数ヵ月後、事件発生
紅魔館、門前
「ぬ?この久しい感覚は、まさか!!」
八雲家
「これは、まずい!!」
霧の湖
「総領娘様大変です!!」
「お嬢様!」
「紫様!」
「総領娘様!」
「「「このままでは大地震が発生してしまいます!!」」」
「「ええ、分かっているわ」」
八雲家
「紫様はこれから大地震が起きる事分かっていたんですか!?」
「ええ、だから対策も打ってあるわ」
「対策、とは?」
「まず幻想郷の力の有る人妖に注意喚起、人里にはあの半獣に頼んできたわ。もう一つは、紅魔館の主などを集めた会合」
「…会合の結果は?」
「最悪の場合幻想郷は滅びてしまう。それを止めるためにあの天人を利用させてもらう事になったわ。もう竜宮の使いにも事情は話したわ」
「なるほど…、って今回の地震をあの天人が止められなくなった場合はどうするんですか?」
「それも大丈夫、ちゃんと安全装置は用意してあるわ。それと藍、今から私は里人を外の世界に避難させに行くわ。」
「了解しました。いってらっしゃいませ紫様」
紅魔館
「私の所に賢者様がやってくるとは思わなかったよ。それで、会合の結果を言うと、今回の地震は規模が大きすぎて、大地が動き過ぎると結界が維持出来ないそうよだからあの天人を使うしかない。」
「お嬢様、私たちはどうなるのでしょうか」
「大丈夫よ、美鈴。私達力の大きすぎる妖怪は永遠の魔法をかけた永遠亭に避難する事になってるわ。ああ、後貴方に頼みたい事があるのだけど」
「?何ですか?」
白玉楼
「大地震が顕界で発生するのは分かったのですが何故紫様自ら出ないのですか?」
「んー、紫の能力はどっちかって言うと形の無いものを操るのに向いてるの。むしろ、大地についてならならあの天人の方が上ね。まああの子はまだ若いから、自分の能力を使いきれないみたいだけどね」
「それじゃあ、何故幽々子様達はあの天人に任せる事にしたんですか?」
「ん?妖夢、本当に分からないの?」
「は、はあ、すいません」
「妖夢、覚えておきなさい。大切な人を守ろうと思った時、人は時に凄まじい能力を発揮出来るのよ。妖夢の場合はあの赤目の兎さんかしら?」
「ゆ、幽々子様~」
「ふふ、後は上手くいくのを祈るだけね」
霧の湖
「い、衣玖?どうしたのそんなに慌てて。ただの地震なら飛んで避難すればいいじゃない」
「ハア、ハア、総領娘様、チルノさんは?」
「えっと、今は隠れんぼしてたからあっちの方に居ると思う」
「そうですか…。総領娘様、落ち着いて聞いてください。もう後、十分もありません」
「…話して、衣玖」
「ハイ…、総領娘様、人や妖怪がどうやって存在しているか分かりますか?」
「え?えっと…、人は肉体、妖怪は精神、妖精は自然を、神は信仰を支えにして存在してるんだったけ?」
「ええ、その通りです。そしてチルノさんの場合は妖精ですからこの辺りの自然を捻じ曲げて存在しています」
「?なんでそこでチルノの名前がでてくるの?」
「…話を続けます。今回起こる地震は規模が強く、大地をずらし、結界が有耶無耶になって消えてしまう可能性があります。消えてしまった場合幻想郷は無くなります。今回、そこで総領娘様には地震を止めてもらいたいのです」
「ん?それは分かったけど珍しいね、竜宮の使いが地震を止めてなんて」
「今の私は竜宮の使いでは無く永江衣玖です。それに今回は特例です。いいですか総領娘様、このままだとチルノさんの存在が消えてしまいます」
「…え!?何で!!?」
「先程も言いましたが妖精は辺りの自然を捻じ曲げて存在しています。妖怪や人間は自分の中に存在を保つモノを持っています,神は最低でも人さえいれば何とかなるでしょう。
しかし妖精は違います。もしこのまま幻想郷が消えた場合、外の世界で妖精は存在の基盤が無くなる訳ですから幻想郷の崩壊と同時に消えてしまいます」
「嘘…でしょ?何でチルノが…?」
「総領娘様!早く!!もう来ます!!」
「おーい!天子何してるのーーー!?」
「っ!!?チルノ飛んで!!」
「え?一体何…」
地震発生
「「「うわあっ!!?」」」
真っ直ぐ立てないほどの地震が発生し辺りを揺らし、歪ませ、引き裂き、落とす。
災害の中である意味一番の破壊力を持っている天災に対し天子は…
「くそっ!トマレーーーーッ!!」
地面に非想の剣を突き刺し全力で車で言うブレーキをかけた。
それが駄目だった。
「っ!?止まって!止まってよ!!」
地震はいわば波、人間にとって害になる自然もちゃんと調和を保ち世界に生きている。
天子がいつもやっているように大地を盛り上げたりするなら兎も角、活性化している今で変に弄ろうものならバランスが崩れ逆に強くなりもう手のつけようが無い状況になる事もあり得る。
簡単に言うと、泣いて怒っている子供を無理に抑えつけようとするともっと暴れてしまう様なものである。今の状況がまさにそれだった。
「ぐぅ、う、うああ!?」
「チルノ!?」
「総領娘様!早く地震を!!」
「何で!何で地震が止まらないのよぉ…!お願い…、止まってよぅ…!」
某所
「さて、どうかしら?」
「結構狂ってますが…、はい、イケます」
「良し、やりなさい、美鈴」
「了解しました、お嬢様」
そう言って美鈴は拳をゆっくり地面に当て、拳に高密度の氣を練りこみ気合いと同時に地面に叩き込んだ。
「ハアァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
華符「彩光蓮華掌」
拳は地面にめり込み大きな穴を空ける。そして美鈴は穴に向かって氣を染み込ませる様に開放し、一分後再び気合いの掛け声と共に、
「ヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
地面に染み込ませていた氣を起爆させた。
「え!?ちょ!!うわあああぁぁぁぁ……」
すると地面が爆発し美鈴の周りは陥没し、その大穴にレミリアは落ちて行った。
「…やりすぎた」
そう、これが紫が言っていた安全装置。
美鈴がこの動作を行い大地の気脈に介入する事で、もし地震が暴走しても幾らか抑えられる。現に地震が先と比べて少しだが治まっている。これが紫の言っていた安全装置だった。
「頑張って下さいね、天子さん。…と、お嬢様」
美鈴は大穴を覗き込みながら呟いた。
霧の湖
「!?地震の揺れが少し治まった!?」
「今です!総領娘様!!」
「う、うん!!」
そして、天子が再び地震を止めようとしたその時――
「ふぅ、ふぅ、!?天子!危ない!!」
「え…?」
その時、地震の影響で大木が天子に倒れてきた。天子は反応が遅れて避けられない。チルノと衣玖は距離が離れていて間に合わない。
そして天子は大木に潰され意識を失った。
「「天子!!」」
楽しみにしてます!
…魔理沙×はたて…これも面白そうですね。