Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

幻想郷入り第1話~第2話

2010/06/08 23:51:47
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序章

逃げないと。頭にあるのはそれだけだった。
足がうまく回らない。
まるで氷の床の上を走っているようだ。
どれだけ移動しても周りの風景は変わらない。
前を見ても出口は見えない。永遠に続く廊下の上を、少年は死に物狂いで前に進もうと足掻いていた。
ふと気付けば周りに何十もの鏡がある。
おかしい、ここにはこれほどの数の鏡は無かったはずだ。
・・・ズルッ
直後。鏡の中から何かがが這い出てきた。
少年を追っているモノと同じ、真っ白な人間の骨。
・・・・囲まれた。
少年はその場に座り込んだ。もう逃げられない。足はピクリとも動かない。
・・・・後ろから音が聞こえる。
ガシャ・・ガシャ・・
まるで鎧を着た兵士のような音を立てて歩いて来る。
・・・・足音がとまった。
恐る恐る顔をあげると、目と鼻の先に人間の頭蓋骨があった。
「・・・ッ!」
光を吸い込んでいるかのように暗い目がこちらを見ている。
「騒ぐな。」
それだけ言うと頭蓋骨は少年の首筋へ噛みついた。




第一話

魔法の森の道なき道を進むとようやく不思議な建物が見えてくる。
建物の外にはよくわからないものが数多く並べられ、変わった雰囲気が醸し出されている。
看板には香霖堂の文字、外の商品を扱う古道具屋「香霖堂」はそこにあった。

いつもと変わらない昼下がりだった。
僕はいつものように椅子に座り、いつものように本を読む。
辺りは静かで、聞こえる音と言えば遠くでする妖怪の悲鳴のようなものだけだ。
お茶を一口啜る。
この間霊夢にツケ代わりとして渡された茶葉だが、なかなかうまい。
正直期待はしていなかったが、これなら十分にツケの足しにはなる。
僕はこの時間を気に入っている。
だれにも邪魔されることなく自分の趣味に没頭することができる。
こんなところにある店だが客足はそれほど悪くない。
この時間にゆっくりできるのは久しぶりだ。
・・・・だが、僕のささやかな幸せもそろそろ終わりのようだ。
さっき聞こえた妖怪の悲鳴のようなものがこれからここに訪れるであろう人物を示唆していた。

「霖之助さんいる?」
店の扉が開き霊夢がやってくる。
「そりゃあいるさ、ここは僕の店だからね。」
「まあそうだけど・・あら、私のあげたお茶を飲んでいるのね。」
「わかるのかい?」
まだ霊夢は店の中央あたりにいる、そこからわかるとは思えないが。
「それは私がよく飲んでいるお茶よ。香りだけでだいたいわかるわ。」
成程、と頷く。
普通の人間には分からないだろうが、カテキン中毒の霊夢になら可能だろう。
「おいしいでしょう?」
「ああ、おいしい。この茶葉は人里で買っているのかい?」
「いいえ、紫がよく家に持って来るのよ。私の気に入ってるお茶だからって。」
相変わらず紫は霊夢を気に入っているな。
お茶を一口啜る。
「ところで、今日はどのようなご用件かな。何か買ってくれるならお客様として歓迎するよ。」
まあ霊夢に限ってあり得ないが。
「とくに用事はないわ。ただ何か起こりそうだと思っただけ。」
何か起こりそう、か。
「君の勘はよく当たるからなぁ。」
「そうよ、きっと何か起こるわ。」

しばらく経った後。
案の定何かが起きた。
いきなり店の中に何かが落ちてきた。天井は破れていない。
となると店の中にいきなり現れた?
おかしな話だが今は状況を把握することが先だ。
「霊夢大丈夫かい?」
霊夢は今の衝撃で床に尻もちをついている。
「ええ、ありがとう。」
手を差し伸べて霊夢を起こす。あたりには埃が舞っており店の中の状況はよくわからない。
何か大量のものが落ちてきたようだったが・・・。
「まったく、君の勘はもはや予知だね。色々と便利そうだ。」
「でしょう?それにしても面倒そうな事が起こったわねぇ。」

意識がはっきりとしない。
どうも自分は落ちたようだ。あたりに舞う埃と後頭部の痛みが何よりの証拠。
どういうことだ?俺はさっきまで自分の部屋で・・・
「・・・・わからん。」
溜息をしながら呟く。
「誰かそこにいるのか?」
奥のほうから男の声が聞こえてきた。
「ああ・・・・」
次第に意識もはっきりしていき埃も晴れて周りも見える。
周りには自分の部屋にあったものが転がっていた。
自分の座っていた椅子、机、パソコンにテレビ、テレビゲームに冷蔵庫。
確認してみないとわからないがどうやら部屋にあったものがあるみたいだ。
ゆっくりと立ち上がる。頭を打ったせいかまだ少しふらつく。
「大丈夫?」
今度は女の声だ。
声の聞こえたほうを見ると変わった格好をしている二人の人物が目に入った。
一人は青を基調とした服を着て眼鏡をかけた銀髪の男性。
もう一人は腋を大きく露出した紅白の服、所謂巫女服の様な服を着ている黒髪の少女だ。
どちらも自分が今まで見たことのない服装・・・・
外国人か?と思ったがさっき聞こえた声は紛れもなく日本語だった。
「あら・・・」
巫女服の少女がこちらを見ながら言う。
「その服装・・あなた外の人間かしら?」
今自分の着ている服は紺のジーンズに黒のTシャツだ。
おかしな服装とは思えないが・・・・・それよりも。
「・・・外?」
外とはどういう意味だろうか。
「成程、外来人か。」
銀髪の男性が言う。
「外の人間を見るのは久しぶりだな。霊夢は、外来人を見るのは初めてかい?」
「初めてって訳じゃないけど、こんな派手に入って来た奴は今までいなかったわ。」
二人は何となく状況を理解しているようだ。
とりあえず状況の確認をしたい。聞いてみることにしよう。
「なあ、ちょっといいか?」
二人がこちらを見る。
「状況がさっぱりわからないんだ。できれば説明してくれないだろうか。」
「ああ、そうね・・・わかったわ。」
そういうと少女は奥のほうへ歩いて行った。
「長い話になると思うから、居間のほうで話しましょ。霖之助さんお茶お願いね。」
「わかったよ・・・まったく、此処は僕の店なんだけれどね・・ああそうだ。」
霖之助と呼ばれた男性がこちらを向く。
「幻想郷、そして古道具屋「香霖堂」へようこそ。僕はここの店主、森近霖之助だ。よろしく。」
と、右手を差し出してくる。
「・・・俺は遠峯雅人。よろしく頼む。」
差し出された右手を握る。
幻想郷・・・聞いたことのない地名だ。
まあそれも居間へ行けば直にわかるだろう、大丈夫何とかなるさ。
そう自分に言い聞かせ居間へと歩く霖之助について行いった。



第二話

「それじゃあまずは自己紹介からね。」
場所は香霖堂の居間、机をはさんで対面に自分と少女が座っている。
ちなみに霖之助はお茶を入れに行っている。すぐ居間へやってくるだろう。
「私は博麗霊夢、博麗神社の巫女をやっているわ。よろしくね。」
「俺は遠峯雅人、よろしく。」
座ったまま礼をする。
「さて、じゃあ早速本題に入りましょうか。」
・・・少し緊張する。大した事じゃなければいいんだが。
「簡単に言うとあなたは別世界に迷い込んだ、ってところかしらね。」
「別世界・・というと?」
「あなたのいた世界から隔離された世界。外の世界で忘れ去られたものが行き着く場所。ここは「幻想郷」と呼ばれる人間と妖怪の楽園よ。」
「・・・・・・?」
幻想・・忘れ去られたもの・・妖怪・・・
「・・・・要するにおとぎ話の世界ってことか?」
「大体正解ね。物分かりがよくて助かるわ。」
妖怪か・・・
「にわかに信じられんな、本当なのか?」
「本当だよ。ついでに言うと僕は妖怪だ。」
霖之助がお茶を持って居間に入ってきた。
「そうなのか?人間にしか見えないが。」
「正確には人間と妖怪のハーフだけれどね。幻想郷の知恵のある妖怪は大体人間と変わらない姿をしているよ。」
霖之助からお茶を受け取る。
「ふむ・・見た目で判断してはいけないということか。」
「そのこころがけは幻想郷では非常に大切だ、人の姿をしているからと言って油断してはいけないよ。最悪死ぬことになる。」
霖之助が机の右側の席に腰をおろしながら俺に言った。
「ご忠告痛み入る。ところで・・・俺は元の世界に帰れるのか?」
一番聞きたかったことを質問する。
霊夢がお茶を一口飲んだ後答えた。
「ええ、大丈夫。帰ることは出来るわ。」
「いいえ、駄目ね。あなたはまだ帰れない。」
「どっちだよ、というかあんた誰だ?」
机の左側にいつの間にか金髪で紫の服を着た女性が居た。
さっきの言葉の主はどうもこの女性のようだ。
というかどうやって入ってきたんだ?物音一つしなかったぞ。
「あら、驚かないのね。残念。」
金髪の女性が全然残念じゃなさそうに言う。
「私は八雲紫。この幻想郷の管理を任されているわ、よろしくね、遠峯雅人。」
・・・不思議な雰囲気の人だ。何となく人じゃないことはわかる。
「どうしておれの名前を?」
「さあ?どうしてかしらね?」
・・・・・ぬぅ
「紫、次ここに来るときはちゃんと玄関から入ってきてほしいものだね。」
「まったくよ、神出鬼没過ぎるのよ、あんたは。」
二人が呆れながら紫に言う。いつもこんな登場の仕方なのか、この人は。
「はいはい、考えておくわ。」
霊夢&霖之助(絶対嘘だ・・・)
「なあ、さっきの話だが。」
八雲紫がこちらを向く。
口元に扇が当てられており、その表情は読み取りづらい。
だがおそらく胡散臭い笑みを浮かべているのだろう、何となくわかる。
「俺は、帰れないのか?」
「ええ、帰れないわ。少なくとも今は、ね。」
「どういうことだ?」
八雲紫が扇の先を俺に向けて言った。
「あなたにはやるべきことがあるのよ。この幻想郷で。それが終わるまで、幻想郷はあなたを逃がさない。」
「だから帰れない・・・・と。」
・・・かなり厄介なことになった。元の世界に戻っても特にやるべきことはないが、自分の生まれ育った所だ、それなりに愛着はある。
戻れないとなると、辛い。
「大丈夫。あなたが此処でやるべきことをしっかりやれば帰れるようになるわ。多分ね。」
心を読まれた・・・・それに多分って・・・・
「・・・まあいいか。それで、俺のやらなければならないことって何なんだ?」
帰れないことはないんだ、さっさと終わらしてしまおう。
「それは分からないわ。」
「マジか。」
「マジよ。まあしばらくゆっくりしていったらどう?やらないといけないことはそのうち自然に分かってくるわよ。」
「・・・随分適当だな。まあ、そのほうが楽でいいか。」
「決まりね。幻想郷へようこそ遠峯雅人。」
初投稿です。というかSS書いたのも初めてです。
いや・・なんかもう・・すいませんでした。
合羽
[email protected]
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
ふむ、面白そうですね!続きを楽しみにしてます!
…あと一応タグにオリキャラと付けといた方が良いかもです