実験的作品。
少々キャラがおかしい可能性アリ。
まだまだ!これからだ!!
あ、タイトルと内容はあんまり関係してません。
では、どうぞ。
魔導書が読みたいな。
ある日突然唐突にそんな事を思った。
でも家にある本は全て読んじゃったしなぁ。もう何十回も。
あ、そうだ。丁度パチュリーから借りてた本があるし、返却ついでにお菓子を焼いてパチュリーの所に行こう。一緒にお菓子と紅茶を楽しみながら魔道書を読み、魔法について語り合うのも悪くないわね。
そうと決まれば早速焼きましょうか。
「上海、寝かしておいた生地を取ってきて。蓬莱、オーブンに火を入れてちょうだい」
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
そう言っててきぱきと作業を始めていく上海と蓬莱。うん、やっぱりこの二人(?)はいい子ね。
「ホ!?ホラララーイ!!?」
「シャンハハーーーーイ!!」
…え?何コレ?もしかしてもう完全自律してるんじゃない?
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
そんなわけないよね、気のせい気のせい。
…………
うん、いい感じに焼き上がったわね。皆に合わせて味付けしたし咲夜やレミリア、門番さんにも持っていこっと。
クッキーを包みに入れて借りていた本を鞄に詰め込み、身だしなみを整えて。
さて、行こうかな。
「おーい、アリス~」
ん?だれか来たのかな?ってこの声は…。
「は~い、ちょっと待ってね。今開けるから」
扉を開けるとその前には…。
「よ、アリス」
「いらっしゃい、魔理沙」
魔理沙がいた。さっきまで森の中を探索していたのか体の所々に葉っぱがついている。
「今日はどうしたの?」
「いや何、珍しい茸を偶然ここの近くで見つけてな。アリスにも見せてやろうと思って」
「私に?」
「べっ別にアリスに会うために朝早起きして、理由作りのために茸を探してた訳じゃないからな」
「へぇ、どんなの?…確かにこれはすごく珍しい茸ね。新種かしら?」
「欲しかったらやるよ」
「え?いいの?魔理沙」
「うん。私が欲しいのは別の茸だからな」
魔理沙がこんなこと言うなんて珍しいわね。後で何か請求されないかしら。でも、この茸何かの実験に使えそうだしお言葉に甘えようかな。
「ありがと魔理沙。大事に使うね」
「はぁ…い、いや、良かったぜ。アリスのために魔法の森を3周もした甲斐があ…ごほん!…何でもないのぜ」
…どことなく魔理沙のため息に恍惚としたものが見えたのはきっと気のせいよね。
「そういやアリスはこれからどこか行くのか?」
「あぁ、今から紅魔館に行くところだけど?」
「え…?何ぃ!?紅魔館だとぅ!!…は!?まさかあの紫モヤシか!!」
どうしたのかしら魔理沙ったら急に慌てて。それにパチュリーのこと紫モヤシだなんて言って。そんなこと言っちゃダメだよ?
「魔理沙、パチュリーのこと紫モヤシなんて言っちゃダメでしょ?確かにあの子はとても細いけど、せめて…ゴボウくらいでね?」
「な…!?あ、アリスは私よりあの紫ゴボウの方が大事なのか?そうなのか!?」
うん?なんか魔理沙涙目ね。なんでかしら。
「はいはい、わかったから。魔理沙も一緒に来る?」
「来る!!」
「ん、素直で宜しい」
さて、話も終わったしいきましょうか。魔理沙がさっきから落ち着かないのが気にはなるけど。
~少女移動中~
「はあ…眠いなぁ。でも寝ちゃうと皆が危険に晒されるし頑張らなくちゃ!」
「よう美鈴、サボタージュか?」
「…どこぞの死神と一緒にしないでくれる?
ていうか魔理沙!何の用よ!!」
「おいおい、私はお客様だぜ?」
「何を!さてはまたパチュリー様の大切な本を強奪しにきたか!?」
「そうそう、そのパチュリーに用があるのよ」
「だから…ってアリスさん!?こ、これは失礼しました。ご無礼をお許しください」
「そんなにかしこまらなくていいって言ってるのに」
門番さんはなぜか私にはすごく丁寧なのよね。どうしてなのかな。
「私のときと随分態度違うじゃないか?」
「当たり前よ!アリスさんだけなの…ちゃんとアポとったり私に挨拶してくれるの…」
「美鈴…いやその…なんかごめん…」
「うぅ…同情するなら出番をくれ…」
最近あなたも出番あったでしょう?
「泣かないで門番さん。あ…そうだ。はいこれ」
「これは…?」
「クッキーよ。来る前に焼いてきたの。あなたに合わせて中華風の味付けにしたんだけど」
うーん、烏龍茶の茶葉を少し混ぜたんだけど…大丈夫かな?
「なあ、アリス」
「ん?どうしたの魔理沙」
「いや、そのさ」
「ふおぉぉお!!
美味い美味すぎます!」
あ、どうやら気にいってもらえたみたい。
「アリスさん!こんな私なんかのためにお菓子をくれるなんて…ありがとうございますぅぅぅ!」
そう言って勢い良く私の手を握ってくる門番さん。ちょっと痛いかも。
「な…!?美鈴貴様今日はまだ私でさえアリスに触れていないのに…っ」
「そんなに喜んでくれるなんて嬉しいわ」
「アリスさん。また今度よろしければこのクッキー作っ」
「何やってるのかしら?美鈴」
あ、咲夜。
あれ?門番さんが急に消えちゃった。代わりに足元にさっきまで無かった剣山のようなものが。…まさかね。いくら頑丈な妖怪だからってこんなことしたら危ないしね。
「全く…あんたごときがアリスに手をだし…じゃなかった。あらアリス、ようこそいらっしゃいました。」
「咲夜前半何言ってたの?」
「なんでもございませんわ。…なんだ魔理沙も居るの…はぁ」
「本人の前でため息つくか普通」
「あら、本人の前だからため息をついたのですよ?」
「まあまあ。あ、咲夜にもはい。クッキーよ。咲夜の好みに合わせたつもりなんだけど…」
「あらいいの?ありがとう。早速頂くわね」
「……うん、アリスの作るお菓子はいつも非の打ち処が無いわ。…これはアールグレイかしら?」
「うん。隠し味に入れたのにわかるなんてすごいわね」
「アリスが私に作ってくれたんだもの。当然ですわ」
「…アリス、さ。そのクッ」
「さ、二人とも図書館に用があるんでしょ?行きなさい」
「うん、ありがとう咲夜。行こう魔理沙。…魔理沙?」
「いや、なんでもないんだぜ…はぁ」
うん?さっきから魔理沙の様子が変だなぁ。何か気になることでもあるのかな?
図書館に行く途中の廊下でも魔理沙の様子はずっと変なまま。むすっとして前ばかり見てる。でも時たま私の方をちらりと見てはすぐにそっぽを向いてしまう。
「魔理沙、一体どうしたの?さっきから渋い顔して」
「あのさ…クッキーってさ。全員分焼いたんだろ?」
「ええ。レミリアとフランの分はさっき咲夜に一緒に渡したし」
「いつの間に」
「あの二人に捕まっちゃうと『遊べ!』ってなかなか離してくれないから」
「…あの紫モ、ゴボウにもか?」
「こら、パチュリーでしょ?…うん、もちろんよ」
本当どうしたんだろ魔理沙。いつもは遠慮なんかしないでガンガンマシンガントークしてくるのに。今の魔理沙は例えるならまるで空気圧の弱まった水鉄砲みたい。
「その、あの…」
「あらアリスさんに魔理沙さん、こんにちは。パチュリー様なら奥ですよ」
「…私もう泣いていいよな…」
「魔理沙?」
「…なんでもない。行こうぜ…はぁ」
「?」
一体なんなんだろう。
「あらアリスいらっしゃい。魔理沙もいるのね。はぁ」
「もうデジャビュだよ本気で泣くぞおい」
「ふふ、半分冗談よ」
「半分本気かよ…」
ふぅ。やっと着いたわね。今日は何の本を借りようかしら。…とその前に。
「はいパチュリー。クッキー焼いて来たの。この前食べてみたいって言ってたでしょ?コーヒークッキー」
「あら、覚えててくれたのね。ありがとう、嬉しいわ」
「ね、食べてみて?」
パチュリーは味にはうるさいから大丈夫かなぁ。
パチュリーがクッキーを静かに咀嚼する。そして紅茶を一口飲み、口元をハンカチで拭うと黙ってしまった。…訪れる沈黙。そして。
「…アリス」
「え…?もしかしておいしくなかった?」
「あなた紅魔館の専属パティシエにならない?」
「え?」
「そんなのダメなのぜぇぇぇぇぇ!!」
「きゃっ、ど、どうしたの魔理沙」
さっきからずっと黙りこんでたのに、今日の魔理沙はテンション変化がすごいわね。
「あら魔理沙、居たの」
「だ、ダメなんだぜ…、ありすは…」
叫んだと思ったら今度は泣きそうになってる。あ…なんかかわいい。
「…ふ~ん、なるほどね」
「?」
「アリス、せっかく来てもらったところ悪いのだけど、これから図書館を閉鎖して実験しないといけないことがあるの」
あれ?実験はしばらく無いってこの間言ってなかったっけ。…まあいいか。
「本は適当に借りて行っていいから」
「う、うん…じゃあ小悪魔ちゃんの分も渡しとくね」
なんだろう、パチュリーがさっきからニヤニヤしながら魔理沙を眺めてるけど。なんだか嫌だなぁ。
「何だよ…」
「いいえ別に…クク。…アリス」
「うん?」
パチュリーはくつくつと笑っていた顔を急に真面目に引き締め、私の目を覗き込みながら言った。
「…あまりに鈍すぎるのは鋭いナイフと同意義よ?
彼女にとっても、あなたにとってもね」
「…?どういう…」
「ほんとに鈍いのね。それともそれが当たり前すぎて気付かないだけかしら?どちらにしても大変ね魔理沙」
「うるさいぜ…」
「?」
一体どういう意味?私魔理沙に何かひどいことしたのかな…。
…嫌われたら嫌だなぁ。
ん?
それはどうして…?
友達、だから?
うーん、何か違う。
もっとこう深い感じ。
大切?
それも何か違うなぁ。
それだけじゃしっくりこない。
…じゃあ好きだから?
なんだろう、意識したら急につっかかりがでてきた。ううん、つっかかりと言うよりも小さな刺かな。チクチクして気分が悪い。
「ねぇパチュリー、それってどういう…」
「あらアリス。魔法使いが直ぐ誰かに答えを求めるなんて無粋よ?…ふふ、灯台元暗しと言うやつね」
「え?」
「深く考えなくていいわ。素直な気持ちで考えればおのずと答えは解ってくる」
素直な気持ち…か。
「うう…ありすぅ」
「魔理沙…」
そういえば今日は魔理沙の様子がずっとおかしかったけど、よく考えてみると拗ねているようにおもえてきた。そう、…ちょうど好きな子に相手にしてもらえずに拗ねるような。
……。
そういえば魔理沙は私のこと、どう思ってくれてるんだろ。ただの友達?仲間?それとも…。
……。
…聞かなきゃいけない気がする。
「ねぇ、魔理沙」
「なんだよぅ」
「あのね、魔理沙…魔理沙は私のこと、どう思ってる?」
「…え?」
確かめなくちゃいけない。
「ただの友達?」
「そっそんな訳無いぜ!」
魔理沙の気持ちを。
「じゃあ、魔法仲間?」
「それも違うぜっ。私は…」
そして、
「だったら…何?」
「っ!そ、それは…」
私の気持ちを。
「私は魔理沙のこと…大好きだよ…?」
「………え…!?」
…あれ?なんだろ。自分でも驚くくらいすんなり、まるで元々自分の中にあったものが滑り落ちるみたいに出てきた。
「あ、あり…す?」
それってつまり。
「…ああ…なーんだ。そういう事なんだ」
そっか。私ってずっと前から、むしろ魔界で逢ったその日から魔理沙のこと好きだったのね。
所謂一目惚れってやつかしら。
どおりで。
理解したらなんだかさっきからつっかえていたものが全部すーっと取れた。
あとは…。
「魔理沙の答え…聞かせて?」
「私は…」
数十秒か数分か、魔理沙は下を向いて暫く黙っていた。
けど、意を決したかのようにその黄金の瞳を私に向けて、言ってくれた。
「私は…、私はアリスが好きだ。ずっと前から。いいや、魔界で初めて逢ったときからずっと…大好きだぜ!!」
ああ、魔理沙も逢ったときから私のこと好きでいてくれたんだ。
「うん。ありがとう…魔理沙」
「あ…ありすぅぅぅ!!」
「きゃっ、もう、魔理沙ったら」
勢いよく魔理沙が私の胸の中にダイブしてきた。ごめんね魔理沙。巡り合ったそのときからずっと想ってくれてたのにいままで気付けなくて。でも私、やっと気付けたから。だからね。
「魔理沙…」
「アリス…」
魔理沙は顎をあげて瞳を閉じた。いつもは攻めの姿勢なのにこんなときは奥手なのね。
でもそんな魔理沙もかわいいな。
さて、いつまでも待たせる訳にはいかないよね。魔理沙の期待に応えなきゃいけない。周りのニヤニヤした視線なんか気にしてられないわ。
…うん?ニヤニヤした?視線…?
「あら、私は一向に構わないわよ?」
「あらパチュリーいたの?」
「何だよ、デリカシーのないやつだなぁ全く…?」
「…」
「…」
「…」
「…って!きゃあぁぁぁぁ!!」
「のわぁぁぁぁ!!」
「あらあら、期待通りのいい反応ね」
「パチュリー様…なんですかあのかわいいいきものたち」
あー
ぬあー
うあー
…
「死にたいぜ…」
「だめよ。せっかく両想いになれたんだから」
「はは…、違いない」
所変わって我が家の居間。
あのあと私たちはパチュリーの下から脱兎の如く逃げ出してきた。ちょっとパチュリーに失礼かな?なんて思ったけどそれとは比べ物にならないくらい恥ずかしい思いしたんだからね、私たち。それくらい多目に見てあげてよ。特に魔理沙とか。
「それにしても長い片想いだったぜ。いや、ホントは逢ったときから両想いだった訳だが」
「何年も待たせちゃってごめんね魔理沙。パチュリーの言ってた通り、あなたを好きなのが当たり前すぎて気付けなくなってた」
「…いいんだぜそんなの。私は嬉しいんだ。こうやってアリスと笑いあえる。好きだと言い合える今が。それにくらべりゃ片想いだった時間なんて……って!ど、どさくさ紛れてなんてこと言わせんだよ!ち、違うからな!?勘違いすんなよ!?」
「魔理沙…うん、ありがと」
「だからちがっ…あ、いや違わないけど…っじゃなくて!ああもう!」
顔を真っ赤にさせて慌てたってかわいいだけよ?あ、耳まで赤くなってる。ほんと、さっきはあんな真面目に告白してくれたのにね。
「ふふ…魔理沙ったらかわいい」
「わ、笑うなよ…。てかその事はもういいんだよ」
「?」
「私は頑張って告白したけどアリスはしてない」
「あら、しなかったかしら」
「好きって言ってくれたけどあくまでそれだけだろ…」
あれ一応告白のつもりだったんだけどなぁ。けど、
「わ、私は直接聞きたいのぜ!……ちゃんとした告白……ありす…の、くちから…」
こんなこと言われちゃ断れないよね。でもちょっと恥ずかしいかな。一旦間が空いてるしね。
うーん、あ、そうだ!こうすれば恥ずかしくないはず。
「へ…ええ!?アリス!?」
「魔理沙」
「は、はいィ」
魔理沙の声がくぐもって聞こえる。そりゃそうか。私が魔理沙を抱き寄せているんだから。背の低い魔理沙はちょうど私の胸に顔を埋めるようになっている。これなら私の赤くなった顔が見られずに済む。ちょっとずるいとは思うけど勘弁してね。
「魔理沙…好きよ。初めて出逢ったときから、ずっと。今も未来もずっと…大好きだよ」
「―――っ。…あり、すぅ」
え?いきなり魔理沙が顔を胸に押し付けてきた。まさかもうそんな…?…でもよく見たら肩が震えてる。なんだそういうことか。
「あら、あなた意外と涙もろいのね」
「う、うるさいぜ!ここで…泣けなきゃ人じゃないのぜ!…ぐすっ」
「もう。…よしよし」
「ばっ、子供扱いすんな!…ひっく…あ、アリスだって泣いてるだろ!?」
「え?ほんと?」
手を顔に触れさせてみると確かに涙の跡があった。ホントだ私泣いてる。
…最後に泣いたのっていつだろう。しかも嬉し泣きなんて初めて。
「…えへへ、初めての嬉し泣き、魔理沙にあげちゃった」
「そんなの私も初めてだぜ」
「魔理沙の初嬉し泣き私貰っちゃったね。…じゃあ、ねぇ、魔理沙」
「ん?」
「魔理沙のファーストキス…私にちょうだい?」
「…!…いい、ぜ。その、アリスも、くれるなら、だけど」
「もちろんだよ。貴方以外にあげる人なんていないんだから」
魔理沙の腰を抱き寄せてもう片方の手で彼女の顎を持ち上げる。
魔理沙は顔を真っ赤にしながら目を瞑った。私も魔理沙程じゃないけど顔が赤いかも。
「アリス…きてよ」
「魔理沙…」
ふと思った。魔理沙は人間。私にとってはたかが数年でも人間にとっては貴重な命の時間。
馬鹿だなぁ私。いや馬鹿だった。かな。
魔理沙とこれからどれだけ一緒に居れるかはわからない。けど、それが1年だろうと80年だろうと私はそんなの構わない。私は嬉しいの。こうやって魔理沙と笑いあえる。好きだと言い合える今が。
それに比べれば、ね。
ああ、もう。難しい考えは後々。今はただ、魔理沙との甘い甘いファーストキスを心まで感じよう。お互いに、ね。
おまけ
「そういえば、さ」
「うん?」
「パチュリーの所のゴタゴタで忘れてたけどさ」
「うん」
…そういえば忘れてたわ。ああ、これから暫らくは図書館に行くたびにからかわれるんだろうなぁ。
「…それで」
「もう、何よ?」
「…私の分のクッキーないのか?」
…
ああ、そういえば紅魔館で魔理沙が言おうとしてたのってこのことだったんだ。あ、恥ずかしがる魔理沙ってかわいいな。いつもは遠慮もしないのに。
うーん、なんだか急に意地悪したくなってきた。
「ごめんね。あなたの分無いの」
「ヱゑえ!?」
ふふ、慌ててる慌ててる。ああ、慌ててる魔理沙もかわいい。
「生地が少し足りなくて」
「ううう…べ、別にアリスのクッキーが食べれなかったからってどーってことないぜ…」
うん、泣きそうな魔理沙もかわいいなぁ。
「あらそう。なら助かるわ」
「え!?いや、その」
ああもうかわいい。でもさすがにちょっとかわいそうだしもう止めといてあげようかな。
「ふふ、冗談だよ。魔理沙の分もちゃんとあるからね」
「アリス…ばか」
「上海、取ってきてちょうだい」
「シャンハーイ」
上海が重たそうにクッキーの入った籠を持ってきた。う~ん。ちょっと作り過ぎたかな。
「これは?」
「うん?バタークッキーよ」
「…なるほど。私の特徴はパワーってか。確かにパワーありそうだぜ。特に胃に対して…」
うん?魔理沙、奇妙な顔してる。
…あ、あれかぁ。私からのクッキーは嬉しいけどみんなみたいなアレンジがないから少し不満。ってところかな?
…。
……あ。
「ねぇ魔理沙」
「うん?」
「今回焼いたクッキーね。皆に合わせてアレンジしたんだけど」
「そのようだな」
「でもね。魔理沙のそれまだアレンジが足りなかったみたい」
「お?何かあるのか」
適当な大きさのクッキーをとって、と。
「…ってアリスが食ってどうするんだよ」
「はい、めひあがれ」
「え?………はえ!?」
ああ、今の驚いた魔理沙もかわいい。きっと食べた後の魔理沙も最高にかわいいんだろうな。
…ほら、ね。
少々キャラがおかしい可能性アリ。
まだまだ!これからだ!!
あ、タイトルと内容はあんまり関係してません。
では、どうぞ。
魔導書が読みたいな。
ある日突然唐突にそんな事を思った。
でも家にある本は全て読んじゃったしなぁ。もう何十回も。
あ、そうだ。丁度パチュリーから借りてた本があるし、返却ついでにお菓子を焼いてパチュリーの所に行こう。一緒にお菓子と紅茶を楽しみながら魔道書を読み、魔法について語り合うのも悪くないわね。
そうと決まれば早速焼きましょうか。
「上海、寝かしておいた生地を取ってきて。蓬莱、オーブンに火を入れてちょうだい」
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
そう言っててきぱきと作業を始めていく上海と蓬莱。うん、やっぱりこの二人(?)はいい子ね。
「ホ!?ホラララーイ!!?」
「シャンハハーーーーイ!!」
…え?何コレ?もしかしてもう完全自律してるんじゃない?
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
そんなわけないよね、気のせい気のせい。
…………
うん、いい感じに焼き上がったわね。皆に合わせて味付けしたし咲夜やレミリア、門番さんにも持っていこっと。
クッキーを包みに入れて借りていた本を鞄に詰め込み、身だしなみを整えて。
さて、行こうかな。
「おーい、アリス~」
ん?だれか来たのかな?ってこの声は…。
「は~い、ちょっと待ってね。今開けるから」
扉を開けるとその前には…。
「よ、アリス」
「いらっしゃい、魔理沙」
魔理沙がいた。さっきまで森の中を探索していたのか体の所々に葉っぱがついている。
「今日はどうしたの?」
「いや何、珍しい茸を偶然ここの近くで見つけてな。アリスにも見せてやろうと思って」
「私に?」
「べっ別にアリスに会うために朝早起きして、理由作りのために茸を探してた訳じゃないからな」
「へぇ、どんなの?…確かにこれはすごく珍しい茸ね。新種かしら?」
「欲しかったらやるよ」
「え?いいの?魔理沙」
「うん。私が欲しいのは別の茸だからな」
魔理沙がこんなこと言うなんて珍しいわね。後で何か請求されないかしら。でも、この茸何かの実験に使えそうだしお言葉に甘えようかな。
「ありがと魔理沙。大事に使うね」
「はぁ…い、いや、良かったぜ。アリスのために魔法の森を3周もした甲斐があ…ごほん!…何でもないのぜ」
…どことなく魔理沙のため息に恍惚としたものが見えたのはきっと気のせいよね。
「そういやアリスはこれからどこか行くのか?」
「あぁ、今から紅魔館に行くところだけど?」
「え…?何ぃ!?紅魔館だとぅ!!…は!?まさかあの紫モヤシか!!」
どうしたのかしら魔理沙ったら急に慌てて。それにパチュリーのこと紫モヤシだなんて言って。そんなこと言っちゃダメだよ?
「魔理沙、パチュリーのこと紫モヤシなんて言っちゃダメでしょ?確かにあの子はとても細いけど、せめて…ゴボウくらいでね?」
「な…!?あ、アリスは私よりあの紫ゴボウの方が大事なのか?そうなのか!?」
うん?なんか魔理沙涙目ね。なんでかしら。
「はいはい、わかったから。魔理沙も一緒に来る?」
「来る!!」
「ん、素直で宜しい」
さて、話も終わったしいきましょうか。魔理沙がさっきから落ち着かないのが気にはなるけど。
~少女移動中~
「はあ…眠いなぁ。でも寝ちゃうと皆が危険に晒されるし頑張らなくちゃ!」
「よう美鈴、サボタージュか?」
「…どこぞの死神と一緒にしないでくれる?
ていうか魔理沙!何の用よ!!」
「おいおい、私はお客様だぜ?」
「何を!さてはまたパチュリー様の大切な本を強奪しにきたか!?」
「そうそう、そのパチュリーに用があるのよ」
「だから…ってアリスさん!?こ、これは失礼しました。ご無礼をお許しください」
「そんなにかしこまらなくていいって言ってるのに」
門番さんはなぜか私にはすごく丁寧なのよね。どうしてなのかな。
「私のときと随分態度違うじゃないか?」
「当たり前よ!アリスさんだけなの…ちゃんとアポとったり私に挨拶してくれるの…」
「美鈴…いやその…なんかごめん…」
「うぅ…同情するなら出番をくれ…」
最近あなたも出番あったでしょう?
「泣かないで門番さん。あ…そうだ。はいこれ」
「これは…?」
「クッキーよ。来る前に焼いてきたの。あなたに合わせて中華風の味付けにしたんだけど」
うーん、烏龍茶の茶葉を少し混ぜたんだけど…大丈夫かな?
「なあ、アリス」
「ん?どうしたの魔理沙」
「いや、そのさ」
「ふおぉぉお!!
美味い美味すぎます!」
あ、どうやら気にいってもらえたみたい。
「アリスさん!こんな私なんかのためにお菓子をくれるなんて…ありがとうございますぅぅぅ!」
そう言って勢い良く私の手を握ってくる門番さん。ちょっと痛いかも。
「な…!?美鈴貴様今日はまだ私でさえアリスに触れていないのに…っ」
「そんなに喜んでくれるなんて嬉しいわ」
「アリスさん。また今度よろしければこのクッキー作っ」
「何やってるのかしら?美鈴」
あ、咲夜。
あれ?門番さんが急に消えちゃった。代わりに足元にさっきまで無かった剣山のようなものが。…まさかね。いくら頑丈な妖怪だからってこんなことしたら危ないしね。
「全く…あんたごときがアリスに手をだし…じゃなかった。あらアリス、ようこそいらっしゃいました。」
「咲夜前半何言ってたの?」
「なんでもございませんわ。…なんだ魔理沙も居るの…はぁ」
「本人の前でため息つくか普通」
「あら、本人の前だからため息をついたのですよ?」
「まあまあ。あ、咲夜にもはい。クッキーよ。咲夜の好みに合わせたつもりなんだけど…」
「あらいいの?ありがとう。早速頂くわね」
「……うん、アリスの作るお菓子はいつも非の打ち処が無いわ。…これはアールグレイかしら?」
「うん。隠し味に入れたのにわかるなんてすごいわね」
「アリスが私に作ってくれたんだもの。当然ですわ」
「…アリス、さ。そのクッ」
「さ、二人とも図書館に用があるんでしょ?行きなさい」
「うん、ありがとう咲夜。行こう魔理沙。…魔理沙?」
「いや、なんでもないんだぜ…はぁ」
うん?さっきから魔理沙の様子が変だなぁ。何か気になることでもあるのかな?
図書館に行く途中の廊下でも魔理沙の様子はずっと変なまま。むすっとして前ばかり見てる。でも時たま私の方をちらりと見てはすぐにそっぽを向いてしまう。
「魔理沙、一体どうしたの?さっきから渋い顔して」
「あのさ…クッキーってさ。全員分焼いたんだろ?」
「ええ。レミリアとフランの分はさっき咲夜に一緒に渡したし」
「いつの間に」
「あの二人に捕まっちゃうと『遊べ!』ってなかなか離してくれないから」
「…あの紫モ、ゴボウにもか?」
「こら、パチュリーでしょ?…うん、もちろんよ」
本当どうしたんだろ魔理沙。いつもは遠慮なんかしないでガンガンマシンガントークしてくるのに。今の魔理沙は例えるならまるで空気圧の弱まった水鉄砲みたい。
「その、あの…」
「あらアリスさんに魔理沙さん、こんにちは。パチュリー様なら奥ですよ」
「…私もう泣いていいよな…」
「魔理沙?」
「…なんでもない。行こうぜ…はぁ」
「?」
一体なんなんだろう。
「あらアリスいらっしゃい。魔理沙もいるのね。はぁ」
「もうデジャビュだよ本気で泣くぞおい」
「ふふ、半分冗談よ」
「半分本気かよ…」
ふぅ。やっと着いたわね。今日は何の本を借りようかしら。…とその前に。
「はいパチュリー。クッキー焼いて来たの。この前食べてみたいって言ってたでしょ?コーヒークッキー」
「あら、覚えててくれたのね。ありがとう、嬉しいわ」
「ね、食べてみて?」
パチュリーは味にはうるさいから大丈夫かなぁ。
パチュリーがクッキーを静かに咀嚼する。そして紅茶を一口飲み、口元をハンカチで拭うと黙ってしまった。…訪れる沈黙。そして。
「…アリス」
「え…?もしかしておいしくなかった?」
「あなた紅魔館の専属パティシエにならない?」
「え?」
「そんなのダメなのぜぇぇぇぇぇ!!」
「きゃっ、ど、どうしたの魔理沙」
さっきからずっと黙りこんでたのに、今日の魔理沙はテンション変化がすごいわね。
「あら魔理沙、居たの」
「だ、ダメなんだぜ…、ありすは…」
叫んだと思ったら今度は泣きそうになってる。あ…なんかかわいい。
「…ふ~ん、なるほどね」
「?」
「アリス、せっかく来てもらったところ悪いのだけど、これから図書館を閉鎖して実験しないといけないことがあるの」
あれ?実験はしばらく無いってこの間言ってなかったっけ。…まあいいか。
「本は適当に借りて行っていいから」
「う、うん…じゃあ小悪魔ちゃんの分も渡しとくね」
なんだろう、パチュリーがさっきからニヤニヤしながら魔理沙を眺めてるけど。なんだか嫌だなぁ。
「何だよ…」
「いいえ別に…クク。…アリス」
「うん?」
パチュリーはくつくつと笑っていた顔を急に真面目に引き締め、私の目を覗き込みながら言った。
「…あまりに鈍すぎるのは鋭いナイフと同意義よ?
彼女にとっても、あなたにとってもね」
「…?どういう…」
「ほんとに鈍いのね。それともそれが当たり前すぎて気付かないだけかしら?どちらにしても大変ね魔理沙」
「うるさいぜ…」
「?」
一体どういう意味?私魔理沙に何かひどいことしたのかな…。
…嫌われたら嫌だなぁ。
ん?
それはどうして…?
友達、だから?
うーん、何か違う。
もっとこう深い感じ。
大切?
それも何か違うなぁ。
それだけじゃしっくりこない。
…じゃあ好きだから?
なんだろう、意識したら急につっかかりがでてきた。ううん、つっかかりと言うよりも小さな刺かな。チクチクして気分が悪い。
「ねぇパチュリー、それってどういう…」
「あらアリス。魔法使いが直ぐ誰かに答えを求めるなんて無粋よ?…ふふ、灯台元暗しと言うやつね」
「え?」
「深く考えなくていいわ。素直な気持ちで考えればおのずと答えは解ってくる」
素直な気持ち…か。
「うう…ありすぅ」
「魔理沙…」
そういえば今日は魔理沙の様子がずっとおかしかったけど、よく考えてみると拗ねているようにおもえてきた。そう、…ちょうど好きな子に相手にしてもらえずに拗ねるような。
……。
そういえば魔理沙は私のこと、どう思ってくれてるんだろ。ただの友達?仲間?それとも…。
……。
…聞かなきゃいけない気がする。
「ねぇ、魔理沙」
「なんだよぅ」
「あのね、魔理沙…魔理沙は私のこと、どう思ってる?」
「…え?」
確かめなくちゃいけない。
「ただの友達?」
「そっそんな訳無いぜ!」
魔理沙の気持ちを。
「じゃあ、魔法仲間?」
「それも違うぜっ。私は…」
そして、
「だったら…何?」
「っ!そ、それは…」
私の気持ちを。
「私は魔理沙のこと…大好きだよ…?」
「………え…!?」
…あれ?なんだろ。自分でも驚くくらいすんなり、まるで元々自分の中にあったものが滑り落ちるみたいに出てきた。
「あ、あり…す?」
それってつまり。
「…ああ…なーんだ。そういう事なんだ」
そっか。私ってずっと前から、むしろ魔界で逢ったその日から魔理沙のこと好きだったのね。
所謂一目惚れってやつかしら。
どおりで。
理解したらなんだかさっきからつっかえていたものが全部すーっと取れた。
あとは…。
「魔理沙の答え…聞かせて?」
「私は…」
数十秒か数分か、魔理沙は下を向いて暫く黙っていた。
けど、意を決したかのようにその黄金の瞳を私に向けて、言ってくれた。
「私は…、私はアリスが好きだ。ずっと前から。いいや、魔界で初めて逢ったときからずっと…大好きだぜ!!」
ああ、魔理沙も逢ったときから私のこと好きでいてくれたんだ。
「うん。ありがとう…魔理沙」
「あ…ありすぅぅぅ!!」
「きゃっ、もう、魔理沙ったら」
勢いよく魔理沙が私の胸の中にダイブしてきた。ごめんね魔理沙。巡り合ったそのときからずっと想ってくれてたのにいままで気付けなくて。でも私、やっと気付けたから。だからね。
「魔理沙…」
「アリス…」
魔理沙は顎をあげて瞳を閉じた。いつもは攻めの姿勢なのにこんなときは奥手なのね。
でもそんな魔理沙もかわいいな。
さて、いつまでも待たせる訳にはいかないよね。魔理沙の期待に応えなきゃいけない。周りのニヤニヤした視線なんか気にしてられないわ。
…うん?ニヤニヤした?視線…?
「あら、私は一向に構わないわよ?」
「あらパチュリーいたの?」
「何だよ、デリカシーのないやつだなぁ全く…?」
「…」
「…」
「…」
「…って!きゃあぁぁぁぁ!!」
「のわぁぁぁぁ!!」
「あらあら、期待通りのいい反応ね」
「パチュリー様…なんですかあのかわいいいきものたち」
あー
ぬあー
うあー
…
「死にたいぜ…」
「だめよ。せっかく両想いになれたんだから」
「はは…、違いない」
所変わって我が家の居間。
あのあと私たちはパチュリーの下から脱兎の如く逃げ出してきた。ちょっとパチュリーに失礼かな?なんて思ったけどそれとは比べ物にならないくらい恥ずかしい思いしたんだからね、私たち。それくらい多目に見てあげてよ。特に魔理沙とか。
「それにしても長い片想いだったぜ。いや、ホントは逢ったときから両想いだった訳だが」
「何年も待たせちゃってごめんね魔理沙。パチュリーの言ってた通り、あなたを好きなのが当たり前すぎて気付けなくなってた」
「…いいんだぜそんなの。私は嬉しいんだ。こうやってアリスと笑いあえる。好きだと言い合える今が。それにくらべりゃ片想いだった時間なんて……って!ど、どさくさ紛れてなんてこと言わせんだよ!ち、違うからな!?勘違いすんなよ!?」
「魔理沙…うん、ありがと」
「だからちがっ…あ、いや違わないけど…っじゃなくて!ああもう!」
顔を真っ赤にさせて慌てたってかわいいだけよ?あ、耳まで赤くなってる。ほんと、さっきはあんな真面目に告白してくれたのにね。
「ふふ…魔理沙ったらかわいい」
「わ、笑うなよ…。てかその事はもういいんだよ」
「?」
「私は頑張って告白したけどアリスはしてない」
「あら、しなかったかしら」
「好きって言ってくれたけどあくまでそれだけだろ…」
あれ一応告白のつもりだったんだけどなぁ。けど、
「わ、私は直接聞きたいのぜ!……ちゃんとした告白……ありす…の、くちから…」
こんなこと言われちゃ断れないよね。でもちょっと恥ずかしいかな。一旦間が空いてるしね。
うーん、あ、そうだ!こうすれば恥ずかしくないはず。
「へ…ええ!?アリス!?」
「魔理沙」
「は、はいィ」
魔理沙の声がくぐもって聞こえる。そりゃそうか。私が魔理沙を抱き寄せているんだから。背の低い魔理沙はちょうど私の胸に顔を埋めるようになっている。これなら私の赤くなった顔が見られずに済む。ちょっとずるいとは思うけど勘弁してね。
「魔理沙…好きよ。初めて出逢ったときから、ずっと。今も未来もずっと…大好きだよ」
「―――っ。…あり、すぅ」
え?いきなり魔理沙が顔を胸に押し付けてきた。まさかもうそんな…?…でもよく見たら肩が震えてる。なんだそういうことか。
「あら、あなた意外と涙もろいのね」
「う、うるさいぜ!ここで…泣けなきゃ人じゃないのぜ!…ぐすっ」
「もう。…よしよし」
「ばっ、子供扱いすんな!…ひっく…あ、アリスだって泣いてるだろ!?」
「え?ほんと?」
手を顔に触れさせてみると確かに涙の跡があった。ホントだ私泣いてる。
…最後に泣いたのっていつだろう。しかも嬉し泣きなんて初めて。
「…えへへ、初めての嬉し泣き、魔理沙にあげちゃった」
「そんなの私も初めてだぜ」
「魔理沙の初嬉し泣き私貰っちゃったね。…じゃあ、ねぇ、魔理沙」
「ん?」
「魔理沙のファーストキス…私にちょうだい?」
「…!…いい、ぜ。その、アリスも、くれるなら、だけど」
「もちろんだよ。貴方以外にあげる人なんていないんだから」
魔理沙の腰を抱き寄せてもう片方の手で彼女の顎を持ち上げる。
魔理沙は顔を真っ赤にしながら目を瞑った。私も魔理沙程じゃないけど顔が赤いかも。
「アリス…きてよ」
「魔理沙…」
ふと思った。魔理沙は人間。私にとってはたかが数年でも人間にとっては貴重な命の時間。
馬鹿だなぁ私。いや馬鹿だった。かな。
魔理沙とこれからどれだけ一緒に居れるかはわからない。けど、それが1年だろうと80年だろうと私はそんなの構わない。私は嬉しいの。こうやって魔理沙と笑いあえる。好きだと言い合える今が。
それに比べれば、ね。
ああ、もう。難しい考えは後々。今はただ、魔理沙との甘い甘いファーストキスを心まで感じよう。お互いに、ね。
おまけ
「そういえば、さ」
「うん?」
「パチュリーの所のゴタゴタで忘れてたけどさ」
「うん」
…そういえば忘れてたわ。ああ、これから暫らくは図書館に行くたびにからかわれるんだろうなぁ。
「…それで」
「もう、何よ?」
「…私の分のクッキーないのか?」
…
ああ、そういえば紅魔館で魔理沙が言おうとしてたのってこのことだったんだ。あ、恥ずかしがる魔理沙ってかわいいな。いつもは遠慮もしないのに。
うーん、なんだか急に意地悪したくなってきた。
「ごめんね。あなたの分無いの」
「ヱゑえ!?」
ふふ、慌ててる慌ててる。ああ、慌ててる魔理沙もかわいい。
「生地が少し足りなくて」
「ううう…べ、別にアリスのクッキーが食べれなかったからってどーってことないぜ…」
うん、泣きそうな魔理沙もかわいいなぁ。
「あらそう。なら助かるわ」
「え!?いや、その」
ああもうかわいい。でもさすがにちょっとかわいそうだしもう止めといてあげようかな。
「ふふ、冗談だよ。魔理沙の分もちゃんとあるからね」
「アリス…ばか」
「上海、取ってきてちょうだい」
「シャンハーイ」
上海が重たそうにクッキーの入った籠を持ってきた。う~ん。ちょっと作り過ぎたかな。
「これは?」
「うん?バタークッキーよ」
「…なるほど。私の特徴はパワーってか。確かにパワーありそうだぜ。特に胃に対して…」
うん?魔理沙、奇妙な顔してる。
…あ、あれかぁ。私からのクッキーは嬉しいけどみんなみたいなアレンジがないから少し不満。ってところかな?
…。
……あ。
「ねぇ魔理沙」
「うん?」
「今回焼いたクッキーね。皆に合わせてアレンジしたんだけど」
「そのようだな」
「でもね。魔理沙のそれまだアレンジが足りなかったみたい」
「お?何かあるのか」
適当な大きさのクッキーをとって、と。
「…ってアリスが食ってどうするんだよ」
「はい、めひあがれ」
「え?………はえ!?」
ああ、今の驚いた魔理沙もかわいい。きっと食べた後の魔理沙も最高にかわいいんだろうな。
…ほら、ね。
ナイスマリアリ!
>>1さん
マリアリはつかず離れずなのもいいですがべったりもとてもいいと思うんですよ。
>>2さん
スティックシュガー1本分でも補給していただいたのであれば嬉しい限りです。
>>3さん
ウチの子達は自重というものを知りませんからw
>>奇声を発する程度の能力さん
お口直しにバタークッキーなどいかがでしょうか。
>>カンデラさん
大丈夫です!ウチは糖分50%オフ(当社比)ですから!
>>6さん
普段攻めの子が受けに回るととっても可愛いってけーねがいってた。
>>7さん
アリスは頭の良い子ですからゴボウの花が紫色ということを考慮に入れたのでしょうw