Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

想うはあなた一人

2010/06/15 20:45:43
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 間欠泉によって開いた穴。
 本来ならば光が届かないはずのこの地底世界にもわずかだが月の光が降り注ぐ。
 今日は満月か……。
 古明地さとりは久しぶりに『月』というものを見た。
 地にぺたんと、座る。
 月を見るのはいつぶりだろうか。
 そう物思いにふけていると 

「お・ね・え・ちゃ・ん♪」

 何時の間にかさとりの妹――古明地こいしがさとりの後ろにいた。
 こいしは手に何かを持っているようだ
 お団子でも持ってきたのかしら。

「あら、こいしも月を見に来たのですか。……今宵の月は綺麗ですね」
「……本当にそうね」
「……こっちにいらっしゃい」

 さとりはこいしに手招きする。しかし、こいしはこちらに来ない。ただにこにこと笑顔でさとりの方を見ているだけ。

「月よりも綺麗なものを見つけたわ」
「ふむ。それは一体?」
「お姉ちゃんよ」
「冗談はやめなさい」
「冗談じゃないよ、お姉ちゃんは綺麗だわ」
「まあ、褒め言葉として受け取っておきましょう」


 いつもにこにこ笑っているだけ。その笑顔は能面のよう。
 
「(そんな顔で褒められてもどうとも思わないわ)」

 そこでこいしが手に持っていた何かを隠す。

「あのね、今日はお姉ちゃんにプレゼントがあるの」
「あら、嬉しい。一体何をくれるのかしら」

 こいしが『それ』を渡そうとさとりに近づく。
 こいしが手に持っていたそれは――根ごと掘り返されたと思われる血のように赤い色をした花だった。

「ひっ!……赤い……花?」
「そうよ、彼岸花」
「彼岸花……ですか」

 球根ごと掘り出されてしまってこの彼岸花もかわいそうに……。
 しかし、こいしの気持ちはありがたく受け取っておかねば。
 そんな事をさとりが考えていた時、こいしがさとりにこんなことを聞いてきた。

「彼岸花の花言葉を知ってる?」
 
 変なことを聞くものだ。そう思いながらその問いに答える。

「花言葉?確か……『悲しい思い出』」
 
 そこではっとする。
 
 『悲しい思い出』

 こいしは私に怒っているのではないのだろうか。
 今までペットを介してしか妹と向き合ってこなかったダメな姉にこいしは幻滅してしまったのではないだろうか。
 だから、毒性がある、『悲しい思い出』という花言葉をもつこの花を私に渡そうとしたのではないだろうか。
 これは決別宣言!?

 
「今夜は月が綺麗ね」
「え、ええ」

 明らかに動揺した顔でそれに答える。
 こいしがそんなさとりの耳元に顔を近づけていき、そして

「私、死んでもいいわ」

 そう囁く。

 呆然としてしまう。
 私はこいしを苦しめていたの?それなら……それだったらむしろ私が……!
 顔面蒼白になって呆然としているさとりの顔にこいしは自分の顔を近づけていき……
 唇と唇が重なる。
 
「!?」
「うふふ♪」

 唇と唇が離れる。

 こいしが先程までの能面の笑顔とは違った幸せそうな笑顔をしてくるくる回る。
 楽しそうにくるくる、くるくると回る。
 さとりには、流れるこいしの綺麗な髪が月のように輝いて見えた。

「今夜は月が綺麗だね!お姉ちゃん!」

「えっ、えっ!?」

 何が起こったのか把握しきれていない。
 妹から死にたいというような言葉を告げられ、それからキスをされてああもうなにがなんだか!


 するとまた、こいしがさとりの耳元で

「じゃあまた会う日まで、お姉様。待ってるから」

 と呟くとさとりの頭を撫でてさとりからすーっと離れていく。
「ちょっと!こいし!」
 
「バイバイ!」

 こいしはさとりに手を振る。
 その姿はどんどん薄くなっていく。

「こいし!」

 そうしてこいしは突然私の眼に入る世界から、私の意識から消えてしまった。
 

 



「I love you...~♪」

 お姉ちゃん、彼岸花の花言葉はね。
『悲しい思い出』だけじゃないのよ。
 彼岸花の花言葉は『また会う日を楽しみに』、そして……
……よくわからない話になってしまいましたね。
性懲りもなくまたこいしとさとりのお話です。
この話は彼岸花の花言葉を知って思わず書きたくなってしまった話です。
彼岸花の花言葉は『悲しい思い出』『また会う日を楽しみに』そして『想うはあなた一人』
彼岸花というと小野塚小町。それを何故こいさとで書いてしまったかというと……こいしちゃんとさとり様が好きだからだよ!(関係ない
何ともよく分からない話になってしまったので、またこの題材(下のI love youも合わせて)を使って今度はしっかりとした何かを書いてみたいですね。さとりとこいしちゃん以外でも。
ありがちな題材なので何方かが既にお書きになっていられるかもしれませんが……。

そして「I love you」。夏目漱石の「今夜は月が綺麗ですね」、二葉亭四迷の「私、死んでもいいわ」の二つの訳を引用させていただきました。この話ではこいしちゃんがこの二つの訳を使っている。つまり「お姉ちゃん、大好きだよ」と言っているのです(さとり様はそれを知らなかったから?状態)。ですので、そう訳していただけると……。
「I love you」を日本人ならこう訳すべきだと考えた夏目漱石のこの訳は実に文学的ですよね(時代が時代でもありますが)。
二葉亭四迷のこの訳を言われた日にはくらーっときてしまいそう(ロマンチックですね……)。
夏目漱石といえば、「こころ」という作品に「しかし……しかし、君。恋は罪悪ですよ。判っていますか」という一文がありますが、さとりとこいしの恋愛は無我愛(没我の愛)なので罪ではありません、きっと(しかし本命はこいフラ……のはずの疼木でした)。

≫奇声を発する程度の能力様 ありがとうございます。彼岸花の花言葉いいですよね。花言葉を使って話を書いていくというのも手だな……。

≫2様 さとり様は理解できず(気づかぬまま)、でしょうね……。しかし、こいしは『待ってるから』といった。だから、さとりはきっといつでもお茶を用意してこいしを待っていてくれている(しかし、こいしは滅多に帰って来ず)……はず。

無意識に……ですか。だってこいさとが魅力的すぎて(ry

≫3様 良い訳ですよね。夏目漱石の訳も二葉亭四迷の訳も比べる事ができないほど素敵だと思います。いや、比べられるはずがない。

≫4様 このこいしちゃんは万国の「愛してる」を言えるとか言えないとかいう設定だったり。

≫5様 そういっていただけてとても嬉しいです!なんと言えばよいのやら……また少し考えてからお返しさせていただきます。
疼木
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
おおう…とっても素晴らしかったです!
彼岸花の花言葉は自分的にはかなり好きなので良かったです
2.名前が無い程度の能力削除
甘いけど何処か悲しい、素敵な姉妹でした
さとりは結局こいしの想いを理解することは出来ないのかしら…

本命はこいフラかもしれないけど、無意識にこいさとを求めてるいに違いない!
3.名前が無い程度の能力削除
いい訳だな
4.名前が無い程度の能力削除
物知りなこいしちゃんも素敵だね!
5.名前が無い程度の能力削除
うんうん、やっぱこいさとはこういう雰囲気がいいね