ある昼下がり、さとりが自室に戻ると、こいしがベッドでうにうにしていた。
しゃくとりむしのような動きだった、とさとりは後日語った。
さとりが入ってきたことにも気づかずにうにうにしている。
うにうに。
うにうに。
しばらく眺めていたさとりは、身体のうずうずを収めることができなかった。
何をしているのか、すごく気になった。
「ねぇ?」
とひと声かけると、ようやく気がついたように、こいしは顔を上げた。
「あ、お姉ちゃん。おかえりー」
しゅっと手を上げる。
ただし身体はうにうに。
「ただいま。……で? なにをしてるの、あなたは」
「なにって、うにうに」
「うにうにって……」
さとりは額に手をやった。
うにうに。
「お姉ちゃんもやろー?」
「え、や、私は――」
「やろー?」
うにうに。
「で、ですから――」
うにうに。
うにうにうに。
「――――はっ!」
さとりが気がついたとき、もうすでに遅かった。
さとりはいつの間にか、ベッドの上でこいしとうにうにしていた。
驚愕した。
これが、無意識を操るということか――――と。
うにうにうにに。
二人並んでうにうに。
さとりは、なぜか、自分の心が落ち着くのを感じた。
それは、妹と一緒に行動することが嬉しかったからだろうか。
そういえば、長いこと一緒にいてやれなかったな、とさとりは思った。
これも、あの人間たちが来てからだ。あのときから、この地霊殿は良い方向に向かっている。
さとりはそう考え、こいしの方をちらっと見た。
「――――!」
さとりは声にならない声をあげた。
濃い紫色をした物体。トゲトゲしたフォルム。
そこに『うに』があったのだ。
いや、正確に言えば、『うに』から顔だけ出した状態のこいしがいた。
うに。うにうに。
「なんですか? それ」
ふるふる震える指でこいしを指差した。
「んー?」
と自分の身体を見て、おお! と声をあげた。
「無意識にやっちゃった☆」
てへ、と舌をだすこいし。
幻想郷に海はないが、彼女たちは『うに』を見たことがあった。
八雲紫が、外から獲ってきたものだ、と言って幻想郷中に配って回ったのだ。
そのとき、全員が例外なく「プリンに醤油ぶっかけた味だ」と言ったらしい。
ショックを受けた八雲紫は引きこもりになった。
親友さえも、自分の感じた味覚を理解してくれず、プリンに醤油かけた味、とのたまったことが余程ショックだったようだ。もちろんさとりも、プリンに醤油ぶっかけた味、だと思った。
「いや、無意識って」
うに。うにうに。
「ああ!」
こいしが声を張り上げた。
さとりはうにうにしながら応えた。
「どうしたの!?」
うににににに。
さとりの動きが加速した。
「お姉ちゃん! 水槽を!」
「え?」
「早く!」
その気迫に圧されたさとりは、すぐに水槽を用意させた。
翌日から、地霊殿の玄関に置かれた水槽の中には、『うに』みたいなこいしが沈んでいた。
本人曰く、落ち着くらしい。
彼女は、新しく、心休まる場所を見つけたのだ。
しゃくとりむしのような動きだった、とさとりは後日語った。
さとりが入ってきたことにも気づかずにうにうにしている。
うにうに。
うにうに。
しばらく眺めていたさとりは、身体のうずうずを収めることができなかった。
何をしているのか、すごく気になった。
「ねぇ?」
とひと声かけると、ようやく気がついたように、こいしは顔を上げた。
「あ、お姉ちゃん。おかえりー」
しゅっと手を上げる。
ただし身体はうにうに。
「ただいま。……で? なにをしてるの、あなたは」
「なにって、うにうに」
「うにうにって……」
さとりは額に手をやった。
うにうに。
「お姉ちゃんもやろー?」
「え、や、私は――」
「やろー?」
うにうに。
「で、ですから――」
うにうに。
うにうにうに。
「――――はっ!」
さとりが気がついたとき、もうすでに遅かった。
さとりはいつの間にか、ベッドの上でこいしとうにうにしていた。
驚愕した。
これが、無意識を操るということか――――と。
うにうにうにに。
二人並んでうにうに。
さとりは、なぜか、自分の心が落ち着くのを感じた。
それは、妹と一緒に行動することが嬉しかったからだろうか。
そういえば、長いこと一緒にいてやれなかったな、とさとりは思った。
これも、あの人間たちが来てからだ。あのときから、この地霊殿は良い方向に向かっている。
さとりはそう考え、こいしの方をちらっと見た。
「――――!」
さとりは声にならない声をあげた。
濃い紫色をした物体。トゲトゲしたフォルム。
そこに『うに』があったのだ。
いや、正確に言えば、『うに』から顔だけ出した状態のこいしがいた。
うに。うにうに。
「なんですか? それ」
ふるふる震える指でこいしを指差した。
「んー?」
と自分の身体を見て、おお! と声をあげた。
「無意識にやっちゃった☆」
てへ、と舌をだすこいし。
幻想郷に海はないが、彼女たちは『うに』を見たことがあった。
八雲紫が、外から獲ってきたものだ、と言って幻想郷中に配って回ったのだ。
そのとき、全員が例外なく「プリンに醤油ぶっかけた味だ」と言ったらしい。
ショックを受けた八雲紫は引きこもりになった。
親友さえも、自分の感じた味覚を理解してくれず、プリンに醤油かけた味、とのたまったことが余程ショックだったようだ。もちろんさとりも、プリンに醤油ぶっかけた味、だと思った。
「いや、無意識って」
うに。うにうに。
「ああ!」
こいしが声を張り上げた。
さとりはうにうにしながら応えた。
「どうしたの!?」
うににににに。
さとりの動きが加速した。
「お姉ちゃん! 水槽を!」
「え?」
「早く!」
その気迫に圧されたさとりは、すぐに水槽を用意させた。
翌日から、地霊殿の玄関に置かれた水槽の中には、『うに』みたいなこいしが沈んでいた。
本人曰く、落ち着くらしい。
彼女は、新しく、心休まる場所を見つけたのだ。
うにうに可愛いようにうに
夏に磯に行くことがあったら、是非一匹捕まえて割って食べてみて下さい。
さすがに何かけようとプリンで米は食えないけどな