第4話
「・・・ッ!!」
ガバッ、と布団を跳ねのけ起き上がる。
息は荒れ、体中から冷や汗をかいていた。
窓からは差し込む光は、否応なしに俺の意識を覚醒させる。
疲れているからだろうか、おかしな夢を見た。
過去に何度か見たことのある夢だ。若干トラウマになっていたりする。
「もう見たくないな・・・」
呟きながら立ち上がる。
場所は香霖堂の客間、昨夜は霖之助と道具のことについて話した後、この部屋に通された。
結構遅くまで話しをしていたので、布団を被るとすぐに睡魔が襲ってきた。
・・・霖之助はもう起きているのだろうか。
そう思い部屋を出る。足に力が入らない。
相変わらず朝は苦手だ。体が思うように動いてくれない。
某ゲームに出てくるゾンビの様な足取りでようやく居間に辿り着いた。
「やあ、おはよう。よく眠れ・・・・なかったようだね。」
居間に座っている霖之助が言う。
どうやらずいぶん前から起きていたようだ。すでに朝食も用意されている。
「いや・・・・基本的に・・・朝は毎回・・こんな感じだ。」
ゆっくりと腰を下ろす。楽な姿勢をとっているとまた眠ってしまいそうだ。
「こいつがさっき言ってた外来人か。ずいぶんだるそうだな、大丈夫か?」
女性の声が聞こえる。
・・・随分男勝りな口調だな。
そう思いながら、声のしたほうへ半分閉じかけた目を向ける。
白黒のエプロンドレスを着た金髪の少女だ。
「・・・・はじめまして。」
「おう、はじめまして。私は霧雨魔理沙だ、よろしくな。」
「・・遠峯雅人だ、よろしく。」
魔理沙という少女の傍には黒い大きな帽子が置かれていた。
・・・魔女が被ってそうな帽子だな。
「挨拶は終わったかな?では、早いとこ食べよう。せっかく魔理沙が作ってくれた朝食が冷めてしまう。」
霖之助が言った。
「そうだな、早く食べようぜ。」
霖之助の言葉を聞いた魔理沙はどことなく嬉しそうだ。
・・・ふむ。
色々と気になるところだが。いま口に出すのは野暮というものだ。
「それじゃあ、いただきます。」
「「いただきます。」」
魔理沙の作った朝食は実においしかった。
特に味噌汁の中に入っていたキノコは、寝ぼけていた俺の意識を叩き起こす程のものだった。
魔理沙曰く「当たり」だそうだが、尋常じゃない辛さだった。いやむしろ辛いというより痛い。
・・・これは「ハズレ」だろう・・・普通。
「・・・さっきのキノコ、毒じゃあないんだよな?」
「大丈夫だぜ。いろんな奴らに食べてもらったが、特に体調が悪くなるような奴はいなかった。」
・・・いろんな奴らに食わせたのか。
水を口に運ぶ。まだ舌がヒリヒリする。
「・・・なぁ、ひとつ聞いていいか?」
魔理沙に話かける。
ちなみに霖之助は「朝食を作ったのは私だから、片付けはそっちの仕事だよな?」
という魔理沙の主張によって食器の片付けをしており、居間にはいない。
俺も手伝おうと思ったが、お客さんだから寛いでいてくれ、だそうだ。
「ん?」
魔理沙がこちらを向く。
「霖之助と魔理沙は、特別な関係なのか?」
「・・・・・!?いきなり何言ってるんだぜ!?」
・・・おお予想以上の反応だ。心なしか口調も少しおかしい。これは当たりか。
「いや、朝来て朝食を作ってあげるくらいだから、なにか特別な関係なのかと思っただけだ。朝食の時もずいぶん親しげに話していたしな、恋人なのか?」
「・・ッ!?」
魔理沙は顔を真っ赤に染めている。
机に両手を付き身を乗り出して魔理沙は言った。
「・・!!・・・いや!・・私と霖之助は・・・・!!」
「僕がどうかしたのかい?」
「わぁあああああ!?」
魔理沙は飛び上がって驚いている。
どうやら片づけは終わったようだ。霖之助は居間の入り口に立っていた。
「なんでもない!なんでもないんだ!」
魔理沙はこれでもかというほどに焦っている。
対する霖之助は状況が全く分かっていないみたいだ。
・・・こんなところか。もう充分楽しんだ。
「すまんな、少し意地悪な質問だった。忘れてくれ。」
まあ、今ので大体わかったがな。
「・・・・・・お前、性格悪いぜ・・・・」
魔理沙はぐったりして言った。
「よく言われる。」
「さて、雅人はこれからどうするんだい?」
居間に戻ってきた霖之助が言う。魔理沙にはお茶を、俺には氷水を渡す。
今の舌の状態では熱いお茶なんか飲めたものではないのでありがたい。
「ああ、とりあえず仕事を探したいと思う。結構長い間滞在することになりそうだからな。安定した収入を確保したい。」
「なるほどね。」
「それなら、人里に行ってみたらどうだ?」
魔理沙が言う。
人里・・・その名の通り人の住んでいるところだろう。
たしかに仕事は見つかりそうだ。
「ふむ、たしかに仕事は見つかりそうだね。雅人、どうする?」
「・・・ああ、人里に行ってみるよ。」
少し考えてから結論を出す。
人里・・・響きからして安全そうな場所だ。
少なくとも妖怪はいないだろう。
「決まりだね。地図を用意するよ。少し待っていてくれ。」
霖之助が立ち上がる。
「・・悪いな。世話になりっぱなしで。」
「かまわないさ、君はいいものを売ってくれたからね。」
「そう言ってくれると助かる。」
さて、これでやることが決まった。
まずは幻想郷で暮らせるようになろう。俺がここですべきことを探すのはそれからだ。
・・・・人里への道中何も起きなければいいが。
「・・・ッ!!」
ガバッ、と布団を跳ねのけ起き上がる。
息は荒れ、体中から冷や汗をかいていた。
窓からは差し込む光は、否応なしに俺の意識を覚醒させる。
疲れているからだろうか、おかしな夢を見た。
過去に何度か見たことのある夢だ。若干トラウマになっていたりする。
「もう見たくないな・・・」
呟きながら立ち上がる。
場所は香霖堂の客間、昨夜は霖之助と道具のことについて話した後、この部屋に通された。
結構遅くまで話しをしていたので、布団を被るとすぐに睡魔が襲ってきた。
・・・霖之助はもう起きているのだろうか。
そう思い部屋を出る。足に力が入らない。
相変わらず朝は苦手だ。体が思うように動いてくれない。
某ゲームに出てくるゾンビの様な足取りでようやく居間に辿り着いた。
「やあ、おはよう。よく眠れ・・・・なかったようだね。」
居間に座っている霖之助が言う。
どうやらずいぶん前から起きていたようだ。すでに朝食も用意されている。
「いや・・・・基本的に・・・朝は毎回・・こんな感じだ。」
ゆっくりと腰を下ろす。楽な姿勢をとっているとまた眠ってしまいそうだ。
「こいつがさっき言ってた外来人か。ずいぶんだるそうだな、大丈夫か?」
女性の声が聞こえる。
・・・随分男勝りな口調だな。
そう思いながら、声のしたほうへ半分閉じかけた目を向ける。
白黒のエプロンドレスを着た金髪の少女だ。
「・・・・はじめまして。」
「おう、はじめまして。私は霧雨魔理沙だ、よろしくな。」
「・・遠峯雅人だ、よろしく。」
魔理沙という少女の傍には黒い大きな帽子が置かれていた。
・・・魔女が被ってそうな帽子だな。
「挨拶は終わったかな?では、早いとこ食べよう。せっかく魔理沙が作ってくれた朝食が冷めてしまう。」
霖之助が言った。
「そうだな、早く食べようぜ。」
霖之助の言葉を聞いた魔理沙はどことなく嬉しそうだ。
・・・ふむ。
色々と気になるところだが。いま口に出すのは野暮というものだ。
「それじゃあ、いただきます。」
「「いただきます。」」
魔理沙の作った朝食は実においしかった。
特に味噌汁の中に入っていたキノコは、寝ぼけていた俺の意識を叩き起こす程のものだった。
魔理沙曰く「当たり」だそうだが、尋常じゃない辛さだった。いやむしろ辛いというより痛い。
・・・これは「ハズレ」だろう・・・普通。
「・・・さっきのキノコ、毒じゃあないんだよな?」
「大丈夫だぜ。いろんな奴らに食べてもらったが、特に体調が悪くなるような奴はいなかった。」
・・・いろんな奴らに食わせたのか。
水を口に運ぶ。まだ舌がヒリヒリする。
「・・・なぁ、ひとつ聞いていいか?」
魔理沙に話かける。
ちなみに霖之助は「朝食を作ったのは私だから、片付けはそっちの仕事だよな?」
という魔理沙の主張によって食器の片付けをしており、居間にはいない。
俺も手伝おうと思ったが、お客さんだから寛いでいてくれ、だそうだ。
「ん?」
魔理沙がこちらを向く。
「霖之助と魔理沙は、特別な関係なのか?」
「・・・・・!?いきなり何言ってるんだぜ!?」
・・・おお予想以上の反応だ。心なしか口調も少しおかしい。これは当たりか。
「いや、朝来て朝食を作ってあげるくらいだから、なにか特別な関係なのかと思っただけだ。朝食の時もずいぶん親しげに話していたしな、恋人なのか?」
「・・ッ!?」
魔理沙は顔を真っ赤に染めている。
机に両手を付き身を乗り出して魔理沙は言った。
「・・!!・・・いや!・・私と霖之助は・・・・!!」
「僕がどうかしたのかい?」
「わぁあああああ!?」
魔理沙は飛び上がって驚いている。
どうやら片づけは終わったようだ。霖之助は居間の入り口に立っていた。
「なんでもない!なんでもないんだ!」
魔理沙はこれでもかというほどに焦っている。
対する霖之助は状況が全く分かっていないみたいだ。
・・・こんなところか。もう充分楽しんだ。
「すまんな、少し意地悪な質問だった。忘れてくれ。」
まあ、今ので大体わかったがな。
「・・・・・・お前、性格悪いぜ・・・・」
魔理沙はぐったりして言った。
「よく言われる。」
「さて、雅人はこれからどうするんだい?」
居間に戻ってきた霖之助が言う。魔理沙にはお茶を、俺には氷水を渡す。
今の舌の状態では熱いお茶なんか飲めたものではないのでありがたい。
「ああ、とりあえず仕事を探したいと思う。結構長い間滞在することになりそうだからな。安定した収入を確保したい。」
「なるほどね。」
「それなら、人里に行ってみたらどうだ?」
魔理沙が言う。
人里・・・その名の通り人の住んでいるところだろう。
たしかに仕事は見つかりそうだ。
「ふむ、たしかに仕事は見つかりそうだね。雅人、どうする?」
「・・・ああ、人里に行ってみるよ。」
少し考えてから結論を出す。
人里・・・響きからして安全そうな場所だ。
少なくとも妖怪はいないだろう。
「決まりだね。地図を用意するよ。少し待っていてくれ。」
霖之助が立ち上がる。
「・・悪いな。世話になりっぱなしで。」
「かまわないさ、君はいいものを売ってくれたからね。」
「そう言ってくれると助かる。」
さて、これでやることが決まった。
まずは幻想郷で暮らせるようになろう。俺がここですべきことを探すのはそれからだ。
・・・・人里への道中何も起きなければいいが。
呟きながら立ち上がる霖之助だった。