「門番を辞めようと思います」
一瞬世界が停止した。
「そ、それは門番辞めて庭師に専門になるということかしら」
横で咲夜が紅茶を注いでいるがカップから紅茶は溢れ、ポットはもはや空、咲夜は注ぐ体勢のまま固まっている。
「あ、いえ紅魔館を辞めようと思っています」
ガシャと咲夜がポットを落とした。
レミリアは混乱する思考を落ち着かせて震える両手を組んだ。
「理由は何かしら?不満があるなら聞くわよ」
「そ、そうよ食べたいものだって好きなだけ作るわよ、何だったら私を食べても……」
何を言っているのかこのメイドは
「待遇に不満は無いです。食事も美味しいし館の皆さまも素晴らしい人達です」
「食べて」の所はスルーした
「じゃあ何でかしら、理由を聞かせてちょうだい」
「はい、私が門番になって随分経ちます、昔はハンターやスカーレット家を狙う妖怪などが襲って来ました。
しかし、幻想郷に来てスペルカードが成立して、私のような武一辺倒な者は無用です。
パチュリー様も魔理沙やアリスが来るのを楽しみのようですし、妹様もチルノ達と遊ぶようになって随分落ち着きました。」
「今は平和になり、毛玉や紛れ込んでくる弱小妖怪なら部下の門番妖精達で十分対応出来ます、
だから私が立つ事は無いと思ったのです」
「それであなたは辞めてどうするの?
「湖の近くに小屋でも建てて釣りでもしながら隠居生活でもしようかと思います」
「……わかったわ、好きなようになさい」
「お、お嬢様?そんな!」
「咲夜、美鈴が決めたのだから仕方がないわ、美鈴いままでご苦労様」
「はい、ありがとうございます」
その後美鈴は門番妖精達に業務の引き継ぎと花壇の手入れ方法伝え終え、紅魔館を後にした。
湖の近くに建てたログハウス、ここから新たな生活がはじまるのだ。
「咲夜、お茶を頂戴」
「畏まりました」
「……」
「さくやーおやつはー?」
「マフィンを焼いてありますよ」
「……」
「こあ、図書館からこのリストにある本を取ってきて頂戴」
「はい、畏まりました」
「あのー皆さん何をしてるんでしょうか?」
「紅茶を飲んでいる」
「紅茶を入れているわ」
「マフィンを食べるとこー」
「本を読んでいるけど」
「本を取りに行くところです」
「いえ、そうでは無く何故皆さんはここにいるのかと?」
ここは美鈴の建てたログハウスである、もちろん大人数が入れるほど広くはない居間に六人が窮屈そうに納まっている。
椅子も人数分、紅茶のセットも人数分、もちろん美鈴が揃えた訳ではない。
「愚問ね美鈴」
優雅に咲夜の淹れた紅茶を飲みながらレミリアは
「ここで暮らすからよ」
よどみも無くハッキリ言い切った。
「はいぃぃぃ!?」
美鈴は混乱した
「ちょっと、何でそうなるんです?咲夜さんどうなっているんです?」
「美鈴、私思ったのよ、夫婦は一緒に暮らすもの、だから私とあなたが別に暮らすのはおかしいと思うの」
だから何を言っているのかこのメイド
「パチュリー様?」
「魔理沙もアリスもあなたがいないとつまらないというし、私もつまらないわ、本は取りに行けばいいし」
「私はパチュリー様の使い魔ですから」
「妹様?」
「美鈴いないとつまらないから最初はこのお家壊しちゃおうと思ったの、
でもお姉様が「ダメよ、これからあのお家で美鈴と一緒に暮らすのだから」って」
「お嬢様!紅魔館はどうするんですか?主がいないなんて問題ですよ!」
「私がいる場所=紅魔館よ!」
結局、美鈴の隠居生活は一日で終わり再び紅魔館に戻ったとさ
>私がいる場所=紅魔館
さすがお嬢様!!そして寂しがってるお嬢様も可愛いよ!
紅魔館の人たちは一人一人が愛されてると考える俺にとって、理想の世界じゃ
この紅魔館なら誰が美鈴のような行動をとってもきっと同じ結果になるんだろうなw
個人的には、美鈴は門番を止めたら庭師辺りに専念して、のんびり暮らしてほしいですねえ。
この名言には熱くならざるを得ない。
とりあえず、咲夜さん落ち着けwww
話の流れがうまい。
略して『紅魔館』
うむ、間違っていないな。
美鈴あきらめなさい。
これは名言だな
すっと入ってきて微笑んじゃう