夏。
昼下がり。神社の縁側。
夏だった。それも真夏である。そのうえでも、今日はとみに暑い。
「うー……」
魔理沙は、うだりながら畳に寝そべっていた。すでに、服は脱ぎ捨てて、シャツとドロワ一丁になっている。
畳のひんやりとした涼気を謳歌しつつ、げんなりと寝ころんでいる。それでもまだ暑かった。本当に、今年初の、地獄のような日和だ。
「ふぅー……うーあっちいー」
「おい、こんなところで寝るな。……というか、なにしてるのよあんたは? 服着なさいよ」
やってきた霊夢が注意するが、魔理沙は聞いた様子がない。口をとがらせて、反論してくる。
「知るものか。勝手知ったるお前の家、お前知ったる私の勝手の家だぜ。私の家は私の家だが、お前の家も私の家だ。つまりどういうことかわかるな? まあ、あれだよ、ほら。分かるだろ?」
「全然意味が分からない」
「馬鹿、分からないなら分かるまでちゃんと考えるんだ。そして悩め! 若人よ。その先にはたぶん何もないが、悩んだ時間も無駄になるだろうな、まあ、そりゃあ」
「無責任に恰好良いっぽいこと言ってんな。ほらもう、邪魔」
「うわ蹴りやがったこの女」
「あんまりだらしないことしていると、霖之助さんに告げ口するわよ。事細かに」
「すればいいだろ。なんであいつの名前が出てくるんだよ……」
魔理沙はちょっと眉をひそめて、団扇を扇いだ。やや手つきが乱暴になっている。
「じゃあ文のやつを呼びもどして、写真に撮って貰うとかね。神社紹介の記事に使うとか」
「呼べばいいだろ。フィルムが無駄になるからやだとか言うだけだしな、どうせ」
「だいたい私が人がだらしない恰好しているの見ているの、嫌いだって知っているでしょうが? とにかく服着なさいよ。えい。えい」
「脇丸出しで畳の上転がるような奴に恰好がどうとか言われたくないな。蹴るな。自分がやられて嫌なことを人にやったり強要しちゃいけないんだぜ。お前は、思うさま冷たい畳の上を転げ回りたいという私の自由を求める心を無惨にも奪う気なのか? 何様のつもりなんだ?」
「ああ、腹立つわ。曲がれ、ねじ曲がれ。もげろ! もげろ!」
「うわまた蹴りやがった。しかもなんだよそれ、呪い? 性格なら曲がりようがないぜ。もげろってどこがだ? 私にはなにも生えていないんだが」
「うわ、下品なことさらりと言った! この馬鹿! 少しは慎みなさいよ!」
霊夢が言う。魔理沙は、そのままでしでしと蹴られつつも、なおもだらりと寝そべったまま、不動である。ぱたぱたと団扇を扇いでいる。
「あー……」
「くそ。全然動かないわ……この惰肉め。もういっそのこと穴掘って埋めちゃおうかしら……でも外は暑いし……どうすれば……」
「……ん? お? なんだあれ。いつのまに。あ。幽香か?」
魔理沙は、ふと庭のほうを見て言った。視線の先には、大きな向日葵の花が咲いていた。
縁側から外は青すぎてむしろ黒く見えるような空だったが、向日葵はその中で、いきいきと咲きほこっていた。洗濯物と一緒に、温く吹き渡る風に、そよそよと揺れているようだ。
「ああ、そう。なんだか、ついこの前来たときに、植えていったのよ。今年は特によく咲いたから、ほら、綺麗でしょう? あなたにも分けてあげるわって、持ってきてね。やけに嬉しそうにしていたけど、でも、ほとんど押し売りと変わらないわよね。それか、蒲公英の綿毛かな。綺麗だからいいけどさ」
「あいつが、春のそよ風に乗ってって感じか? ああ。でも、あの、妙にふわふわしているところは、たしかにそうなのかもとは思うよな。……」
魔理沙はちょっと考えこんだ。霊夢が麦茶をすすっている。風鈴が、ちりちりと鳴った。
「なあ、そういえば、前から思ってたけどさ」
「うん? はによ」
霊夢は煎餅をかじりながら答えた。魔理沙は、ちろりと見て団扇の影でこっそりと笑った。ぼそり、とした風に言う。
「お前と幽香って似てるよな」
「……」
霊夢は黙りこんだ。魔理沙はぱたぱたと団扇を扇いだ。うーむと口をとがらせて言う。
「うーん。似てる。うん。似てるなー似てる」
「……ちょっとやめてよ。割と本気で嫌」
「いや似てる。お。なんだ。似てるって言ったらますます似てるように見えてきた。似てるなー似てる似てる。ああいうところとか、おお、ほら、そういうところとかな。似てる」
魔理沙はどこ吹く風で続ける。霊夢は顔をしかめた。
「どこが?」
「だから、ああいうところとかだよ。ほら、ああいう風でそういう風だから……ああいう風でさ。な?」
「だからどこがよ……適当言わないでよ。まったく。誰があんな頭の螺旋がちょっと緩んでいる奴とおんなじだっていうのよ」
「そういうお前も相当に螺旋が緩んでるほうなんだが……そういや自分でそういうのが分かっていないところも似てるな。うーん似てる。なんか、案外すごくお似合いなんじゃないか? ためしにちょっと結婚してみろよ。お前ら。確か、女でも別に良いって言ってたよな、お前って」
「あんな奴と結婚したら、毎日が不安でしょうがないでしょうに。だいたい、いきなり言い出すかわかったもんじゃないし。朝ご飯食べているときにねえ、飽きたから明日離婚しましょうとか、いきなり笑顔で言われたら、どうするのよ」
霊夢は言って、ぷいとむくれた。魔理沙は、おかしそうに笑った。
「そういうところが面白いんじゃないか……まあ、私が男だったとしたってたぶん御免だがなー。まあなー」
「人を見せ物にしようとすんな。なによ、その笑い方。いやらしいな」
霊夢は言った。魔理沙はまだ笑っている。
「こんにちは。良いお天気ね」
そこへ、幽香がやってきた。噂をすれば影、というやつか。
何の前触れもなく、庭を横切って歩いてくる。この陽気だというのに、日傘の下の影の落ちた顔には、汗一つかいていない様子で、涼しげに笑っている。
「なにが良い天気だよ。感覚のおかしいやつめ。これは日照りって言うんだよ」
「花は元気が良いわ。向日葵の黄色は、暑ければ暑いほど、輝きを増すものなのよ。どこかの魔法使いさんは、元気が無くてげんなりしているようだけど、あなたはむしろ、元気がないくらいがちょうどいい」
幽香は言うと、ことわりもせずに、縁側に腰掛けた。笑って、向日葵の立ち姿をながめやる。
どうやら、花を見に来たらしい。他のものには毛ほどの興味もなさそうな眼差しが。上機嫌そうに大輪の花を見ている。
どこか超然とした横顔は、高貴で老練な、老女のようにも見えるし、あるいは無邪気な少女のようにも見える。どっちみち、しばらくはここに居座る様子のようだ。
霊夢はやれやれ、と立って、台所へと立った。台所の中は、眩しい光を背負ってひんやりと影になって見えた。
茶碗類をしまう戸棚を開けて、丸っこい型の、涼しげな形の湯飲みを用意する。この夏に入ってから、もう何度使ったかわからない湯飲みは、まだちょっと水滴を含んでいる。
午前中には、魔理沙の他に、アリスと文も来ていたのだった。昼前になって、あの遠慮深い二人は帰ったが、魔理沙だけはそのまま残って昼飯をたかっていた。
ちょっとでも気を逸らすと聞こえてくる蝉の声が、午前中と変わらず、神社の周辺を覆っている。むしろ、勢いを増したようにも感じる
「――ぜ、だろ――」
「――いわ。――て」
魔理沙も幽香も、声音がよく透るほうなので、雑談がほとんど筒抜けに聞こえてくる。ちょっかいをかける風の魔理沙と、それを、いつもの微妙にわけのわからない言動で、ふらふらとかわす幽香のやり取りが聞こえてくる。
霊夢は、なんのけなしに、それに聞き耳を立てていた。やがて、茶を汲んで、縁側に戻った。
戻っていくと、ちょうど会話が途切れたところだった。幽香は変わらずに花を見ている。
霊夢は、なんとはなしに、その横顔を観察した。ゆるくウェーブがかかった緑の髪、不明瞭な笑みを浮かべる口元、日傘の影に隠れた、赤い瞳。
(……どこが似てるのかしら)
ぶつぶつと、霊夢は口のなかで言った。似てないわよね。なにひとつ。
うん、似ていない。思いつつ、幽香の横に湯飲みを置く。
「どうでもいいけど、ちゃんと服は着なさい。だらしない恰好は、見ていると苛々してくるわ」
ふと、そのとき幽香が言った。霊夢は思わずちらと幽香を見た。
「そんなこと言ったって、私は妖怪じゃないんだぜ。暑いものは暑いし、寒いものはすごく寒い。我慢は身体に毒だしな」
「そんなの知らないわ。あなたは暑くても、私は全然暑くないもの。だらしないのが嫌だから言っただけ」
幽香は言った。魔理沙はちょっと辟易しつつ、霊夢をちらりと見た。
いかにも、なにか意味含みな視線だ。霊夢は、むっとした顔を返した。
(なによ)
と、口に出さずに言う。
魔理沙は、それを見て、まるで声が聞こえたように、にんまり笑った。
「……なっ。ほら。似てるだろ」
「似てないわよ」
霊夢は口をとがらせた。幽香は、二人の様子をちょっと怪訝な顔で見た。
「何?」
聞く。しかし、むっとした霊夢は答えなかったし、魔理沙もニヤニヤと笑っていた。
太陽は相変わらず暑い。暢気な縁側の上に、さんさんと降りそそいでいた。
昼下がり。神社の縁側。
夏だった。それも真夏である。そのうえでも、今日はとみに暑い。
「うー……」
魔理沙は、うだりながら畳に寝そべっていた。すでに、服は脱ぎ捨てて、シャツとドロワ一丁になっている。
畳のひんやりとした涼気を謳歌しつつ、げんなりと寝ころんでいる。それでもまだ暑かった。本当に、今年初の、地獄のような日和だ。
「ふぅー……うーあっちいー」
「おい、こんなところで寝るな。……というか、なにしてるのよあんたは? 服着なさいよ」
やってきた霊夢が注意するが、魔理沙は聞いた様子がない。口をとがらせて、反論してくる。
「知るものか。勝手知ったるお前の家、お前知ったる私の勝手の家だぜ。私の家は私の家だが、お前の家も私の家だ。つまりどういうことかわかるな? まあ、あれだよ、ほら。分かるだろ?」
「全然意味が分からない」
「馬鹿、分からないなら分かるまでちゃんと考えるんだ。そして悩め! 若人よ。その先にはたぶん何もないが、悩んだ時間も無駄になるだろうな、まあ、そりゃあ」
「無責任に恰好良いっぽいこと言ってんな。ほらもう、邪魔」
「うわ蹴りやがったこの女」
「あんまりだらしないことしていると、霖之助さんに告げ口するわよ。事細かに」
「すればいいだろ。なんであいつの名前が出てくるんだよ……」
魔理沙はちょっと眉をひそめて、団扇を扇いだ。やや手つきが乱暴になっている。
「じゃあ文のやつを呼びもどして、写真に撮って貰うとかね。神社紹介の記事に使うとか」
「呼べばいいだろ。フィルムが無駄になるからやだとか言うだけだしな、どうせ」
「だいたい私が人がだらしない恰好しているの見ているの、嫌いだって知っているでしょうが? とにかく服着なさいよ。えい。えい」
「脇丸出しで畳の上転がるような奴に恰好がどうとか言われたくないな。蹴るな。自分がやられて嫌なことを人にやったり強要しちゃいけないんだぜ。お前は、思うさま冷たい畳の上を転げ回りたいという私の自由を求める心を無惨にも奪う気なのか? 何様のつもりなんだ?」
「ああ、腹立つわ。曲がれ、ねじ曲がれ。もげろ! もげろ!」
「うわまた蹴りやがった。しかもなんだよそれ、呪い? 性格なら曲がりようがないぜ。もげろってどこがだ? 私にはなにも生えていないんだが」
「うわ、下品なことさらりと言った! この馬鹿! 少しは慎みなさいよ!」
霊夢が言う。魔理沙は、そのままでしでしと蹴られつつも、なおもだらりと寝そべったまま、不動である。ぱたぱたと団扇を扇いでいる。
「あー……」
「くそ。全然動かないわ……この惰肉め。もういっそのこと穴掘って埋めちゃおうかしら……でも外は暑いし……どうすれば……」
「……ん? お? なんだあれ。いつのまに。あ。幽香か?」
魔理沙は、ふと庭のほうを見て言った。視線の先には、大きな向日葵の花が咲いていた。
縁側から外は青すぎてむしろ黒く見えるような空だったが、向日葵はその中で、いきいきと咲きほこっていた。洗濯物と一緒に、温く吹き渡る風に、そよそよと揺れているようだ。
「ああ、そう。なんだか、ついこの前来たときに、植えていったのよ。今年は特によく咲いたから、ほら、綺麗でしょう? あなたにも分けてあげるわって、持ってきてね。やけに嬉しそうにしていたけど、でも、ほとんど押し売りと変わらないわよね。それか、蒲公英の綿毛かな。綺麗だからいいけどさ」
「あいつが、春のそよ風に乗ってって感じか? ああ。でも、あの、妙にふわふわしているところは、たしかにそうなのかもとは思うよな。……」
魔理沙はちょっと考えこんだ。霊夢が麦茶をすすっている。風鈴が、ちりちりと鳴った。
「なあ、そういえば、前から思ってたけどさ」
「うん? はによ」
霊夢は煎餅をかじりながら答えた。魔理沙は、ちろりと見て団扇の影でこっそりと笑った。ぼそり、とした風に言う。
「お前と幽香って似てるよな」
「……」
霊夢は黙りこんだ。魔理沙はぱたぱたと団扇を扇いだ。うーむと口をとがらせて言う。
「うーん。似てる。うん。似てるなー似てる」
「……ちょっとやめてよ。割と本気で嫌」
「いや似てる。お。なんだ。似てるって言ったらますます似てるように見えてきた。似てるなー似てる似てる。ああいうところとか、おお、ほら、そういうところとかな。似てる」
魔理沙はどこ吹く風で続ける。霊夢は顔をしかめた。
「どこが?」
「だから、ああいうところとかだよ。ほら、ああいう風でそういう風だから……ああいう風でさ。な?」
「だからどこがよ……適当言わないでよ。まったく。誰があんな頭の螺旋がちょっと緩んでいる奴とおんなじだっていうのよ」
「そういうお前も相当に螺旋が緩んでるほうなんだが……そういや自分でそういうのが分かっていないところも似てるな。うーん似てる。なんか、案外すごくお似合いなんじゃないか? ためしにちょっと結婚してみろよ。お前ら。確か、女でも別に良いって言ってたよな、お前って」
「あんな奴と結婚したら、毎日が不安でしょうがないでしょうに。だいたい、いきなり言い出すかわかったもんじゃないし。朝ご飯食べているときにねえ、飽きたから明日離婚しましょうとか、いきなり笑顔で言われたら、どうするのよ」
霊夢は言って、ぷいとむくれた。魔理沙は、おかしそうに笑った。
「そういうところが面白いんじゃないか……まあ、私が男だったとしたってたぶん御免だがなー。まあなー」
「人を見せ物にしようとすんな。なによ、その笑い方。いやらしいな」
霊夢は言った。魔理沙はまだ笑っている。
「こんにちは。良いお天気ね」
そこへ、幽香がやってきた。噂をすれば影、というやつか。
何の前触れもなく、庭を横切って歩いてくる。この陽気だというのに、日傘の下の影の落ちた顔には、汗一つかいていない様子で、涼しげに笑っている。
「なにが良い天気だよ。感覚のおかしいやつめ。これは日照りって言うんだよ」
「花は元気が良いわ。向日葵の黄色は、暑ければ暑いほど、輝きを増すものなのよ。どこかの魔法使いさんは、元気が無くてげんなりしているようだけど、あなたはむしろ、元気がないくらいがちょうどいい」
幽香は言うと、ことわりもせずに、縁側に腰掛けた。笑って、向日葵の立ち姿をながめやる。
どうやら、花を見に来たらしい。他のものには毛ほどの興味もなさそうな眼差しが。上機嫌そうに大輪の花を見ている。
どこか超然とした横顔は、高貴で老練な、老女のようにも見えるし、あるいは無邪気な少女のようにも見える。どっちみち、しばらくはここに居座る様子のようだ。
霊夢はやれやれ、と立って、台所へと立った。台所の中は、眩しい光を背負ってひんやりと影になって見えた。
茶碗類をしまう戸棚を開けて、丸っこい型の、涼しげな形の湯飲みを用意する。この夏に入ってから、もう何度使ったかわからない湯飲みは、まだちょっと水滴を含んでいる。
午前中には、魔理沙の他に、アリスと文も来ていたのだった。昼前になって、あの遠慮深い二人は帰ったが、魔理沙だけはそのまま残って昼飯をたかっていた。
ちょっとでも気を逸らすと聞こえてくる蝉の声が、午前中と変わらず、神社の周辺を覆っている。むしろ、勢いを増したようにも感じる
「――ぜ、だろ――」
「――いわ。――て」
魔理沙も幽香も、声音がよく透るほうなので、雑談がほとんど筒抜けに聞こえてくる。ちょっかいをかける風の魔理沙と、それを、いつもの微妙にわけのわからない言動で、ふらふらとかわす幽香のやり取りが聞こえてくる。
霊夢は、なんのけなしに、それに聞き耳を立てていた。やがて、茶を汲んで、縁側に戻った。
戻っていくと、ちょうど会話が途切れたところだった。幽香は変わらずに花を見ている。
霊夢は、なんとはなしに、その横顔を観察した。ゆるくウェーブがかかった緑の髪、不明瞭な笑みを浮かべる口元、日傘の影に隠れた、赤い瞳。
(……どこが似てるのかしら)
ぶつぶつと、霊夢は口のなかで言った。似てないわよね。なにひとつ。
うん、似ていない。思いつつ、幽香の横に湯飲みを置く。
「どうでもいいけど、ちゃんと服は着なさい。だらしない恰好は、見ていると苛々してくるわ」
ふと、そのとき幽香が言った。霊夢は思わずちらと幽香を見た。
「そんなこと言ったって、私は妖怪じゃないんだぜ。暑いものは暑いし、寒いものはすごく寒い。我慢は身体に毒だしな」
「そんなの知らないわ。あなたは暑くても、私は全然暑くないもの。だらしないのが嫌だから言っただけ」
幽香は言った。魔理沙はちょっと辟易しつつ、霊夢をちらりと見た。
いかにも、なにか意味含みな視線だ。霊夢は、むっとした顔を返した。
(なによ)
と、口に出さずに言う。
魔理沙は、それを見て、まるで声が聞こえたように、にんまり笑った。
「……なっ。ほら。似てるだろ」
「似てないわよ」
霊夢は口をとがらせた。幽香は、二人の様子をちょっと怪訝な顔で見た。
「何?」
聞く。しかし、むっとした霊夢は答えなかったし、魔理沙もニヤニヤと笑っていた。
太陽は相変わらず暑い。暢気な縁側の上に、さんさんと降りそそいでいた。
結婚してみるのもいいと思います。霊夢さんとゆうかりん
角のどこが下品なんだろう? 霊夢に問いただしてみたい。
そんで1ヶ月くらい様子見させてくれよ、頼むよゆうかれいむ