私は、かつては「紅美鈴」と名乗っていた。
「門番」をしていた。
「中国」という渾名で呼ばれてもいた。
今は、ただの野良妖怪である。
門番をやめた。
自分には敵わないものが多すぎるから。
門の内側との差も大きいから。
あまりにも平和すぎるから。
守る意味など、すでになくなっていたから。
名前も捨てた。
どうせだれも呼ばないから。
「紅」が、出ていくのに邪魔だったから。
「美鈴」も、捨てたほうが軽いから。
辞表を出し、紅魔館から出て行った。
この後の生活は、今までよりもはるかに楽だった。
人間さえ襲わなければいいから。
少食だから、あまり食べる気もない。
蛇などを適当に狩って食えば十分満たされる。
それ以外は寝てても、誰も文句は言わない。
不眠で門番という無理難題なんて、しなくてもいい。
ナイフに刺されることもない。
不得手の勝負をしなくてもいい。
身を削る意味もないから。
誰にも会わなくても、大した問題にならない。
「気を遣う」必要もない。
そんなある日。
十六夜咲夜が私の寝床に来た。
戻ってきてほしいと。
私は、はっきり断った。
もう、門番の時の力なんて失っていたから。
鍛錬は、継続して効果がつく。
一度途切れば、取り戻すのにより一層しなければならない。
あの日から、一度もしなくなり、戦うことすらしなくなった。
だから、戻ってもただ足を引っ張るだけでしかない。
それに、今の私は「美鈴」ではい。
そういうと、十六夜咲夜は帰って行った。
しばらくして、その主が来た。
同じようなことを言われ、私もまた断った。
従者とは別の理由で言った。
己が意思で辞めたものすら振り回す
器の小さく、なおかつカリスマのかけらのない者について行く気すらない、と。
次は、客将が来た。
謝罪も入れ、また同じことを言った。
あなた方が謝る意味はない。
事実で、的を得ていた。
だからこそ、お互いがよりよくする方法を選んだまで、と。
今度は、人間の黒白魔法使いが来た。
私は、聞く耳を持たなかった。
人間と妖怪の寿命。
それを踏まえ、「死ぬまで」借りる。
短絡で、考えていないことがあった。
妖怪が、人間が果てる前に死ぬ、という可能性。
その穴を意識せぬまま、幾度も略奪行為をしている人間を、信用できるとでもいうのか。
その人間が来て以来、誰にも会わなくなった。
妖怪は精神で生きるもの。
堕落に生きれば、気がつかない間に、果てるであろう。
その後、死神に運ばれ、閻魔に説教され、おそらく地獄行きだろう。
だが、今の自分には、それも一興でしか、ない。
かつては?
こういう美鈴も良いかも…
個人的には、もう少しボリュームが欲しかった気もしないでも
バッドエンドも良いですけど、少し救いのあるアナザーストーリも可能であれば是非
次の作品も楽しみにしてますよ
だが、やはりもっとボリュームが欲しいなぁ
続きも読みたい
訂正ありがとうございます
>>2&3
すみません。もう何人か予定でしたが、想像力不足でできませんでした。
続きは、少し難しいかも。
>>4
あくまでも「この」美鈴(?)の主観です。
自分も十分大きいと思ってますよ。
……器「は」?