私の妹は生意気だ。
「なぁ美鈴、この漫画の最終巻はどこにあるんだ?」
「それならフラン様が持っていきましたよ」
「なん…だと…?」
美鈴曰く、フランは私がこの漫画を読んでいると知ると、なぜか最終巻だけ借りて行ったらしい。一巻が美鈴の手元にあるにも関わらずだ。何を考えているんだあいつは。
「なんで美鈴も素直に貸しちゃうんだよ」
「フラン様があんまんを作ってくれたんでつい」
溢れ出す怒りが収まらない私は早速、フランの部屋へバッドレディでコンクリの壁を突き破り進入。瓦礫の山が出来た。そのまますぐに立ち上がればカッコイイんだけど、思いのほか壁が厚くて涙が出た。やめとけばよかったと蹲りながら後悔中。
「あらお姉さま、そんなに悶えて何のようかしら?」
「フラン、その手に持っている漫画を大人しく渡しなさい。あとあんまん私にも頂戴」
「もうこいしちゃんが全部食べちゃったわよ」
「くそっ、一足遅かったようね……、じゃなくって」
イスでのんびりと読書タイムを満喫しているフランに詰め寄る。なんで私が怒っているのかわからないと言った顔をしやがって、惚けるのもここまでよ。
「さぁフラン、嫌がらせはもうやめなさい」
こう言ったらフランは私を破壊するかの如く(実際するかもな)抵抗するかと思ったが、意外にもしょんぼりと俯いてしまった。あれま、予想外だわ。
「嫌がらせなんて、そんなつもりなかったのよ……。ただ、私が尊敬するお姉さまと一緒の漫画を読みたかっただけなの」
「うっ、」
フランの目がうるうると潤みだしてしまった。
弱ったなぁ。フランが私と同じ楽しみを共感したいという理由ではどうしようもない。このまま私がフランから漫画を奪ったら一気に最低な姉に成り下がってしまう。考えてみれば、フランの奴は漫画の読み方を知らなかっただけなんだろう。きっと今、自分が持っている漫画が最終巻だとすら知らないに違いない。それなのに私と来たら……、
「ごめんなさいお姉さま、すぐにこの漫画は返すわ」
「いや、いいんだよフラン。この姉が愚かだったわ。心行くまで読みなさい、私はその後でゆっくり読むとするよ」
「さすが私が尊敬するお姉さまは心が広いわね。ちなみにこの最終巻でライトは死ぬわよ」
「ぎゃおー!!!」
私の妹は生意気だ。
「なぁパチェ、私が前に作ってくれと頼んだ、等身大モケーレムベンベ像はもう出来たか?」
「ああ、あれならとっくにフランに上げたわよ」
「なっ!」
またかフラン。
この私の睡眠時間が十二時間から十一時間五十分に減ったくらい、完成を心待ちにしてたというのにあいつは。
「というかなんでパチェも私が頼んだのにフランにあげちゃうんだよ」
「気分よ」
何考えてるんだあいつは。
全身から湧き出る怒りが抑えられない私は、放り投げたグンニグルに飛び乗りフランの部屋へ突撃。勢いあまって鼻が壁に激突して涙が出た。もうカッコつけるのはやめよう。
「どうしたのよ私が大好きなお姉さま、そんなに荒ぶっちゃって何の用かしら?」
「フラン、大人しくパチェから奪ったベンベちゃんを返しなさい」
「奪ったなんてそんな。私は大好きなお姉さまが、どんな像を作ったのか見たかっただけなのに……」
「うっ」
またこのパターンか。だけどションボリしたフランの姿を見たら、怒れなくなる私も私だ。いや冷静に考えれば、前回の漫画と違って像なんていつでも回収すればいいじゃないか。可愛い妹が見たいというなら、好きなだけ見せてあげよう。
「私がどうかしてたよフラン。好きなだけベンベちゃん像を鑑賞しなさい。そして私と同じカリスマ的センスを身につけるのよ」
「残念、もうぬえにあげたから鑑賞するのは無理ね」
「は?」
「『このヘンテコな正体不明の像いいなぁ。ロマンだぬぇ』ってぬえが指をくわえて見てたからついプレゼントしちゃったのよ」
「いやいや、すぐに返してもらってきなさい」
「ちなみに、ぬえが像に正体不明の種を植えて命蓮寺のみんなにイタズラしたら、聖さんに『きゃーきもいー、南無三―――z!』って正拳突きで破壊されたそうよ」
「ぬえーん!!!」
私の妹は生意気だ。
「咲夜―、私の紅茶はまだなのか?」
「紅茶ならフラン様が持って行っちゃいましたよ」
「もう許さんぞあいつめ! 咲夜もなんで素直に渡しちゃうんだ!」
「フラン様にドロチラで誘惑されたのでつい」
それならフランの奴が悪いな。咲夜を責める事なんて誰も出来ない。
だけど私は紅茶が飲みたい。有無を言わさずフランの部屋へ不夜城レッド、はやらないで歩いて侵入。足の小指をタンスにぶつけて涙が溢れた。どうしてこんな所にタンスがあるんだ……。
「どうしたのよ私が尊敬する大好きなお姉さま。そんなに飛び跳ねちゃって何の用かしら?」
「フラン、今日という今日はもう許さないわよ」
ティーカップを片手に寛ぎやがってフランのやつめ。怒ってる姉の姿を見て怖がってもいいのに、そんな表情をカケラも出さないのが腹立たしいわ。むしろクスクス笑いやがって、もう懲らしめてやる。
「ふふっ残念ねお姉さま、もう紅茶は全部飲んじゃったわよ」
「そのようだね」
「だけど心配しないでね。すぐに紅茶の味を教えてあげるわ!」
そう叫んだフランは、自分の指をチョキの形に変え私の目まで一気に伸ばした。ああ、目潰しかねこれは。
「甘いわよフラン」
「あれ?」
私はそれをひらりとかわし、伸びきったフランの腕を引っ張り、目を見開いて驚く妹の顔を自分の顔の前まで手繰り寄せた。
そして、私はフランの口の中へ、自分の舌を入れて絡ませる。
「にゃ! ……ん、んー!」
ふむ、今日の紅茶はアップルティーだったようね。フランの柔らかい舌を舐めるたびに、甘酸っぱい香りが私の口の中へ広がっていくわ。たまにフランの唾液が甘ったるく感じるのは、砂糖でも入れたのかしらね。子供なんだからまったく。
ふふっ、今度は急に口の中がしょっぱくなったわ。これくらいの大人のキスで身悶えちゃうなんて、フランたら可愛いわね。
「ぷはー、ご馳走様フラン。紅茶おいしかったわよ」
「な、なに考えてるのよお姉さまのアホ変態!」
さっきまで余裕たっぷりだったのに、急に早口になるなんてわかりやすくて面白いわフランは。
「あら、私に紅茶の味を教えてくれるんじゃなかったの?」
「だって、口の中に舌入れるなんてはしたない事、考えてなかったし……」
大方、唇を重ねるだけの子供キスを想定してたんだろうね。
変な知識だけはあるのに実践経験が無いからフランはレディーになれないのよ。
「まぁ、フランにはこれはまだ早かったようね」
「う、うるさい!」
「ご丁寧に私の目を瞑らせて、フランが私に何をしようと思ったのか聞いてみたいわ」
「うー、うー!」
フランは生意気だ。まぁ私の妹なんだから仕方ないだろう。
私はさらに生意気なお姫様なんだからね。
「なぁ美鈴、この漫画の最終巻はどこにあるんだ?」
「それならフラン様が持っていきましたよ」
「なん…だと…?」
美鈴曰く、フランは私がこの漫画を読んでいると知ると、なぜか最終巻だけ借りて行ったらしい。一巻が美鈴の手元にあるにも関わらずだ。何を考えているんだあいつは。
「なんで美鈴も素直に貸しちゃうんだよ」
「フラン様があんまんを作ってくれたんでつい」
溢れ出す怒りが収まらない私は早速、フランの部屋へバッドレディでコンクリの壁を突き破り進入。瓦礫の山が出来た。そのまますぐに立ち上がればカッコイイんだけど、思いのほか壁が厚くて涙が出た。やめとけばよかったと蹲りながら後悔中。
「あらお姉さま、そんなに悶えて何のようかしら?」
「フラン、その手に持っている漫画を大人しく渡しなさい。あとあんまん私にも頂戴」
「もうこいしちゃんが全部食べちゃったわよ」
「くそっ、一足遅かったようね……、じゃなくって」
イスでのんびりと読書タイムを満喫しているフランに詰め寄る。なんで私が怒っているのかわからないと言った顔をしやがって、惚けるのもここまでよ。
「さぁフラン、嫌がらせはもうやめなさい」
こう言ったらフランは私を破壊するかの如く(実際するかもな)抵抗するかと思ったが、意外にもしょんぼりと俯いてしまった。あれま、予想外だわ。
「嫌がらせなんて、そんなつもりなかったのよ……。ただ、私が尊敬するお姉さまと一緒の漫画を読みたかっただけなの」
「うっ、」
フランの目がうるうると潤みだしてしまった。
弱ったなぁ。フランが私と同じ楽しみを共感したいという理由ではどうしようもない。このまま私がフランから漫画を奪ったら一気に最低な姉に成り下がってしまう。考えてみれば、フランの奴は漫画の読み方を知らなかっただけなんだろう。きっと今、自分が持っている漫画が最終巻だとすら知らないに違いない。それなのに私と来たら……、
「ごめんなさいお姉さま、すぐにこの漫画は返すわ」
「いや、いいんだよフラン。この姉が愚かだったわ。心行くまで読みなさい、私はその後でゆっくり読むとするよ」
「さすが私が尊敬するお姉さまは心が広いわね。ちなみにこの最終巻でライトは死ぬわよ」
「ぎゃおー!!!」
私の妹は生意気だ。
「なぁパチェ、私が前に作ってくれと頼んだ、等身大モケーレムベンベ像はもう出来たか?」
「ああ、あれならとっくにフランに上げたわよ」
「なっ!」
またかフラン。
この私の睡眠時間が十二時間から十一時間五十分に減ったくらい、完成を心待ちにしてたというのにあいつは。
「というかなんでパチェも私が頼んだのにフランにあげちゃうんだよ」
「気分よ」
何考えてるんだあいつは。
全身から湧き出る怒りが抑えられない私は、放り投げたグンニグルに飛び乗りフランの部屋へ突撃。勢いあまって鼻が壁に激突して涙が出た。もうカッコつけるのはやめよう。
「どうしたのよ私が大好きなお姉さま、そんなに荒ぶっちゃって何の用かしら?」
「フラン、大人しくパチェから奪ったベンベちゃんを返しなさい」
「奪ったなんてそんな。私は大好きなお姉さまが、どんな像を作ったのか見たかっただけなのに……」
「うっ」
またこのパターンか。だけどションボリしたフランの姿を見たら、怒れなくなる私も私だ。いや冷静に考えれば、前回の漫画と違って像なんていつでも回収すればいいじゃないか。可愛い妹が見たいというなら、好きなだけ見せてあげよう。
「私がどうかしてたよフラン。好きなだけベンベちゃん像を鑑賞しなさい。そして私と同じカリスマ的センスを身につけるのよ」
「残念、もうぬえにあげたから鑑賞するのは無理ね」
「は?」
「『このヘンテコな正体不明の像いいなぁ。ロマンだぬぇ』ってぬえが指をくわえて見てたからついプレゼントしちゃったのよ」
「いやいや、すぐに返してもらってきなさい」
「ちなみに、ぬえが像に正体不明の種を植えて命蓮寺のみんなにイタズラしたら、聖さんに『きゃーきもいー、南無三―――z!』って正拳突きで破壊されたそうよ」
「ぬえーん!!!」
私の妹は生意気だ。
「咲夜―、私の紅茶はまだなのか?」
「紅茶ならフラン様が持って行っちゃいましたよ」
「もう許さんぞあいつめ! 咲夜もなんで素直に渡しちゃうんだ!」
「フラン様にドロチラで誘惑されたのでつい」
それならフランの奴が悪いな。咲夜を責める事なんて誰も出来ない。
だけど私は紅茶が飲みたい。有無を言わさずフランの部屋へ不夜城レッド、はやらないで歩いて侵入。足の小指をタンスにぶつけて涙が溢れた。どうしてこんな所にタンスがあるんだ……。
「どうしたのよ私が尊敬する大好きなお姉さま。そんなに飛び跳ねちゃって何の用かしら?」
「フラン、今日という今日はもう許さないわよ」
ティーカップを片手に寛ぎやがってフランのやつめ。怒ってる姉の姿を見て怖がってもいいのに、そんな表情をカケラも出さないのが腹立たしいわ。むしろクスクス笑いやがって、もう懲らしめてやる。
「ふふっ残念ねお姉さま、もう紅茶は全部飲んじゃったわよ」
「そのようだね」
「だけど心配しないでね。すぐに紅茶の味を教えてあげるわ!」
そう叫んだフランは、自分の指をチョキの形に変え私の目まで一気に伸ばした。ああ、目潰しかねこれは。
「甘いわよフラン」
「あれ?」
私はそれをひらりとかわし、伸びきったフランの腕を引っ張り、目を見開いて驚く妹の顔を自分の顔の前まで手繰り寄せた。
そして、私はフランの口の中へ、自分の舌を入れて絡ませる。
「にゃ! ……ん、んー!」
ふむ、今日の紅茶はアップルティーだったようね。フランの柔らかい舌を舐めるたびに、甘酸っぱい香りが私の口の中へ広がっていくわ。たまにフランの唾液が甘ったるく感じるのは、砂糖でも入れたのかしらね。子供なんだからまったく。
ふふっ、今度は急に口の中がしょっぱくなったわ。これくらいの大人のキスで身悶えちゃうなんて、フランたら可愛いわね。
「ぷはー、ご馳走様フラン。紅茶おいしかったわよ」
「な、なに考えてるのよお姉さまのアホ変態!」
さっきまで余裕たっぷりだったのに、急に早口になるなんてわかりやすくて面白いわフランは。
「あら、私に紅茶の味を教えてくれるんじゃなかったの?」
「だって、口の中に舌入れるなんてはしたない事、考えてなかったし……」
大方、唇を重ねるだけの子供キスを想定してたんだろうね。
変な知識だけはあるのに実践経験が無いからフランはレディーになれないのよ。
「まぁ、フランにはこれはまだ早かったようね」
「う、うるさい!」
「ご丁寧に私の目を瞑らせて、フランが私に何をしようと思ったのか聞いてみたいわ」
「うー、うー!」
フランは生意気だ。まぁ私の妹なんだから仕方ないだろう。
私はさらに生意気なお姫様なんだからね。
キスで直接味わうなんてムラサキさんはホント変態ですね。
吹いたwwwwwwwwww
桃白白かwww
こういう姉妹愛を私も書きたいです。
御馳走様でした。
気にしたら負けですね!
>1さん
バンパイアキスなら仕方ないです。
>2さん
むしろおぜう様は奪うほう(ry
>ぺ・四潤さん
いえいえ、ぺ・四潤さんのこいしちゃんとさとりんの話には負けますよw
>4さん
おぜう様ですもん
>奇声を発する程度の能力さん
非でもたまに当たってくれる技です
>6さん
しかし、バンパイアキス最強
>7さん
ぬぇっぬぇっぬぇっ
>8さん
おぜう様の身体能力なら可能なはず!
>9さん
あれは本当に優秀なネタだと思います
>10さん
こちらこそコメントありがとうございます。
こんな感じのスレ違わない素直な家族愛が好きです。
>11さん
紅Exと書籍文のフランちゃんを見たらもうこんなイメージに
>12さん
ギクリッ
き、気にしたら負けですよ!