってもただ足を引っ張るだけでしかない。



それに、今の私は「美鈴」ではい。




そういうと、十六夜咲夜は帰って行った。










しばらくして、その主が来た。



同じようなことを言われ、私もまた断った。

従者とは別の理由で言った。





己が意思で辞めたものすら振り回す

器の小さく、なおかつカリスマのかけらのない者について行く気すらない、と。










次は、客将が来た。

謝罪も入れ、また同じことを言った。





あなた方が謝る意味はない。

事実で、的を得ていた。

だからこそ、お互いがよりよくする方法を選んだまで、と。










今度は、人間の黒白魔法使いが来た。

私は、聞く耳を持たなかった。





人間と妖怪の寿命。

それを踏まえ、「死ぬまで」借りる。



短絡で、考えていないことがあった。



妖怪が、人間が果てる前に死ぬ、という可能性。



その穴を意識せぬまま、幾度も略奪行為をしている人間を、信用できるとでもいうのか。










その人間が来て以来、誰にも会わなくなった。

妖怪は精神で生きるもの。

堕落に生きれば、気がつかない間に、果てるであろう。

その後、死神に運ばれ、閻魔に説教され、おそらく地獄行きだろう。










だが、今の自分には、それも一興でしか、ない。
初投稿です。

一つ言いますが、自分は美鈴が一番好きです。
kou of kimagure
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>かつてほ
かつては?

こういう美鈴も良いかも…
2.通りすがり削除
こんな鬱成分染みたシリアス?物、大好物です
個人的には、もう少しボリュームが欲しかった気もしないでも

バッドエンドも良いですけど、少し救いのあるアナザーストーリも可能であれば是非

次の作品も楽しみにしてますよ
3.名前が無い程度の能力削除
こういう話し大好きだ!
だが、やはりもっとボリュームが欲しいなぁ
続きも読みたい
4.名前が無い程度の能力削除
面白かったです。でもお嬢様の器は小さくないよ!
5.kou of kimagure削除
>>1

訂正ありがとうございます

>>2&3

すみません。もう何人か予定でしたが、想像力不足でできませんでした。

続きは、少し難しいかも。

>>4

あくまでも「この」美鈴(?)の主観です。
自分も十分大きいと思ってますよ。

……器「は」?
6.名前が無い程度の能力削除
めーりんがグレた。