ある日一羽の烏天狗は、気付きました。
自分が『霧之助』という不思議な名前を時折考えている事に、です。
『霧之助』
聞き慣れているようで聞き慣れない、不思議な名前です。
懐かしくもあり耳新しくもある、不思議な名前です。
気になってどうしようもなくなった天狗は、その『霧之助』という名前について調べてみる事にしました。
【霧之助って誰なのさ】
「過ちが生んだ結果ですわ」
隙間は笑って言いました。
「出口はあちらだよ」
店主には不機嫌そうに追い出されました。
「香霖の間違いじゃないのか?」
魔法使いは訳知り顔で言いました。
巫女はお茶を飲んでいたので、何も答えてくれませんでした。
「私の生徒の名前だよ」
真面目な教師は言いました。
「知り合いの道具屋さんの名前ですわ」
瀟洒なメイドは冗談も瀟洒でした。
「そういう名前で後世に残してもいいですねえ」
短命な少女は腹黒そうに笑いました。
それから色々な人に聞いて回りましたが、皆口々に別な事を言うのです。
ですから天狗はすっかり困ってしまいました。
「霧之助って誰なのさ」
すると見かねた鬼が言いました。
「森近と魔理沙の子の事さ」
鬼はウソは言いません。ですからそれも本当なのだと天狗は思いました。
鬼はウソは言わないけれど冗談はしっかり言う事を、天狗は知らなかったのです。
天狗は慌てて新聞を作りました。
見出しは『店主と魔法使いの熱愛発覚、妊娠の可能性も』
そして作るや否や、幻想郷中にばら撒いたのです。
風に乗せて、幻想郷を埋め尽くす位に。
それはとても大きな騒ぎになりました。
ある者はただそれを喜び、
ある者はそうなのかーと打ちひしがれ
幻想郷中がにわかに活気づいた様な騒ぎになりました。
ただ、その騒ぎの中に天狗の姿はありませんでした。
新聞を作り終えた疲れから、彼は一人巣に籠って穏やかに眠っていたのです。
さて活気づいた幻想郷の中で、一際焦っていたのは鬼でした。
自分は冗談を言ったつもりだったのに、このままではきっと嘘吐き呼ばわりされてしまう。
焦った鬼は考えて、考えて、やがて一つの結論にたどり着きました。
『そうだ、嘘を本当にすればいいんだ』
幸いにも鬼には集める力があったので、白黒の魔法使いを古道具屋に集める事にしました。
新聞は店主にも魔法使いにも届いていたので、二人の間はしばらくギクシャクしていましたが、
鬼の懸命な陰ながらの努力によりその晩には18禁のイベントに突入していました。
白濁したのを魔法使いの中に集めておいたので、まず間違いなく子どもが出来るでしょう。
二人が気絶をするように眠りに落ちるまでをつぶさに観察していた鬼は、それで初めて安心する事が出来たのです。
それから数カ月が過ぎた頃、魔理沙が無事元気な赤ちゃんを出産した新聞が幻想郷を埋め尽くしました。
それはとても幸せなニュースでした。
幻想郷がたった一つのニュースで幸せに包まれたのです。
けれど、皆が祝福の言葉を投げかける中で、鬼だけがただ一人真っ青な顔をしていました。
なんとその子どもは女の子だったのです。
女の子に霧之助だなんてあり得ない名前です。
このままではあの天狗に嘘吐き呼ばわりされてしまう。
ああ、一回の冗談が、一回の過ちがこんな結果になるなんて。
けれど後には引けません。
鬼は店主を相撲で打ち負かし、可愛らしい女の子の名前を、鬼の独断で霧之助に決めてしまいました。
訝しがっていた人もいましたが、霧之助のあまりの可愛らしさにそんなことどうでもよくなってしまいました。
こうして店主と魔法使いの子供である霧之助は、幻想郷に祝福されながら生を得たのです。
霧之助の無垢な笑顔が、幻想の中でパァと花開いた様に輝いているようにも見えました。
さて、一方新聞を作った疲れから眠りについていた天狗は、数カ月ぶりに永い眠りから目覚めました。
その頃には『霧之助が店主と魔法使いの子どもだ』なんて事はすっかり忘れていたものですから。
眠りから覚めた後、彼は開口一番にこう言うのでした。
「霧之助って誰なのさ」
「過ちが生んだ結果ですわ」
隙間は笑って言いました。
自分が『霧之助』という不思議な名前を時折考えている事に、です。
『霧之助』
聞き慣れているようで聞き慣れない、不思議な名前です。
懐かしくもあり耳新しくもある、不思議な名前です。
気になってどうしようもなくなった天狗は、その『霧之助』という名前について調べてみる事にしました。
【霧之助って誰なのさ】
「過ちが生んだ結果ですわ」
隙間は笑って言いました。
「出口はあちらだよ」
店主には不機嫌そうに追い出されました。
「香霖の間違いじゃないのか?」
魔法使いは訳知り顔で言いました。
巫女はお茶を飲んでいたので、何も答えてくれませんでした。
「私の生徒の名前だよ」
真面目な教師は言いました。
「知り合いの道具屋さんの名前ですわ」
瀟洒なメイドは冗談も瀟洒でした。
「そういう名前で後世に残してもいいですねえ」
短命な少女は腹黒そうに笑いました。
それから色々な人に聞いて回りましたが、皆口々に別な事を言うのです。
ですから天狗はすっかり困ってしまいました。
「霧之助って誰なのさ」
すると見かねた鬼が言いました。
「森近と魔理沙の子の事さ」
鬼はウソは言いません。ですからそれも本当なのだと天狗は思いました。
鬼はウソは言わないけれど冗談はしっかり言う事を、天狗は知らなかったのです。
天狗は慌てて新聞を作りました。
見出しは『店主と魔法使いの熱愛発覚、妊娠の可能性も』
そして作るや否や、幻想郷中にばら撒いたのです。
風に乗せて、幻想郷を埋め尽くす位に。
それはとても大きな騒ぎになりました。
ある者はただそれを喜び、
ある者はそうなのかーと打ちひしがれ
幻想郷中がにわかに活気づいた様な騒ぎになりました。
ただ、その騒ぎの中に天狗の姿はありませんでした。
新聞を作り終えた疲れから、彼は一人巣に籠って穏やかに眠っていたのです。
さて活気づいた幻想郷の中で、一際焦っていたのは鬼でした。
自分は冗談を言ったつもりだったのに、このままではきっと嘘吐き呼ばわりされてしまう。
焦った鬼は考えて、考えて、やがて一つの結論にたどり着きました。
『そうだ、嘘を本当にすればいいんだ』
幸いにも鬼には集める力があったので、白黒の魔法使いを古道具屋に集める事にしました。
新聞は店主にも魔法使いにも届いていたので、二人の間はしばらくギクシャクしていましたが、
鬼の懸命な陰ながらの努力によりその晩には18禁のイベントに突入していました。
白濁したのを魔法使いの中に集めておいたので、まず間違いなく子どもが出来るでしょう。
二人が気絶をするように眠りに落ちるまでをつぶさに観察していた鬼は、それで初めて安心する事が出来たのです。
それから数カ月が過ぎた頃、魔理沙が無事元気な赤ちゃんを出産した新聞が幻想郷を埋め尽くしました。
それはとても幸せなニュースでした。
幻想郷がたった一つのニュースで幸せに包まれたのです。
けれど、皆が祝福の言葉を投げかける中で、鬼だけがただ一人真っ青な顔をしていました。
なんとその子どもは女の子だったのです。
女の子に霧之助だなんてあり得ない名前です。
このままではあの天狗に嘘吐き呼ばわりされてしまう。
ああ、一回の冗談が、一回の過ちがこんな結果になるなんて。
けれど後には引けません。
鬼は店主を相撲で打ち負かし、可愛らしい女の子の名前を、鬼の独断で霧之助に決めてしまいました。
訝しがっていた人もいましたが、霧之助のあまりの可愛らしさにそんなことどうでもよくなってしまいました。
こうして店主と魔法使いの子供である霧之助は、幻想郷に祝福されながら生を得たのです。
霧之助の無垢な笑顔が、幻想の中でパァと花開いた様に輝いているようにも見えました。
さて、一方新聞を作った疲れから眠りについていた天狗は、数カ月ぶりに永い眠りから目覚めました。
その頃には『霧之助が店主と魔法使いの子どもだ』なんて事はすっかり忘れていたものですから。
眠りから覚めた後、彼は開口一番にこう言うのでした。
「霧之助って誰なのさ」
「過ちが生んだ結果ですわ」
隙間は笑って言いました。
正直これに気付く前にはコピペ元を探すのに非常に苦労したものです
確かに過ちが生んだ結果だw
まあ、許しますがね!
良いオチでした