Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

天狗の犬と河童注意報

2010/06/14 16:00:49
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 愛くるしい瞳が、いつの間にか冷たく低下し、私を見返し始めたのはいつ頃からだったか。

 文様、と頬をりんごの様に染めて、両手を広げて懐いてくれていたのは過去の事。

 今は、文様、という呼び方にすら僅かの温度を感じられず、冷たく事務的にしか会話をせず、距離を置く、一介の哨戒天狗。


 犬走椛。

 そんな彼女の変貌振りに、いまだ戸惑いを隠せない私は、そのまま、彼女の事が嫌いになり、苦手意識がじわりじわりと身体を覆いつくし、気がついたら、会話をするのも億劫で面倒になっていた。

 正直、関わりたくない。

 私は、取材やら何やらの口実がない限り、彼女に近づこうだなんて欠片も思っていないし、思えない。
 近づいて、過去と現在の、明確な温度差をまざまざと感じさせられて、芯から冷えるぐらいなら、その方がよっぽど良かった。


 別に、彼女がどうして急に私を嫌いになったのかなんて、興味はあるけれど執着もなく。
 
 今日も私は、そんなささやかな居心地悪さを無視して、ただちょっとからかって溜飲を下げる程度の繋がりで満足して、楽しくネタ探しをするのだ。

 そう。

 その、つもりだった。……のだ。












 ◇ ◇ ◇











 氷とタオル入りの並々と水の張った桶を受け取った私は、顔をしかめて不機嫌そうに目の前の河童を見下ろす。

 彼女、河城にとりは、人見知りするくせに、私を人懐っこく見上げてにこにこしていた。
 暫し無言でいたが、埒があかないと、溜息混じりに疲れをにじませて聞いた。

「……なんですかこれは」
「看病道具!」
「……いや、じゃなくてですね。なんで、それを私に渡すのですか?」
「だって、文が一番適任だと思ったからさ!」

 胸を張って、非常に意味不明な答えがでた。
 ぴくりっ、と肩眉を上げて不機嫌をあらわにしても、にとりはにこにこしたまま。
 威圧しているつもりなのに、その圧力を感じているくせに、彼女は笑顔のままだった。

「…………」

 ちょっと面白くない。
 最初の頃は、それはもう騒がしく、私の姿を見ただけで「天狗様だー!?」と騒いでいたくせに、いつの間にか「文だー」に変わり、近所のお姉さんに会うぐらいの緊張感の無さと、失礼なぐらいのなれなれしい態度である。
 そんな私の複雑な心中に気づいているのかいないのか、にとりは、そこで初めて表情を崩して私に詰め寄る。

「ほら、椛がさ、風邪をひいてるってのは知ってるでしょう?」
「? いえ、初耳です。そーいや、最近見てないですね」
「もう! 知っててよ! 凄く苦しんでたんだよ!? それで、今は熱は下がってきたんだけど、やっぱりまだ仕事に復帰するのは無理みたいで、それに他の天狗様に移るといけないからってお見舞いも禁止されてて、一人ぼっちなんだよね」
「へーそうですかー。で?」
「もう! だから、他の天狗様より免疫力とか規格外そうで何百年ぐらい風邪とか引いてなさそうな文なら、多分上の許可も降りると思うし、椛の看病をしてあげてよ!」
「は?」

 今、なんか凄く珍妙なお願いをされた気がする。
 なんだと?

「なんか、よく分からないけれど、重い風邪らしいんだよ!」
「そうですか。ご愁傷様です。ついでにお断りです。他をあた」
「ほらほら! 早く行ってあげて!」
「…………」

 早速断ったら河童如きに無視された。
 ぐいぐいっと押されて、ぴくくっと額の青筋なんかが反応するけれど、にとりは平気そうで、むしろ早く行けと睨んでくる。

 ちょっと、今まで気まぐれに優しくしすぎたせいで、私への恐れがない様である。これは一発、その頬でも殴って弾き飛ばせば少しは改心するだろうか? なんて考えて。

「ねえ、文!」
「……む」

 じっと、ひたむきでまっすぐな瞳に、どうにも居心地が悪くなり、喉がぐっと詰まる感覚を覚える。
 湧き上がる気まずさに、隠さずに顔をしかめると、にとりの方が悲しげに頬を膨らませる。

「そんなに、嫌がらないでよ」
「……や、別に、嫌っていうか」
「椛さ。ただでさえ他の天狗様と合わないみたいで、文みたいに一人暮らしで、やっぱり風邪をひいたら心細いと思うんだよ」
「…………」

 ぐぬっ、と。
 また喉がつまる。

 私のスカートの裾を両手で握って、振り払えば逃げ出せる程度の力を篭めて捕まえたままに、上目遣い。
 その、此方の同情を誘うみたいな、潤んで子犬じみた卑怯な瞳が、見えない針みたいにチクチクと私を刺してくる。
 更に、気まずさに顔をしかめると、にとりがしょんぼりしだした。

 駄目なの? と問いたげな、弱い瞳。


「……っ、たく」


 この河童の、こういう所が苦手である。
 っていうか嫌いである。

 最初は、とことん近づく相手を警戒するのに、一度気を許すともうべったりの甘えん坊。
 椛とは毎日の様に大将棋で遊んで、私の写真機のメンテナンスを頼まなくてもしてくれて。とにかく世話を焼こうとして、鬱陶しくて。
 ……ちょっと可愛いくて。
 ついつい、嫌なのに、彼女の願いを聞き届けてしまいたくなる。

「分かりましたよ。……もう」
「文!」
「ちょっと様子ぐらいは見てきますよ」
「うん! うんうん! そのまま泊まっていってもいいんだよ!」
「調子に乗るな河童が」

 でこぴんしてやると、にひひっと腕に抱きついてきた。
 危うく持ったままの桶を落としかけて持ち直しつつ。私は内心で大きな、それは大きな溜息を吐く。

 正直、心の底から嫌ではあるが、しょうがないので心のスイッチを切り替えて、あの馬鹿犬の所に行くしかない様である、と。

 諦めた。











 ◇ ◇ ◇











 とりあえず、やっぱり後悔した。

 奴は私を視界にいれた途端に、うげっと顔をしかめやがりました。


「うわ、帰って下さい、目障りです」
「…………」

 うん。
 ぶっ飛ばしてやろうかと思った。

 これだよ。
 こうやって私を見た途端に、風邪でへろへろの身体を鞭打ってまで身体を起こし、力ない瞳でキリッと睨んでの毒舌である。
 ……こいつ、もうこのまま止めを刺した方がいい気がする。
 あー、でも、そうするとにとりが泣いて鬱陶しいですしー? 我慢ですよねちくしょう。

「……そーいう訳にもいかないんですよ。にとりに貴方の看病をしてあげて欲しいと、頼まれてしまったんです」
「! にとりに」

 嫌そうに説明してあげると、椛はハッとして俯き、分厚い布団をぎゅっと握った。

「かっ、関係ありません。どうぞお帰り下さい」
「……だから、そういう訳にいかないと言っているでしょう?」

 もの珍しく室内を観察しながら、私は椛の敵意むき出しの視線を流す。
 気難しいというか神経質なのか。椛は確かに他の天狗たちとの折り合いも悪く、哨戒天狗用の住処もあるというのにそこに住む気配も無い。
 こうして仕事場から程遠くない場所に、手作り感むき出しの、しかしそれなりに試行錯誤を感じさせる、温かみを感じられる家に一人で暮らしている。

「……がるる」

 適当に椛の額にタオルを乗せると、べちゃっと音がして、不機嫌そうに唸られた。
 おっと、つい周りに注意を割きすぎて、肝心の看病が適当になってしまった。
 しょうがなくタオルをよく絞って、殴って寝かせた椛の額に乗せる。

「…………」

 じっとりとした嫌味な視線を感じつつも、しかし、こういう時でもなければ、椛の家の中なんて見る機会もないだろうと、遠慮なく室内を詮索する。

「へー、ほー」
「……あんまり人の家の物を物色しないで下さい。気色悪い」

 最後、明らかに失礼な本音が聞こえたので、弱っているのをいい事にでこぴんしてやった。
 睨まれた。
 いい度胸である。
 頬は明らかに熱で火照り、瞳もうるうる、はっはっ、とうるさい呼吸音。
 よくは知らないが、にとりが言っていた重い風邪、というのは確かにそのとおりで、天狗がやられる風邪とは、何とも根性があるとむしろ感心した。


「……なんですか、その顔は」
「いや、風邪菌に頑張れーと応援してました」
「……くたばればいいのに」

 忌々しそうな口調を無視して、さて、そろそろ仕事に取り掛からねばと腕まくりをする。じゃないと、後から来るだろうにとりに責められかねない。
 にとりは来るとは言わなかったが、あの性格だ。どうせ様子を見に来る。
 なので、とりあえず傍目にはちゃんと看病をしてましたとアピールしなくてはいけない。

「さて。それでは椛、貴方はご飯は食べましたか?」
「……いいえ」
「素直でよろしい。では今日、汗をかいてべったりした服を着替えましたか?」
「…………いいえ」
「はい、またまたよろしい。では最後、私はこれから貴方にエサを用意して汗を拭いて着替えさせてと、陵辱の限りを尽くすつもりですが、覚悟は決まっていますか」
「……………………」

 ひぐり、と彼女の顔が引きつった。

「あ、う」

 そして、長い。
 それはながーい沈黙の後。

 椛は、ぐぎぎっと歯ぎしりして「何だその言い草は?!」とか「私は何をされるんだ?!」と不安を押し隠し、それが、断るに断れない苦汁の選択と決断だと理解していた。

 そう。己のプライドだけで拒否するのがどれぐらい、私とにとりと、自分の弱った身体から無謀なのか、早く治すにはそうするしかないのだと、ちゃんと理解して。
 悔しそうにはがゆそうに、頭を下げた。


「……やさしく、してくだ、さい……」


 折れた。

 私はそれはいい笑顔で、にやり、と。
 こんな椛を見れて、それだけで溜飲が下がるというか、清々しい気持ちで。笑った。
 
 やばい。面白い。

 最初は看病なんて、とか思っていたけれど、これは予想以上だ。

 あんのくそ生意気な椛のその態度だけで、ここまできたかいはあるというものである。
 風邪菌に改めて賞賛を贈り、私はいまにも意地悪くにやけそうな顔を引き締めて、そっと腕を伸ばした。


「では」


 私は、椛の服に手をかけた。
 椛は「……きゅう、ん」と弱々しく、それは情けなく鼻で鳴いた。

 その様子に、ちょっと、くらっとした。















 ふう。

 着替えとエサの時間とその時に起こったちょっとアレなハプニング。

 それを克明に描写すると非常に残念な問題が起こる為、そっと私の胸に秘めて、私はやり遂げた感で鍋を洗っていた。

 気分はどこまでも爽快であった。
 あの、口を開けば生意気な椛を、それはもう、看病という名の下に、好き勝手させて貰った。
 すんごく楽しかった。
 にとりに感謝である。

 背中に、椛の凄く恥ずかしそうで恨みがましげな視線をびしびしと感じつつ。振り向けば、慌てて視線をそらして、ぎゅっと震えながら身体を抱く姿。

 ……うん。凄く満足。

 仕返しって、本当に素敵。
 ちょっと動物虐待な気がしないでもないけれど、ちゃんと愛でてたから問題ない。

「……この、恥知らずめっ」
「はいはい。そういう台詞は、尻尾を大人しくさせつつ、ちょっと激しい運動のおかげでおかゆをぺろっと食べきれた手前で言わないで下さい」
「………ッ」

 一瞬で真っ赤になって布団をガバリと被って丸くなる。
 くぐもった声でうるさい地獄に落ちろ! と叫ぶ。

 ……うーん。
 いちいち、そういう反応で私をすっきりさせてくれる椛が、今だけとっても可愛く思えてきて。ちょっとびっくり。

 いやぁ、今まで何度も煮え湯を飲まされてきた分、こういう不愉快が爽快に変わる瞬間って、とても最高で、こういう意趣返しがたまにできるなら、それはそれでいいかなって思う。

 っていうか椛?
 さっきから丸い布団の下で、尻尾が動いているのかもごもごしてて、凄い和むんですけど。

 洗い終わった食器を拭きつつ、さて、また椛で遊ぼうかなーと食器を戻して、手をわきわきさせて布団をがばっとあける。
 すると、真っ赤な顔の椛が「んなっ?!」と、必死に動く尻尾を押さえて赤面していた。
 ……うわぁ、なにこの愛玩動物。
 ……すごい愛でたい。ちょっと危ない意味で。


「あ、ああ文様ー! あっちいけー! もうほんっとうに帰れ! っていうか死ね!」
「うわぁ、傷ついた。すっごく傷つきましたよ? 昔は純粋無垢な表情で『文様ーだいすきー』って、懐いてくれたのに」
「ッ?! うう、うるっさいこの恥知らず天狗! わっ、わわ私だって、そりゃあ昔みたいにっ、で、ででも!」
「はい?」
「おま、お前は、人間なんかと仲良くしてるし! 人間なんかを庇うし、適当だし、ロリコンだし、いつも、いつも千里眼で見てると間抜け面しかしてないじゃないか!」
「……うわ、むかついた」

 どうやら椛の本音の様である。
 っていうか、間抜け面って、ロリコンって……
 あれかな?
 教育しなおせって事かしら?

「……とりあえず、いい度胸ですね椛」
「どっちがだ! わっ私にあんな事をしといて平然としてっ、このっ、責任取れ文様なんて大好きだ!」
「嫌ですよ面倒な。ちょっと弄くりまわしただけで、大げさですね貴方は」

 って、ん?
 ……今、大好きって言った?

 ……いや、気のせいか。
 この今にも噛み付きそうな顔は、とてもそんな甘い台詞を吐き出した顔には見えないし。大嫌いを大好きと聞き間違えたのだろう。
 やれやれ。

 ちょっと、年齢制限にひっかる事をしちゃっただけで、誓ってほとんど健全な事しかしてないというのに、この、嫁入り前の娘が汚されたみたいな顔は失礼である。
 何をしたか、ちょっとここでは言えないだけの事ではないか。
 うん健全。



 と。ドンドンと戸が叩かれる音。


「文ー、椛ー、来たよー」


 ふむ、丁度良いタイミングでにとりさん。
 びくっとする椛を見ても、この風邪っぴきの頭を冷やす意味でも、丁度良い区切りである。


「はい、どうぞにとりさん」
「お邪魔します」
「…………」

 今にも喰い付かれそうな視線を受けつつも、にとりさんを膝の上に座らせて、椛からの盾にする。
 にとりは、私に抱きしめられて驚きつつもご満悦の様子。

「にとり、そのエロ天狗から離れないと妊娠するよ」
「にっ!? ちょっ、びっくりした! 何て事言うんですか貴方は?!」
「黙れエロ天狗」
「? よく分からないけれど、私が来る前に何かあったの」

 にとりが私を見上げて、苛めたの? と責めてくるが、私はまさかっ、と。ただエサを与えて身体を拭いて服をきせただけだと返す。いい笑顔で返す。
 椛が「ひぐっ」と非常に真っ赤になって何か言いたげであったが、それは無視だ。

「そっか、ちゃんと看病してくれたんだ」
「ええ、わざわざ上の許可まで取ったんです。それぐらいはしますよ」
「えへへ、ありがとう文」
「どーいたしまして。椛からその台詞を聞いていないですが、にとりから聞けただけで満足ですよ」

 グルルルルルッ。

 と、幾分本気の唸り声に、そろそろキれそうだなーと。
 にとりの頭をくしゃくしゃっとして、立ち上がる。

「では、にとりも来たことですし。私はこれで失礼しますよ」
「え?」
「どうぞ、とっとと帰って下さい」
「こら、椛!」
「いいんだよにとり。アレはいない方が」
「……本当にイラつきますね」

 うっかり殴りそうになったが、何とか我慢して、私は肩を竦めて彼女たちに背を向ける。


 とりあえず。
 やれる事はしたし、満足もしたし。十分である。

 あとは帰って寝ようと戸を開けて、星空を仰ぐと。ふと小さな声を感じた。

 ぽつりと小さい。

 聞き逃しそうな声。



「……ぁの、でも、ぁ、ありがとう、ございました」



 ――――。

 ん。


 なんとなく、聞こえなかった事にした。


 










 ◇ ◇ ◇












 さて。復習。

 私は、犬走椛が苦手である。
 っていうか、あれを苦手としない奴がいるなら正気を疑うぐらいに忌避している。

 そんな私が、頼まれたとはいえ奴の看病をしてあげたのは、ただの気まぐれといえる。
 っていうか、押しに負けただけかもしれないが、それには気づかない振りをする。

 いちいち、会うたびに毒しか吐かない犬。
 
 あれから数日立って、看病してやったのに態度がちっとも改まらない、とにとりに零したら。
 にとりはむしろ呆れて溜息をついた。

「たんにさ。文が調子に乗って、椛を怒らせちゃうのがいけないんじゃん」
「えー」
「きっと、普通に看病してたら、椛もあそこまで意固地にならないってば」

 いつの間にかにとりを肩車してあげながら。
 そーかなーと零せば、そーだよーと軽い返事。


「椛は、文の事が好きだよ」
「そーですかー?」
「うん。私も好きだし」
「それはどうも」

 後頭部ににとりのお腹を感じていたら、にとりはぐいっと柔らかな身体を曲げて、逆さまの顔を私の顔の前に下げてくる。
 そのまま見詰め合う。
 そしたら、にとりは「にひひ」と楽しそうに笑った。


「っていうか。文がそうやって、気安く私とか他の誰かとくっついてべたべたしているのを、いっつも見てるから、毒しか吐けないんだよね」
「はあ?」
「でも、私と椛はライバルだから」
「へえ?」
「たまーに、お互いの手助けをしつつも、やっぱりこれだけは、仲良く半分こってわけにはいかないんだよね」

 わけわからん。
 呆れた顔をしていると。にとりはぎゅっと太ももで私の頬を強く挟む。
 ちょっと苦しい。
 
「あのさ文」
「ほいほい」
「私も風邪をひいたら、椛ぐらい手厚く看病してね!」
「りょーかいですよ」

 なんかもう適当に返事して、さっさとにとりを下ろそうとすると。不意に殺気を感じ「ん?」と顔を上げる。
 そこには、ガルガルと血気盛んそうなわんこの姿。


「このエロ天狗! 今すぐににとりを離せ!」
「……えー」
「きゃあ文! 私を連れて逃げろー!」
「……えー?」

 ぶんぶん剣を振り回す姿に、昔の可愛い姿がちっとも重ならなくてげんなりして。にとりが顔を抱き潰さんばかりにしめつけて。
 もう散々である。



 やっぱ。

 私はこの犬が苦手で。

 でも愛着があって。手を出せば噛まれるのに、それが分かっていながらもどうにも突き離せなくて。
 



 まいったなぁ。

 狂犬とわかりつつ、アレ以来、この犬が可愛いとか思えてきた。

 ついでに、この河童も可愛い。



「あーもう。鬱陶しいなー」



 面倒そうな声が、楽しそうに響いて、けたけたと笑う。

 まあ、

 苦手だ苦手だと、意識していた時点で負けだし。
 
 懐かせてやろうかなと、頬が緩んだ。



 なので、明日からちょっと真剣に、ちょっかいかけてみようかなって。

 にとりを抱っこして逃げながら、そう思った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 文と椛とにとりで。 

 明るい三角関係、に見えていたら嬉しいです。




 ※ 誤字修正しました。7の方、どうもありがとうございます!
 
 
夏星
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
とっても良い三角関係!
ニヤニヤが治まらない…
2.名前が無い程度の能力削除
なんだ、ただのヤキモチか。初い奴よのう。
3.名前が無い程度の能力削除
ツンデレは好きだがこの椛はちょっと
4.名前が無い程度の能力削除
にとりももみじもかわいいかわいい
5.名前が無い程度の能力削除
ま、マキシマムドライブ!!
6.名前が無い程度の能力削除
ジャスティス
7.名前が無い程度の能力削除
こんなロリロリしたスケコマシな文だから、いつでも見てる椛からすりゃもう妬いちゃいますよね。
あと、多分誤字報告
拉致があかない⇒埒があかない
天狗がやれれる風邪⇒天狗がやられる風邪
でしょうか。
8.名前が無い程度の能力削除
来た!ロリコン文来た!極悪キャプテンも悪くないけど、夏星さんと言ったらやっぱりこれだぜ!
9.名前を忘れた程度の能力削除
最近夏星さんのあややはチルノべったりだったから、山方面もあいかわらずで本当に安心した。
あやもみ万歳!
あやにともいいよね!
10.名前が無い程度の能力削除
最近はキャプテンの悪霊っぷりに目がいきがちだったけど夏星さんの真髄は鈍感ロリコンスケコマ天狗だった! ウオォ
11.名前が無い程度の能力削除
>何をしたか、ちょっとここでは言えないだけの事ではないか。

表現できない部分を補完した完全版がアッチにアップされるわけですね本当に全裸待機です。

もう文はチルにと椛霊全員嫁にすればいいと思うよ
12.名前が無い程度の能力削除
これは…すばらしい…
13.夢中飛行士削除
すごく……素晴らしいです。
14.名前が無い程度の能力削除
もうみんな幸せになっちゃえ
15.名前が無い程度の能力削除
最高だ!
16.名前が無い程度の能力削除
浮気性滲み出てる文好き